最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 被疑者を所轄警察署近辺のホテル等に宿泊させて取調べを続行したことが任意捜査の方法として違法とまではいえないとされた事例
2 伝聞証言につき異議の申立てがなかった場合の証拠能力
海浜に打ち上げられた旧陸軍の砲弾により人身事故が生じた場合に、警察官においてその回収等の措置を採らなかったことが違法であるとされた事例
1 多目的ダムの洪水調節容量が昭和47年7月時点で4200万立方メートルのままであったことをもって、ダムの設置または管理に瑕疵があったとは認められないとした事例
2 洪水時において多目的ダムの洪水調節容量の2分の1程度まで毎秒900立方メートルの一定量放流とする方式に合理性があったとした事例
3 多目的ダムの管理者が放流により下流水位の急上昇を見る場合にサイレン吹鳴等の周知義務を怠ったとしても、地方自治体による立退指示が適切になされているため、右懈怠と損害との間に相当因果関係がないとした事例
集中豪雨により山林が崩壊して発生した人身災害につき、県知事と市長に防災行政の怠慢があったとして国賠法1条1項の損害賠償責任が認められた事例
1 東京都都税条例30条ただし書にいう「課税洩れ」と地方税法72条の51第1項ただし書にいう「特別の事情」
2 納税者の責めに帰することのできない事由による賦課もれの場合と東京都都税条例30条ただし書にいう「課税洩れ」
隣接する甲乙両地の各所有者間の境界確定訴訟において甲地のうち右境界の一部に接続する部分につき乙地の所有者の時効取得が認められた場合と右境界部分の境界確定を求めることの許否
防衛事務官が所管事務を装い売買名下に魚卵を騙取した行為が民法715条1項にいう「事業ノ執行ニ付キ」したものといえないとされた事例
手形不渡による取引停止処分を免れるための異議申立提供金に充てる預託金の返還請求権を差押えた手形債権者は、手形債務者が有する不渡による不利益処分を甘受して異議申立の取下げを依頼し預託金の返還を求める権限まで取得するものではないとした事例
刑事被告事件において無罪判決が確定した事案について、検察官の公訴の提起に違法性が認められないとして、請求を認容した原判決を取消し請求を棄却した事例
破産債権者は、届出債権について破産管財人の異議があって債権が未だ確定されていなくとも、破産管財人の提起した否認権行使事件に補助参加することができるか(積極)
1 建物建築の請負人に建替費用相当額の損害賠償が命じられた事例
2 請負人が瑕疵担保責任に基づく損害賠償を命じられたのと併せて、注文者が右賠償請求訴訟の資料収集のため支出した訴訟外の鑑定の費用の損害賠償が命じられた事例
3 請負人に対し、瑕疵修補に代る損害賠償と併せて慰藉料の支払が命じられた事例
4 建物の建築を請負わせた注文者は、右建物が競落されてその所有権及び占有権を失った後でも、修補に代る損害賠償請求権を失わない
旧南べトナム法に準拠して設立された法人は、日本政府の承認した新政権の旧法令の廃止により、法人格を喪失して当事者能力を欠くに至ったものとされた事例
レントゲン技術者が肺結核を再発し肺性心で死亡した場合に、使用者である病院医師につき、右疾患の再発・進展に関し雇傭契約上の注意義務の懈怠があるとして、慰藉料の賠償を命じた事例
返還時期の定めのない土地使用貸借において契約の目的に従った使用収益をするに足りる期間が経過したものとして民法597条2項但書による解約が認められた事例
1 海路による覚せい剤密輸入事件で、船舶が本邦の港に接岸後陸揚げ行為を開始していないものの、荷受人と覚せい剤の陸揚げ方法を打合せしていた事案について、輸入の実行の着手を認めた事例
2 右事案に係る関税法違反事件につき、覚せい剤を陸揚げする意思があるのにその旨を記載していない乗組員携帯品申告書を税関職員に提出した時点で、関税ほ脱の実行の着手を認めた事例
譲渡人が覚せい剤在中の封筒を郵送し、これが譲受人たる被告人の居住しているマンションに配達されて居室から離れた位置に設置されている被告人専用の郵便受に投入されたものの、被告人が右配達を認識していなかった事案につき、覚せい剤譲受罪を認めた事例
殺人、殺人未遂事件と心神喪失または心神耗弱の主張 (a)殺人事件について、被告人は、かつててんかんにかかり、脳波異常のためもあって感情の起伏が激しいことが認められるものの、犯行時にはてんかんを含む精神病状態にはなかったと認めて、心神喪失及び心神耗弱の主張を排斤した事例 (b)殺人未遂事件について、被告人の犯行は、分裂病質のゆえに対人関係の重圧に堪えきれず、被害者の言動を契機として、そのような状態からの解放に向けられた行為であるとして、心神耗弱を認めた事例 (c)殺人事件について、被告人の犯行は、ヒステリー性もうろう状態に陥り、無理心中の観念に強く支配され、極度に狭窄した意識野の中における行為であったとして、心神耗弱を認めた事例 (d)殺人未遂、現住建造物等放火未遂事件について、被告人の犯行は、パラノイア(妄想病)の症状である嫉妬妄想に基づく行為であったとして、心神喪失を認めた事例
1 児童を芸妓として雇い入れるに際し、年齢を確認すべき注意義務を怠ったものと認定した事例
2 右の注意義務を尽くすためには、戸籍謄本、戸籍抄本又は住民票の呈示を求め、これに基づいて児童本人、保護者等から児童本人の氏名、生年月日、本籍、世帯主、続柄等の事情を聴取して調査するべきであるとした事例
1 国鉄函館駅に停車中の列車の乗務員室で現金5、000万円を詐取された事故につき、国鉄に過失があるが、重大な過失があるとはいえないとされた事例
2 現金の鉄道運送委託にあたり価額の明告はしたが、要償額の表示をしなかった場合には、運送人の運送品滅失による損害賠償責任額は、鉄道運輸規程の定める限度に限られるとされた事例