最も長い歴史をもつ判例実務誌
昭和46年2月出生した極小未熟児の保育管理を担当した産婦人科医に光凝固法を実施することを前提とした眼底検査を依頼する義務がないとされた事例
交通事故の加害者及び運行供用者が、被害者に損害一部を弁済した後、被害者の被害が拡大したのは事故後に治療に当たった医師に過失があったからであるとし、共同不法行為を主張して右医師及び病院経営者に対してなした求償権行使が認められた事例
1 乳児床を理由にルンバール検査を実施しないまま右診療経過等を告知する依頼状を添えて患者を第2次病院へ転送した第1次病院の注意義務違反を認めなかった事例
2 転送先の第2次病院の医師について、診療行為についての医師の裁量権に基づく独自の診療経過と第1次病院の依頼状とを勘案して診断すれば客観的にみて化膿性髄膜炎を疑うべき症状が認められえたのにルンバール検査を実施しなかったことが、髄膜炎を疑わせる症状の変化に迅速に対応できるような診療体制下で診療すべき医師としての注意義務に違反したものと認められた事例
3 近親者(母親)による付添看護費として日額6000円(昭和63年2月以降)が認められた事例
1 悪性脳腫瘍患者に対する免疫療法剤を丸山ワクチンからピシバニールへと変更した医師の措置につき診療契約上の債務不履行ないし不法行為上の故意過失が認められないとされた事例
2 患者ないしその親権者の知る権利、自己決定権及び治療に対する期待権の侵害が認められないとされた事例
造影剤「マイオジール」を使用して行ったミエログラフィーの後に生じた頭痛等の諸障害と、右造影剤との間に、因果関係が認められないとされた事例
産科病院において、夜間の当直看護婦が陣痛室と看護婦詰所を結ぶインターホーンを機能する状態にしておかなかったため、陣痛室の産婦が医師や看護婦と連絡が取れないまま新生児を墜落分娩し、かつ同児が死亡するに至ったとして、病院経営者に使用者責任が認められた事例
いわゆる人間ドック検診契約につき、これは特定の病状に対する検査、治療を目的としたものではないとして、異常を認めながらその原因を確定しないまま再検査を指示しただけの医師に義務違反はないとした事例
虫垂炎の摘出手術において行われた脊椎麻酔によって生じたショックの結果患者が死亡したのは、医師に、麻酔管理を怠り、ショック発生後の対応に適切を欠いた過失があり、それが死亡の原因をなしたとして医師の責任を認めた事例
鼠径ヘルニアの手術を受けた男児つき、術後の発熱への対応義務違反(患者に対する覚醒管理の懈怠)は認めたものの、右注意義務と死亡との因果関係がないとして、担当医及び病院への賠償請求が棄却された事例
前期破水後約72時間して仮死状態で分娩された子が精神薄弱になったことにつき、分娩に関与した医師の責任が認められなかった事例