最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 原抵当権が虚偽仮装であることにつき善意で転抵当権の設定を受けその旨の登記を経由した者が民法376条所定の対抗要件を具備しない場合と同人の原抵当権設定者に対する原抵当権設定登記の抹消の承諾義務
2 民法94条2項所定の第三者の善意の判定時期
担保の目的を有する代物弁済予約において債権額が目的不動産の価額を越えているときは債権者は不足額を残債権として請求することができるとされた事例
競売土地の実測面積が、競売期日公告に表示された地積より約18パーセント少ないため、公告に不動産の表示を欠く違法があるとされた事例
1 養魚池の堤防のかさ上げ等補修工事の履行遅滞中洪水のため堤防が決壊して養殖中の鰻が流失した場合について損害賠償請求が認容された事例
2 履行遅滞による損害賠償額が公平の理念に照らして減額された事例
建物の賃貸借契約において賃借人が賃借する部屋で犬を飼育してはならない旨の条項は借家法6条、民法90条に違反するものではないとされた事例
根抵当権設定登記の登記名義人を「甲株式会社」とすべきところ、甲株式会社の代表取締役である「乙」と記載した場合、右登記は登記名義甲株式会社の登記として有効となりうるか(消極)
1 請求異議を棄却する判決の既判力
2 不動産強制競売手続の配当期日における配当表の呈示とその後の債務の履行遅滞の成否
手形不渡処分の異議申立預託金に対する仮執行宣言付判決に基づく転付命令によって支払を受けた金員につき民訴法198条2項による返還請求が認められた事例
注文者の責に帰すべき事由により工事が一時中止され、注文者が第三者をして残工事を完成させた場合において、請負人の中止までの既支出金額と出来高が一致しないとして、請負金額の出来高割合相当額による報酬請求が認容された事例
破産法59条1項は、双務契約につき破産者及びその相手方が破産宣告の当時未だ共にその履行を完了していないときに、破産管財人にその選択に従い契約を解除し又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することもできる権限を付与しているにすぎず、破産管財人に右の選択をすべき義務を課しているものではない
1 日々継続して発生する遅延賠償額の予定がなされている場合に賠償すべき期間を限定した事例
2 物価急騰時の請負契約解除による填補賠償額算定の基準時を解除しうべかりし時とした事例
パチンコ店の営業用地の売買にあたって、買主が適法に営業許可を得られると誤信したことに動機の錯誤があったと認めたが、現地を十分調査しなかったことに重大な過失があったとされた事例
プロパンガス充填工場の敷地として賃借した土地上に建築した工場を数年後に他に移転し、地上建物を倉庫及び事務所として使用したとしても用法違反にあたらないとされた事例
建物の区分所有等に関する法律17条1項の管理者には共有部分を侵害した者に対し訴訟を提起してその侵害の排除を求める権限はなく、また管理費を右訴訟に要する費用として支出することは許されないとして、右侵害排除の訴を提起して勝訴した区分所有者の管理者に対する弁護士費用等の不当利得返還請求を排斥した事例
韓国でなされた訴取下契約につき、当事者が日本法を準拠法とする意思であったと推認し、右契約の日本法による無効、取消事由の存否を判断したうえ、訴を却下した事例
工場内に設置された製麺機は、民法177条にいわゆる「土地ノ工作物」に該当するが、その設置、保存に瑕疵がないとされた事例
動産強制執行手続において執行官が適性かつ妥当な評価をせず、また著しく低廉な価額で競落を許可したことに違法があるとして国に賠償責任を認めた事例
1 デモ規制中の警視庁機動隊員が弁護士に暴行を加えたことを理由とする損害賠償請求が認容された事例
2 不法行為の成立を認定しながら弁護士費用の支出が右の不法行為と相当因果関係がないとした事例
1 キャッチボールに伴う死亡事故につき当時14歳の受け手とその父親の損害賠償の責任が認められた事例
2 授業時間以外閉鎖されている小学校の仮設グランド内で放課後発生した児童の死亡事故につき市の損害賠償責任が否定された事例
1 借家法所定の更新拒絶の通知期間外になされた更新拒絶の通知は無効であるが、更新後の賃貸借に対する解約申入としての効力が認められるとされた事例
2 右解約申入に正当事由が存するとされた事例
工作機械類の販売を業とする者が一般のユーザーから買受後間もない高額の工作機械を買取るにつき、それが所有権留保付売買により第三者に所有権が留保されているかどうかの調査を怠った過失があるとして、その主張する即時取得を認めなかった事例
国鉄職員が退職金を限度に銀行から直接融資を受ける際、退職金は国鉄共済から融資銀行に振込んで弁済に充てる旨の約定をした場合、右振込指定は破産法104条2号但書の「前に生じた原因」に該るか(積極)
いわゆる販売促進奨励金支払契約が贈与契約類似の契約であるとして、その任意の撤回並びに相手方の背信行為を理由とする撤回が許されないとした事例
建物の不法占有者が賃料名下に供託した金員を、建物所有者が還付を受けても、右の還付により新たに建物の賃貸借契約が締結されたとは認められないとされた事例
指定医療器具であるコンドームの自動販売機自体は薬事法39条1項所定の営業所の一部にすぎず、近接する店舗内に主たる営業所部分を有しこれに附置する方法などによらない限り右営業所とは認められないとして、右方法によらないでした医療器具販売業の届出を受理しなかった保健所長の措置に違法がないとした事例
1 終身定期金契約中に「双方協議のうえその額を増減できる」旨の特約があるのに、右協議がととのわない場合においては、当事者の一方は、裁判所に対し協議にかわる判断を訴求することができる
2 終身定期金契約に定められた協議にかわる判断を求める請求を認容した事例
いわゆる1項詐欺の起訴に対し訴因変更手続を経ずに2項詐欺の事実を認定したことは違法であるが、判定に影響を及ぼさないとした事例
鉄道踏切内で運行不能となったワンマンバスの運転手は、踏切支障報知器の押ボタンを押しに行く前に、まず乗客の誘導退避を行うべき業務上の注意義務があるとされた事例
1 道交法4条5項、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令所定の様式に含まれない規定標識の適法性(積極)
2 現場の状況と一致しない規制標識の効力
建造物内に燃焼器具を設置することを業とする者(ボイラー設置業者)において出火防止のため尽すべき施工上の注意義務の限度
補充立証を理由とする検察官の弁論再開申請を却下し直ちに無罪判決を言渡した原審の措置が刑訴法1条・313条1項に違反するとされた事例
瀬渡し業者は、やがて日没と満潮を迎え、風波が高くなるおそれのある時期に、翌朝日出後まで滞在予定の磯釣客を、満潮時や波の高いときには孤立し、かつ、夜間においては安全な隣接岩場へ渡る時期を逸するおそれのある岩場に上陸させて引き上げる場合には、同人に対し、その岩場の危険性を認識させたうえ、最初の満潮が到来する前の明るいうちに安全な隣接岩場へ渡るよう注意を与える業務上の注意義務があるとされた事例
総トン数267トンの漁船を厳寒期にソ連支配海域内の島嶼の海岸に突入させ、その船底部の約3分の1を砂利原に乗り上げさせたうえ、機関室内の海水取入れパイプのバルブを開放して同室内に約20トンの海水を流入させ、更に機関始動用圧縮空気をすべて放出する行為は、船体それ自体に物理的な破損を生じさせたものでなくとも、刑法126条2項の艦船破壊に該当するとされた事例