最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
本件は東京地判平3・3・1本誌七五六号一二〇頁の控訴審判決である。
本条例七条四項は、非開示決定には理由を付記しなければならない旨を定め、同条例九条各号は開示拒否事由を定めている。ところで、本処分の通知書には非開示の理由として、「本条例九条八号該当」と記載されていた。本条例九...
《解 説》
Y新聞(全国紙)は、A私立大学(X理事長)において財政状況が悪化したため学債返還に行き詰まった旨の記事やXが独断で大学の経費により株売買に三四億円つぎ込み、五億円の損害があった旨の記事を計四回掲載した(記事目録一ないし四)。Xは、右記事により自己の名誉を毀損されたと主張し、Yに...
《解 説》
一、X1ないしX5は、いずれも、いわゆる連続企業爆破事件の容疑者として逮捕され、東京拘置所に収監された者であるが、①X1ないしX5について、新聞差入不許可処分、②X4及びX5(いずれも死刑確定)について、「死刑執行」及び「別冊ジュリスト・刑法判例百選」(死刑の執行方法の部分)の...
《解 説》
一、Yは昭和五一年にX銀行名古屋支店に普通預金をした。ところで、普通預金口座には、手形・小切手の証券類をも受け入れることができ、受入店で取り立てて決済確認をした上で払い戻すが、証券類が不渡りとなったときは預金とはならず、普通預金元帳からその金額を引き落とし、証券類を店頭で返還す...
《解 説》
一、失火責任法は、失火による不法行為責任を重過失の場合に限定する。しかし、失火の結果として債務不履行となる場合には、この債務不履行から生じた損害の賠償責任が生ずることになる。かくて、賃借人の失火による賃借建物の焼失は賃借物の返還債務の不履行として損害賠償債務を生ずる(最二小判昭...
《解 説》
一、債務者所有の土地・建物のうち土地に抵当権が設定された後に、両者を目的として強制競売による差押えがされ、抵当権による任意競売事件の記録が添付された(旧法事件)。まず、土地をXが競落して法定地上権が成立した後、この法定地上権付き建物をYが競落した。Xは、本件建物を債務者が所有し...
《解 説》
X(株式会社)は廃棄物の収集、運搬、処理業等を目的として昭和五八年八月に設立され、同六一年八月にI市Y市長に浄化槽法三五条に基づき浄化槽清掃業の許可申請をしたが、Yは翌六二年一月、Xが「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」(同...
《解 説》
一、事案の概要
被告Yは、兵庫県内の一市四町が廃棄物の処理に関する事務を共同して行う目的で設立した一部事務組合(地方自治法二八四条一項)の管理者である。原告Xは、同県下の六市一九町から一般廃棄物処理業及び浄化槽清掃業の許可を得ている業者である。Xは、Yに対し、廃棄物の処理及び...
《解 説》
一、本件は、原告らの監査請求に対し、監査委員が、要件審査をしたところ監査請求事項に該当せず請求期間も経過しているので請求書を受理できない旨通知すると共に、右請求書を返戻したので、原告らが行政事件訴訟法に基づき監査請求不受理の不作為の違法確認及び国家賠償法に基づき不受理による精神...
《解 説》
一、本件は、観光地における鑑賞型歩道上での落石事故によって死亡した観光客の遺族Xら(妻及び子供ら)が、歩道の設置管理者であるY(県及び村)を相手に、右落石事故は歩道の設置・管理の瑕疵によって発生したものであるとして、国賠法に基づき損害賠償の請求をした事案である。
これに対し、...
《解 説》
昭和58・10・6警察庁所属の警察官Y1~Y7が法政大学内の学生会館に対し、公安条例違反被疑事件の捜査のため捜索差押えをしたが、その際大学職員が古いマスターキーを誤って提供してしまった。そこで、法政大学学生によって構成され学生会館の管理運営を行うことを目的とする権利能力なき社団...
《解 説》
一、本件事案の概要は、次のとおりである。
市長は、X所有の本件土地(登記簿上の地目・田)について、昭和五一年度から昭和六一年度まで、現況地目を雑種地と認定してその価格を決定し、これらを固定資産課税台帳(土地課税台帳)に登録し、Yは、Xに対し、この登録に基づいて固定資産税を賦課...
《解 説》
法人が破産して清算手続に入った場合に、その手続の過程で所得が生じたときの法人税について、法人税法は、これを課さないこととしているが、清算終了時において所得(清算所得)が生じたときは、これには法人税を課すことにしている(法人が結局継続することとなった場合は手続中に生じた所得につい...
《解 説》
Aは小学校三年生を担任する五二才の教諭であり、本態性高血圧症に罹患していたが、昭和五三年八月一九日、学年部会に出席中突然脳卒中で倒れ、同月三〇日入院先の病院で死亡した。Aの妻であるXは、Aの日頃の勤務状況が過重であったとして、Y(地方公務員災害基金県支部長)に対し、公務災害の認...
《解 説》
本判決は、公務中の事故により負傷し公務災害の認定を受けた地方公務員が、自宅浴室内で同一部位を再び負傷したことによる障害について公務起因性が争われた事件の控訴審判決である。
X(原告・控訴人)は、昭和四九年四月に大阪府職員として採用され、身体障害者福祉センターの職業指導員として...
《解 説》
一、Xは、昭和四二年一二月、Yに対し、旅館兼休憩所が建っていた本件土地を賃貸借期間二〇年と定めて賃貸してきたが、昭和六二年三月、自己使用の必要があるとして更新を拒絶し、右賃貸借は期間満了により終了したとして、Yに対し、本件土地の明渡しを求めた。
これに対し、Yは、右賃貸借の目...
《解 説》
一、本件は、借地法四条の建物買取請求権が争われた事例である。
原告Xは東京都中野区内にある本件土地約二七七平方メートルの所有者・賃貸人であり、被告Y1は右土地の借地人であって、地上に本件建物二棟を所有している。本件建物には、Y1からの借家人Y2ないしY6(うち一名は転借人)が...
《解 説》
一、本件は、温泉供給契約を巡る争いである。
X(本訴原告、反訴被告)はかねて熱海市内に源泉権を有し、別荘地を分譲するかたわら、別荘地居住者に温泉を供給しているが、Yら(本訴被告。うち一名は反訴原告)は、Xとの温泉供給契約がないのにXの供給管から温泉を盗用していると主張し、温泉...
《解 説》
一、Xは、浦和市に本社を有する産業廃棄物の処理業者であり、昭和六二年当時従業員は二七名で、年間売上高は約三億四〇〇〇万円程度あり、約三六〇〇万円の所得のある営業実績を有していた。
ところが、昭和六二年一〇月、民間信用調査会社Y1は、民間銀行Y2からの依頼によりXの信用調査を行...
《解 説》
一、原告Xは、昭和六一年一二月以降、訴外某から賃借していた目黒区内のアパートの一室に居住していたが、平成二年二月に右アパートの所有権を取得したYは、同年三月から、賃借人の存在を無視して、水道・電気の供給停止や共用トイレの破壊を含む大規模な改修工事を始めたため、Xは右アパートを退...
《解 説》
一、事案の概要は以下の通りである。
原告Xは昭和五七年四月以降、第二子出産準備のため、被告Yが運営する病院を受診しており、同年九月二四日、Y病院に入院した。二五日夜には陣痛室に入ったが、難産で、立会のS助産婦らがクリステレル娩出法(産婦の腹部を外から圧迫して、胎児の娩出を図る...
《解 説》
本件訴訟は、行方不明になった父Yに対する子X1、X2の損害賠償請求訴訟である。その請求原因としては、①Yが他の女性と出奔して、Yの妻でXらの母でもある亡Aとの関係で不貞行為をし、悪意で遺棄したことによる亡Aの損害賠償請求権の一部をXらが相続したこと、②Xら自身がYから悪意で遺棄...
《解 説》
一、X1は、保険会社Yとの間で、昭和五九年一一月に積立ファミリー交通傷害保険及び普通傷害保険契約(第一契約)を、昭和六〇年一〇月に積立ファミリー交通傷害保険及び家族傷害保険契約(第二契約)をそれぞれ締結していたが、昭和六〇年一二月一六日、自宅の車庫内において電気マルノコで材木の...
《解 説》
一1 本件は、「おニヤン子クラブ」に属するテレビタレントが、そのテレビタレントの氏名・肖像を表示したカレンダー(商品)を勝手に製造・販売した業者を相手方として、財産権としての氏名・肖像利用権の侵害、人格権としての氏名権・肖像権の侵害、不正競争防止法一条一項一号違反等を(選択的)...
《解 説》
一、請求者X(妻)と拘束者Y(夫)との間には、被拘束者Z1(長女、八歳)及び同Z2(次女、六歳)がある。Xは、Z1、Z2を残したまま家を出て、以後はYと別居するようになったが、間もなくYとの離婚を求める調停を申し立て、次いでZ1、Z2の引渡しを求める調停を申し立てたが、その後、...
《解 説》
XはY2から借入れをして、その担保に自己所有の土地建物のうち第三者に賃貸している部分の賃料債権を譲渡し、これにより債務は全部弁済された。しかし、Yらは、書類を偽造して賃借権を主張し、本件土地建物を占拠したうえX及びその家族を追い出し庭木・動産類を勝手に処分してしまった。Xは、以...
《解 説》
一、事案の概要
動産売買先取特権に基づく差押承諾請求権を被保全権利とする占有移転禁止・執行官保管の仮処分の申立てに対し、原決定は、動産売買先取特権者に差押承諾請求権を認めることはできないとしてこれを却下した。そこで即時抗告がなされたが、本決定は、原決定と同様、差押承諾請求権を...
《解 説》
本件は、被告人が帰宅途中の電車内で無作法な座り方をしていた被害者に注意したところ逆に被害者から執拗にからまれ口汚く罵られた上暴行を受けるなどしたためこれに反撃し被害者を死亡させた傷害致死の行為について、過剰防衛を認定した事案である。
本件においては、そもそも被害者の侵害行為の...
《解 説》
一、本件は、漁業、水産物の加工及び売買等を営むウタリ共同株式会社の代表取締役である被告人が、同社の業務に関し、同社の監査役である甲及び同社に雇用され同社が傭船した動力漁船に船長として乗込んでいた乙と共謀のうえ、法定の除外事由がないのに、北海道知事の許可を受けないで、色丹島周辺海...
《解 説》
一、本件は、道路交通法違反(酒酔い運転)、業務上過失傷害被告事件であるが、本件車両を運転していたのが、被告人であるか、同乗していた被告人の友人であるかという身代わりの有無が争点となった。その概要は次のとおりである。
被告人とその友人Sは、スナックで飲酒した後、Sが運転して来て...