最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 未決勾留により拘禁されている者の新聞紙、図書等の閲読の自由を監獄内の規律及び秩序維持のため制限する場合における監獄法31条2項、監獄法施行規則186条1項の各規定と憲法13条、19条、21条
2 拘置所長が未決勾留により拘禁されている者の購読する新聞紙の記事を抹消する措置をとったことに違法はないとされた事例
東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)1条ないし3条の定数配分規定は公職選挙法15条7項に違反するとし、右定数配分規定に基づいて施行された選挙を違法とした事例
計算書類等承認の株主総会決議取消の訴えの係属中にその後の決算期の計算書類等の承認がされた場合と右取消を求める訴えの利益
公立小学校五年の児童が放課後担任教諭の許可を得て学習中、同級生の飛ばした画鋲つき紙飛行機が左眼にあたって負傷した事故につき同教諭に監督上の過失がないとされた事例
すでに公判期日において証人として尋問された者を同一事項につき検察官が取り調べて作成した供述調書と刑訴法321条1項2号にいう「前の供述」
1 刑法247条にいう「本人ニ財産上ノ損害ヲ加へタルトキ」の意義
2 信用保証協会職員の保証業務行為が背任罪に該当するとされた事例
額面総額78億余円の日銀小切手の遺失物の価格は額面総額の100分の2と評価するのが相当とし、その100分の5を拾得者に報労金として支払うよう命じた事例
旧競売法による競売建物に敷地使用権が存在しない場合に、競売記録上右使用権の存在が認められており、競売手続が右権利が存在するものとして施行されたことが明白で、善意の競落人がそのため競買の目的を達しえないときは、民法568条1項、566条2項を類推適用して競売による契約を解除することができる
仮登記担保法の適用のないいわゆる帰属清算型の仮登記担保につき、債務者から清算金との引換給付の抗弁が提出されないまま仮登記に基づく本登記手続を命じる判決がされた場合の清算金算定の基準日は、本登記が経由された時と解すべきである
土地賃貸借契約中の「公租公課の増徴あるときはその増徴率にスライドして賃料の値上げ率の決定を行い、その年度より賃料の値上げを行う。」旨の特約の解釈事例
保険医療機関の療養の給付が、医療水準、並びに規則の定める基準に適合しているとは認められないとし、右機関から支払基金等に対してなされた診療報酬請求がいずれも排斥された事例
直前の賃料改定合意後に、賃料を減額すべき新たな事情が生じていないときは、現行賃料が比隣の土地の賃料に比して高額であっても、賃料の減額を請求することはできないとした事例
連帯保証人が数人ある場合、債権者に弁済をした連帯保証人は、弁済額のうち自己の負担部分の額を超える金額についてのみ、他の連帯保証人に対し求償することができるとした事例
差押えの効力発生前債務者兼所有者から不動産を買受けて引渡を受け以後これを占有する者は、その権原が買受人に対抗し得ない場合であっても、民事執行法83条所定の「権原により占有している者」にあたり、右占有者に対し引渡命令の発令を求めることができないとされた事例
本来の用益を目的としない短期賃貸借は、民法395条の保護に値せず、右短期賃借権者に対する引渡命令が正当であるとされた事例
被疑者逮捕に向った警察官の前にXがたちはだかり警察官の手をつかんだためその警察官がXの手を逆にねじったところ、Xが尻餅をつき右手がその尻の下に入り傷害を負ったとしてその警察官の所属するY県が損害賠償を命ぜられる場合、Xが生活保護法による生活扶助を受けていた場合は、その賠償額の休業補償、逸失利益の喪失額から既に受けた生活扶助の金額を控除できる
1 金融業者が借主に指示して、紹介者に支払わせた金員が利息とみなされた事例
2 単に借主を紹介しただけで商法546条等に定める結約書交付等の義務を尽したわけでも、保証をしたわけでもない人に、紹介を受けた貸主は何ら報酬を支払わず借主だけが金員を支払わせられた場合、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律4条が媒介手数料を取ることを認めていても仲介料名義で支払わせた金員を貸主に対する利息とみなしても不当でない
ぱちんこ店が遊技客に提供した賞品を遊技客から買い受け、ぱちんこ賞品問屋に販売する事業を行うために、共同出資する旨の組合契約を、公序良俗に反し無効であるとした事例
公営住宅法25条1項、東京都条例20条1項6号、借家法1条の2の関係について判示し、右都条例の規定に基づき東京都がした都営住宅の使用許可の取消しを、借家法1条の2にも該当し、有効であるとした事例
譲渡担保権設定のためにされた所有権移転登記の抹消登記が錯誤による意思表示に基づくもので無効ではあるが、右所有権移転登記もまた民法94条1項により登記原因を欠き無効なものであるから、右抹消登記の回復登記は認められないとした事例
賃料の一部を、脱税の目的で賃貸借公正証書及び賃料の領収書に記載しなかった場合に、その記載しなかった部分の賃料の定めについて、公序良俗に反し無効とはいえないとした事例
宗教法人の代表役員等の地位不存在確認という具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、その争点が宗教上の教義・信仰にかかわる宗教上の争いであるときは、裁判所法3条にいう法律上の争訟にあたらないとされた事例
電力会社及びガス会社の電気、ガス料金の値上げ申請に対する認可が違法であるとして、国に対し損害賠償を求める訴訟において、国の所持する公聴会調書、物価安定会議特別部会議事録、査定報告書等の文書が民訴法312条3号後段の文書に当るとして、国に右文書の提出を命じた事例
3歳6月の男子が幅150センチないし170センチ、水深80センチの府所有の農業用水路に転落して死亡したが、事故の態様が明らかでなく、通常予測しえないとして、府・改良区の水路の設置・管理の瑕疵を否定した事例
受刑者が、刑務作業中同房者から顔面を金槌で殴打され、右側頭骨陥没骨折等により左半身痙性麻痺等の症状を後遺とした場合に、看守の右金槌貸与の安易な許可、及び、医務課長医師の骨折不発見等に各過失があるとし、国につき国賠法1条の賠償責任が肯定された事例
大型貨物自動車の運転手が追越を開始するにあたり、自車の後続車に対する安全を確認すべき注意義務を怠った過失があるとされた事例
被告人運転車両に衝突の危険を生じさせながら逃走した車両を追跡し並進するに至った際、同車両を停止させようとして、右車両の進路右前方に自車を進出させたため、両車両が衝突、接触し、相手車両が電柱に激突して、同車両の同乗者が死亡し、運転者が負傷した事案につき、傷害の未必的故意を認定した事例
2階以上の部分には多数の入居者が居住する鉄筋10階建マンションの1階にある医院に夜間放火した実案につき、右医院部分が放火罪の客体として独立性を有するとして、非現住建造物等放火罪が成立するにとどまるとした事例
托児所を経営し乳幼児を預って保護養育にあたる業務に従事する者が預っていた、生後4か月20日の自力で寝返りできる健康な男児が、ベットの棚に頭をくっつけ、うつ伏せになり、マットで鼻口を塞ぐようにして死亡し、死体解剖の結果、気管(支)内に胃内容物と同じものが存在し,他に死因と認められるような創傷・疾病が存在しない場合について、死因は窒息死(事故死)であるかSIDS(乳幼児急死症候群)であるか、いずれとも判定しがたいとして無罪の言渡しをした事例
一般職員と単労及び企業職員が組織した単一組織の労働団体は、地公法上の職員団体であり、右団体には労働協約締結権はないとされた事例