最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、いわゆる成田闘争に絡む行政事件として、初めて最高裁の憲法判断が求められた事件である。
昭和五三年五月一三日、新東京国際空港の安全を確保するため、過激派集団の出撃の拠点となっていたいわゆる団結小屋の使用禁止を命ずることができること等を内容とする成田新法が公布、施行さ...
《解 説》
一 本件の争点
本件は、土地改良法(以下「法」という。)九六条の二第一項所定の土地改良事業施行の認可(以下「本件認可処分」という。)の取消しを求める訴訟であり、右認可に係る土地改良事業の工事が完了して原状回復が、物理的には不可能であるとはいえないが、社会的、経済的損失の観点か...
《解 説》
一 本件の事案は、次のとおりである。昭和六〇年八月一五日、当時の内閣総理大臣であった中曽根康弘元首相(被告、被控訴人)が、内閣総理大臣として、公用車で、靖国神社に赴き、拝殿において、「内閣総理大臣中曽根康弘」と記帳し、引き続き本殿に至り、当時の藤波孝生内閣官房長官及び増岡博之厚...
《解 説》
一 本件は、Y(債務者)が、宮城県伊具郡丸森町の標高約二二〇ないし二五〇メートルの高台に、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、陶磁器くず及び建設廃材(いわゆる安定五品目)を埋立て処分する産業廃棄物最終処分場(以下「本件処分場」という。)を設置し、使用操業を予定して...
《解 説》
最大判昭62・4・22民集四一巻三号四〇八頁、本誌六三三号九三頁は、森林法一八六条本文を違憲とする理由の中で、多数の共有者中の一人が原告となって分割請求をした場合は、原告に対してのみ持分の限度で現物を分割し、その余は被告らの共有として残すことも許されることを明らかにした。本件は...
《解 説》
公職選挙法四六条の二は地方公共団体の長又は議員の選挙について、条例により投票用紙の候補者欄に○印を付ける方法による投票(記号式投票)ができる旨を定めている。そして、公職選挙法施行令四九条の三は記号式投票の方法として、○印を自書する方法、○の記号をあらわす印を押す方法、これらを合...
《解 説》
一 Xは、東京都内のマンション建設分譲業者であるが、JR清里駅付近に地上七階建のリゾートマンションを建築することを計画し、平成三年三月、山梨県に建築確認申請書を申請したが、同県が、右建築確認申請について、山梨県景観条例に定める関係機関との協議、同意を得られないとして、右申請につ...
《解 説》
一 Xは、A町において浄化槽の清掃並びに浄化槽汚泥の収集及び運搬の営業を行うため、A町長Yに対し、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)七条一項の一般廃棄物処理業の許可及び浄化槽法三五条一項の浄化槽清掃業の許可を申請した。これに対し、Yは、一般廃棄物処...
《解 説》
一 A市の住民Xらが、A市の行った工事につき、その工事費の支出負担行為及び支出命令が違法であるとして、A市長Yを被告として損害賠償を求める住民訴訟(以下「本案事件」という。)を提起したところ、Yが、住民訴訟に準用される行訴法二三条に基づき、行政庁であるA市長(以下「Z」という。...
《解 説》
本判決の認定によると、何者かが土地登記簿の原本を閲覧の機会に持ち出し、正規のものと酷似する活字を用いて所有者AからBへの所有権移転登記を改ざんし、これを利用してXから土地売買代金名下に二億円を詐取した。しかし、約一か月後にAからBへの所有権移転登記が、次いでBからXへの所有権移...
《解 説》
一 Xは、昭和一六年から昭和五七年までの間、ほぼ一貫して坑夫として稼働してきたものであるが、昭和六一年六月、感音性難聴の診断を受けた。
そこで、Xは、難聴による障害補償給付の申請をしたが、Yは、平成元年四月、労災保険法四二条により補償給付請求権の消滅時効が完成したことを理由に...
《解 説》
一 本件は、被告西日本旅客鉄道株式会社の従業員で、倉敷駅の営業係として勤務していた原告が、被告から倉敷駅寿町踏切道(本件踏切)看守の業務に就労するよう命じられたこと(本件命令)につき、本件命令は、原告が被告に強要されて提出した作文の内容に対する報復として発令されたものであるから...
《解 説》
一 本件は、ナイトクラブを経営する被告との間で、ナイトクラブにおいてホステスとして稼働する契約(以下「本件契約」という。)を締結していた原告が、被告に対して、「給料」、「歩合」、「立替戻し」、「ホステスチャージ」と称する金員の支払を請求した事案である。
本件契約においては、被...
《解 説》
Yは本件マンションの一室の区分所有者であり、昭和六三年六月に全所有者で構成する管理組合の承認を受けずに自己の占有部分に接続するバルコニーに衛星放送受信用のパラボラアンテナを設置した。管理組合は平成元年二月の総会で、「将来管理組合が共同パラボラアンテナを設置したときは、既に個人で...
《解 説》
X(ビル会社)は、A会社との間で電光表示板設置契約の締結(三五二〇万円)したが、これは、広告代理店Y1会社(Y2専務取締役)との間の広告代理店契約が前提となっていた。すなわち、本件電光表示板による広告業務につきY1会社が総代理店になり、放映料月一八〇万円を保証するという(放映料...
《解 説》
一 X(原告)は、Z(被告補助参加人)を債権者、Y(被告)を債務者兼所有者とする不動産競売申立事件(本件競売)において、一括売却された五筆の土地である本件土地を買い受け、代金を納付した。本件競売の期間入札の公告書、物件明細書、現況調査報告書、評価書には、いずれも登記簿の記載に基...
《解 説》
Y1・Y2夫婦の子A1及びY3・Y4夫婦の子A2ら(両名とも小学四年生)は、B社所有の建物内で火遊びをし、右建物を全焼させた。X社は保険会社であるが、B社に火災保険金として約六〇〇万円を支払い、保険約款及び商法六六二条によりB社に代位して、Yらに対し損害賠償を求めた。Yらは、A...
《解 説》
一 本件は、無認可保育所に長男A(生後九か月)の保育を委託したX1、X2が、Aが右保育所で窒息死したのは、右保育所の経営者で自ら保育に従事していたY1、Y2が、預った幼児の動静に注意する義務を怠り、Aから目を放したことによるなどとして、Y1及びY2に対し、保育委託契約の債務不履...
《解 説》
一 訴外A(昭和二五年九月生まれ)は、平成元年五月当時、国分寺病院の看護婦として稼働していたものであるが、同月一一日午後、都内国分寺市内の交差点の歩道上で信号待ちをしていたところ、暴走してきたY1運転の普通貨物自動車に衝突され、脳挫傷等の傷害を受けたため、府中病院等で治療を受け...
《解 説》
一 本件は入院中の躁鬱病患者の自殺につき、病院側の患者管理等の責任が争われた事例である。
訴外Aは二三歳であった昭和六二年一月当時、躁鬱病の治療のため、被告Yが運営する病院に入院していたが、一月二二日の深夜、病室を抜け出して失踪した。Aは、それから一年四か月後の昭和六三年五月...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六二年四月当時、神奈川県立伊勢原養護学校高等部二年に在学中であったが、同月一五日、同校の体育授業の一環として行われた水泳訓練に参加し、学級担任教諭からマンツーマン方式で指導を受けていたところ、頭を水中につけすぎたため、水を吸引し、溺死するに至った。
そこで、...
《解 説》
Xは妻のYがエホバの証人の宗教活動に参加したことから、両名の婚姻関係が破綻したと主張し、離婚判決を求めたところ、第一審判決は、請求を認容した。控訴審においてXは、エホバの証人は、①輸血を受けること、②法事など仏式によって先祖を祭ること、③親戚、隣近所との冠婚葬祭に付き合うこと、...
《解 説》
本件は、建築資材販売を業とするY1会社(Y2代表取締役)に対して売ったメラニン化粧合板等の代金債権を有するX会社が、Y1に対して代金請求、Y2及びその他の取締役Y3ほか五名に対して商法二六六条の三に基づき売買代金相当額の損害賠償請求をした事案である。Y1はその後倒産し和議認可決...
《解 説》
一 原告会社は、旧第四五類の「他類に属しない食料品及び加味品」を指定商品とする「小僧」の文字を縦書きした登録商標(昭和三二年七月登録。別紙第一目録参照)を有している。被告会社は、フランチャイズ方式により持ち帰り品としての寿しを製造販売している訴外株式会社小僧寿し本部との間でフラ...
《解 説》
東京都区内にあるいわゆる環状六号線道路を拡幅し、併せてその地下に高速道路及び地下鉄を通すという都市計画事業に関し、右道路の沿線に居住し、或いは土地を所有する等している住民ら多数が、建設大臣のした右各事業の認可のうち、東京都知事に対してした地上拡幅道路整備事業の認可及び首都高速道...
《解 説》
一 外国裁判所の判決による強制執行は、わが国において執行判決を得た場合にのみ許され、執行判決を付与するには、外国裁判所の判決が確定したことが証明されること及び民事訴訟法二〇〇条各号所定の要件を満たすことが必要である(民事執行法二四条一項、三項)。本件は、アメリカ合衆国テキサス州...
《解 説》
本件は、被告人が、妻の知人である被害者を、同人方一階廊下及び八畳間において、殺意をもって刃体の長さ一〇センチメートル内外以下の刃物で被害者の背中、右肩部等を数回突き刺し、また胸部を靴履きのまま踏みつけるなどし、被害者を右肩部及び背中の各刺切創と胸部打撲若しくは圧迫による肋骨骨折...
《解 説》
一 本件は、暴力団関係者の勢威を利用して行った不動産競売手続に関する執行妨害行為について競売入札妨害罪が成立するとされた事例で、①がその第一審判決、②が控訴審判決である。
本件は、競売不動産について所有権を取得した会社の従業員が、同会社の実質的経営者と共謀のうえ、右不動産に暴...
《解 説》
本件は、遠洋漁業の漁船上で発生した傷害致死事件に関し、漁船の漁労長をしていた被告人が、犯人の依頼を受けて、過失による事故である旨内容虚偽の死亡事故発生報告書を作成するとともに、それを海上保安部に向け電送提出して行使したという、証憑の偽造、同使用の事案である。
証憑の偽造とは、...
《解 説》
一 本件は、児童を雇用して、ダイヤルQ2の電話の応信をさせた行為が、児童福祉法三四条一項九号の罪にあたるかどうかが争われた事案である。控訴趣意は、(1) 右は正当な雇用関係に基づくものである、(2) 児童に対し、電話の応信上、いかがわしい会話等には自分の意思で電話を切ってもよい...
《解 説》
XはY市の職員であり、嫌煙運動に携わっている者であるが、勤務先である市庁舎内で禁煙が完全に行なわれていないため、健康被害を被っていると主張し、人格権に基づき、市庁舎の事務室全部の禁煙と、これまで市庁舎内を禁煙としなかったことが安全配慮義務違反ないし不法行為に当たると主張し、精神...