最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 抵当不動産の処分行為が詐害行為に当たる場合の取消しの範囲及び原状回復の方法について、最高裁は、詐害行為後に右抵当権が消滅したときは、一部取消し・価格賠償により(最大判昭36・7・19民集一五巻七号一八七五頁、本誌一五三号六一頁、最三小判昭40・10・15裁判集民八〇号七九一...
《解 説》
一 事案の概要
1 福岡空港は、福岡市東南部に位置し、JR九州博多駅等重要な都市施設から三キロメートル以内の距離にあって、現在では主として民間航空機の離着陸に利用されているが、少数ながら自衛隊機及び米軍機も同空港に離着陸している。本件空港は、戦後米軍に接収され長らくその管理...
《解 説》
Xら(選定当事者)は、平成三年四月に施行された千葉県議会議員選挙の市川市選挙区における選挙人であるが、右選挙当時の県条例の議員定数配分規定による議員一人当たりの人口の最大較差が匝瑳郡と柏市とで一対三・四八であったのは、投票価値の平等保障を侵害し、公職選挙法一五条七項に違反するも...
《解 説》
一 本件は、先物取引に関して詐欺罪の成否が問題になった事案である。先物取引に関しては、昭和三〇年代後半から四〇年代半ばにかけて国内の公設市場を舞台とする不正事犯が多発した後、乱立した私設市場における詐欺事犯が急増した。そして、更に、海外先物取引をめぐる不正事犯が登場し、今後もな...
《解 説》
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、「風営法」という。)三条一項は、風俗営業について、都道府県公安委員会の許可にかからしめているところ、同法四条二項二号、同法施行令六条、神奈川県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する条例三条一項三号によると、商業地域におい...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年七月当時、Y2が設置する習志野市立第七中学校二年に在学中であったが、同月三日、給食時間に遅れたことを理由として、担任教諭Y1から床に正座させられ、その顔面を運動靴で蹴るなどの体罰を受け、通院四か月を要する歯牙脱臼、口唇裂傷等の傷害を負った。
そこで、Xは、...
《解 説》
競馬法(平成三年法律第七〇号による改正前のもの)三条一項本文は、中央競馬の開催について、競馬場毎に年三回と規定していた。中山競馬場から五〇〇メートル以内に居住し、電気工事店を経営しているというXは、同競馬場において中央競馬が年五回開催されているのは同法に違反しており、農林水産大...
《解 説》
一 Xは平成二年三月当時、東京都中央区築地川(二級河川)の河川区域内の土地について占用許可に基づく占用権原を有し、右土地上に工作物を所有して、ヨットハーバー事業を営んでいた者であるが、東京都知事は、昭和六三年四月、Xに対し、河川法七五条に基づき、原状回復命令を発したうえ、平成元...
《解 説》
X会社は昭和五八年一一月、地上一〇階建ての事務所・店舗専用部分、ワンルームタイプ専用部分、共用部分、駐車場の四種から成るビルを新築し、同五九年一一月、事業所税(地方税法七〇一条の三〇以下)の課税標準となる事業所の床面積を五〇三八・〇八メートルと算定して、納付税額を三〇二二万八四...
《解 説》
一 本件の事案の概要はこうである。京都府は、いわゆる府政記者クラブに対し記者室を貸与し、取材の便宜を図っている。京都府の住民である原告は、これを違法な公金支出であると主張した。記者室の電話代、ファクシミリ代などや専属の女子職員の給与の公金支出、記者室の無償貸与が財産の管理を怠る...
《解 説》
本件訴訟の内容は、Xら二名が本件係争土地の所有権を譲り受け、同地上にある建物所有者Yら五名に対し、無断転貸を理由とする賃貸借契約の解除、更新拒絶、所有権に基づき、建物の収去・土地の明渡し等を求めるという、ごくありふれた事案である。Yらは、転貸の承諾、解除権の時効消滅等の抗弁を提...
《解 説》
A所有の本件建物について競売手続が開始されたが、Aは、自らが実権を握っていたY名義で本件建物を競落しようとし、不動産競売ブローカーのBに対し、右建物の競落取得を依頼した。右競売事件は六回の期日が開かれたが、買受申出人が出現しなかった結果、最低売却価額も逐次減額され、第七回目の期...
《解 説》
一 本件は、平成三年四月七日京都競馬場において開催された桜花賞競走における落鉄事故に端を発する事件である。
右レースでは、イソノルーブル号(以下「本件馬」という。)がいわゆる一番人気であり、Xも本件馬がらみで金五〇〇〇円分の連勝複式の馬券を購入した。ところが、発走直前になって...
《解 説》
Xは、その隣人であるY1が建築基準法に違反する建物を新築したために、X所有の土地建物について通風、日照、採光が不良となり、冬には日中でも点灯、暖房が必要となり、湿気も増すなど被害を受ける状態となった。Xは、練馬区長に対して新築工事規制違反部分の除去を陳情したのに、工事停止命令を...
《解 説》
一 Xは造園業者であるが、昭和五七年六月八日、庭石の設置作業等の造園作業の依頼を受けたので、重機の賃貸会社から運転手付きで配車されたクレーン車と大型トラックを使用して行うことを決め、重さ約一・五トンの庭石に玉掛けしたうえクレーンで吊り上げたうえトラックの荷台に移そうとしたところ...
《解 説》
Xは昭和五一年ころから本件建物の一階でレストランを経営し、Yは昭和五七年一一月からX経営のレストランの真下でライブハウスを経営していた。右レストランではA席と呼ばれる客席とB席と呼ばれる客席に分けることができるが、構造上、A席はB席と異なり、階下の振動が直接伝わることが避けられ...
《解 説》
一 事案の概要は以下の通りである。
原告Xは、昭和六〇年当時三九歳であったが、四月から頭痛、眼痛に襲われ、被告Yが運営する病院の脳神経外科を受診した。その後、同科で検査と治療を受け、またXは自分で同じY病院内の眼科、耳鼻咽喉科でも受診していたが好転せず、同年六月には突然左眼の...
《解 説》
事案の概要は以下の通りである。
訴外Aは平成二年六月当時七〇歳であったが、直腸癌の治療のため被告Yが運営する墨東病院に入院し、腸切除の手術を受けた。手術自体は無事に終了したが、手術から三日後にAは一時的な精神障害を来して病院内を徘徊するということがあり、その後発熱、不整脈発生...
《解 説》
一 Y(控訴人、被告)は、昭和一四年七月二日にX(被控訴人、原告)の実弟B・C夫婦間の子(長女)として出生したが、X・A夫婦とB・C夫婦との間で、YをX夫婦の跡継ぎとする約束があったことから、出生後まもなくX夫婦に引き取られ、同月一一日X・A夫婦の嫡出子(長女)として出生届がさ...
《解 説》
XらはAの相続人であるが、家庭裁判所において限定承認の申述をして受理され、X1が相続財産管理人に選任された。そして、民法九二七条に基づき債権届出の催告をしたところ、四七億円余の債権の届出があった(その後、本件供託金を原資とする配当弁済を辞退する債権者があった)。Yら(国を除く)...
《解 説》
Xは、昭和六三年三月一四日にYと住宅総合保険契約を締結(平成元年三月に更新)し、平成元年七月一八日に動産総合保険契約を締結している。右保険契約の目的中には、高名な画家の絵画が合計七点含まれていた。Xは、同年八月一九日に右絵画が盗難事故にあったとして、Yに対して保険金の支払いを請...
《解 説》
日本の美術商Y社は、英国の美術商A社からYの従業員BをしてA所有の明王朝時代の美術品である皿を顧客が購入することを条件として二一万ポンドで買い受ける旨の契約を締結した。Bはその叔父で香港の美術商Cに本件皿を受け取ってもらうこととし、Cはこれを受け取ったが、その翌日ロンドンのホテ...
《解 説》
一 事実関係
1 Y(被告・控訴人・女)は、昭和六二年一二月姉甲と共同で本件土地を買い受け、持分Y一〇分の九・甲一〇分の一の所有権移転登記を経たが、Yと甲は共同で同六三年本件土地上に本件建物を建築し、同年一一月それぞれの持分を二分の一とする共有とし、その旨の所有権保存登記を...
《解 説》
一 事案の概要等
1 本決定は、競売建物の所有者以外の第三者が執行妨害を目的として、競売建物に入居したことが、競売不動産の価値を著しく減少する行為に該当し、また、右第三者は所有者の占有補助者であると認定したうえで、同人を相手方とする建物退去の保全処分を認めたものである。
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《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
本件申立人は、不動産競売事件において、本件建物(マンション)を平成四年二月四日約一億八千万円で買受申出(入札)し、同月一二日の開札期日において最高価買受申出人と定められ、同月一九日売却許可決定がなされた。同年二月初旬、競売建物の所有者(...
《解 説》
一 事案の概要等
1 本件は、競売建物の所有者が執行妨害を目的として、競売建物に内外装工事をしたうえ、これを第三者に賃貸して入居させようとしたことが、競売不動産の価値を著しく減少するおそれのある行為に該当するとして、まず、工事禁止及び占有移転禁止の保全処分(①事件)が、次い...
《解 説》
本件は、雑居ビルの地下トイレ内で少女が強姦されて殺された事件について、被告人の自白に信用性が認められず、その他被告人と犯人を結び付ける物的証拠も存しないなどとして、被告人に対し無罪が言い渡された事例である。
本件において被告人と犯人を結び付ける証拠としては、被告人の捜査段階に...
《解 説》
一 近時、弁護過誤訴訟や弁護士報酬をめぐる紛争など弁護士が訴訟当事者となる訴訟類型が増加する傾向が顕著になってきている。本件も、弁護士ともとの依頼者との間に発生した紛争にまつわる損害賠償請求訴訟である。また、「裏切られ余計な裁判、弁護士に『一四〇〇万円支払え』」という見出しで新...
《解 説》
一 本件は、芸能人とプロダクションとの間でされた専属契約をめぐって争われた事案である。
人気タレントであるY1は、所属していたプロダクションXとの間で芸能に関する専属契約を締結していたが、右専属契約の更新を拒絶した等と主張してXのもとを離れ、現在の所属プロダクションであるY2...