最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事件の概要
本件は、昭和四八年一一月に発生した大洋デパート火災事故についての上告審判決である。
事件の概要は、営業時間中の午後一時一〇分ころ以後に、デパート店舗本館の南西隅にあるC号階段の二階から三階への上がり口付近で原因不明の火災が発生し、火災は同階段から三階店内に侵...
《解 説》
一 Xら七名は大阪府の住民であり、昭和五七年五月ころ、Y1は地方公営企業である大阪府水道企業の管理者、Y2は大阪府水道部長、Y3は同部次長、Y4は同部の総務課長として在職していた。
Yらは、スナック、バー、割烹、焼肉屋等において会議接待をしたとして、昭和五七年度水道事業費の会...
《解 説》
一 本判決は、大阪高判平2・4・26(同庁昭和六三年(行コ)第二六号、第二七号違法支出金補填請求事件)の上告審判決であり、Xらの上告(平成二年(行ツ)第一三八号事件)についての判決である。その事案の概要については、Y1の上告事件(平成二年(行ツ)第一三七号事件)についての事案の...
《解 説》
Xら四三名は、仏教徒、クリスチャン、あるいは無信仰者であるが、昭和六〇年八月一五日、靖国神社に当時の中曽根内閣総理大臣らが公式参拝したことによって信教の自由、宗教的人格権、宗教的プライバシー権、平和的生存権を侵害されたと主張し、国家賠償法一条に基づき、Y(国)に対し、それぞれ慰...
《解 説》
一 全体について
1 ここに紹介するのは、覚せい剤自己使用事件について、同じ浦和地裁で相次いで出された三つの無罪判決である。覚せい剤自己使用事件については、時に被告人が事実を争うことがあっても、通常、尿鑑定書という動かぬ証拠があるため、被告人の弁解が通って無罪の言渡しがされる...
《解 説》
一 原告は被告の被包括宗教法人たる寺院の代表役員・住職であり、被告法人の宗務役員であったが、被告内部における管長派と内局派との内紛において、昭和五一年四月に宗務役員として不当な事務処理をしたことを理由として、同月二四日、宗務役員を免役され(乙処分)、その後の同年五月に生じた管長...
《解 説》
一 国家公務員(建設省)である訴外Aが死亡し、その死亡退職金並びに共済掛金還付金、入院付加金及び一部負担金払戻金の給付請求権の帰属につき、Aと内縁関係にあったと主張する被告と、Aの兄弟である原告らとの間で争いが生じたため、国及び建設省共済組合が過失なく債権者を知りえないとして供...
《解 説》
一 本件は、昭和四九年七月七日夜半から翌八日朝にかけて、台風八号の北上に伴って移動してきた梅雨前線が神奈川県下の各地に大雨を降らせ、特に横須賀市内においては、八日未明ころから公共下水道である吉井川ほか三本の水路が、続いて二級河川平作川が溢水し、それらの溢水流が合流して原告ら居住...
《解 説》
本件は、判文の事案の概要にあるように地方公共団体が原告となったいわゆる公営住宅法による高額所得者明渡訴訟で、原告としては当然ながら地方自治法九六条一項一二号(判文では「一項」が省かれているがやはり必要であろう)の規定による議決を得て提訴したものであるが、被告らは右議決につき判文...
《解 説》
一 本件は、区分所有権の使用収益侵害の有無如何という形で、マンションの運営に関する紛争が民事訴訟となった事例である。
原告X(判文中にもある通り、芸名馬渕晴子)は本件マンションの区分所有者であり、被告のYらは、F建設会社を中心として、その従業員、関連会社、その従業員、本件マン...
《解 説》
一 XYの姉妹は亡父の遺言により、隣接した宅地一筆をそれぞれ所有するほか、右宅地から公道に通じる通路状の土地を持分各二分の一の割合で共有している。Xは、その所有地上での建物の建築工事に着工しようとしたが、Yが右共有地の通行を妨害したとして仮処分を申請し、平成元年三月二四日、「Y...
《解 説》
Xは木造二階建建物を所有し、二階六畳間(板の間付き)をYに賃料月額三万五〇〇〇円、期間二年との約で賃貸していたが、この部屋に孫を居住させようとして、更新拒絶を申し入れた。本件の争点は、本件部屋に借家法の適用があるか否かと明渡請求に正当事由があるか否かの二点にあった。
本判決は...
《解 説》
本件は、日本の農機関係部品メーカーX会社とカナダのコンサルタント会社Yとの間の紛争である。XYは昭和六二年一月より海外コンサルタント契約を締結していたが、Yの活動状況は不十分でその報告書の提出も少なかったため、Xは平成元年二月債務不履行を理由として右契約を解除した。Xは、これを...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
Zは、本件建物において印刷業を営んでおり、本件当日、ガソリンを使用して作業をしていた。そこへ、Zと取引のあるY1信用金庫の営業員Y2が同所を訪れた。Zは右ガソリンを一升瓶に入れて作業机脇の床上に置いていたのであるが、ZとY2が右作業机...
《解 説》
一 事案の概要は以下の通りである。
Aは昭和五七年四月一三日夜、勤務先の者に模造日本刀で胸部を刺され、Y1が運営する病院に救急車で搬入されてY2~Y4医師の治療を受けたが、同月二四日、化膿性腹膜炎によって死亡した。腹膜炎の原因は、前記刺創が腸管を損傷していたためであった。そこ...
《解 説》
一 本件は、動機の錯誤による財産分与の無効主張が認められた事例である。
XYは昭和三二年に婚姻した夫婦であり、東京都下に土地付住宅を取得して(登記名義はX)居住していたが、夫であるXは昭和四二年に妻(Y)子を捨てて出奔し、現在では鹿児島県でZ女と同棲している。現在Yが居住して...
《解 説》
繊維製品の製造販売等を営む株式会社Aの代表取締役Yは、取引先のB社から融通手形の引受を依頼され、本件各手形を含む為替手形の引受をしたが、その後A社、B社はいずれも倒産し、本件各手形は不渡になった。そこで、本件各手形の所持人であるXがYに対し商法二六六条ノ三の責任を追及したのが本...
《解 説》
抵当権実行事件の債務者である申立人は、競売開始決定に対して、異議の申立てをしたが却下され、この却下決定に対して、即時抗告と題する書面と、競売事件の高等裁判所への移送申立書と題する書面を提出した。競売事件は、すでに売却実施命令が出て、期間入札の段階に入っていたが、申立人は、抵当権...
《解 説》
一 A会社(更生会社)は、平成元年八月、一億円程の手形詐欺に会い、その頃メインバンクからの融資も打切られ、資金繰りに窮し、以来、高利金融業者であるB会社やX(原告)らからの融資に依存し、特にその八割方をB会社に依存していた。同年一二月初旬、A会社はその代表者印、手形、小切手帳、...
《解 説》
本件は、被告人が覚せい剤を自己使用し、その後、同事実に関する覚せい剤取締法違反被告事件につき、その処罰を免れようと企て、未決勾留中同房となった者に対し、同人が被告人の飲んでいた缶ビールの中に覚せい剤を混入させて飲ませた旨偽証させたという事案である。
ところで、覚せい剤使用事犯...
《解 説》
最判昭41・7・13刑集二〇巻六号六〇九頁、本誌一九五号一一四頁及び最判昭42・7・5刑集二一巻六号七四八頁、本誌二〇八号九七頁は、起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪として認定し、実質上これを処罰する趣旨で量刑の資料に考慮することは許されないが、単に被告人の性格、経歴及び犯...
《解 説》
一 大阪国際空港夜間飛行禁止等請求事件に関する最大判昭56・12・16民集三五巻一〇号一三六九頁、本誌四五五号一七一頁は、民事上の請求として一定の時間帯につき航空機の離着陸のためにする国営空港の供用の差止めを求める訴えについて、航空機の離着陸のためにする国営空港の供用は、運輸大...