最も長い歴史をもつ判例実務誌
昭和44年4月に出生した極小未熟児につき担当医が眼底検査の必要性を認識せず転医の指示等の措置をとらなかったことに注意義務の違反がないとされた事例
自己債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人が右原因債権の完済後に振出人に対してする手形金請求と権利の濫用
弁護士法61条による異議の申出をした者が民訴法312条2号に基づき日本弁護士連合会懲戒委員会の議事録についてした文書提出命令の申立の適否(消極)
一筆の土地の一部に存在する建物のために生じた法定地上権の及ぶ範囲を決するにあたり同建物が滅失しこれを再建する場合における建築基準関係法令の制限をしんしやくすることの可否(消極)
建築工事について、工事が途中で中断し予定された最後の工程を終えない場合は、工事は未完成というべきであり、他方予定された最後の工程まで一応終了し、ただそれが不完全なため補修を加えなければ完全なものとならない場合には、その目的物に瑕疵があるときに該当すると解すべきである
いわゆる公図上に表示されている土地が、現地に存在しない場合にも登記官の公図に対する実質的調査義務を怠ったとはいえないとされた事例
土地の賃料増額請求訴訟においていわゆる利回り方式、スライド方式および賃貸事例比較法の三方式を総合勘案した鑑定結果と賃貸借契約当初の当事者の特別な親睦関係をも考慮して増額が肯定された事例
1 自己の職務に属さない商品の注文・転売など不正行為のあった会社の従業員につき債務不履行による損害賠償の責任が認められた事例
2 右の場合会社にも帳簿不整備等の落度があったとして過失相殺(約3分の1)が認められた事例
後順位抵当権者が抵当権侵害に対する妨害排除請求権を被保全権利として先順位抵当権者に対してした競売手続停止の仮処分申請が認められなかった事例
保証の限度額及び期間の定めのない継続的保証について、右保証が公序良俗に反せず、また、身元保証二関スル法律5条の類推適用によって保証責任を免がれさせることはできないとして、主債務全額につき、保証責任を認めた事例
原告が、訴外Aに融資をするに当り、被告を代理して契約を締結する代理権限のない被告の特需部長の承諾の下に一種の担保契約が締結された場合に、原告に民法110条の代理権ありと信ずべき正当な理由がないとして、表見代理の成立が否定された事例
返還の時期を定めない建物所有を目的とした土地の使用貸借契約において、使用及び収益をなすに足るべき期間を経過したとして解約の認められた事例
米軍の対潜水艦通信用基地内に侵入した児童が高圧線の鉄塔に接触感電して死亡した事故について、施設の設置管理上の瑕疵があったとして損害賠償責任が認められた事例
仮換地の指定を受けた者が、従前の宅地から仮換地に移転する必要上仮換地を宅地として使用するための宅地造成工事は事業施行者がなすべきであり、そのための宅地整備補償金はいわば事業施行者のなすべき工事に代わるものというべきである
家屋賃貸借契約の賃料増額につき賃借人らの行動と本件訴訟に至る経緯を見ても信頼関係の破壊する行為にあたらないと認められた事例
地方公共団体である市が観光行政並びに地場産業の振興を図るため有料猟区を設定・運営することを計画し、特定の市民に対し協力方の要請と積極的な斡旋指導を行ない、放鳥用雉の養殖事業を開始させたところ、議会の反対により右計画を中止するのやむなきに至ったことが右養殖業者に対し不法行為を構成するとされた事例
婚約を不当に破棄した男性と母親の共同不法行為の成立を認め、慰藉料400万円と嫁入道具購入代金の7割相当の損害等の支払を命じた事例
認知請求の訴訟において、親子関係の存在を争う当事者が採血等に協力しないため鑑定結果が得られない以上、科学的裏付けなしに親子関係が存在すると推認しても不相当であるとはいえないとした事例
幼児が急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(川崎病)の後遺症としての冠動脈血栓症により死亡した場合に、関与医師らに診療上の義務違背がないとされた事例
中古車両(外車)を毀損された場合、修理費相当額が破損前の当該車両と同種同等車両の交換価格を著しく超えるときは、交換価格からスクラップ代金を控除した残額が損害額であるとした事例
航行中の船舶が他船に衝突して沈没させたことにより沈没船の船主が出捐することになった沈没船除去費用の損害賠償債権が船主責任制限法3条1項2号の制限債権にあたるとされた事例
1 支払見込みのない手形を振り出した代表取締役につき商法266条ノ3の責任が認められた事例 (過失相殺約3分の2)
2 取締役就任の登記を承諾したいわゆる表見取締役につき右代表取締役の行為を監視しこれを防止することができたという状況になかったとして同条の責任が認められなかった事例
1 金融業者から金員貸付を受けるにつき商法504条但書の本人のためにすることを知らないことにつき過失がないとされた事例
2 公正証書の作成と商法504条の適用(消極)
地方公共団体による河川港湾等の汚染ないしヘドロ堆積等の除去に要する費用の支出と汚水排出者に対する地方自治法242条の2第1項4号の規定に基づく損害賠償代位請求の範囲
1 入会部落の構成員が有する使用収益権の確認又はこれに基づく妨害排除の請求と右構成員の当事者適格
2 入会部落の構成員が有する使用収益権に基づく地上権設定仮登記抹消登記手続請求の可否
政府が物価の安定等の政策目標を実現するためにとるべき具体的な措置についての判断を誤り、ないしはその措置に適切を欠いたため右目標を達成できなかったとしても、法律上の義務違反ないし違法行為として国家賠償責任の問題を生ずるものではない。
自動車保険普通保険約款に、加害者の保険会社に対する保険金請求権は、加害者と被害者との間で損害賠償額が確定したときに発生し、これを行使することができる旨の規定があっても、被害者が加害者に対する損害賠償請求と保険会社に対し加害者に代位してする保険金請求とを併合して訴求している場合には、右保険金請求訴訟は将来の給付の訴えとして許される。
(イ)事件
1 昭和56年法86号による改正前の国民年金法(以下(法)という)における日本国籍を有しない者の国民年金被保険者資格の有無
2 法7条1項、8条、9条2号と憲法14条、25条
3 法12条4項の被保険者資格取得届出の受理と法16条の裁定との関係
4 被保険者資格取得届出の受理等をもって支給裁定の確約とは認められないとされた事例
(ロ)事件
1 昭和56年法86号による改正前の国民年金法(以下(法)という)における日本国籍を有しない者の国民年金被保険者資格の有無
2 法7条1項、8条、9条2号、昭和44年法附則15条1項1号と憲法14条、25条
3 昭和44年附則15条の被保険者取得の申出の受理と法16条の裁定との関係
4 法16条の裁定が違法ではあるが無効とはいえないとされた事例
5 法16条の裁定後約2年を経過してされた裁定の取消し処分が許されるとされた事例