最も長い歴史をもつ判例実務誌
戦没学生の遺稿集をめぐって団体の構成員でもある個人と団体との間において編集著作権の帰属が争われ、新版を発行した学生出身校同窓会ならびに出版社の出版に関する権利が全面的に否定され、著作権の確認および編集著作権・編集著作者人格権の侵害に基づく複製頒布の差止・損害賠償・謝罪文の新聞掲載による名誉回復の各請求権が認められた事例
覚せい剤を没収するについて刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法2条2項に定める公告の方法が検察庁の掲示場における掲示で足りるとされた事例
弁護人の被疑者に対する接見の申出に対し速やかに日時等の指定をしなかった指定権限を有する捜査主任官等の措置が違法とされた事例
上下二つの宅地造成地からの出水のため土砂が流入して溜池が埋没し下段の造成者において溜池水利権者に補償した場合において、下段の造成者から上段の造成者に対する求償につき、上段の造成者の責任を、出水事故との相当因果関係として補償額の6割を認め、下段の造成者の過失として更に3割を減じた限度において認容した事例
パートタイマーの人妻と情交を継続した後、離婚した同女と正式に結婚したパート先の上司に対し、夫からの慰藉料請求が認容された事例
A所有の立木がY1からBへ、Y2の斡旋でBからXへ、それぞれ売却された場合において、Y1は故意による、Y2は過失による共同不法行為責任の成立が認められた事例
読売新聞社カメラマンのヘリコプター搭乗による新幹線架線事故取材に向う途中の墜落事故死について、遺族の同社に対する損害賠償請求が認容された事例
単位弁護士会の懲戒委員会の委員は国家賠償法1条にいう「公権力の行使にあたる公務員」にあたり、その所属弁護士に対する懲戒権の行使は弁護士会の公権力の行使にあたるが、国の公権力の行使にはあたらないとされた事例
府立高校の野球部員がその準備運動として校外でランニング中に発生した第三者に対する衝突事故につき、府の責任を否定した事例
1 いわゆる「共同絶交」の宣言が不法行為を構成し、これを教唆、幇助した会社管理職に損害賠償責任が認められた事例
2 右会社管理職の行為が「業務ノ執行ニ付キ」行われた場合にあたるとして、会社に使用者責任が認められた事例
3 被保全権利なしとして却下された仮処分申請について、過失がないとされた事例
旧国籍法施行当時出生により日本国籍を有する日本人女と中国人男との間に出生した子について、父母が婚姻したとは認められず、父からも認知されていないとして、同人は日本人女の非嫡出子として出生し生来的に日本国籍を取得しているとされた事例
1 外国人に対する在留期間更新不許可処分について効力停止を求める利益(積極)
2 外国人に対する在留期間更新不許可処分について効力停止を求める必要性がないとされた事例
3 外国人に対する在留期間更新不許可処分の取消請求を本案としその続行処分としての退去強制令書の執行停止を求める申立ては、法務大臣の特別在留許可を与えるに際しての自由裁量権を尊重する立場から、原則として許されない
公立学校で挙行される入学式、卒業式等でなされる君が代斉唱計画が「行政庁の公権力の行使に当たる行為」とはいえないとして訴えが却下された事例
死を目前にした男性が、過去10年間にわたり異性関係を持ち親身の世話をしてくれた女性を妻として迎え、自己の死後遺族年金の受給資格を得させたいとの配慮から婚姻の届出をした場合について、婚姻の意思を肯定した事例
離婚を求める本訴及び反訴請求をいずれも認容しながら、婚姻関係双破綻するにいたった責任は夫婦の双方が同等に負担すべきものとして、相互の相手方に対する慰藉料請求をいずれも排斥した事例
フィリピン共和国人である夫と日本人である妻との離婚事件につき法例30条により夫の本国法の適用を排除して日本民法によって妻の離婚請求を認め、離婚に伴う親権者指定についても日本民法によって妻を親権者と定めた事例
日本人女から韓国人男に対する離婚請求を認容するに当り、大韓民国民法909条を適用して父を親権者とすることが法例30条にいわゆる公序良俗に反するものとして、民法819条2項により母を親権者とした事例
1 妻がキリスト教信仰活動のため協力義務を尽さなかったことが離婚原因とされた事例
2 妻の有責行為による破綻後に他女と同居した夫からの離婚請求が認容された事例
戸籍訂正許可申立却下審判に対し抗告期間内に提出された「再審訴状」が再審抗告事件として立件受理された場合に、これを家審法14条の即時抗告と解した事例
電車軌道の踏切道を通過中の自動車と電車との衝突事故につき、右踏切道が警報機・遮断機の設備を欠いていても、工作物設置の瑕疵にあたらないとされた事例
タクシーの運転業務に従事していたアルバイト運転手の過労による居眠り運転事故について、アルバイト運転手が乗務に適した健康状態にあったかどうかの具体的確認を怠ったタクシー会社に民法709条の責任が認められた事例
跡目相続をめぐって反目していた暴力団の一派から殴り込みを受けた際、その首領を短刀で刺殺した行為が正当防衛に該るとされた事例
土木建築会社の副支店長が、自己の用途に費消するため、裏金作りに仮装して架空契約により会社に金員を支出させた行為が詐欺罪に該当するとされた事例