最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 旅券発給拒否通知書に拒否の理由として旅券法13条1項5号に該当するとのみ記したことが旅券法14条に違反しないとした事例
2 原告が日本赤軍と連繋関係があるため旅券法13条1項5号に該当するとしてされた旅券発給拒否処分が適法とされた事例
1 私鉄沿線に居住し、これを日常利用している者は、陸運局長がした右私鉄の特急料金変更の認可処分の取消しを求める法律上の利益を有する。
2 昭和18年に制定された許可認可等臨時措置法は、戦争遂行目的のために制定され、また現在の法制度に適合しない等の理由で、失効している。
3 行訴法31条1項に基づく事情判決をした事例
1 譲渡担保権者と第三者異議の訴え
2 譲渡担保権者が目的物件につき自己の債権者のために更に譲渡担保権を設定した場合と第三者異議の訴え
仮換地について賃借権の目的となるべき土地の指定を受けていない賃借人に対する賃貸人の明渡請求が権利の濫用にあたるとされた事例
兄が弟に兄所有の自動車を運転させこれに同乗して自宅に帰る途中で発生した交通事故につき兄弟間に民法715条1項にいう使用者・被用者の関係が成立していたとされた事例
土地賃貸借契約の更新拒絶につき公務員である賃貸人が退職後医薬品卸販売会社を経営するため土地を使用する必要があることにより正当事由が認められた事例
1 国有林野の管理行為は国賠法1条にいう「公権力の行使」にあたるか(積極)
2 林道新設工事に従事する者のため国有林野内に設置された寄宿舎が降雨のため流出し右寄宿舎に居住していた作業員が死亡した事故につき国の損害賠償責任が認められた事例
裁判所女性事務官の従事した記帳等の業務とその罹患した頚肩腕症候群との間に相当因果関係がなく、右症候群の発症についても国に安全配慮義務違反がない等として、原判決を覆えし請求を棄却した事例
墓碑を建立するなど本家と共に使用してきた墓地に対する分家の占有権が否定され、分家が本家の許諾なしに建立した墓碑を本家が傍らに移したことが不法行為にならないとされた事例
妻が夫から授与された代理権限を踰越して信用金庫との間で5000万円の消費貸借契約及び根抵当権設定契約を締結するに際し、妻が本人である夫について替玉工作をしたため金庫側で夫の意思を確認することができなかったなどの事情があるときは、金庫側で妻の代理権を信じたことについて正当理由があるとされた事例
ファイナンスリースにおいて、リース物件が契約当初から存在しない場合、ユーザーからリース契約は無効であり支払済のリース料は不当利得であるとしてその返還を請求することは信義則上許されないとされた事例
1 ゴルフ会員権取得のため市長がした公金の支出と地方自治法232条の2の準用(肯定)
2 右公金の支出が「公益上の必要」に基づくものではないとはいえないとされた事例
分娩又は止血処置に際し細菌感染により敗血症に罹患して妊婦が死亡した場合に、関与医師につき十分量の抗生物質を投与しなかった過失を肯定し、その依頼により転入院させた大学病院の過失が否定された事例
両脚多毛症の女性に対し、事前に永久脱毛の困難等についての説明もなく、看護婦によりなさしめた脱毛治療不成功の結果につき、医師の説明義務違背による責任が肯定された事例
別会社による工場経営で合名会社自体形骸化し社員間に右工場の利用をめぐり決定的な対立がありこれを打開する手段がないとして合名会社の解散判決請求が認められた事例
1 役員賞与の支給につき商法269条の総会決議を要するか(消極)
2 役員の退職慰労金支給を案件とする株主総会の招集通知にその支給基準を明示することは必要か(消極)
会社の支配権獲得のためになされた自己株式の譲渡契約が目的・手続過程・結果において著しく合理性に欠け信義則上・条理上違法無効であるとされた事例
会社の代表者の交替があった場合には、後任代表者が前任者が提出してある印鑑と同一の印鑑を使用するときであっても、新たに印鑑を提出しなければならないとし、代表取締役等の変更登記申請を却下した処分が正当とされた事例
借地上の建物が借地人所有地にまたがって建築され借地上の建物部分が区分所有権の対象となりうるような構造のものではなく、また右建物に数箇の抵当権等が登記され弁済等によりそれが抹消されない限り取壊すことができないような場合でも、賃貸人は右建物部分及び賃借権について優先譲受申立ができるとされた事例
転借人から転貸人及び賃貸人双方を相手方としてなされた転借地条件変更申立を認容して、転貸人及び賃貸人双方に対しそれぞれ財産給付を命じ、その額につき転借地権付借地権割合の増減等を斟酌して決定した例
大学における学生成績原簿につき、刑法第159条第3項、第161条第1項の罪(無印私文書偽造、同行使罪)の成立を認めた事例
少年のいわゆる家庭内暴力に耐えかねて実子(15歳)を絞殺した父について、殺害にいたるまでの間の事情を詳細に認定した上、執行猶予の判決を言渡した事例
修理又は補修のため改造けん銃又は真正けん銃を分解して所持していた行為について、銃砲刀剣類所持等取締法3条1項所定のけん銃の所持に該当するとした事例
少年法3条1項1号にいう「罪を犯した少年」とは、構成要件に該当する違法有責な行為をした少年をいうものと解し、また、同項3号のぐ犯少年については、「ぐ犯行為」そのものには責任能力を必要としないと解しつつ、ぐ犯性の要件である、将来犯すおそれのある「罪」は有責性をも備えた犯罪でなければならないとした事例