最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、ある新聞記者の著書を批判する雑誌記事に関して、右記者からする反論文掲載請求の可否等が争われた事件で、新聞でも報道された事件である。
当事者双方の主張は、判決「別紙」に詳細であるが、その要旨は概ね以下の通りである。まず原告Xは昭和五二年一二月当時朝日新聞の記者であっ...
《解 説》
一 本件訴訟は、平成元年七月二日に行われた東京都議会議員選挙(以下「本件選挙」という。)の足立区選挙区の選挙人が原告(選定当事者X1~X4)となって、公職選挙法(以下「公選法」という。)一五条七項に違反した議員定数配分を定めた条例の下で行われた本件選挙は無効であると主張して、右...
《解 説》
一 生命保険の受取人が死亡し、その後に受取人の再指定(変更)がない場合には、誰が受取人となるか、受取人と指定された者(指定受取人)の相続人が契約者兼被保険者自身であるときは、保険金請求権はその者の遺産になるのか、その者の相続人が保険金の受取人となるのか。この論点については、商法...
《解 説》
一 Xは「高速旋回式バレル研磨法」との発明の特許権者であり、Xの主張によると本件発明は断面形状を正六角柱あるいは正八角柱状にしたことにより、従来技術である断面正四角柱状のバレルを用いた高速旋回式バレル研磨法(第二引用例、米国特許明細書)に比して優れた研磨が行えるとのことであった...
《解 説》
一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独禁法)二四条の二の規定によれば、書籍については、いわゆる法定再販商品として、例外的に再販売価格維持行為を行うことが認められており、また、消費者保護等の理由から書籍自体に再販売価格を定価として表示することが望ましいものとして、定...
《解 説》
一 在監者の図書等の閲読については、監獄法三一条二項にその自由を制限することができる旨の規定が置かれ、監獄法施行規則八六条にその閲読の許可基準等が定められている。この規定を受けて、法務大臣の訓令、矯正局長の通達、通牒にその具体的な取扱いの要領が定められており、右の定めによれば、...
《解 説》
一 X1とX2の子A(当時五歳)は、昭和六三年八月一八日、「県立親水公園」の人工池で遊んでいた際、降雨により増水した池に入り込んだため、水に溺れて死亡した。
そこで、X1とX2は、右公園の設置管理に瑕疵があったとし、Y(埼玉県)に対し、総額四七〇〇万円の損害賠償の支払いを求め...
《解 説》
A勤労者住宅生活協同組合はB社に買収事務を委託して、本件土地を含むW地区で宅地開発を行っていた。Xは昭和五七年五月本件土地の売却に同意し、国土利用計画法二三条一項の届書に署名押印した。Xは本件土地を売却することとしたのでCから代金二五〇〇万円で代替地を取得することとし、同年八月...
《解 説》
Xらは、一部事務組合であるY1が工場建設、機械類の設備設置、修理等をY3に請け負わせ、契約後に代金が減額されたのに当初の契約による代金が支払われたことが違法であるとして、Y1の当時の代表者であるY2には損害賠償義務が、業者のうちの一人であるY3には不当利得返還義務が、別の業者の...
《解 説》
一 本件は、練馬区の住民である原告らが、練馬区が昭和六二年度のインフルエンザ予防接種の業務を練馬区医師会に委託するに際して違法な契約を締結し、この契約による委託費として同医師会に違法な金員の支払いをした等として、練馬区に代位して、練馬区長及び同医師会に対して損害賠償等を求めた住...
《解 説》
一 判示に関連する事案の概要はこうである。(一) 原告の亡母Aは、妹の夫Bが甲地にビルを建築する資金の融資を受けるにあたり、その依頼で、自己所有の本件土地建物につき被告(信用金庫)に根抵当権を設定した。被告の連帯保証のもとに日本生命から一億五、〇〇〇万円の融資を受けた。(二) ...
《解 説》
Xは、昭和四九年七、八月ころ、弁護士Yに対して父の遺産相続に関わる訴訟(母及び兄を被告とする相続回復及び所有権移転登記抹消等請求の訴え)の提起・追行を委任した。Yは、協力者として弁護士Aにも委任させた上、Aとともに訴訟提起・追行をし、昭和五三年四月七日訴訟上の和解を成立させた。...
《解 説》
一 原告は、中学校の第一ないし第三学年用の英語教科書を出版した教科書出版会社であり、被告は、この英語教科書のほぼ全文を朗読した補助教材用のテープを無断で製作販売した業者である。
原告の主位的請求は債権侵害を根拠とする。すなわち、原告は、個人著作者一三名と、原告が本件教科書の朗...
《解 説》
一 本件は、区分所有建物の増築の要件及び増築を実施する旨の集会決議の効力が争われた事件である。
四〇戸の専有部分からなる区分所有建物であるA棟では、専有部分の面積が狭く、増築を求める居住者の声が高まり、区分所有者の集会において、各戸当たり一室を増やすための増築工事を管理組合の...
《解 説》
一 本件は、勤労者用共同住宅の一棟の建物(以下「本件建物」という。)(鉄筋コンクリート五階建、戸数四〇個)の区分所有者により構成されている権利能力なき社団である管理組合において、各専有部分の建物が狭小であるところから、各区分所有建物の六畳和室の南側前面にこれに接着する形で八畳間...
《解 説》
一 Yは、証券会社Xの歩合外務員であり、Xとの間で歩合外務員契約を締結していた。歩合外務員は顧客から株式の買い付け注文を受けて執行し、後日、客から買い付け代金の支払を受けることとなっていた。ところが、本件では、XがYに対して特定の客からの買い付け注文を受けてはならない旨の業務命...
《解 説》
一 本件事案の概要等は、次のとおりである。
1 不動産競売事件において、競売不動産の所有者の代理人(弁護士)が、裁判所書記官に対し、同事件の記録の閲覧・謄写を申請したところ、これを拒絶された。そこで、この拒絶処分に対して異議の申立をしたが、これが却下されたので、更に、抗告し...
《解 説》
一 本件は、被告人が、パチンコ店の通称パチスロ機のメダル投入口に銀紙テープを貼ったセルロイド様器具を差し込み、内蔵の感知装置などに異常反応を起こさせてメダルを排出させ、不正にメダルを取得したという事件である(なお、被告人は、出入国管理及び難民認定法違反でも併合審理され、有罪とな...
《解 説》
一 ここに紹介するのは、勾留の裁判に対する準抗告に対し、準抗告審が、被疑者の勾留場所を、代用監獄から少年鑑別所又は拘置支所へ変更した一連の決定である。
二 被疑者の勾留場所を代用監獄とすることについては、代用監獄の弊害を強調する立場からかねて強い批判があり、一時は、「特段の事...
《解 説》
一 Xら二四名はE県の住民であるが(但し、うち二名については控訴提起段階で県外に転出)、E県知事Y1による靖国神社の春、秋の例大祭への玉串料、夏のみたま祭への献灯料(一三回分合計七万六〇〇〇円)、県遺族会(会長Y1)を介しての県護国神社の春、秋の慰霊大祭への供物料(九回分合計九...