最も長い歴史をもつ判例実務誌
夏季一時金算定の基礎となる出動率を計算するにあたりストライキによる不就労を欠勤として扱った措置が、労働組合法7条1号の不当労働行為にあたるとされた事例
営業につき他人名義の貸与を受けた者が取引行為の外形をもつ不法行為により負担した損害賠償債務と商法23条にいう「其ノ取引ニ因リテ生ジタル債務」
相殺の意思表示を記載した書面が相手方に到達しなかったときでも通常到達すべきときに到達したものとみなす旨の特約は、第三者に対抗しえない
共有者間の共有物の使用収益、管理又は費用の分担についての定めは、その共有者の特定承継人に対しても当然に承継されるか(積極)
抵当不動産を用益する目的をもって設定されたものでない短期賃貸借は、民法395条の短期賃貸借に該当せず、先順位の抵当権者に対抗できないとされた事例
札幌盲導犬協会の会長が協会を私物化・選挙に利用し、福祉を喰いものにする旨のカベ新聞を札幌市役所、北海道庁内の組合掲示板に掲示したことなどが名誉毀損を構成するとして20万円の損害賠償が認められた事例
買主の資産状態や経営状態が極めて良好であると説得されて4000万円の土地売買契約を締結したが間もなく買主が倒産したため売主において残金3000万円の支払を受けられなくなった場合、売主は、右売買契約の要素の錯誤による無効を主張しえないが、詐欺を理由とする取消を主張することができるとされた事例
1 火災保険約款に保険の目的物を第三者に譲渡したときは保険会社にその旨通知しその承認を得なければならないとあるときは、その保険目的物を第三者に譲渡担保に供しただけで占有を移転したのでない場合でも通知を怠れば保険会社は損害補填の責任を負わないとされた事例
2 利益保険は契約者が企業を再開することを前提とするものであるところ、契約者が企業を再開したとは認められないとして利益保険金の請求ができないとされた事例
団地内テニスコートのベンチの日除けを運動の補助として利用したことによって発生した負傷事故につき、右日除けの設置・管理に瑕疵はないとして営造物責任を否定した事例
刑事被告人が単行本の著者及び発行者に対し、右単行本の記述により自己の名誉を毀損されたとして求めた損害賠償請求、謝罪広告等の請求が棄却された事例
猫飼育禁止の特約が付されているマンションの賃貸借において、借主が猫を飼育したことが、賃貸借契約解除に結びつく信頼関係破壊の一要素とされた事例
資金の都合のつかない振出人からは依頼返却になる予定である旨の連絡を受けていたが、持出銀行からは、所定時限内には依頼返却の請求を受けていなかった支払銀行が、時限経過後当該小切手を逆交換に付すため受託銀行に持ち出し、依頼返却の請求にも応じなかったことについて、支払銀行の過失を否定した事例
準工業地域内の5階建建物による日照阻害が受忍限度の範囲内であるとして、日照利益侵害を理由とする損害賠償請求が棄却された事例
経済的に破綻した会社の債権債務関係の処理のため、法定の手続によらず、いわゆる私的整理として、債権者による債権者集会ないしは同委員会委員長の地位は、民法上の組合ないしは組合の業務執行者とは認められないとされた事例
荷渡先を指定して受寄物の引渡しを委託する寄託者から受寄者(倉庫業者)宛の荷渡指図には物権的効力がないとして、右荷渡指図書の交付ないし呈示によって受寄物の引渡しが完了するものではないとされた事例
1 貸金業開始の届出を受理した知事が貸金業者に対し最高裁判例によれば利息制限法定所定の利率を超える利息をとることができない旨の行政指導をなすべき義務を怠ったとする損害賠償請求が認められなかった事例
2 国がいわゆる出資法と利息制限法の最高利率の矛盾を解消すべき義務を怠ったとする損害賠償請求が認められなかった事例
食道癌による患者の死亡につき、医師の医療過誤があるとしたが、診療時既に患者の症状は進んでおり、食道癌による死亡を免れ得ない状態にあるとして、患者の延命利益に対する侵害の慰藉料請求のみを認容した事例
急性膀胱炎の治療としてなされた硫酸ストマイの筋注により患者がショック死した場合に、開業医につき、その適応の判断ないし検査不実施等に過失があるとされた事例
新生児の緑膿菌感染症の罹患と症状増悪につき、助産所を開設管理する助産婦に、助産所の清潔保持義務違反と医師受診の指導義務違反がないとされた事例
Rh式血液型の判定過誤に起因する第二子の溶血性核黄疽による脳性麻痺等の結果につき、開業医、検査機関、及び、病院の各過失に基づく連帯賠償責任が肯定された事例
1 夜間山間部道路を走行中の車両が急カーブを曲り切れず、崖下に転落した事故につき、車両の運転者が誰であるかが争われた事例
2 右道路の管理者である大阪府に営造物管理責任を認めた事例
会社倒産により損害を蒙った債権者から、右会社の取締役として就任登記を承諾した名目的取締役及び退任登記のない辞任した監査役に対し、右会社の粉飾決算及び放漫経営につき監視義務違反があるとして求めた損害賠償請求を棄却した事例
町立中学校の生徒が課外のクラブ活動中の生徒とした喧嘩により左眼を失明した事故につき、クラブ活動に立ち合っていなかった顧問の教諭に過失がないとされた事例
死者に対する名誉毀損により、その子自身の名誉及び父に対する敬愛追慕の情が違法に侵害されたとして不法行為の成立を認め、謝罪広告及び慰謝料の請求を認めたが、子が死者を代行して謝罪広告を求めるのは実定法上の根拠を欠くとしてこれを否定した事例
1 被差別部落出身であることを理由とする婚約破棄は、婚姻予約上の地位の侵害として不法行為を構成する
2 第三者が、婚約者の一方の被差別部落出身を理由に婚約の履行に干渉して妨害し、これを破棄させたときは、右破棄者と共同して不法行為の責を負う