最も長い歴史をもつ判例実務誌
学術研究者の史跡の保存・活用について学問上受ける利益は、法律上保護された利益ではないから、右学術研究者は、静岡県文化財保護条例30条3項に基づく史跡の指定解除処分の取消を求める原告適格を有しないとされた事例
1 防衛庁長官に対し自衛隊演習場において実施される射撃訓練の差止めを求める抗告訴訟の適否(消極)
2 防衛施設局長に対し自衛隊演習場内への立入りを禁止する措置の差止めを求める抗告訴訟の適否(消極)
遠洋まぐろ漁船につき本邦を出発し1年有余の漁獲ののち帰港するまでの全航海が商法842条6号所定の「航海」にあたるとされた事例
造船の請負契約による建造船舶に比較的軽微な瑕疵があるがその補修に著しく過分の費用を要する場合において右補修に代えて改造工事費及び滞船料相当の金員につき損害賠償請求をすることが許されないとされた事例
1 国の安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点は遅くとも公務員の退職時とした事例
2 安全配慮義務違反による損害賠償請求の訴えの提起は不法行為による損害賠償請求権について時効中断の効力を生じないとされた事例
1 女児(4歳)の死亡による逸失利益の算定に当り、パートタイム労働者をのぞく全女子労働者の平均賃金額に家事労働分を加算することの当否(消極)
2 将来における物価上昇率及び預貯金金利を推定し、逸失利益の現価換算に当り控除すべき中間利息を年4分とすべき旨の主張が排斥された事例
1 建築士が過去の建築確認代理申請において違法な行為をしたことを理由に、その建築士が代理人として申請している他の建築確認事件の審理や許可を停止することは違法であるとされた事例
2 建築士が過去の建築確認代理申請において違法な行為をしたことは、それを理由に他の事件の審理、許可を停止されたことに基づくその建築士の損害賠償額を過失相殺すべき理由とならないとされた事例
いわゆるマル優の最高限度額を超えて非課税の適用を受ける目的で他人名義を借用した貸付信託債権の権利者において、当該名義人に対する執行債権者に対し右権利に基づき執行排除の主張をする場合と、民法94条2項の類推適用の可否(消極)
抵当不動産の所有者の行為が通常の用法に従う使用収益の範囲に属するものであっても、当該不動産の性質、特性、従前の使用関係に照らしそれが当該不動産の客観的価値を著しく減少させるおそれがある場合には、売却のための保全処分により、右行為を禁止することができるとされた事例
所有権に基づく動産の引渡しを求める訴えについては、占有者が右動産の占有を取得した当時その物の所在した場所が義務履行地であるとされた事例
ファイナンスリース契約において、ユーザーがリース会社に対し「物件借受書」を作成交付したため、リース会社がメーカーに対しリース物件買受代金支払のための手形を振出交付した場合であっても、ユーザーはリース物件の引渡がないことを主張することが許されるとされた事例
デパートにおける買物客(3歳の男児)のエスカレーター事故につき、工作物責任および安全配慮義務違反に基づく責任がいずれも否定された事例
遺産分割の協議に当り、相続人の一部が遠隔地に居住するなどの理由により直接協議に参加することができない場合において、他の相続人が作成した遺産分割案の提示に対し、右協議に直接参加しない相続人の分割案受諾の意思表示があったとは認められない事例
仮登記担保権者が仮登記担保を実行するに際し仮登記担保契約に関する法律5条1項に定める通知を欠欠した場合における後順位担保権者の本登記承諾義務
司法書士が顧客から後日登記手続の依頼を受けることを前提として、登記済証、印鑑証明書、登記申請についての白紙委任状等を預かって預り証を作成した場合において、司法書士に右委任状と印鑑証明書の印影が一致しているか否かを確かめる注意義務はないとして、その不法行為責任が否定された事例
建物につき、執行官保管、債務者使用の仮処分決定を得た仮処分債権者が、債務者を被告とする右建物明渡の本案訴訟の勝訴判決に基づき、その本執行に着手したところ、その後右仮処分債権者が第三者との間に締結した右建物の明渡等を内容とする和解調書に基づく執行を免れるため、右本執行の続行を拒否している場合において、事情の変更があったとして、仮処分決定を取り消した事例
補習授業終了後、担当教師が校舎に施錠したため、残留生徒が校舎内に閉じ込められた事故につき、市の賠償責任を肯定した事例
クレジットを利用して商品を販売した業者に債務不履行がある場合において、売主と買主間で売買契約が合意解除されたときは、買主とクレジット会社間の立替払契約も合意解除されたものと推認され、買主は立替金の償還義務を免れるとされた事例
共犯者の作成したメモの内容が伝聞禁止の法則の適用されない場合に当たるか、あるいは弁護人が反対尋問権を放棄した場合に当たるとして証拠能力が肯定された場合
確定裁判を経た事件と刑法45条後段の併合罪関係にあり、かつ、同事件の裁判係属中に既に被告人が詳細に自白していた覚せい剤取締法違反事件について、その公訴提起が二重の起訴又は公訴権の濫用に当たるとの主張が排斥された事例
1 緊急逮捕の6時間後に令状請求した手続が適法とされた事例
2 警察の捜査に非協力的な入院患者から廃棄の承諾を得てその衣類を受け取った看護婦がこれを警察に任意提出した手続が適法であるとされた事例
覚せい剤中毒による幻聴に支配又は誘引されて心神喪失又は心神耗弱の状態で窃盗が行われたとする精神鑑定の結果を排斥して刑事責任能力を肯認した事例
1 労使紛争に伴う講義等に際し発言者に秘してその発言等を録音した録音テープの証拠能力を認めた事例
2 ストライキに際して会社管理職が会社の業務遂行のため作業用自動車を出構させようとしたのに対し、多数の組合員らとともにこれを妨害した行為が、労働組合の正当な行為に当たらないとした事例
製鉄会社がその構内に設けた1日の車両通行量約1万4、000台、総延長約100キロメートルの道路が、構内への出入りが人的物的に制限されていること、公安委員会等の交通規制をうけることなく右会社が独自に設けた交通安全規定等によって構内の秩序維持が図られていること等により、「不特定」の人や車の通行できる場所ではないとして、道交法上の「道路」に当たらないとされた事例
台風の高波による国道・護岸の決壊につき、国道・護岸の設置管理者たる国に国賠法2条の設置・管理の瑕疵に基づく損害賠償責任を肯定した事例
勾留中の被疑者が非定型精神病に罹患して拘置所保護房内で凍死した事故について、拘置所長、看守、非常勤医ら拘置所職員の各過失を認め、これに基づく拘置所の医療体制の不備を理由に国家賠償責任を肯定した事例