最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一、本件は、自民党本部のある自由民主会館に対する火炎放射ゲリラ事件で、中核派から犯行声明が出され、マスコミ等によりいわゆる自民党本部放火事件として大きく報道された事件であるが、犯行から約七か月後に被告人が逮捕され、共謀共同正犯として起訴された。
検察官は、公判において、被告人...
《解 説》
一、本件事実関係の概要は、次のとおりである。名古屋弁護士会所属のA弁護士は、昭和四八年一〇月四日午後〇時四〇分ころ、富山県内の魚津警察署へ赴き、弁護人として同署の代用監獄に勾留中の被疑者との接見及び物(小六法と週刊誌)の授受を申し出た。右申出に対し、同署警備係警部補は、接見に関...
《解 説》
一、A社は甲等から、合計四〇〇万株の自己株式を代金合計二三億六八〇〇万円で譲り受けるとともに、その資金全額を乙から借り入れ、これに対する利息を合計約五〇〇万円支払った。A社は、その自己株式を、A社の一〇〇%子会社であるB社に取得価格と同額で譲り渡し、B社は同代金の支払いに代えて...
《解 説》
一、本件は、京都弁護士会所属のX弁護士が、警察署代用監獄に勾留中の被疑者との接見を警察官や検察官に妨害されたとして、滋賀県と国に対して国家賠償を求めた訴訟の上告審である。すなわち、X弁護士は、昭和五五年一一月一九日午前九時一五分ころ、滋賀県内の草津警察署に赴き、弁護人として同署...
《解 説》
一、事案の概要を紹介すると、柔道整復師である被告人が、医師、歯科医師、診療放射線技師又は診療エックス線技師の免許を受けていないのに、柔道整復の施術を受けに訪れた多数の者に対し、エックス線照射機でエックス線を照射して撮影し、その読影により骨折の有無等疾患の状態を診断し、もって医業...
《解 説》
一、本件は行政訴訟の形をとっているが、一種の嫌煙権訴訟である。
Xらはいずれも名古屋市内の公立中学校の教員であるが、それぞれの中学校に喫煙室を設けるべき旨を、地方公務員法四六条に基づいてY(名古屋市人事委員会)に対して措置要求をしたところ、Yがこれを認めない判定をしたので、X...
《解 説》
一、①事件で原告は三名おり、争点はそれぞれ少しずつ異なっているが、最も重要と考えられるX1の場合をまず説明する。
X1は名古屋市内の公立中学校に勤務する教員であるが、昭和六三年八月に中国への「視察海外旅行」への参加を計画し、右旅行は教育公務員特例法(教特法)二〇条にいう研修に...
《解 説》
X女は昭和二六年一二月からA男と都内で同棲し、その間に三子をもうけたが、A男が同五二年八月に死亡したので、その後、A男の加入していた厚生年金保険遺族年金の支給を求めたところ、社会保険庁長官Yは、A男とB女の法律婚(婚姻届出は同一一年一二月にされ、A男・B女間に四子及び養子がいる...
《解 説》
本件は、旧陸軍の軍人Xが昭和一四年の受傷を理由として公務傷病に基づく恩給の支給を求めたところ、総務庁恩給局長Yが昭和六二年五月に、公務起因性を否定して右請求を棄却する裁定をしたので、Xが右裁定の取消を求めた事件である。
本件で判断された争点は二点あり、その一は、Xが既に昭和四...
《解 説》
一、本件事案は、次の通りである。
X(原告、第一審の口頭弁論終結後死亡し、Z等が訴訟を承継して被控訴人となる)は、宇治茶の小売業を営む者であるところ、昭和六〇年三月九日に、昭和五九年分の所得税を一六万八七〇〇円として、所轄税務署長に確定申告をして受理された。ところで、Xは、こ...
《解 説》
原告Xは、訴外Aから不動産を買い受け、所有権移転登記手続を司法書士であるYに委任したが、Yが実際に右登記手続を行なったのは受任から一八日後であった。ところが、その間にAの債権者Bが右不動産を差し押さえたので、XはAの債務五〇〇万円をBに代位弁済する仕儀となり、これはYの債務不履...
《解 説》
一、昭和五九年二月一五日午前四時ころ、猛吹雪下のベーリング海上で漁船第一五安洋丸(加害船)が漁船第一一協和丸(被害船)の右舷後部に衝突し、被害船の乗組員二四名中、一四名が死亡し、二名が行方不明となって死亡認定がされるという事故が発生した。本件は、遺族であるXら四七名が加害船の所...
《解 説》
本件は、投資ジャーナルグループの詐欺行為により損害を被ったと主張する顧客Xが、グループ統括者Y1Y2(Y2はY1の妻)・代表取締役Y3・幹部社員Y4に対して、不法行為に基づいて損害賠償(財産的損害・弁護士費用)を請求したケースである。
本判決は、要旨次のように判示して、Xの請...
《解 説》
本件はY1(A助手席に同乗)とY2との交差点内の自動車同士の衝突事故でAが死亡したことによる損害について、Aの遺族らであるXらが、Yらに対して賠償請求をしたケースである。一審判決に対して、Xらが控訴(Yらが附帯控訴)をしたのが、本件判決である。ここで紹介したいのは、Y1が契約し...
《解 説》
一、事案の概要 X男とA女は、昭和五八年二月一二日、結婚式を挙げ、同日婚姻届出を了した後、ヨーロッパ方面へ新婚旅行にでかけた。なお、その旅行中、Aは、パリにおいて、フランス留学中の恩師に会うという理由で単独行動をとったことがあった。帰国後すぐにAは、妊娠していることが判明し、そ...
《解 説》
一、Xは、昭和四四年八月、運転免許の技術習得に関する事業等を営むY会社に入社し、指導員等として勤務し、昭和六一年六月からは監査役に就任し、その後も学科指導員としての職務に従事していたが、平成元年一月退社した。
そこで、Xは、Yに対し、退職金として三一〇万八〇〇〇円を請求するた...
《解 説》
Y会社の一〇〇パーセント子会社であるA会社の従業員であったXは、Y会社の従業員持株制度に基づき、Y会社の株式一〇〇株を二〇〇万円の価額で取得し、その後株式配当によりY会社の株式四〇〇株を所有するに至り、引き続き株券をY会社に預けていた。その間、XはY会社との間で、A会社を退職す...
《解 説》
一、XらとYの間には、XらがYから本件土地建物を買い受けたことを前提として、昭和四四年一一月五日に、明石簡易裁判所で、YがXらに対し右土地建物を昭和四五年一〇月末日限り明け渡す旨の裁判上の和解(起訴前の和解)が成立していた。
ところがその後XらがYに対して右明渡し執行をしない...
《解 説》
一、本件は、実質上共産党地方(県)委員会と甲政治団体との訴訟で、そもそもは甲党首と同党県本部の代表者が共産党地方(県)委員会を被告として慰謝料請求と謝罪広告を求めて提訴した(第一事件という)が、逆に共産党地方(県)委員会こと共産党県党組織が原告となって両原告を被告として名誉毀損...
《解 説》
(事案の経過)
一、本件は、判示事項から明らかなように、地主(本件被告・前訴原告)が前訴の賃借権の無断譲渡を理由として本件土地の賃貸借契約の解除を理由として賃借人A及び賃借権譲受人(本件原告)を被告として本件建物収去土地明渡を求めて、原告全面勝訴し、控訴・上告が排斥されてその...
《解 説》
一、Y1は、A暴力団の組長であり、同暴力団傘下のY2会社所有の本件建物を組事務所として使用していた者である。
A暴力団は、平成二年六月、組長であるY1をリーダーとする主流派とY2会社の代表者をリーダーとする反主流派に内部分裂し、以後対立抗争状態にあったが、平成三年二月以降、こ...
《解 説》
本件は、被告人が飲食店でいきなり被害者から胸ぐらをつかまれて締め上げられ、カウンターに押さえつけられたため、体を支えるべくカウンターに左手を突いたところ、たまたま包丁に触れ、これを棒状の物と誤信し、被害者の手を振り払おうとしてそれで、被害者の右肩付近を一回殴打した結果、同部位に...
《解 説》
刑訴法八一条による接見禁止は、被告人・被疑者を勾留してもなお、逃亡・罪証隠滅を防止し得ないと思われる場合に対処するためのものであるから、同条所定の「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」とは、勾留だけでは賄いきれない強度で具体的なものを指す。この点には、法律論として...