最も長い歴史をもつ判例実務誌
千日デパートビル火災書件
デパートビルの火災事故においてデパートの管理課長並びにビル内のキャバレーの支配人及び代表取締役に業務上過失致死傷罪が成立するとされた事例
モデルガン規制国家鬼償晴求訴訟第一審判決
一、警察庁においてモデルガンの工法につき業界の自主規制を求めた行政指導を撤回し、銃刀法の改正により規制の強化を図ったことが違法でないとされた事例
二、銃刀法二二条の三第一項、同法施行規則一七条の三第一項及び別表第二が憲法一三条、二二条一項に違反しないとしてモデルガン製造販売業者らからの国家賠償請求を棄却した事例
一、貨物運送会社に「受け取り」の者として採用され、会社所有の車両を形式上購入し、その諸経費を負担の上全額歩合制で運送業務に従事していた者と会社との間の契約関係が労働契約関係であるとされた事例
二、会社が右「受け取り」 の者に対してした契約期間満了を理由とする更新拒絶の意思表
示が、解雇権の濫用に当たり無効であるとされた事例
道路位置指定された土地に対する隣地所有者の通行の自由権に基づく妨害排除、妨害予防請求について、その通行が日常生活上必須不可欠なものではないとして否定された事例
一、私道について通行地役権の範囲を超える自動車の通行の停止請求が認容された事例
二、私道沿いの土地の借地人及び地上建物の借家人に通行停止の請求権が認められた事例
三、私道敷地の所有者等を所帯員に持つ所帯主について、任意的訴訟担当により通行停止請求の原告適格が認められた事例
四、いわゆる二項道路について沿道住民が自動車の自由な通行を許容すべき義務がないとされた事例
五、新様式判決の一事例
一、建物居住のための使用貸借契約の終了につき民法五九七条二項但書を類推通用した事例
二、使用貸借契約解約告知による建物明渡請求につき金銭支払を権利濫用の消極事由として考慮した事例
色盲治療方法名誉毀損書件控訴審判決
医師が色覚異常者に対して「まやかし療法」をしていると報じた新開記事につき、その主要部分が真実であり、批判、論評にわたる部分も事実に即したものであるとして、名誉毀損の成立を否定し、謝罪広告等を命じた一審判決を取り消して、請求を棄却した事例
先行する文書の配布・拡声器を使用しての録音テープの放送による名誉毀損行為につき慰謝料及び謝罪広告を認容し、他方、右の文書に対する反論文の配布に関し賠償責任・謝罪広告を否定した事例
警察の広報行為として行われた特定人逮捕の記者発表及びこれを報道した新聞記者について名誉毀損の不法行為が成立しないとされた事例
薬品の副作用によって薬疹、内臓障害を起こして死亡したとして製薬会社の不法行為責任が問われた事案につき、当該薬剤の投与と患者の死亡との因果関係が証明されないとして、請求が棄却された事例
医師が患者に病名(癌) を告知しなかったために手遅れとなったとして遺族が病院の債務不履行責任を追及した事案につき、当時は当該の医師・患者間に癌の告知を相当とするまでの信頼関係が形成されていなかったなどを理由として、「胆石症」名下に入院を勧めた医師の措置に過誤はないとされた事例
幼児が、虫垂炎に起因する腹膜炎から心裏炎に至って死亡した事案につき、医師は、途中に発現した臍周囲炎を契機に腹腔内の膿瘍を予見して診断、検査を尽くすべきであったのにこれを怠ったとして、大学病院並びにその小児科医師及び外科医師の責任が認められた事例
一、重複して保険契約を締結しょうとする保険契約者にその事実の通知を義務付け、通知がなければ、保険会社に保険契約の解約権を与える旨合意された保険契約につき、右の通知がなかった場合でも、保険契約者等に保険制度を悪用する意図がなければ保険契約の解約はできないとされた事例
二、海外旅行中に溺死した者の夫らが、保険会社に対し保険契約に基づく死亡保険金の、旅行会社に対し補償契約に基づく補償金の各支払を求めた事案つき、右死亡事故の態様・原因には強い疑問が残るが、保険契約者・補償金受取人が故意に惹き起こしたと認めるには足りないとして、請求をいずれも認容した事例
自動車の運転手が岸壁から転落して死亡した事故について、被害者の自殺と推認し交通傷害保険等の保険金の請求を棄却した事例
一、被疑者が別件大麻取締法違反の嫌疑による現行犯逮捕の当初から申し出ていた弁護人への連絡が一八時間以上も遅延したことを理由として、その逮捕中に覚せい剤取締法違反の嫌疑により捜索差押許可状を得て強制採尿を行った一連の措置に、弁護人依頼権を侵害する違法があるとされた事例
二、弁護人依頼権侵害の違法の程度が重大であるとして、強制採尿によって得られた尿の鑑定書及びこれに関する証人の証言の証拠能力が否定された事例
一、本件逮捕状の請求、発布及び執行はいずれも適法である
二、本件指紋採取手続は適法であり、採取の際の有形力行使の方法、程度も相当で適当で
ある