最も長い歴史をもつ判例実務誌
私立高校通学の子女をもつ親から、その負担する公立高校との学費の差額は、国会・内閣が、その裁量範囲を逸脱し、憲法26条、教基法に定める法的作為義務に違反したことに基づく損害であるとし、被告国に対してなされた国家賠償請求がいずれも排斥された事例
1 公有水面埋立法に基く埋立免許を得て行う公害対策基本法による水俣湾堆積汚泥処理事業の工事には仮処分は排除されるか(消極) 2 右事業の工事によって債権者らに水俣病被害が発生する蓋然性の疎明がないとされた事例
1 原裁判の上告審係属中に発見され、上告趣意書等に添付されて、上告裁判所がその内容を了知し、検討の対象としたとみなされる証拠の新規性(消極) 2 足跡痕に関する意見書、強取された万年筆に関する鑑定書及び意見書、姦淫行為の態様に関する意見書、死体遺棄の方法に関する報告書、自白調書に添付された図面に関する報告書、脅迫状の訂正前の日付に関する意見書その他の新証拠にいずれも明白性がないとして再審請求が棄却された事例
1 不渡異議申立手続の委託に伴う預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合と支払銀行が手形債権者に対して有する反対債権をもってする相殺の許否 2 第三者債務者が民訴法609条に基づき被差押債権の存在を認め支払意思を表明したことと相殺権の放棄
元売人が小売人に対し、所有権を留保して自動車を販売し、小売人が代金全部の支払を得て顧客にこれを転売した場合において、元売人が小売人の代金未払を理由として所有権にもとづき顧客に自動車の引渡を求めることが権利濫用にあたるとされた事例
金融機関が当座取引契約締結にあたり、相手方の信用を調査すべき義務は、これにより振り出された手形等の取得者に対する関係では一般的に存在しないが、相手方が不正の目的で右契約を締結しようとしていることが判明しているようなときには、事実により金融機関は不法行為責任を負うとされた事例
係争の契約が売買契約ではなく見込注文契約(projecting order contract)であると認定された事例
ゴルフクラブ会員のクラブに対する預託金の据置期間をゴルフ場開場まで延長する旨のクラブ理事会決議が、ゴルフ開場の見込のないのになされた関係上、預託金の返還を条件にかからしめることに帰着し理事会の権限をこえたものとして無効とされた事例
土地の賃貸期間満了が切迫した時点で申立られた建物増改築許可申立事件で地主が右期間満了の際正当事由により更新拒絶の予定である旨主張する事実においては、更新拒絶の当否についても可能な限り審究するのが相当である
非堅固建物の所有を目的とする土地賃貸借契約における20年の期間の定めが、前貸借人が使用した期間6年を合算したものであって当事者間における約定の期間は14年にすぎないこと認定し、借地法11条の規定を適用した事例
債権者が抵当物件の任意処分による取得金を法定の順序にかかわらず被担保債権の弁済に適宜充当できる旨の約定がある場合においても、債権者が弁済時に充当指定をせず、後日にいたって弁済時後の損害金に充当指定することは許されないとした事例
家賃値上請求事件につき、正常実質賃料が約定賃料の14倍強と認定される場合につき従来の賃貸関係等を考慮し、約定賃料の8倍の限度で請求を認容した事例
1 期間の定めのある建物賃貸借契約における賃貸人に一定の事由が生じた場合賃借人は解約申入後直ちに賃貸建物を明渡すことなどを内容とする解約権留保の特約が借家法3条違反として無効とされた事例 2 契約条項中に「一時使用」の文言を含む建物賃貸借契約が借家法8条所定の賃貸借に当らないとされた事例
不動産引渡命令に対し賃借権を主張して提起された、第三者異議の訴が賃借権の証明がなく、仮にそうではないとしても禁反言の原則に違反して違法であるとされた事例
不動産仲介業者から交付された実測図及びその指示等によって、買受け土地の境界が実測図どおりであると信じたとしても、実測図による面積と公簿上の面積に通常の縄延びの範囲をこえるひらきがあり、実測図上の地形と公図上の地形に著しい差異があるなどの事情があるのに、右境界の真否につき他の確認手段をとらなかった場合につき、右のとおり信ずるにつき過失がないとはいえないとした事例
建物賃借人が賃貸人との間で敷金返還請求権を放棄又は免除する旨の訴訟上の和解を成立させた場合、賃借人は、右敷金返還請求権に対する債権者に対し、右和解の効果をもって対抗することができない
立食式軽食店舗の賃借人が右店舗前面の土地上にテーブルと椅子を置いて営業したことが賃貸借契約の目的違反とならないとされた事例
1 建物の賃借人が賃料の支払を怠ったことが背信行為と認められないとして、賃料不払を理由とする賃貸借契約の解除を無効とした事例 2 鉄筋コンクリート造建物の老朽による建替の必要性の存在を理由とする賃貸借契約の解除につきその正当事由があるとはいえないとされた事例
借地の目的が中古車の展示場として使用することであり、事務所用建物等を所有することは従たる目的にすぎないとして、建物所有目的の賃貸借にあたらないとした事例
アパートの賃借人が、他の賃借人の迷惑となるような行為をしたのが、著しい信頼関係の破壊であるとして、賃貸人の無催告解除を認めた事例
乙名義をもって所有権取得登記の経由された不動産を丙が善意で買得した場合、甲が右不動産の所有者であり登記を乙名義にしたにすぎなかったとしても、甲は、乙が右不動産の所有権を取得しなかったことをもって丙に対抗することはできない
借地権の無断譲渡を理由として地主より借地契約が解除された後、右借地権譲渡契約が合意解除されても、右借地権譲渡に背信性がないとはいえないとされた事例
地代値上についての調停事件が前後50回に及ぶ期日が重ねられても成立にいたらず、賃借人がかつて供託していた地代が低額であり、しかも現在は供託していなど判示の事情がある場合であっても、いまだ賃借人に信頼関係を破壊する背信行為があるとはいえないとされた事例
賃貸人の承諾がないのにくみ取り式便所を水洗便所に改造したことに賃借人としての用法違反の義務違背がなかったと認められた事例
いわゆる「チケット販売」を行う事業協同組合との間で、数人が共同して職域団体加入契約を締結した場合につき、右団体加入契約者相互間における連帯債務負担の特約の存在を肯認した事例
無免許・酒気帯び運転の所為とその運転中に行われた追越しのためのはみ出し禁止違反、信号無視の各所為が併合罪の関係にあるとした事例
対立抗争中の組織的集団が国鉄駅構内で衝突した事態を目の前に見ながら依然その場に滞留し続けたが自らは実行行為を分担しなかった者について、同一集団に属する者らと暴力行為等処罰に関する法律違反、傷害、威力業務妨害の各罪につき共謀共同正犯が成立するとされた事例