最も長い歴史をもつ判例実務誌
公有水面埋立免許処分に基づいてされる埋立工事海面の近接海域において、漁業協同組合が有する漁業権に基づいて現実に漁業を営んでいる組合員であっても、右免許処分の取消しを求める法律上の利益を有しないとされた事例
水泳の飛び込み練習中、プールの底に頭を強打して全身麻痺の障害者となった生徒の損害賠償請求において、1億4、000万円を超える賠償の支払を命じた事例
甲と乙が各自の車両を操作して乙の車両荷台に甲の車両を積み込む際に甲運転の車両が転倒して甲が死亡した事故につき甲は乙の車両運行にとって自動車損害賠償保障法3条本文にいう「他人」にあたるとは断じえないとされた事例
後順位担保権者の申立による不動産競売手続が開始されている場合において仮登記担保権者によって提起された仮登記に基づく本登記手続の承諾請求及び右本登記を条件とする不動産明渡請求が許された事例
工場抵当法3条の目録の提出のある抵当権者が不動産の競売を申し立てた後、備付けの機械器具について担保解除を理由に申立てを取り下げた場合、同目録の提出のない他の抵当権者が右機械器具を一括して競売すべき旨を主張することはできない
1 民訴法200条3号の公序良俗とは、外国判決の内容のみならず判決の成立手続に関するものも含まれる
2 民訴法200条4号の相互保証とは、外国判決の承認の要件が当該判決国とわが国とで重要な点でほぼ同一であり当該判決国の定める要件がわが国の定めるそれよりも全体として過重でなく実質的にほとんど差がない程度のものであれば足りる
航空自衛隊の航空機事故につき同隊内で作成された航空事故調査報告書は、右事故による被害者と国との間の損害賠償請求訴訟において、民訴法312条第3号後段の法律関係文書に該当するか(積極)
警察官が告訴を受理しなかったこと、提出された犯罪の証拠物を領置しなかったこと、脅迫行為をしたことなどを理由とする国家賠償請求につき、警察官に違法な職務行為が認められないとして請求を棄却した事例
控訴人補助参加人がした控訴を被参加人である控訴人が取下をした後であっても、右補助参加人は、右控訴が控訴審に係属中であることの判決を求める申立をすることができるとされた事例
航空管制回線切断事件に関する週刊誌の記事において、犯人ないし内部協力者であるかのように記載された電電公社職員の名誉を毀損したとし、出版者と編集長に対し、謝罪広告の掲載と損害賠償の支払が命じられた事例
有体物の所有者は、所有権の使用収益権の効力として、その物が体現している無体の美術的価値自体を排他的に支配することはできないとして、所有権に基づく複製物の販売の差止及び廃棄請求を棄却した事例
1 支払停止の前日になされた停止条件付代物弁済契約につき、受益者の詐害意思欠缺を理由に、破産法72条1号又は4号に基づく否認を認めなかった事例
2 破産法75条、72条2項により執行行為を否認する場合、破産者の通謀加功を要するか(消極)
精神障害者として措置入院中の患者が、開放診療である院外作業に向わずその病院看護婦を殺害した場合に、主治医の治療管理上の過失を認め、県の国賠法1条による責任を肯定した事例
精神分裂病患者による殺害事故につき、国等の国賠法上の責任を否定し、右患者の事実上の監督者に対し、代理監督者としての賠償責任を肯定した事例
養鶏業者と付近住民との間で締結された公害防止協定は有効であるとし右協定に違反した業者の違約金支払義務が肯定された事例
土地の表示登記の当時、右土地が海面下にあって実在しなかった場合、右表示登記は無効であり、登記官は、職権により右表示登記の抹消登記をすることができるとした事例
国税犯則取締法に基づく差押処分の無効確認等を求める訴につき、被告を税務署長から収税官吏に変更することの許可を求める申立が、原告に重大な過失があるとして却下された事例
石炭産業の従業員に対してされたレッド・パージとしての解雇が「重要産業」の「共産党員もしくはその同調者」に対してされたものとして有効とされた事例
病院に勤務する63才のボイラー技師が左足首の疾病により左大腿部中央付近から切断したため休職となりその後就業規則による自然退職が有効と認められた事例
労働組合が会社の許諾なしに、所定の掲示板以外の場所にビラの貼付を行うことの禁止を求める会社申請の仮処分が肯定された事例
1 労災保険法による休業補償給付の請求、審査請求、再審査請求についてなされた無権代理行為が、追認によって、遡及的に有効となったとされた事例
2 従業員が、会社(使用者)の実施した忘年会に出席し、その終了後交通事故にあって負傷した事故につき、業務遂行性が認められないとして、休業補償給付の請求が否定された事例
1 有限会社の代表取締役が、会社の財産が13年間殆んど債務超過であったのにかかわらず長男に会社の経営を任せ自らは一部を手伝う程度であって、倒産寸前には自転車操業の状態にあり資金繰りに追われていたのにこれを放置し、ついに会社は不渡手形を出し倒産した等の事情がある場合には、重大な過失によりその職責を尽さなかったものと認めるべきであるとした事例
2 有限会社の代表取締役に重大な過失によりその職責を尽さなかったものと認められる事情がある場合でも、右代表者の配偶者の弟で高校の教諭をしているものが、会社の仕事の仕事はしないし何らかの責任も負わないとの条件で取締役に就任し、約27年間会社の経営に関与せず報酬を受けず出資もせず、また右会社は代表者の個人会社で取締役として業務内容に口出ししても受容されず、会社に影響力を行使できる立場にもない等の事情がある場合には、右取締役に職務を行うにつき故意又は重大な過失があったものということはできないとされた事例
招集手続もとられず発行済株式総数6000株のうち2700株をもつ株主1人が出席株主としてなされた株主総会決議は決議として存在しないとされた事例
1 会社設立時の発行株式の帰属につき名義者の株式であるとされた事例
2 新株発行における払込みがいわゆる見せ金による払込みでその効力が否定された事例
債務者の名称を表示する商標であっても、需要者の注意をひきやすい表示方法であることなどから商標法26条1項1号にいう自己の名称を、「普通に用いられる方法で表示する商標」には当らないとされ、これを根拠とする抗弁等が否定され、登録商標権者である債権者に対する商標権侵害が肯定されて、使用差止の仮処分決定が認可された事例
1 身体に対する直接の拘束がなされなくても現行犯逮捕が開始されたと認められた事例
2 公職選挙法第138条(戸別訪問の禁止)における「投標を得しめ」る目的の意義
3 公職選挙法142条の「選挙運動のためにする文書図画」にあたるとされた事例
4 公職選挙法138条、142条等の合憲性(積極)
暴走族先頭車両の運転者であっても、当時の状況にてらし、右折の際に、後続の仲間の車両が対向車線に出てこれを逆進して走行していることにつき、予見可能性が認められないとした事例