最も長い歴史をもつ判例実務誌
小包爆弾を郵便物として差出し、取扱中の郵便局員を爆発により負傷させたとの爆発物取締罰則違反、殺人未遂に関連してその事前謀議に参加し、逃走犯人らの輪送を承諾しての各幇助したとの事案において、被告人の捜査段階および一審第一回公判における各自供や、これと符合する関係者の供述調書を信用できないとして一審の無罪判決を支持した事例
登記権利者及び登記義務者双方から登記手続の委託を受けた司法書士が登記義務者から登記手続に必要な書類の返還を求められた場合における登記権利者に対する委任契約上の義務
1 弁護人から被疑者との接見の申出があった場合に捜査機関のとるべき措置 2 弁護人の被疑者に対する接見の申出を拒んだ警察官の行為が国家賠償法1条1項にいう違法な行為にあたらないとされた事例
1 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における物上保証人と後順位抵当権者との優劣 2 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における後順位抵当権者の優先弁済権と登記又は差押の要否
1 地方議会議員の政治活動に関する新聞報道により名誉が侵害されたとして不法行為の成立が認められた事例 2 政治活動に関する新聞報道と取材にかかる事実が真実であると信ずるについての相当の理由の存否の判断の基準
本案訴訟が休止満了により終了したのちでも、再度本案の訴が提起されている場合には、仮処分取消の事情の変更があったとはいえないとされた事例
長年にわたって夫との不倫関係を継続しその間に婚外子をもうけた女性に対する妻の損害賠償請求が、夫の死後婚外子の認知請求を認容する判決があったのちに婚外子の夫の遺産に対する権利の主張を抑制することを目的として提訴されたものであるなどを理由として、権利濫用にあたるとされた事例
XのYに対するパイプライン埋設工事妨害禁止の仮処分が発令された後、YがXに対してなしたパイプライン埋設工事禁止の仮処分申請は、仮処分の牴触を来たし不適法として却下された事例
プロ野球選手(王貞治)の氏名権、肖像権に基づき、その立像、氏名等の表示されたメダル(ホームラン800号記念)の無断製造販売禁止の仮処分申請が認容された事例
訴提起後に被告の住所が不明になり原告の住所が変更したのにその届け出もせず3年余も放置し、裁判所の補正命令にも応ぜず公示送達の申立もしなかった事件につき訴を却下した事例
不動産売買仲介契約において特約された報酬額が、裁判所の裁量により、仲介行為の売買契約成立に対する貢献度に相応して減額された事例
訴訟上の和解によって賃料が増額された場合に、賃貸人は、増額された賃料と支払ずみの賃料の差額について借地法閣2条2項の利息を請求しうるか(消極)
商社が中間売買人として介入したいわゆる「つけ商売」であっても当事者間に売買契約の効力が発生するが、買主は中間売買人たる商社に対して目的物の引渡しがないことを理由に右売買契約を解除することは信義則上許されないとされた事例
市議会議員一般選挙において投票の一部が一時紛失したためこれの開票手続を実施しなかった選挙規定違反があったが、右紛失の状況、紛失票の内容に徴し、右違反が選挙の結果に異動を及ぼす虞がないものとされた事例
出入国管理令50条1項に定める特別在留許可について、一定の判断基準を設定することは事案にかなった適切な判断をなすことを妨げることになるから、一定の基準を設定しないことは憲法31条に違反しないとされた事例
事業所税の非課税を定めた地方税法701条の34第3項22号の規定は、高度化資金の貸付を事業所建物の建設のためではなく、敷地購入のために受けている場合であっても、適用がある
土地区画整理事業における建物除却工事完了を理由として右建物に係る移転通知及び除却通知についての不服申立てに対する裁決の無効確認を求める訴えの利益が否定された事例
1 事業認定申請書の縦覧及び起業地内の土地改良区管理者からの意見聴取に関する瑕疵の主張 が、右事業認定の取消しを求める被収用者の法律上の利益に関係のない違法事由の主張であるとして排斥された事例 2 土地収用法17条3項の規定に違反してなされた事業認定の効力(有効)
度重なる旅券の不正受給を行ない、前後3回にわたって不法入国をくり返すなど計画的な意図により出入国管理法令を軽視じゅうりんするに至っている場は、本案の特在不許可に違法はなく、申立は行政事件訴訟法25条3項後段に該当するとして却下された事例
労働基準監督官は労基法104条1項の申告に対応して調査などの措置をとるべき職務上の作為義務を負わないとして不作為による不法行為の成立を否定した事例
1 一次解雇の効力を争って仮処分申請の審理が係属中であり、解雇撤回をめぐって数次にわたる団体交渉をしたが、解雇撤回に関し双方の主張が相反する場合、労働者側において、会社側が交渉相手として指定した弁護士との交渉を避け、会社の業務担当責任者であるA副所長に解雇の撤回又はその為の団体交渉の再開を迫り、解雇された労働者単独で又は組合員らとともに、数々の業務妨害や、再三の暴行に及んだときは、これらが不当な一次解雇の撤回を狙いとしてなされたとしても、正当な組合活動とはいえず、その違法性は顕著であるとされた事例 2 就業規則に「会社の命令に反し」とあるのは、就労を前提とする業務命令に違反した場合のみならず、就労を前提とすることなく、専ら職場秩序の維持を目的とする命令に違反した場合をも含むと解された事例
会社と労働組合との間に会社本社移転先敷地内に組合事務所を供与する旨の抽象的な合意があっただけで具体的な合意も会社側の裁量による具体的指定もない間に労働組合が一方的に右本社敷地内に組合事務所たる建物を設置することは許されないとして右建物収去敷地明渡請求が認容された事例
業務上の災害により二つ以上の身体障害を受けた者に対する労災保険給付のための障害等級の認定につき、障害等級表上複数の障害等級に該当する身体障害であっても、全体的にみて1個の身体障害にあたるものと観念するのが相当であるとして、労災保険法施行規則所定の1級繰上げ認定を否定し、付随的身体障害は主たる身体障害の等級に吸収されるとの行政解釈の適用を肯認した事例
原職復帰を内容とする地労委の救済命令を形式的には履行しているが、実質的には履行していないものとして、使用者に過料30万円を課した事例
1 停車中のタクシーの運転手が通行車両を確認しないままドアを開けたため走行中の自転車と接触した事故(被害者が事故当時の記憶を失い、目撃者もないため警察で事故扱を受けなかった事故)について、タクシー会社の運行供用者責任を認めた事例 2 金属工芸作家の手指の運動障害後遺症について、労働能力喪失率を20%と認めた事例
1 夫婦が婚姻後に取得した財産の価額・妻の寄与率・婚姻期間・離婚後の扶養その他一切の事情を考慮して、夫が妻に対して支払うべき離婚財産分与の額は金300万円が相当であるとされた事例 2 夫の不貞行為・悪意の遺棄等の有責行為により離婚をやむなきに至らせた妻に対する慰藉料の額は、妻の年令・子の数・婚姻期間・婚姻破綻の原因等の事情を考慮して金200万円が相当であるとされた事例
1 妻が夫方の家業である織物の生産に従事しその財産形成に貢献したとして金56万円の離婚財産分与を認めた事例 2 夫と姑の嫁いびりにより妻が離婚のやむなきに至った慰藉料として両名に対し妻に金200万円を支払うよう命じた事例
不動産仲介業者の行為が単なる仲介斡旋申込の誘引にすぎなかったと認定して仲介委託契約の成立を前提とする報酬請求を排斥した事例
会社の経営を放任した代表取締役に職務懈怠の重過失を認め、名目的取締役及び監査役につき職務懈怠に故意又は重過失がないとした事例
1 登録商標「リーコリン」は引用登録商標「ニコリン」と類似しない(無効審判棄却審決維持) 2 より注意力を要求される専門家の需要に限られるような医薬品に使用されていることは、商標の誤認混同の恐れを規定する必要を減殺する要素となり得る
1 出願商標が登録要件を具備するかどうかの判断にあたって、過去における同種の商標登録出願について示された審査官の判断に拘束されるものではない 2 欧文字「NIPPON」と「Mer-cury」と図形とを組合せた商標からは「マーキユリー」の称呼を生ずるから、欧文字「MER-CURY」と図形とを組合せた引用登録商標と、それから生ずる 「マーキユリー」の称呼において共通し類似する(登録拒絶審決維持)
1 商標「ワイキキ」は、化粧品等の指定商品に使用すると、観光地ワイキキで生産・販売される生産品等であるかのように誤認させる恐れがあるから商標法3条1項3号、4条1項16号により登録事由を欠くとして、無効審判請求を却けた審決を取消した事例 2 商標法3条1項3号の商品の産地・販売地というためには、当該商品の産地・販売地として唯一の地であるとか、知名であることを要しない
優先権に基づく特許出願において、願書に最初に添付された明細書に、第一国出願明細書を翻訳する際ポリビニルアセタールをポリビニルアセタート(ポリ酢酸ビニル)と誤訳による記載があった場合について、これをポリビニルアセタールと補正することは、要旨を変更するものとして、却下を免れないとした審決を維持した事例
商標「スイングカスタム」からは、「スイングカスタム」の称呼のほか、「スイング」の称呼・観念も生ずるので、「スイング」の称呼・観念を生ずる欧文字「SWING」などからなる引用登録商標と類似する(登録拒絶審決維持)
矢じり状の図形に組合わせた円輪郭内にローマ字Kを組合せた商標は、同様の図形内にローマ字Dを組合せた登録引用商標と離隔的に考察すると紛らわしく、外観上混似する(登録拒絶審決維持)
実用新案法・商標法等の改正により改正法施行前に出願したものの権利に関する登録料を増額納付させても憲法に違反しないとして、登録料返還請求書不受理処分の取消を求めた訴を却けた事例
1 米、小麦の粉、餅などを素材とせず、餡をそのままかためただけのものでも、旧商標法施行規則15条43類所定の「菓子」に該当するか(積極) 2 「★」なる標章と「金太郎」その他の商標の類似性(消極)
代理店契約の解除により、被告代理店が、原告から許容されていた商標「東急フレックスホーム」を含む商号の使用差止ならびに抹消登記を命じられた事例