最も長い歴史をもつ判例実務誌
被告が、原告の取引先に、原告販売にかかるイ号物件が訴外人の特許権を侵害するという虚偽の事実を葉書で通知したことが、不正競争防止法1条1項6号の営業中傷行為に当たり、原告の営業上の利益を害したとして、差止請求および弁護士費用と鑑定料相当の損害賠償請求が認容された事例
別件地方裁判所の検証調書に記載された検証物件により、被告の特許発明が出願前公然実施をされたものと認められるとして、当該検証調書の証拠価値を否定して特許無効審判請求を却けた審決を取り消した事例
無効審判請求人が無効事由としてあげた公然実施に関する証拠について、当該技術が当然企業秘密に属し、企業がその秘密をいたずらに公開しないことが社会通念であるとして、その証拠証明力を否定した審決は不当であるとして、これを取り消した事例
無効審決取消訴訟係属中に訂正を認める審決が確定しても、訂正された発明に対する、同一引用例を根拠とする容易推考の結論に変りがない限り、審決に違法はないとして、特許無効の審決が維持された事例
拒絶理由通知として、引用例をあげ、特許法29条2項(容易推考)に該当する旨示されていれば、通常は同法1項3号(同一発明)該当とする場合に改めて拒絶理由通知を要しないとする取扱いも許容されるが、同一発明とみられる理解が容易でない特段の事情があるときは、改めて拒絶理由通知を要し、これを欠いた審決は違法であるとされた事例
単一化合物の用途発明につき、殺虫剤の技術分野の特殊性を考慮して、出願当初の明細書における作用効果の記載において開示が十分といえないとしても、発明未完成とすることはできないとして、試験結果を補充した補正を未完成発明を完成させる要旨を変更することを理由に却下した決定を維持した審決を取消した事例
継続年度の特許料の納付期限内納付のみならず、追納期間内の割増特許料の納付もなく、当該特許料納付期限の経過とともに特許権は消滅したのであるから、その消滅後に提出された特許料納付書に関する不受理処分の取消しを求める訴は、訴の利益を欠き不適法であるとして、却下された事例
方法の特許権侵害が認められ、その方法を侵害した被告装置によって製造された商品販売額の3パーセント相当の損害賠償請求が認容された事例
人口ダイアモンドの製造に関する特許権侵害の成否 (A)明細書に発明の構成についての一般的な説明が欠けている場合には、実施態様または実施例の説明を参酌して技術的範囲を解釈すべきであるとし、結局、被告の人工ダイアモンド製造装置は原告の特許発明の技術的範囲に属せず、特許権侵害が成立しないとされた事例 (B)1 明細書のごく一部に、特許請求の範囲を含むその余の大部分の記載と矛盾する記載があって、全体を統一的に理解することが不可能である場合には、右の、ごく一部の記載は余事的記載とみて、全体を解釈するほかない 2 被告方法が触媒の添加時、圧力条件等の点から、原告の合金発明または単体発明の技術的範囲に属する方法を実施してダイアモンドを製造したものとはいえないとして、権利侵害を否定した事例 3 権利侵害とならないとされた被告の行為について、警告状を送付したり、通産省に申入れたり、提訴した原告の行為が、一応合理的な判断のもとになされたもので、不法行為にはあたらないとされた事例 (C)特許法104条の推定を破るためには、権利主張の発明との対比に必要な程度に異なる生産方法の特定・認定ができればよいとし、その技術的範囲に属しないとして、被告製品の輸入販売行為の特許権侵害が否定された事例
審査官が拒絶理由を通知することなく、登録異議申立人が証拠をあげて異議事由としていない実用新案法3条2項(容易推考)を根拠に拒絶査定をしたのは違法であるが、出願人が審判手続においてその違法を主張しなかった以上、責問権の放棄により、審決取消訴訟の段階において、取消事由として主張することは許されない
1 侵害訴訟裁判所が、請求の根拠たる考案が公知技術から容易推考できた無効のものであることを前提として技術的範囲を明細書掲記の実施例の示す構造に限定して解釈することは許されない 2 実用新案権の侵害につき、イ号製品の販売価格の5パーセントを実施料相当額として損害賠償を認容した事例
特許・実用新案権の侵害を理由とする差止仮処分に対する特別事情による取消申立についての肯定例・否定例 (肯定例)被保全権利である実用新案権の無効審手続が継続中で引用例によれば容易推考により無効となる可能性が強く、その権利存続期間が1年余に過ぎないこと、当該権利の実施品の売上高が被申立人の総売上高の約1%に過ぎないのに対し、申立人はイ号物件の製造販売のみを業とする小企業であることを考慮すれば、異常損害を生ぜしめるおそれがあり、他方金銭補償が可能であるとして、特別事情による、実用新案権侵害差止仮処分決定を立保証を条件として取り消した事例 (否定例)特許権侵害を理由とする製造・販売の差止仮処分を受けた製品の売上高が申立人の総売上げ高の10%にとどまり異常損害はいえず、これに反して被申立人(仮処分申請の特許権者)の損害について輸出品が多く、販売競争の内容、販路が広範囲かつ継続的にわたることから、その額の把握、立証が著しく困難で、金銭的補償による満足が得られないとして、特別事情による取消申立てが却下された事例
実用新案の仮保護の権利に基づく差止仮処分申請について、仮処分の断行により被申請人らの蒙る損害が甚大なもので回復困難とみられるのに対し、仮処分によって確保される申請人の利益は実施料相当額にとどまり、被申請人らの賠償支払能力に問題がなく、両者間に著しい不均衡が存在し、保全の必要性が認められないとして、これを却下した事例
意匠にかかる物品自体の取引が特定の範囲の業者に限られるものであるから、これらの範囲における需要者の購買・選択を念頭において出願意匠の識別性を判断すべきであるとして、単に引用意匠と類似するとして登録を拒絶した審決を取り消した事例
類似意匠(丙)の出願に対し、その本意匠(甲)出願後の第三者の意匠(乙)出願は先願の位置に立ち得るが、それが本意匠(甲)に類似することを理由に出願拒絶された場合には、類似意匠(丙)に対する先願の地位は認められず、これ(乙)に類似することを理由に類似意匠(丙)出願を拒絶した審決は、違法であるとして取り消された事例
審決が根拠とした引用意匠の周知性を立証するための補充的な証拠を提出するならともかく、その引用意匠が意匠法3条2項にいう周知の形態を示すものとは認められない場合、これと離れて審判手続に現われなかった証拠に基いて出願意匠が周知の形態から創作容易であることを主張・立証することは許されない
専用実施権者に対する類似意匠使用による意匠権侵害につき、差止請求と当該専用実施権設定に基く実施料相当額と弁護士費用の損害賠償請求が認容された事例
1 意匠権につき、専用実施権の設定を受けていても、その効力発生要件である登録を経ていない限り、専用実施権に基づいて差止・損害賠償請求など権利主張をすることは許されず、総じて通常実施権者としては、債権者代位を含めて、差止請求権を行使することはできないが、独占的通常実施権者の固有の権利として、無権限の第三者の実施に対して損害賠償請求をすることができる 2 独占的通常実施権者に対する意匠権の侵害につき、侵害者の販売利益相当額および提訴に関する費用など無形損害として100万円の損害賠償請求が認容された事例
「コザック」の文字からなる被告の登録商標(指定商品第22類はきもの等)は、「コザッキー」の文字からなる先願登録商標に、観念、称呼において類似し、誤認混同のおそれがあるとして、無効審判請求を棄却した審決を取り消した事例
1 指定商品を紅茶、コーヒー、ココア、コーヒー飲料、ココア飲料とする文字「GEORGIA」(ジョージア)なる商標は、指定商品の産地を普通に表示する標章のみからなるものであるとして、登録拒絶審決が維持された事例 2 商標法3条2項により商標登録を受けることができるのは、特別顕著性の要件を充足する特定の商品のみを指定商品とする場合に限られる 3 商標登録出願の指定商品の一部に登録要件を欠くものがあれば、その商標出願は全体として登録を受けることはできない
被控訴人(被申請人)が茶の商品に使用する「高崎茂木園」「高崎市茂木園」の商標が、控訴人(申請人)の登録商標「茂木園」に類似するとして、先使用等の抗弁が却けられ、立保証とする使用差止仮処分申請が認容された事例(原審取消)
被告らの標章使用が、フランス法人ラコステおよびその日本におけるライセンシーである原告らの商標権もしくはその専用使用権を侵害する態様を備え、また原告らに対する不正競争防止法上の商品主体混同行為に当たるとしながらも、被告らの当該行為は、原告ラコステの支配下にある米国企業により厳格な品質管理・標章使用のもとに製造された商品の輸入販売行為に基くものであり、原告らの商標の出所識別および品質保障の各機能を害しないから実質的違法性を欠き、いわゆるただ乗りの不正競争行為にもならないとして、差止請求が棄却された事例
1 類似商標の使用による商標権侵害につき、差止請求のほか、(イ)権利者が登録商標を使用していない商品の製造・販売に対しては、商標法38条2項に基づき、消費者の選択に果す標章の寄与度を考慮して売上高の2%の使用料相当額の、(ロ)権利者が登録商標を使用している商品の製造・販売に対しては商標法38条1項に基づき、販売利益相当額の、各損害賠償請求が認容された事例 2 商標権侵害による損害賠償認定額が少額の場合には、商標法38条3項後段による賠償額の参酌による減額の余地はない
ビデオレンタル業者に対する、ビデオの無断複製による販売・有償貸与の差止請求および損害賠償請求が、映画著作物の著作権に基づき、認容された事例