最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、土地収用法に基づき土地収用・明渡の裁決を受けた原告が、一三三条に基づいて提起した補償金の増額請求訴訟である。
原告は収用土地上及び隣接土地上に存した原告の製薬工場(以下「本件工場」という。)の移転補償等につき、大略次のとおりの補償金の増額を求めた。
1 収用委員...
《解 説》
Xは、国民年金法による障害基礎年金及び厚生年金保険法による障害厚生年金の各給付の裁定を社会保険庁長官Yに対して求めたが、各障害給付を支給しないとの決定を受けたので、長崎地裁に右決定の取消しを求めて出訴した。Yは、行訴法一二条一項に基づき、本件訴訟を行政庁の所在地を管轄する東京地...
《解 説》
住民訴訟の前提となる監査請求は、対象とする財務会計上の行為又は怠る事実を、他の事項から区別し、特定して認識できるように個別的、具体的に適示してしなければならないとするのが判例である(最三小判平2・6・5民集四四巻四号七一九頁、本誌七五〇号一五一頁)。本件では一審(東京地判平2・...
《解 説》
一 本件は、I市が締結した市道清掃等の業務委託契約について、同市の住民である原告らが、右契約を随意契約の方法によって締結したのは違法であり、これにより同市に損害を被らせたなどと主張して、当時契約締結権限を有する市長であった被告に対し、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、市...
《解 説》
一 本件は、神戸地判平1・6・1本誌七一二号一一七頁の控訴審判決であり、その事案の概要は、以下のとおりである。
Y(被控訴人)は神戸市に本店を置く船舶・航空機等の製造・販売会社であり、X(控訴人)はその神戸工場船舶事業本部(管理部門)に所属し、電算端末機オペレーターとして勤務...
《解 説》
本件は、Y(被告・大阪府地方労働委員会)がX会社(原告)にZ組合(被告補助参加人)の組合員の差別の禁止、団交応諾等を命じた救済命令について、X会社が取消しを求めた訴訟の判決である。本件では、次のような事実関係の下で、X会社による不当労働行為の成否が問題となった。
生コンクリー...
《解 説》
一 X(申請人・抗告人)は、昭和四一年九月五日、Y(被申請人・相手方)との間で、公正証書をもって、Yの所有する本件土地を無償でXに贈与する旨の死因贈与契約を締結したとし、死因贈与による所有権移転請求権の仮登記仮処分を申請したものである。
二 一審は、X主張の契約の成立が疎明さ...
《解 説》
Xの先代A(原審係属中に死亡)ら二八名は、現在、厚木基地の用地となっている土地(地目は墳墓地)につき登記簿上共有者とされていたが、国Yに対し、土地明渡し及び賃料相当損害金の支払いを求めて出訴した。これに対し、Yは右土地を昭和一八年にAら代理人Bから買収したこと、仮にそうでないと...
《解 説》
Aから土地を賃借りし建物を所有していたY1は、Y2に対し借地権付建物として同建物に抵当権を設定した。Y2の申立てにより開始された同建物の競売手続において、Xは、物件明細書等の借地権付建物との記載を信じ、同建物を競落し、Y2は、配当を受けた。しかし、Xの競落直後で代金納付前に、A...
《解 説》
一 X(原告・反訴被告)は、茅ヶ崎市東海岸に自宅を所有して居住していた者であるが、昭和六三年春ころから、自宅の建て替えを計画し、同年一〇月、茅ヶ崎市から、地上四階建の店舗兼共同住宅の建築について確認を受け、自宅の解体工事に着手したところ、近隣の住民Y(被告、反訴原告)らは、Xの...
《解 説》
一 本件は、原告と被告(銀行)との間で融資契約(金銭消費貸借契約)の成否が争われ、この成立を主張する原告が被告の融資拒絶を理由に損害賠償を請求した事例である。
事実の経過は複雑であるが、要するに、千葉県企業庁が主体となって開発している工業団地にX1会社が新工場の進出計画を決め...
《解 説》
一 X(事故当時三歳・女)は、停車していた自動車付近から市道上に出たときにY1会社の運転手Y2の運転するタクシーに衝突し、脳挫傷、脳幹挫傷、外傷性クモ膜下出血及び頸髄損傷の傷害を負い、以来、自発呼吸はなく、四肢の自動運動もわずかであり、意志疎通もなく全介助を必要とし、終生入院が...
《解 説》
Xは、その父Aが昭和六三年一〇月四日死亡したことにより、遺産たる「第一建物」を相続取得した(Aの相続人としてはX1のほかX1の妹X2があるが、第一建物をX1が単独取得したのは、遺産分割協議によるもののようである。同建物は未登記であったが、平成元年七月一二日X1名義に所有権保存登...
《解 説》
本件は、おにぎりを包装袋で包装し同包装袋を食用時に引き抜くというタイプのおにぎりについて実用新案権を有する原告が、同タイプのおにぎりに使用するための包装袋(被告製品)を製造販売していた被告に対し、被告製品で包被したおにぎりは本件考案の技術的範囲に属し、かつ、包装袋は原告の登録実...
《解 説》
本判決は、最三小判昭63・7・19民集四二巻六号四八九頁、本誌六八一号一一七頁の差戻後の控訴審判決であり、その事案の概要は、以下のとおりである。控訴人高橋の設立した控訴人会社は、右高橋の考案に係る本判決添付の別紙第一目録記載の自動車接地具(車体に溜まった静電気を地上にアースする...
《解 説》
本件の事案の概要は、次のとおりである。
原告は、被告らが原告の製造販売する測定顕微鏡に酷似した測定顕微鏡を製造販売したとして、不正競争防止法一条一項一号等に基づき被告らの行為の差止め等を求め本訴を提起した。これに対し、被告らのうち一名は、原告代表者が新聞記者に対し、「外観のよ...
《解 説》
本件は、XがYから土地を二〇〇万円で買い受けたとして、Yに対し所有権移転登記手続及び土地の明け渡しを求めた事件である。原審は最初の口頭弁論期日にYが出頭しなかったとして、いわゆる欠席判決をした。最初の口頭弁論期日の呼出状、訴状副本及び答弁書催告書は昭和五七年三月二四日午後七時四...
《解 説》
本件はいわゆる事情の変更による仮処分取消申立事件である。本件において取消しを求められた仮処分決定は、建物の売買契約に基づく被申立人(仮処分債権者)の申立人(仮処分債務者)に対する所有権移転登記請求権を被保全権利とする処分禁止の仮処分である。申立人は、本案訴訟(申立人を原告とする...
《解 説》
主婦Aは昭和六〇年二月、Yが設置する病院で診察を受け、脳動静脈奇形(AVM)と診断され、医師からその摘出を勧められたので、摘出手術を受けたが、AVMの完全な摘出に至らず、第二回目の手術中に著しい脳腫脹を引き起こして死亡した。Aの夫のX1、子のX2、X3及び母のX4はYに対して不...