最も長い歴史をもつ判例実務誌
訴を不適法として却下した判決に対する控訴審において、訴は適法であるが本案について理由がないことが明白だとして控訴棄却の判決をした事例
会社の代表取締役に就任することを承諾した甲が、右就任による取締役、代表取締役の変更の登記申請手続をなすことを従前の代表取締役乙に一任したとしても、乙は甲との関係で民法110条にいう「代理人」にあたらないとされた事例
株式会社が、その設立経過、経営の実態に照らし、代表者個人の従業員が発生させた交通事故による損害賠償債務を重畳的に引受けたものと認めた事例
被用者がなした不法行為がその権限外の行為であることを重大な過失によってこれを知らなかったことを理由に、使用者責任を否定した事例
国立公園内の山道に設置された柵の折損により登山者が谷川に転落死亡した事故につき、県に営造物責任を、国に国賠法3条の費用負担者としての責任をそれぞれ認め、なお右登山者につき4割の過失相殺をした事例
プリントハンカチの原画製作請負契約に基づいて供給された原画に瑕疵があったが、その瑕疵を看過して量産したハンカチ製造販売業者にも過失があるとして、ハンカチ製造販売業者の損害につき7割の過失相殺を認めた事例
本人所有不動産の登記済権利証、白紙委任状、印鑑証明書を所持する自称代理人と抵当権設定契約を締結するに当り、本人につき確認手続を怠るなど判示の事情が存する場合につき代理権ありと信ずるにつき過失ありとした事例
物品の売渡契約についてのみ代理権を与えられた者が右契約と同時に特定の場合における右物品の買取予約をした場合につき、両契約が密接不可分の関係にあったことなどを理由に表見代理の成立を認めた事例
建物の賃料の増額請求につき比準賃料と積算賃料を比較し、かつ当事者間の個別的主観的事情をも加味して適正賃料額を算定した事例
区住民の区長準公選制条例制定の直接請求に関して、選挙管理委員会の委員がその署名の審査方法について裁量権を逸脱して審査を遅らせたとして、区に対して、精神的損害の賠償責任を負わせた事例
他人の土地又は排水設備に通水する場合、損害の最も少ない土地又は排水設備にのみ通水することができ、更に、通水権利者の土地から公共下水道に直接排水することが科学技術上可能であるときは、この方法による通水権利者の損失と、前記通水による損害とを比較し前者が著しく多大なときに限って、他人の土地等に対する通水が許されるとされた事例
新聞記事及び週刊誌の記事による名誉毀損について、摘示された事実の主要な部分につき真実の証明があり、また、右証明のない摘示事実についても、取材記者・編集担当者に真実と信ずるについて相当の理由があるとして、不法行為責任を否定した事例
法務大臣が特別在留許可を与えなかったが、これまでの行政事例により形成された判断基準に反する場合でも、当然に違法の問題を生ずるものではないとされた事例
地方公共団体の長が地方自治法96条1項5号による議会の議決を必要とするのにその議決を経ることなく締結した契約について議会のした追認の議決の効カ
1 国籍法8条にいう「自己の志望によって外国の国籍を取得したとき」とは、真に志望取得の意思をもってなされたことが必要である 2 日本国籍を喪失した原因は国がその立証責任を負担すべきか(積極)
建築工事に伴う切土により一時的にがけ面を生ずるにすぎない場合は、宅地造成等規制法施行令3条にいう「がけを生ずることとなるもの」に該当しないとされた事例
1 土地収用法38条の解釈 2 原告が土地調書の記載に異議を述べその内容を調書に付記して署名押印することができたのにこれをしなかった場合、原告は係争地が原告の所有であることを立証しない限り、これが原告の所有地として収用の対象になっていないことに異議が述べられない
商法237条2項に基づいて少数株主が株主総会を招集するについて必要となる裁判所の許可を、仲裁判断をもって代置することができるか(消極)
会社の経理規定に違反することを理由としてなされた懲戒解雇が就業規則の解釈運用を誤ったもので解雇権の濫用に当るとした事例
被告らの代理人である保険会社の従業員と原告との間でなされた、交通事故による損害賠償の示談が、経済的に窮乏の状態にあった原告の法律的な無知を利用してなされたものであり、後遺症に基づく将来の逸失利益及び慰藉料が、裁判所の算定額の半額に満たず著しく低額であるとして、公序良俗に違反し無効とされた事例
1 アルサロのホステスとして客(被告)に飲酒等の接待をした原告が、勤務先の託児所に預けていた子供を迎えに行くために、被告運転の自動車に同乗させてもらって交通事故に遭った場合において、原告について自賠法3条の「他人」性を否定するのは妥当でないとされた事例 2 右の場合において過失相殺として原告の損害の2割5分が減じられた事例
受傷が原因で破傷風に感染した小学5年の男児(死亡)を診察した開業医に対する損害賠償請求事件において、医師の創傷処置不適切等の過失を肯定しながら、該過失と死亡との間の因果関係を否定して請求を棄却した事例
脳手術の結果、患者に右半身不全麻痺及び小脳性運動失調等の後遺症を発生せしめた事故につき、手術を決定し担当した医師の過失を認めた事例
整理計画案につき実行命令が出されたのちの整理会社との取引上の債権に基づく会社財産に対する仮差押は商法383条2項の規定によって禁止されない
引受欠缺のある新株につき共同引受けを擬制された取締役の一人が全額の払込みをなした場合でもその取締役が右新株全部の単独株主となるものではないとされた事例
証券会社が証券取引のある顧客から株券盗難の通知を受けた場合、証券会社は顧客のために盗難株券の回収を図り、換金を阻止する措置義務を負担するか(消極)
カーテンレールの出願意匠が、長手方向開口部において左右の対称性を欠いている点、その左右対称である登録引用意匠に対し、明確な識別性があるので類似しないとして、類似を根拠とする登録拒絶審決を維持した事例
出願意匠は、引用意匠と、目につき易くまた照明具としての機能上注目される全体の形状が多角状のほぼ球形である点共通しており、横ひごの表わし方の違いが、その共通点から生ずる印象を破るほどの差異を生じないので、類似するとして、登録拒絶審決を維持した事例
特許請求の範囲に「製造法」と記載されていても、明細書に工程の具体的内容、構成の説明、製造法自体の効用について何ら記載がないときは、物の発明とした審決に、発明の要旨認定の誤りはない