最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一1 本件は、拘置所長が、監獄法施行規則(平成三年法務省令第二二号による改正前のもの。以下「規則」という。)一二〇条に従い、被勾留者とその養親の孫M(義理の姪 当時一〇歳)との接見を許さなかったので、その被勾留者(X)が、国家賠償法一条一項に基づき、国(Y)に対し、慰藉料五〇万...
《解 説》
一、特許に関する手続をした者は、事件が特許庁に係属している限り、原則として手続の補正をすることができる(特許法一七条)。しかしながら、願書に添付した明細書又は図面(以下「明細書等」という。)については、第三者に思わぬ不利益を及ぼさないとの配慮から、出願公告決定の謄本の送達後と前...
《解 説》
Xら二名はO市の住民であるが(但し、本判決の当事者の表示によれば、そのうち一名は同市外に転出した模様であり、転出者の原告適格が問題になるはずであるが、本判決では触れられていない)、同市が町会に地蔵像の敷地として市有地を無償で使用させているのは憲法二〇条三項、八九条に違反すると主...
《解 説》
Xら二名はいずれもI市内で小規模導管により液化石油ガスの供給事業を営むものであるが、昭和六一年二月、Yに対し、ガス事業法三七条の二による簡易ガス事業の許可を得るため、X1は九四の、X2は七八の供給地点につき、簡易ガス事業の許可申請をした。しかし、Yは、同年五月、いずれも同法三七...
《解 説》
Y運輸大臣は横浜高速鉄道株式会社にMM21線を予定路線とする鉄道事業免許を与えたが、これにより東急東横線の一部が廃線となり、耐え難い不便不利益を強いられると主張する貸ビル業者のXは右免許の取消しを求めて出訴した。
本件の争点は、右事業免許が行政処分か否か、右事業免許は違法か否...
《解 説》
X1ら二〇名は、昭和五七年一〇月三一日朝霞基地で行われた自衛隊観閲式に反対する集団行進に参加したが、その際、Y県の機動隊員に行進を規制されたことにより表現の自由を侵害され、また、負傷したり、携帯品破損等の被害があったとして、Y県に対し損害賠償を求めて出訴した。なお、右集団行進が...
《解 説》
一、事案の概要
Xは、強盗殺人罪等で起訴され現在上告中の刑事被告人であり、右起訴直後から東京拘置所で未決勾留中の者である。
Xは、平成元年四月及び五月の二度にわたり、東京拘置所長に対し出版原稿の発送を申し出た。
東京拘置所では、未決勾留者が著作物の発送を申し出た場合、書信...
《解 説》
XらはA市の住民であるが、A市の市長Yが昭和五八年一月から一〇月までの間、市職員全員に対し一律に昇給期間を短縮して昇給発令したことを給与条例主義(地方自治法二〇四条の二、地方公務員法二四条六項・二五条)に違反すると主張して損害賠償を求める住民訴訟を提起した。Yは、右昇給期間短縮...
《解 説》
甲田町では、地方公営企業である水道事業をめぐって、一部住民による料金不払い、仮処分及び住民訴訟並びに町からの水道料金請求訴訟など軋轢が生じていた(詳細は判決文を参照されたい)。T町長はこれを解決するため住民と、(1)住民は仮処分及び住民訴訟を取り下げる、(2)町は水道料金請求訴...
《解 説》
Y学校法人は昭和五三年七月一七日、経営難から理事会決議により同年三月三一日をもってY独自の年金規定を改廃した。これによりYは右日付現在での年金一時金を算出して退職時まで支払を凍結した(もっとも、Yにおいてはこの外に私学共済年金制度に加入しており、県私学退職金基金制度にも加入して...
《解 説》
一、本件は、被告会社の従業員兼取締役であった原告が、取締役に再任されなかった際、役員手当を支給されなくなったばかりか、基本給まで減額され、さらに営業成績の低下を理由に再び基本給を減額されたため、被告会社に対し、右各減額分等の支払を求めたものである。
本判決は、「賃金は雇用契約...
《解 説》
一、Xらは、郵政職員であり、東京中央郵便局に勤務し又は勤務していた者である。
東京中央郵便局においては、長年にわたって、郵政大臣が定めた郵政事業職員勤務時間、休憩、休日および休暇規程(以下「勤務時間規程」という。)、就業規則並びに労働協約に定める休息時間を上回る休息時間(慣行...
《解 説》
一、本件事案の概要は以下のとおりである。
Xは、昭和二五年、祖父の死亡によって本件土地を含めた目黒区内の広大な土地を母や兄弟らとともに相続したが、当時Xら兄弟はいずれも若年であったため、Xら一族の長老であったXらの父の弟、つまりXら兄弟の叔父のAが、右相続開始後昭和六一年頃に...
《解 説》
一、本件は多数の事件が併合され、当事者も多数に上っているが、基本的争点は共通で、訴外T(弁護士。本件でも代理人となっている。)が自己所有の旧建物に接着させて新建物を建築したことに端を発して、新旧建物の所有関係が争われたものである。
第一事件ないし第三事件ではTから新旧建物を買...
《解 説》
本件建物は、中央区日本橋堀留町に所在する昭和三年ころ建築された木造亜鉛メッキ鋼板葺建物(現在は三階建)であるが、XYの各先代が昭和二〇年ころその一部につき賃貸借契約を締結し、更新されてきたが、昭和五七年三月の期間満了により期限の定めのないものとなっている。XはYに対して、平成元...
《解 説》
一、本件は、いわゆるフランチャイズ契約の当事者間において、売上予測の意味等が争われた事例である。
被告Yは著名なアイスクリーム・チェーンを展開している会社であり、昭和六一年九月、原告XはYとの間で右フランチャイズチェーン加盟契約を締結した。その後、同年一一月、Yは相模大野市内...
《解 説》
本件は、クリーニング店を経営しYから建物の一部を賃借しているXら(夫婦X1X2及び息子X3)が、隣家のYの飼育するペットのシェパードの鳴き声(騒音)・悪臭により迷惑被害を被ったこと及び嫌がらせ的に賃貸借契約を解除するか又は月額三万円の賃料を一〇万円に増額する旨通知したことにつき...
《解 説》
本件は、産婦の出血死に対して、二つの医療機関の責任が争われた事例である。
産婦Aは昭和六〇年一二月一三日昼過ぎ、医師Y1が開設するY1病院に出産のため入院し、同日午後に女児を出産したが、胎盤娩出頃から大量の出血を生じ、同日夜には被告Y2が運営する独協医科大学の付属病院に転医し...
《解 説》
原告らは、在日韓国人Aの相続人であり、被告はAの内縁の妻である。原告らは、Aが被告に対して行った遺贈及び生前贈与により原告らの遺留分に不足が生じたから、原告らは被告に対しその返還請求(日本民法の減殺請求に該当する。)を行ったと主張して、被告に対し、右贈与等の対象である不動産及び...
《解 説》
一、事案の概要
X男とA女は、昭和六二年三月二九日結婚式を挙げ、同年五月二一日婚姻届をなした夫婦であったが、A女は、結婚後も勤務先の上司であったB男と性交渉を持ち、昭和六三年一月二九日Y両名(二卵性双生児)を出産した。その後、A女は、X男に対し婚姻後もB男と性交渉を持っていた...
《解 説》
Y会社の株主であるXら二二名(口頭弁論終結当時、うち二名は株主たる地位を喪失し、うち六名は単位未満株主となった。)は、同会社が昭和五九年六月二九日開催した定時株主総会における第一号議案(第六〇期利益処分案の承認について)及び第二号議案(退任監査役に対する慰労金贈呈について)を各...
《解 説》
一、Y(本件被告・仮処分債権者・別件原告)は、金額五億円の約束手形(本件手形)の振出人であったが、第四裏書後の所持人であるX(本件原告・仮処分債務者・別件被告)を債務者、支払銀行を第三債務者として、いわゆる見せ手形、融通手形の抗弁等を有することを理由として、A地裁に本件手形につ...
《解 説》
一、本件の事案の概要は、次のとおりである。原告の町内会内に場外馬券売場の建設計画のあることが明らかになったところ、原告町内会内部が建設賛成派と反対派とに分かれてしまった。そこで、原告町内会の執行部は、原告町内会としては、この問題に対して賛成活動も反対活動も行なわず、中立的立場を...
《解 説》
執行手続の実務上、開始決定正本が債務者または所有者に対し「転居先不明」若しくは「宛所に尋ね当たらず」を理由として不送達となった場合、申立債権者に対しその旨の連絡がされる。裁判所から連絡を受けた申立債権者が債務者等の住所・居所または就業場所を調査し、判明した場合には、判明した資料...
《解 説》
本件は、建築予定のマンションについて、これに反対する債権者らがマンション建築主及び請負人を債務者として、その建築工事一部禁止の仮処分命令を申し立てた事案である。
事案の概略は次のようなものである。債務者らは、債権者ら(近隣住民ら)九〇名のうち八〇名が居住する既存マンション三棟...
《解 説》
本件は、いわゆる女子高校生コンクリート詰め殺人事件として報道された事件の控訴審判決で、被告人A、B、C、Dの四名は、犯行当時いずれも少年であったものであるが、被告人ら四名共謀による女子高校生Xに対する猥褻目的略取、監禁、強姦、殺人、A、B、C共謀による右Xの死体遺棄の犯行の他、...
《解 説》
一、本件は、アメリカ合衆国オハイオ州においてYがXにノウハウ侵害の差止、不当利得返還及び損害賠償を求めて訴えを提起したのに対し、Xは欠席のまま応訴せず、日本で差止請求権並びに不当利得返還及び損害賠償債務の不存在確認を求めた事案である。
Yは、国際裁判管轄の不存在を理由に訴えの...
《解 説》
本決定は、茨城県高萩市所在のゴルフ場「茨城カントリークラブ」の会員権を大量に乱売したゴルフ会員権販売業者に対して、破産を宣告したものである。株式会社三輝は、昭和六三年一一月ころから右会員権につき、超安値を売り物に大規模な宣伝を行い、また多数のゴルフ会員権販売業者を高率の販売手数...