最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 信教の自由と私法上の人格権 2 退職自衛隊員らで構成する団体の宗教的活動と殉職自衛隊員の妻の信教の自由 3 殉職自衛隊員を護国神社に合祀したことが政教分離規定に違反した不法行為であるとして、自衛隊員の妻からの慰謝料請求が、認められた事例
建築基準法56条の2の規制の対象外の建物建築につきそれから生ずる日照被害が受忍限度をこえるとして建築工事の一部禁止の仮処分を認めた事例
1 新産業都市建設促進法10条1項の規定に基き都道府県知事が作成する新産業都市建設基本計画は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか(消極) 2 地元住民の救済を要する、特段の事情が存在する場合には右基本計画策定の過程は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとしたうえ、右特段の事情の存在を否定した事例
建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合と建物所有権の帰属
1 薬事法12条にいう医療用具で同法2条4項、同法施行令1条別表第1の32に定める「医療用吸引器」の意義 2 薬事法12条にいう医療用具で同法2条4項、同法施行令1条別表第1の32に定める「医療用吸引器」にあたるとされた事例
被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があると判断してなした警察官の捜査及び検察官の勾留請求には違法の点はないが、被疑者について有罪判決を得る見込があると判断してなした検察官の公訴の提起・追行は慎重な証拠の評価を怠った結果によるものであって違法であるとされた事例
1 農地の買主が農地法5条の許可申請手続に協力しない場合において、代金の完済を受けた売主には売買契約を解除しうべき特段の事情が認められないとされた事例 2 農地法5条の許可を条件とする農地の売買契約について、当該農地が市街化調整区域に編入され農政局長から許可の見込がない旨の内示がなされても、これによっては売買契約は失効しないとされた事例
1 宗教法人の管長の職務の執行禁止を求める仮処分申請の可否(消極) 2 宗教法人の規則で管長の地位にある者をもって、代表役員に充てる旨定められている場合に、管長の地位は宗教上の地位であっても代表役員の地位の先決的地位であるとして、管長の地位の存否を判決理由中で判断することの可否(積極) 3 宗教法人の僧侶、檀徒からする代表役員職務執行禁止仮処分申請とその当事者適格の有無
1 失業者を失業者就労事業紹介対象者(以下「紹介対象者」という)から除外する旨の決定は、取消訴訟の対象となるか(積極) 2 公共職業安定所の職員に対する暴行等を理由として、紹介対象者から除外する旨の処分が、裁量権の範囲を逸脱したものとして取消された事例
知事のした入植名義変更許可により耕作者が変更されたのにもかかわらず、従前の入植者に対してなされた未墾地売渡処分が無効とされた事例
仮換地(変更)指定処分について審査請求を経たうえ取消訴訟を提起しても、換地処分に対する審査請求に対する裁決を経ないでその処分の取消訴訟を提起することができないとされた事例
頚腕症候群に罹患したとする労災給付申請につき、業務上の事由によるものとは認められないとして不支給決定をした労基署長の処分が適法であるとされた事例
日本へ不法入国後、不法入国者同志で結婚し3人の子を設けた原告ら親子5人に退去強制令書を発布した処分に違法はなく、特別在留許可を与えなかったことにつき裁量権の濫用はないとされた事例
1 ある種類の自動車の運転による違反行為を理由に、その者の有する全部の種類の運転免許を取り消すことができるか 2 運転免許取消処分の聴聞通知書の「処分をしようとする理由」には、累積点数の計算上含まれる全部の違反行為を記載しなければならないか 3 運転免許取消処分の聴聞通知書の「処分をしようとする理由」に最後の違反行為しか記載していない瑕疵があっても、聴聞手続で他の違反行為についても聴聞する等の事情があるため、右の瑕疵は治癒されるとした例 4 運転免許取消処分の聴聞手続を所定の職員に代行して主宰させる旨の公安委員会規程は適法か 5 権限ある公務員の認証文言と署名又は記名押印がなく、その代わりに裁決(決定)庁名下に公印が押捺されている方式の行政不服裁決(決定)書の効力
1 交通事故被害者の遺族が、加害者に対し損害賠償請求するのにあわせて、加害者の生命保険会社に対する保険金請求権を代位行使することができるとされた事例 2 保険金支払を求める将来の請求が認容された事例
陸上自衛隊の隊員輸送者と列車との衝突事故について、車長が国の安全配慮義務の履行補助者にあたるとして車長の注意義務違反による国の責任を認めた事例
航空自衛隊が野外訓練を終えて帰宅するため行進中、車との接触事故について、小隊長が国の安全配慮義務の履行補助者にあたるとして、小隊長の注意義務違反による国の責任を認めた事例
陸上自衛隊のトラックの特殊操縦訓練中の事故について、同教育訓練を担当した教官が国の安全配慮義務の履行補助者にあたるとした上で、注意義務違反がないとして国の責任を否定した事例
交通事故により左下腿開放骨折及び左股関節脱臼骨折を受けた被害者の左大腿切断について、その原因となった左下腿の壊死を免がれるための血管撮影、血管手術の実施を一般病院に期待することは困難であり、又速やかに専門病院に転送が行われても同手術の成功の可能性が低いとして、医師の責任を否定した事例
交通事故により受けた右手捻挫、両膝打撲の治療期間、治療費等の見込が不明で、損害額の具体的検討もなされず、保険金額も未定のままの状態で、被害者請求で支払われる自賠責保険金以外の賠償責任を負わない旨の示談契約が公序良俗に違反し無効とされた事例
メーカーとユーザーとの間に中間売買人が介入して取引がなされた場合においてメーカーがユーザーの指示により中間売買人との間で定められた納入場所と異る場所にした物品納入が債務の本旨に従った履行とはいえないとされた事例
商品の先物取引において仲買人が委託者から手仕舞の指示を受けた直後に手仕舞を撤回する指示を受けたときは、すでに手仕舞の取引に着手していたとしても、可能であるかぎり取引を中止しなければならないとされた事例
1 土地の売買契約について第三者による詐欺が認められた事例 2 隠れた取立委任裏書の裏書人に対する人的抗弁の被裏書人に対する対抗が認められた事例
1 「小倉」が氏姓としてありふれているとしても、標章「小倉屋」「をぐらや」は、昆布加工業界においては、十分な出所識別機能を備えているものとし、「小倉屋」の文字を含んだ商標を、称呼・観念を同一にする類似のものであるから、無効にすべきであるとした事例(審決取消) 2 旧商法(大正10年法)第2条2項の権利不要求は、いわゆる禁止権放棄の意思表示としての私法上の効力に関するものにすぎず、登録商標と牴触する商標の登録を排除する効力を放棄したものではないから、その申出に基き登録されても、商標の類似判断に当たっては、商標を全体として比較検討すべきである
一実施例によって発明の内容を限定してはならないが、特許請求の範囲が極めて機能的・抽象的にしか記載されていない場合には、元来そこに開示されていない技術思想を排除するためにも、図面及び明細書全体の記載を参照して、権利範囲を合理的に確定しなければならないとして、主として実施例を参酌して、構成要件を限定的に解釈した事例(侵害否定の原判決維持)
願書添付の図面にのみ表現された特定の事項が補正により考案構成の要件となる余地はあるとしても、一般に図面に示された事項が考案の要旨を限界づけるものとはいえない(拒絶審決維持)
ダイヤモンド合成技術の開示としては、原料、触媒、温度、圧力、装置等の要素を具体的に特定することが、必須の要件であって、これを欠いた出願時明細書のダイヤモンド安定領域の記載では開示不十分であり、温度、圧力の条件を追加補充した公告前の補正は要旨変更に当るとして、特許法40条により補正時に出願されたものとみなされ、同日前刊行の引用例により特許を無効とすべとして、審決を取消した事例
指定商品「化学実験用機械器具」なる補正は、その文字としては、商標法施行規則3条の別表10類中に記載されていないが、同別表10類の中分類「理化学機械器具」および小分類の「実験用機械器具」に属することが明かであるから、指定商品の特定に欠けるということはできない