最も長い歴史をもつ判例実務誌
60 1 被告会社が自転車の製造販売を主たる業務とする企業であること、被告会社が昭和44年10月7日から9日までの3日間にわたり、同社の創立80周年記念事業として、全国の自転車販売の代理店を招き、80周年記念大会を開催したこと、その際、被告会社がA・B・C・D・G各製品を使用した自転車の新製品...
①松江地裁昭59.4.25
②福岡地裁小倉支昭59.2.16
③京都地裁昭59.3.30
④名古屋地裁昭58.11.14
自転車の商品化に関するノウ・ハウの譲渡契約の成立、およびこれに基づく原告の対価請求権の取得を肯定しながらも、消滅時効の完成による抗弁により、原告の請求を棄却した事例
被告が使用する「★日本利器製作所」なる標章は、営業表示として原告の商号「日本利器製作所」に類似しないから、この標章を単独でもしくは登記商号と併記して販売商品に附する被告の行為は原告に対する営業主体混同行為には当らないとして、不正競争防止法1条1項による差止請求及び損害賠償請求を却けた原審の判断が維持された事例
持ち帰り弁当の製造販売を目的としてフランチャイズチェーンを組織する原告及び加盟店が営業表示として使用する「こがねちゃん弁当」及びあねさんかぶりの手甲前掛姿の図柄の標章が周知であったとし、これに類似する「こがね弁当」等の表示及び図柄を使用して同種営業を営む被告の行為が、原告の営業上の活動と混同を生ぜしめ、その利益を害するおそれがあり、損害を与えているとして、商号登記の抹消登記手続を含む差止請求と228万円余の損害賠償請求が認容された事例(擬制自白)
被告らがキュプラ織物ないしその加工布地に使用する「Asoni Banbarq」の標章および鷲のマークが、互に系列会社の関係にある原告らが取り扱う輸出用同種商品を表す表示として周知である「Asahi Bemberg」の商標および鷲印の商標と類似し、あたかもシリーズ商品もしくは姉妹商品として出所の誤認混同を生じ原告らの営業上の利益を害しているとして、不正競争防止法1条1項1号に基く差止請求と売上高の5%にあたる商標実施料相当額の損害賠償請求が認容された事例
商品と特定の色彩・配色との組合わせも、不正競争防止法1条1項1号にいう商品表示となり得るとし、原告がウエットスーツに使用している色ラインが周知性を備えており、これに類似する色ラインを使用したウエットスーツを製造販売する被告らの行為が商品主体混同行為に当るとして、差止請求と弁護士費用に関する損害賠償請求が認容された事例
「コンピュータランド」という名称が、フランチャイズシステムを展開してパソコン、ソフトウェア等の販売等を営む米国法人である原告の営業表示として日本国内においても周知であったとし、「コンピュータランド北海道」「コンピュータランド」等の類似表示を使用する被告の行為が不正競争防止法上の営業主体混同行為に当たり、また原告商標権の侵害にもなり、原告の営業活動に重大な損害をもたらすおそれがあるとされ、差止請求の仮処分申請が認容された事例
いずれも重合開始剤を提供する発明として、引用例には、出願発明が目的とする一般式1のモノメチル体の開示はないが、これを出願当時の市販の原料ネオ酸を使用して実施すれば、必然的に、一般式1のモノメチル体と、一般式2のジメチル体との混合物が得られ、しかも出願発明が一般式2のジメチル体を含む場合をも包含しているので、両者は同一発明といわざるをえないとして、拒絶審決を維持した事例
特許法48条の3第1項に定める出願審査請求期間は、出願にかかる発明が経済性を有するものになりうるかどうかの成行きを見届けさせる期間としての相当性から7年の長期間のものに定めたものであり、これを徒過すれば、特許出願は取り下げたものとみなされ、出願人は特許権者たりうる機会を永久に失ってしまうものであるから、その期間不遵守の結果が権利の得喪にも比すべき出願人の重大な不利益に結び付けられていることを考慮すると、その責に帰すべからざる事由によって右期間を遵守できなかったときには、不変期間に関する民事訴訟法の規定を準用して、その追完を許すべきである
1 特許法185条は、特許請求の範囲に記載された二以上の発明にかかる特許権につき、同条列挙の各規定の適用については、発明ごとに取り扱う旨規定しているが、制限列挙とみられるから、特許料については、特許権単位で、納付手続、不納の効果も一体不可分のものとして取り扱うべきである 2 特許権の放棄は、明示の意思表示に基くことを要し、その効力発生を登録にかかわらしめているから、発明の数二の特許権について、発明の数一相当の特許料の納付があったからといって、当然に残余の発明の特許権の放棄があったとみなすことはできない 3 4年目以後の特許料の納付がなければ、期間の経過により、当然に特許権は消滅する 4 右の場合には、特許料納付手続に関する不受理処分の取消を求める法律上の利益がなく訴えを却下すべきである
日本を指定国の1つとして英語でされた国際特許出願について、所定期間内に願書の翻訳文の提出がなく、かつ、出願書類不受理処分に対する所定期間内の異議申立もなかったため、出願は取り下げたものとみなされるからとして、出願書類翻訳文の不受理処分の取消しを求める訴えも、184条の5の1項所定の書面および補正書翻訳文の不受理処分の取消しを求める訴えも、いずれも訴えの利益を欠き、不適法であるとして訴えを却下された事例
1 特許庁における審判請求事件において、原告が提出した意見書および手続補正書を一括して不受理とし、その旨の通知が1通の書面でされている場合、手続補正書のみを特定して異議申立てを行っている以上、意見書の不受理は容認しているとみる外なく、代理人の過誤に基づくものであっても行政事件訴訟法8条2項3号に規定する裁決を経ないことにつき正当な理由があるものとは認められないとして、異議申立ての手続を経ていないことを理由に不受理処分の取消を求める訴が不適法として却下された事例 2 審判請求人の住所「広島」を「東京」に、氏名「佐竹利彦」を「株式会社佐竹製作所」と表示した手続補正書を、「請求人相違」の理由で不受理にした特許庁の処分が相当であるとして、不受理処分取消の訴が却けられた事例
特許権侵害につき、専用実施権者に対する損害賠償として、当該専用実施権者が通常実施権設定者から受けていた売上高の22パーセントの許諾料と発明の技術内容とを考慮して、売上額の10パーセント相当額の支払が命じられた事例
1 職務発明について、特許を受ける権利を使用者に承継させたときの対価請求権は、当該権利承継・譲渡の時に、発生し、その額も客観的に確定する 2 特許法35条の職務発明は、出願の有無、登録の有無にかかわらない規定であるから、その内容が発明の実質を備える限り、いわゆるノウ・ハウについても適用される 3 発明の寄与度に従い、特許を受ける権利の共有持分が認定された事例 4 職務発明に関する特許を受ける権利の譲渡の対価について考慮すべき使用者の利益とは、その地位を取得することにより受けることが見込まれる利益であって、その発明を実施することによって得られる利益をいうものではないが、他人に発明の実施を許諾した場合に受ける実施料を基準として算定するのが合理的である
債務者が実施ないし実施するおそれのあるイ号方法、ロ号方法が債権者の特許権を侵害するとし、自由技術ないし権利濫用の抗弁を却け、市場での競争激化、債務者の廉売などの諸事情から保全の必要性を認め、差止仮処分申請を750万円の立保証を条件に認容した事例
原告の権利主張の根拠である特許発明の保護範囲につき、意見書、異議答弁書に開陳された原告の主張など査定の経過を考慮すると、特許請求の範囲に記載された方法に意識的に限定したものと認められるとして、均等論適用を却け、特許権侵害を否定した事例
職務発明につき、特許を受ける権利を使用者に譲渡し、出顧補償金の支払を受けている従業者は、使用者の従業員就業規則、発明考案取扱規程、同細則によるその余の補償金の支払時期が、日本国での未登録、未実施のため、到来していない以上、その規則等の違法・無効を主張して当該特許を受ける権利及び米国出願による特許権の共有持分権の確認を求めることは許されない
特許権侵害の事実を立証するために、相手方の支配下にある物自体を侵害品と主張して証拠としての開示を求めることができるのは、少なくとも当該目的物が発明の技術的範囲に属する可能性を合理的に予測し得るだけの疎明があった場合に限られ、その疎明がないとして、原告の検証・鑑定の申立が採用されなかった事例
被告会社が製造販売する自動麻雀牌台の構造の一部が、名称を「麻雀牌の整列装置」とする発明の技術的範囲に属するとして、差止請求が認容されるとともに、出願公告後のいわゆる仮保護権利者に対する損害賠償として、国有特許権実施契約書に規定する実施料率の範囲内である販売価格の3パーセントに、発明の利用率50パーセントを考慮した金員の損害賠償が、被告会社と被告会社の代表取締役の不真正連帯債務として支払を命じられた事例
1 製作図面等により、一定の技術的課題の解決をもたらす具体的な構成が示されて、それによって物の製造が可能となっていたから物の発明としては完成しており、また、注文獲得のため見積仕様書を取引先に提出していて、引受けのうえは最終製作図面まで作成可能な段階まで準備していたことにより、その発明を実施の意図を以て現実にその実行に着手していたことが客観的に認識できたとして特許法79条による所謂先使用による通常実施権の成立を認め、なおまた、その効力は、現に実施している構造に限られず、実施ないし準備してきた構造により客観的に表明された発明の同一性をそこなわない範囲におよぶとして、同一発明の特許権者に対する差止請求権不存在確認および先使用権確認の訴えが認容された事例 2 不正競争防止法1条1項6号所定の行為には、競争関係に対して直接虚偽の事実を陳述することを含まない
仮に出願公告前の補正が出願当初の明細書および図面に記載した事項の範囲内であるかどうかが問題になる場合であっても、その補正が却下されていない以上、出願公告後の補正については、出願公告時の明細書及び図面のみを基準として、特許法64条の要件の有無を判断すべきである(審決取消)
1 第三者が具体的に実施権者の実施行為を妨害するような場合は格別、実用新案権者の承諾なしに当該考案を実施しているだけでは、非独占的通常実施権者に対する権利侵害にはならない(損害賠償請求権否定) 2 通常実施権者が許諾実用新案権者の有する侵害者に対する妨害排除請求権を代位行使することは許されない
被告らが原告の権利に属する意匠に類似する意匠をほどこした包装用箱にオーデコロンを入れた商品を製造販売し、あるいは輸出販売する行為が意匠権の侵害に当たるとされ、売上額の3%の意匠実施料率相当の損害賠償請求が認容された事例
1 被告製造販売の脱衣篭が、原告登録意匠の乱れ箱に類似し、その意匠権を侵害するとして、差止請求と販売価格の3パーセントの実施料相当の損害賠償が認められた事例 2 無効審判手続における無効にすべき旨の審決が確定しない限り意匠権を無効と判断することはできず、その権利行使を権利濫用ということはできない
1 既登記商号権者に、商法19条に基づく使用差止等請求権が発生したとしても、その既登記商号が廃止または類似の程度を越えて変更された場合には、右請求権は消滅する。したがって「合資会社麻布永坂総本店」が原告に吸収合併され、その商号が存在しなくなった時点で、右差止等請求権も消滅し、その権利の承継はありえない 2 原告が吸収合併した前記訴外合資会社から、「麻布永坂更料本店」なる商号使用の許諾を受けている被告は、原告に対し商号使用につき商法20条、21条にいう「不正の目的」ないし「不正競争の目的」があるとはいえない
原告名義登録のトロイ・ブロス商標に基づく権利行使が米国法人トロイ(補助参加人)とのライセンス契約が解約された等の経緯から、権利濫用として許されないとされ、原告が専用使用権者であるワンポイント・マークとして使用されているパイプ商標についての商標権侵害に基く差止請求が認容された事例
被告らの電線保護カバーの製造販売につき、商標権侵害、意匠権侵害、並びに不正競争防止法上の商品主体混同行為の成立を認め、商標権侵害につき販売価格の1パーセントの実施料率相当額、意匠権侵害につき販売価格の3パーセントの実施料率相当額の各損害賠償および差止並びに信用回復措置としての謝罪広告掲載を求める各請求を認容した事例
1 いわゆるワンポイントマークとして用いられていても、装飾的、デザイン的な機能にとどまらず、出所表示機能、品質保証機能としての商標の使用にあたるとして、「POPEYE」の装飾的文字からなる被告乙標章の使用が、「POPEYE」「ポパイ」の文字と水兵風人物の図形とを結合した原告登録商標の商標権を侵害することを理由に、商品販売価格の2パーセントの実施料相当額の損害賠請求が差止請求とともに認容された事例 2 キャラクターの表現のすべてが原著作物の複製にあたるわけではないが、被告使用の丙標章はキャラクター商品許諾権に基づく、キャラクターの原著作物に登場する「ポパイ」の複製にあたるとして、商標法29条により原告の右商標権の侵害が否定された事例
被告使用の標章「千鳥屋」「chidorya」「チドリヤ」が原告登録商標「千鳥屋」に類似するから商標権侵害に当たるが、過去二十数年間の使用について原告からの異議もなく、被告にも侵害の認識がなかったことを理由に商標法38条3項を適用し、利益額の30パーセントの限度で損害賠償を認めた事例
図柄中に欧文字「Lady Hilton」を配したイ号(一)標章が、同様な図柄中に欧文字「Lady Hamiton」を配した原告登録甲商標に類似し、大楕円と小楕円の二重楕円の間隙に、商品の組成・性状を表わす文字とともに欧文字 「BOSKY」を配したイ号(二)標章が、同じく大小二重楕円の間隙内に欧文字「BOSKI」を配した原告登録乙商標に類似することを理由として、商標権侵害に基づく差止請求と実施料相当額(売価の3パーセント)の損害賠償請求を認容した事例
ビデオ・レンタル業者に対する、無断で複製販売、有償貸与することを禁ずる差止請求ならびに、複製販売、有償貸与することによって蒙った著作権侵害に基く損害賠償請求が認容された事例(擬制自白)
同一性保持権に関する著作者人格権の侵害、出版権消滅後の無断複製等を根拠とする損害賠償請求が、その成否をまつまでもなく消滅時効の援用等によって請求権が消滅し、あるいは数額上の立証がないからとして、棄却された事例
学説ないし思想の独自性それ自体は著作権法上の保護の範疇には属さず、しかも被告の著作が原告の著作物と表現形式上同一性、近似性を備えていないとして、著作権侵害等を理由とする損害賠償請求権が否定された事例
1 著作権法上の美術の著作物とは、純粋美術の作品や一品製作でつくられる美術工芸品のような鑑賞の対象となるものに限られるから、実用新案の実施品として作成された索引表と7色の標識体を組合わせた万年暦は美術の著作物に当らないし、また実用新案の実施品である以上、学術上の著作物性も有しない 2 万年カレンダーに関する実用新案権を侵害する差止請求が認容された一事例
テレビゲームの内容を決定し、コンピューターに仕事をさせるための各種の情報及び命令並びにその組合わせ方をアッセンブリ言語を用いて表現した原告のプログラムが学術の範囲に属する著作物であり、被告作成のPC基板中のROMに収納されたプログラムがその複製物にあたるから、原告の著作権を侵害するとして、差止請求、損害賠償請求が認容された事例