最も長い歴史をもつ判例実務誌
電車内において窃盗未遂があったとして現行犯逮捕をした私人、被逮捕者の引渡しを受けた鉄道公安職員、引致を受けた司法警察員に過失があったとの理由により、右私人、国鉄清算事業団及び東京都に対する損害賠償請求が認容された事例
県知事の管理する1級河川(毛長川)の改修工事現場の管理に瑕疵があるとして、4歳の男子の転落でき死事故につき国家賠償法上の損害賠償責任を肯定した事例
近視乱視矯正用の眼鏡及びコンタクトレンズの購入代金並びに視力検査費用等は所得税法73条2項及び所得税法施行令207条に規定する医療費に当たらない
知事等特別職の退職手当額決定を知事に一任する条例は地方自治法204条3項、同条の2に違反し無効であるが、右条例によって退職手当が支給された後に右退職手当額と同基準の支給を定める改正条例が遡及適用されたことによって適法な支給となったとした原判決が維持された事例
鉄道郵便局に勤務する郵政事務官のした年次有給休暇の時季指定に対する時季変更権の行使が、週休日の振替、年次有給休暇の変更による服務差し繰りの方法を検討することなくされた点は相当であるが、非番日の者に服務差し繰りの可否についての事情を聴取することなくされた点において違法であるとされた事例
国民の祝日、勤務を要しない土曜日、年末年始休暇を「一般休暇日」として休日とは区別し、年次有給休暇付与の基準である「全労働日」に含ませる旨の就業規則が労働基準法39条1項に違反して無効であるとされた事例
1 労働組合員の一部が新組合を結成し、残留組合員による組合(A組合)と対峙するに至った場合に、労働組合の分裂には当たらないとして、旧組合とA組合との同一性を肯定した事例 2 新組合の役員が旧組合の印章等を所持しているが、それは新組合の機関として占有するものであるとして、A組合から右役員個人に対する印章等の引渡請求を排斥した事例
1 不動産仲介業者の取引相場価格の調査と善管注意義務 2 不動産仲介業者の売主に対する仲介手数料の請求が信義に反する権利の濫用にあたるとされた事例
弁護士が謄写した覚せい剤事件の記録を有償で第三者に貸与した旨の新聞記事について、新聞社側に真実と信ずる相当の理由があり、論評も違法又は不当でないとされた事例
利息制限法に違反する高利の金銭消費貸借が行われた場合において、債権者が譲渡担保権の行使の名目で債務者の立退きを要求し、その代理人である弁護士が同法を適用して計算した残金の弁済の提供に応じなかったことが不法行為に当たるとされた事例
事故により損傷を受けた外国製高級自動車(ポルシェ)の修理においてバッテリー液が車体に飛散していたことから再塗装について全塗装を認め、右修理期間中の代車料として国産高級自動車の使用料の限度で認容した事例
くも膜下出血の患者を心不全と誤診し、適切な救急医療の施行を怠ったとしてなされた損害賠償請求につき、医師の対応は患者の具体的状態に即したもので過失はなかったとされた事例
1 頸椎の椎弓切除手術後の患者に運動障害、知覚障害が発現した事案につき、執刀医の神経ベラ操作に過失はなかったとされた事例 2 頸椎の椎弓切除手術に先立って医師が脊髄腔造影検査(ミエログラフィー)を実施しなかったことにつき、患者に生じた運動障害等との相当因果関係はないが、患者の期待権を侵害したものとして慰謝料を認容した事例
総胆管癌又は胆嚢癌の疑いにより手術を受けた患者が、術後腹膜炎・膵炎・十二指腸潰瘍を患い再手術後に十二指腸潰瘍からの出血と肺炎・腎不全の合併症により死亡した事故について、医師に手術前・手術中の処置、手術後の治療のいずれにも過失はないとされた事例
公正証書遺言に際し、証人2名が公証人から7メートル離れた所にいて遺言者の口授の内容を十分聞き取れなかったとして右遺言を無効とした事例
県及び県公社が建設中の食肉流通センター工事に対する差止め仮処分申請が、県及び県公社と住民団体との間の建設工事中止の合意に基づき期限付で認容された事例
1 NTTが発行するテレホンカードは刑法上の有価証券に当たるか((1)事件‐積極、(2)事件‐消極) 2 テレホンカードをカード式公衆電話に挿入して使用することは有価証券の行使に当たるか((1)事件‐積極、(2)事件‐消極)
遺留品として領置され、警察署長が署内駐車場に管理中の自動車内のバッグ等が、刑法242条にいう「他人の財物」に当たるとされた事例