最も長い歴史をもつ判例実務誌
弁護士懲戒請求者の異議申出を棄却した日本弁護士連合会の裁決の違法を理由とする右請求者の右連合会及び国に対する損害賠償請求が棄却された事例
1 弁護士会綱紀委員会の懲戒事件議事録または右事件において提出された書証につき日本弁護士連合会は民訴法311条の文書を所持する者にあたるか(消極)
2 日本弁護士連合会懲戒委員会議事録は懲戒請求者と日本弁護士連合会との間の法律関係について作成された文書にあたるか(消極)
建設機械のディーラーが、サブディーラーから同機械を買受けたユーザーに対して、右サブディーラーとの売買契約に付された所有権留保特約に基づき、その引渡を求めることが権利の濫用にはあたらないとされた事例
仮登記担保権者が清算期間経過前に仮登記に基づく所有権移転本登記を受けたが清算金支払義務がなお残存している場合において担保権設定者が清算期間経過後に本登記の抹消を求めることの可否(消極)
預託金会員組織のゴルフクラブの会則における入会金の据置期間を5年とする旨の規定が、正規の改正手続により右期間を10年とする旨の規定に改正された後においても、右改正後の規定の効力は、右改正前に加入していた会員に対しては及ばないとされた事例
1 仮処分申請人は仮処分決定のうち解放金を定めた部分に対し通常抗告をすることができるか(積極)
2 仮処分決定につき解放金の定めをすべき特別の事情と主張責任(消極)
公示送達により離婚無効確認・婚姻取消等の判決の送達を受けた者が控訴期間を遵守することができなかったのは、離婚無効の追及を免れようとして住所を秘匿していたためで、訴訟も予測された状況の下では、重大な過失があるといわざるをえず、責に帰することのできない事由はないとして控訴の追完を許さなかった事例
履行補助者による大型プロジェクトの契約締結準備交渉の結果、契約が締結にまで至らなかった事案につき、 (1)「契約締結上の過失責任」が、原告主張の約8ケ月間の右履行補助者の各種の行為につき、所謂契約締結上の過失責任における注意義務違反が存したか否か、及び原告主張の右各種行為により原告が信じたとする契約成立の見込み、を遂次検討の末、排斥し、 (2)右履行補助者の契約締結準備交渉が上司の決裁をうることなく継続したことにつき不作為による不法行為を肯定して、使用者責任を認容した事例
クレジット契約によりジュースの自動販売機を購入したが売主の修理義務違反を理由として売買契約を解除した場合、買主は、クレジット会社に対し右売買契約の解除を主張して立替金支払債務を免れることができるとされた事例
住宅贈与契約の解除契約(合意解除)の解除が、相手方において解除契約をなした目的の達成に必須かつ重大な要素となる義務の不履行があったことを理由に、有効とされた事例
融通手形の割引銀行が手形買戻債権として、同手形振出人が約定に基づく手形決済資金請求債権として二重に破産債権届出がなされ、被融通者の破産管財人が手形買戻債権を認め、決済資金請求債権を否認し、買戻債権につき一部配当をなした段階で手形振出人において提起した破産債権確定訴訟において決済資金請求債権が破産債権として認められた事例
クレジット契約により婚礼家具を購入した者は、家具店の倒産により家具の引渡を受けられなくなった場合であっても、クレジット会社に対し売買契約の解除を主張して立替金支払債務の消滅を主張することができないとされた事例
クレジット契約で店舗の増改築工事を注文したが建築業者の倒産により工事が完了しなかった場合、右注文者は、クレジット会社に「契約成立後立替依頼書を交付した後に立替払いする」旨の条件が成就していないことを主張して立替払金の請求を拒否できるとされた事例
1 前訴の請求異議訴訟の口頭弁論終結時に相殺適状にあった場合、相殺を異議事由として再び請求異議訴訟を提起することは許されない
2 訴訟上の和解の成立によって確定した給付義務の不存在確認の訴えは訴えの利益を欠く
破産法59条は、双方の債務が共に未履行であれば足り、それが履行可能か、履行不能であるかを問わない趣旨であると解された事例
尿管結石患者に対する不適切な処置のためショックによる急性心不全でこれを死亡するに至らしめたとする主張が排斥された事例
急性虫垂炎手術後呈する症状に対する療法の選択を誤り、手術による縫合不全から汎発性腹膜炎により患者を死亡するに至らせたとし、診療関与医師の過失につき、病院の使用者責任が肯定された事例
交通事故により転倒して右側頭部を打った患児に対するレントゲン線撮影及び問診の不十分から、急性頭蓋内血腫を疑わないでこれを帰宅させた開業医につき、在院による経過観察ないし転医措置をとるべき義務に違反し開頭手術の実施を遅らせたとして、児及びその両親に対する慰藉料の賠償を認めた事例
痔の治療としてとられた脊椎矯正措置の際、床テーブルが落ちて患者に腰部痛等を後遺とさせたとして、右診療医を使用する医院開設者の賠償責任が肯定された事例
水泳の飛び込み練習中、プールの底に頭を強打して全身麻痺の障害者となった中学生の損害賠償請求において、担任教師に指導上の過失があったとして約1億3000万円の賠償支払いを命じた事例
1 公益法人の設立許可をするかどうかは主務官庁の合理的裁量に委ねられるが、その判断が社会通念に照して著しく妥当性を欠くと認められる場合には、裁量権の行使を誤ったものとして違法となる
2 既に社団法人たる医師会の存する地区内で他の医師会のした社団法人設立許可申請に対し、知事のした不許可処分に裁量権行使を誤った違法があるとして取り消した事例