最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 決壊した河川堤防の改良工事における堤防の設置又は管理の瑕疵を否定し、河川管理者が水防関係者に水防上の指導、助言をすべき義務に違背したとして、河川管理瑕疵責任を肯定した事例
2 国家賠償法2条1項にいわゆる「営造物の設置又は管理の瑕疵」の検討方法
3 河川改修中の仮堤防が備えるべき安全性の程度と検討方法
4 破堤の一因となった仮堤防の切り下げと瑕疵
5 堤防の余裕高部分におけるコンクリートブロック工事の不実施と堤防の設置又は管理の瑕疵
6 河川管理者は改修を必要とする河川につき、計画高水流量を基本とする河川改修計画を実現すべき法的義務を負う
7 右の法的義務と管理瑕疵との関係
1 集中豪雨により甲川とその支川たる乙川が溢水し、両川からの溢水を主たる原因とする流域の浸水被害につき、甲川の管理者に義務違背があったとして、その河川管理瑕疵責任を肯定した事例
2 国家賠償法2条1項にいわゆる「営造物の設置又は管理の瑕疵」の意義
3 改修を必要とする河川につき、河川管理者が負うべき義務およびこれと設置又は管理の瑕疵関係
4 甲川の管理者と乙川の管理者との間における共同不法行為の成否(積極)
5 損害賠償のいわゆる包括的一律請求の可否(積極)
6 床下浸水者の賠償請求の可否(消極)
7 法人の慰藉料請求の可否(消極)
1 訴訟上の因果関係と疫学的因果関係
2 化学企業が操業を行うに際して作業従業者の健康を確保するために尽くすべき注意義務
3 加害者側の説明不十分等を理由に、損害賠償請求権放棄条項の効力が否定された事例
4 民法724条後段の20年の期間の法的性質を時効であると解し、長い潜伏期間を経た後に損害が発生するような場合、その起算点は損害発生時であるとした事例
5 民法724条前段の短期消滅時効の起算点
6 同一不法行為による被害者が多数いる場合に一部被害者に損害金を支払いながらも、他の一部被害者に対して消滅時効を援用することは、権利の濫用に該るとされた事例
7 労働者災害補償法および厚生年金保険法に基づく保険給付金は、既払額についてのみ損害賠償債権額から控除するとされた事例
8 公害健康被害補償法に基づく補償給付金は、既払額についてのみ損害賠償債権額から控除するとされた事例
1 原告ら患者88名は、いずれもクロロキン製剤を服用した結果網膜症に罹患した。
2 被告製薬会社6社は、その各製造販売又は輪入販売にかかる同剤を服用した原告ら患者とその一部の家族に対し、同人らの被った損害を賠償する義務がある。
3 被告国は、昭和40年6月より前に既に重篤なク網膜症に罹患し、又はそれまでに同剤の服用を終えていた者を除く79名の患者とその一部の家族に対し、被告製薬会社と連帯して、同人らの被った損害を賠償する義務がある。
4 被告医師及び同医療機関経営者は、その各対応する原告ら患者とその一部の家族に対し、被告製薬会社及び同国と連帯して、同人らの被った損害を賠償する義務がある。
5 請求認容額(被告製薬会社6社合計)
(1) 患者本人(又は相続人)88世帯分合計27億1588万6883円(一世帯当たり最高約6990万円、最低1075万円、平均約3086万円及び内金25億2640万6402円に対する各損害発生日から完済まで年5分の割合の遅延損害金(判決言渡日までに生じた金額約13億1750万円)
(2) 患者の家族(48世帯、106名)分合計1億7092万5000円及びこれに対する各損害発生日から完済まで年5分の割合の遅延損害金