最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一、本件は、神奈川県逗子市におけるいわゆる池子米軍家族住宅建設事業計画をめぐる紛争の一環として提起されたものであり、また、その形態において、国の機関委任として河川管理を行っている地方公共団体の首長が、右事務の委任者たる国を相手方としてその行う工事の差止めを求めるという他に類例の...
《解 説》
本件は、昭和二七年にスキー指導員の資格を取得したというベテランスキーヤーがシーズン末期の五月中旬谷川岳天神平スキー場において滑降中、クレバスに転落して負傷したという事故について、国有林野の使用許可を受けてスキー場及びリフトを設置し、スキー場の管理を行い、リフトでスキーヤーを運送...
《解 説》
一、被拘束者三名の父親(請求者・拘束者の夫)が新興宗教(オウム真理教)に入信した拘束者(請求者の妻・被拘束者らの母親)が被拘束者らを連れて家出し、被拘束者らを同教の施設で生活させ、これを拘束しているとして、人身保護法に基づき被拘束者らの引渡しを請求した事案。被拘束者らの年齢(原...
《解 説》
一、本件は、「税務署長が執行裁判所に対し国税徴収法(以下「徴収法」と略称)二二条五項に定める交付要求をすることができる時期は、民事執行法四九条一項によって執行裁判所が定めた配当要求の終期に拘束され、その終期に遅れた交付要求によっては配当を受けることができないか(限定説)、又は右...
《解 説》
一、本件事案の概要は、次のとおりである。
Xは、東西及び北側が市道に面した所有地で砂砕石等の建築資材の販売を営む会社であるが、右所有地の東側に隣接する本件市道に面した部分に出入口を設け、砂砕石運搬車等が本件市道を通行していたところ、Yは、昭和六一年九月二九日本件市道を廃止する...
《解 説》
一、本件の事案は、建物の強制競売事件において、原告が現況調査報告書、評価書及び物件明細書の記載に基づき、借地権付きの建物であると信じて買受けたところ、借地権がなかったため、土地所有者に対して本件建物を収去して土地を明け渡さざるをえなくなったが、それは、執行官の現況調査、評価人の...
《解 説》
Xらは、恐喝未遂で逮捕・勾留(接見禁止決定付)されている被疑者Oの弁護人であるが、主任検察官がXらに対し、接見についての協議及び指定書の受取りのため来庁を求めたり、F県警K警察署の留置副主任官が検察官の指示があるまでOとの接見を許さなかったことが違法であると主張し、Y1(国)及...
《解 説》
一、本件は、K市がアメリカ合衆国州立大学の日本校を誘致したことに伴い、今後補助金として支出が予想される公金支出(Xらは少なくとも三二億円と主張し、Yは最大二五億円と主張している)等の差止及び同校の暫定校舎建築のためになされた市有地の賃貸借契約を解除しないことが違法であることの確...
《解 説》
Y市は、同市の公共下水道事業に伴う業務を従前はすべて直営で行ってきたが、終末処理場等における施設の運転管理保守業務については平成二年四月一日以降は民間業者に委託することにし、申請外A、Bとの問で業務委託契約を締結した。これに対しY市の住民であるXらは、民間業者等第三者に業務を委...
《解 説》
一、原告は、現場責任者兼鳶工として、火力発電所の工事現場で足場の設置、解体工事に従事していた者であるが、日常的には、配下の作業員を乗せたマイクロバスを運転して、作業員用の宿舎から約二キロメートル離れた就業場所である右工事現場に出勤し、終業後は右宿舎に戻っていた。
二、原告は、...
《解 説》
本件は、土地の共有持分合計三分の一を有するXらが同土地上に建物を有するY社に対して賃料相当損害金を請求した事案である。Y社は、同社は昭和四六年一二月、持分三分の一を有していたXら先代A及び持分三分の二を有していたBとの間で賃貸借契約を締結していたとの抗弁を提出した。なお、Y社の...
《解 説》
一、本件は自動車教習所の敷地の賃貸借について、借地法の適用が争われた事例である。
Xらは昭和四三年に、期間を約二〇年六月として、その所有にかかる本件土地(三筆。合計四一八〇平方メートル)を自動車教習所の敷地としてAに賃貸し、Aはこれに隣接する自己所有の土地(約一万平方メートル...
《解 説》
事案の概要
Xは所有の不動産を自分の経営する会社債務及び活動資金の融資のためにY2信用金庫に極度額五億円の根抵当権を設定して活用してきたところ、Xの長男がAに騙されて本件不動産の権利証、Xの印鑑証明書等をXに無断で持ち出し、本件不動産の登記名義がAに、次いでAからY1に移転さ...
《解 説》
XはAに貸金債権七五〇万円を有していたので、Yら二名にその取立てのため訴えの提起と追行を委任し、Yらの訴訟活動によって勝訴判決を得た。しかし、その間にAが所有不動産の名義を妻のBに移転していたので、YらはXの委任に基づき、右不動産について処分禁止の仮処分決定を得、さらにBに対し...
《解 説》
本件は、Xらが税理士であるYに対して専門家責任を追及する税理士業務過誤訴訟である。Xらは、土地建物の買換えに当たり、Yに対して節税指導・買換え後の税務申告を委任した。Xらは、従前地でも貸駐車場をしており、買換え地でも貸駐車場をする予定であり、租税特別措置法三七条所定の「特定の事...
《解 説》
本件①及び②判決とも、同日、同一裁判体により言い渡された同一会社による輸入大豆の先物取引をいずれも不法行為として損害賠償請求を認容した事例である。
①の原告は大学病院の職員であり、預託金高は四六八万円であるが、原判決(秋田地判平1・3・14)は取引の違法性を認め、約三割五分の...
《解 説》
本件は、マンション販売業者がマンション購入申込書の記載を基に、購入者の勤務先の名称及び電話番号を記載した購入者名簿をマンションの管理を委託することが予定されている会社に開示したことが、プライバシーの侵害に当たるとしてされた、損害賠償請求訴訟である。
「他人に知られたくない私的...
《解 説》
本件は、X1がラジオ番組として放送した匿名座談会においてY3、Y4がした発言がXの名誉を毀損するとして、右Yらと右番組の製作責任者であったY2に対してされた損害賠償及び謝罪広告等を求めた事案である。
Yらは、本件番組におけるY3、Y4の発言は当時社会問題化していた投資ジャーナ...
《解 説》
一、X1(原告・反訴被告)は、昭和六一年一二月二七日、自家用普通貨物自動車を運転して、神戸市長田区東尻池町三丁目七番一八号先交差点を南方から西方に向け左折したが、Y(被告・反訴原告)も、自転車に乗ったまま、同交差点西側横断歩道上を南方から北方へ向け進行したため、同貨物自動車と同...
《解 説》
一、事案の概要は以下の通りである。
妊婦X2は、昭和五七年二月二三日、出産のため、Yの経営する医院に入院した。Y医師は、午後三時頃から翌朝にかけて、陣痛促進を試みたがなかなか成功せず、翌日朝になって胎児が遅発一過性徐脈を起こしたので、一〇時前頃、帝王切開を受けさせるためにX2...
《解 説》
本件は、新生児、産婦及びその夫が、通常分娩の経過で、人工破水の適用も要約もないのに、医師が産婦の人工破水を施行し、それによって、胎児が低酸素症となったために仮死状態で分娩され、脳性麻痺となったかそうでなくとも分娩の経過で、分娩監視装置を装着していれば胎児仮死を早期に発見でき、脳...
《解 説》
一、事案の概要は以下の通りである。
訴外Aは昭和五八年当時六〇歳であったが、Y1が運営する病院で人間ドック検査を受けた。その後Aは同病院に入通院して糖尿病の治療を受けていたが、昭和六一年に癌の症状が出て、同病院で直腸及び肝臓の腫瘍摘出の手術を受け、更に翌昭和六一年一一月には乙...
《解 説》
民法九一五条一項の熟慮期間の起算点となる「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、通常の場合は「相続人が相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時」とされるが、最判昭59・4・27民集三八巻六号六九八頁、判時一一一六号二九頁は特段の...
《解 説》
本件では、多数の訴因があるが、ここに紹介するのは、営利目的の覚せい剤の所持事件(判示第三の事実)である。
本件において、証拠物としては、被告人方から微量の覚せい剤粉末の付着したビニール袋(以下、「本件空パケ」という。)が発見押収されただけであるが、被告人と当時同棲していた甲女...
《解 説》
本件は、被告人の犯行を裏付けるほとんど唯一の証拠である共犯者の証言が信用性を欠くとして無罪を言い渡した事例である。
本件公訴事実は、「彼告人は、甲と共謀のうえ、甲方において覚せい剤約一・一五七グラムを所持した」というものであるが、本件は、別件の詐欺事件で逮捕された甲が、捜査官...
《解 説》
本件事案の概要は次のとおりである。
一、原告永井実可は、聴覚障害者である原告永井哲と婚姻し、昭和五四年一一月四日永井唯が出生し、児童扶養手当法の昭和六〇年改正前の四条一項により児童扶養手当の受給資格を取得した。しかし、原告らはこの手当制度を知らなかったため、原告実可は、唯出生...