最も長い歴史をもつ判例実務誌
会社構内への通勤車両の乗り入れ及び駐車場利用の要件として任意対人賠償保険の加入を定めた社内規程につき、これを有効とした原審の判断を是認した事例
主債務について債務免除を定めた更生計画の認可決定があった場合と更生手続参加により中断していた保証債務の消滅時効の進行開始の時期
派出所内での事情聴取の際に警察官に暴行を加えた者に対して警察官がした実力行使が、制止として許される範囲を超えてはいるが、当時の情況からみて国家賠償法1条1項にいう「違法」があるとはいえないとされた事例
農地を目的とする売買契約等が締結された後に農地が宅地化された場合に、右農地(栗畑)が荒れていて農地法上の許可の必要性について当事者間に意識がなく契約の有効を前提に代金の授受等が行なわれたこと、宅地化したのは売主側で買主の関与がないことなど判示の事情があるときは、右宅地化により右契約は知事の許可を経ることなしにその効力を生ずる
内容証明郵便が名宛人方に配達されたが、当時在宅していた同居の親族が名宛人のかねての指示にしたがってその受領を拒絶した場合に、右郵便による意思表示が到達したと認められた事例
「賃料は5か年間据置くこととする。ただし、5年経過後は2年毎に15パーセントの範囲内において双方協議の上決定する。」との契約の趣旨およびその効力
譲渡担保権者が自己の債権者とさらに譲渡担保契約を締結した後においても、当初の設定者の債権者の強制執行を排除することができるとされた事例
会社の営業部長の名称を使用することを許された従業員が締結した契約につき商法43条の適用を否定し、民法109条の表見代理を認めた事例
三筆からなる共有地の分割に当り、これを一団とする現物分割に価格分割を併用し、かつ分割に必要な土地の合筆及び分筆登記を命じた事例
貸主の疾病による付添看護の必要性、目的家屋の老朽化、その他を理由とする建物賃貸借の更新拒絶及び解約の申入れにつき正当事由の存在が認められなかった事例
建設工事請負契約につき紛争が生じたときは建設業法による建設工事紛争審査会の仲裁に付する旨の仲裁契約の存在を理由に請負工事代金債務不存在確認の訴を不適法として却下した事例
1 勤務先の再審被告に損害を与えた娘婿の身元保証人として損害賠償を求められて敗訴した再審原告が、その請求の根拠とされた身元保証契約書は娘婿の偽造にかかるものであり、同人はその後右件につき有印私文書偽造の罪により有罪判決(確定)を受けているとして求めた再審の請求及び再審被告が前訴訟判決を債務名義としてなした強制執行によってえた配当金相当分の不当利得返還請求が認容された事例 2 印影の鑑定につき、再審において前訴訟と同一の鑑定人によって異なる結論が導き出された事例
土地付分譲マンションにおけるいわゆる駐車場専用使用権の分譲が、好ましいとはいえないが公序良俗に違反するとまではいえないとされた事例
新築された建物所有権の帰属 建物の建築工事において、下請負人が材料全部を調達して工事を完成させ、これを元請負人に引渡した場合において、注文者が、その完成引渡前に元請負代金の大部分を元請負人に支払い、かつ、その後元請負人からその引渡を受けたときは、右建物の所有権は、元請負人に帰属することなく、下請負人から注文者に直接移転したものと解するのが相当である
農林水産大臣が競馬法施行令2条2項に基づき日本中央競馬会に対してその設置を承認したいわゆる場外馬券売場の付近住民は、右承認の取消しを求める原告適格を有するか(消極)
収用の対象となる土地の所有権の帰属につき争いがあり、右帰属を明らかにする確実な資料が存しない場合において、いわゆる不明裁決をすることの可否(積極)
都市計画法21条1項に基づいて県知事がした都市計画道路の路線変更を内容とする都市計画変更決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか(消極)
1 建築基準法による建築確認処分の取消しを求めるにつき、近隣居住者は原告適格を有するか(積極) 2 建築主事は、建築確認をするに当たり、建築基準法及びこれに基づく命令、条例以外の他の法令との適合性まで審査する義務があるか(消極) 3 特定行政庁が建築基準法9条1項に基づく是正命令を発する前に、他の適切な是正措置を採ることの可否(積極) 4 建築主事による建築確認の審査は、書面審理で足りるとされた事例
責任能力のある未成年者が惹起した交通事故につき、親権者の監督義務懈怠の過失と事故との間に相当因果関係があるとされた事例
家庭裁判所の度重なる呼出に応ぜず、かつ自ら何らの主張、立証をしない抗告人が、抗告審において初めて主張、立証した場合、その主張及び立証が直ちに排斥できないものであるときは審理不尽になるとして原審判を取消、差戻した事例
一般雑貨の販売等を業とする株式会社がその営業部門の一部を分離して設立した新会社に対し、自己の旧商号、事務所、看板、記名用ゴム印、印章等を使用して営業をなすことを許諾した場合に、商法23条の責任が認められた事例
1 不動産仲介業者の事務管理による商法512条の報酬請求権が放棄されたものと認められた事例 2 不動産仲介業者の出捐により買主が得た利得を売主のためにする仲介活動の反射的利益とし、不当利得の成立を否定した事例
1 アメリカンプロフットボールのシンボルマーク(ヘルメットとチーム名・絵等の組合せ)が、不正競争防止法1条1項1号にいう商品表示に当るとともに、2 号いう営業表示に当るとされた事例 2 表示の本来の主体に限られず、これから表示の使用権を取得した使用権利者およびこれを中心とする再使用権者のグループでも同1、2号にいう「他人」といえる 3 同1号の混同とは、必ずしも実際に混同を生じたことを要せず、その恐れがあれば足りる 4 無断使用によって表示のもつイメージを稀薄化されれば、その顧客吸引力が弱まり、再使用権の売上げ減少となるので同法にいう営業上の利益を害せられることになる
1 地図の著作物性は、各種素材の選択、配列および表現方法を総合したところにある(著作権侵害否定事例) 2 新著作が独自に創作されたものであれば、結果的に他人の著作物と同一となっても、著作権侵害とはならない 3 新著作が他人の著作物を基本として作成されても、旧著作の著作物としての特徴が新著作の創作性のかげにかくれて認識されないときは、独自の著作物といえる
1 覚せい剤水溶液の注射施用を認定した原判決が、覚せい剤粉末の経口摂取を認定すべきであったとして破棄された事例 2 隠匿のため呑み込んだ場合も覚せい剤の「使用」にあたる
1 犯行の当初は誤想過剰防衛であったが途中から防衛行為に当たらない場合、行為全体を誤想過剰防衛であるとして刑法36条2項を適用した事例 2 犯罪の実行行為開始後に行為者が心神耗弱の状態に陥った場合、刑法39条2項を適用すべきでないとした事例
看護婦等の資格がない事務員が、ブドー糖と誤って届けられたフッ化ナトリウム等の混合粉末を受領のうえ、患者に調合・飲用させてこれを死亡させた場合において、右事務員及び開業医の業務上の過失がともに肯定された事例