最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 死亡した幼児の財産上の損害賠償額の算定と将来得べかりし収入額から養育費を控除することの可否(消極) 2 将来得べかりし利益を事故当時の現在価額に換算するための中間利息控除の方法とライプニッツ式計算法
町選挙管理委員会が公職選挙法22条2項の規定に基づく選挙人名簿の登録の際に調査の疎漏により被登録資格の確認を得られない者を登録した瑕疵と選挙無効の原因である選挙の規定違反の成否
1 検察官が被告人の利益のために控訴をした事件と刑訴法402条にいう「被告人のため控訴をした事件」 2 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律5条1項違反の罪が反復累行された場合
判決の評議、判決草稿の作成等のため必要があるとして、当事者の記録閲覧申請を拒絶した裁判所書記官の措置が相当とされた事例
仮差押事件が仮差押申請の取下により終了しても、本案訴訟が係属中である場合には、訴訟が完結したとして担保取消決定を求めることはできないとされた事例
無権代理人の作成した公正証書の効力を否定できず、強制執行を受けることを免れえないものと考えて、右公正証書に記載の債務を分割弁済することを約したとしても、これをもって無権代理行為を追認したものといえないとされた事例
宗教法人(本願寺)から、その宗務総長に対する、宗務総長が代表役員の意に反して所轄庁から返還を受け所持している同寺規則変更認証申請書その他の1件書類の引渡請求が認められた事例
建物が存在しない土地の賃借人が土地譲受人の占有を侵奪して建築した建物について所有権保存登記をしたとしても、建物保護法1条の「土地ノ上二登記シタル建物ヲ有スルトキ」にあたらないとされた事例
共同相続人の一人の単独相続による所有権移転登記をするために他の相続人が事実に反する特別受益者証明書を交付した場合と持分権の贈与
前胸部痛、上腹部痛及び食道の通過障害の自覚症状があり、医師から内科的な治療ができないので手術をするように告げられていた事実と保険契約締結にあたって告知すべき重要な事実
第一審で無罪が確定した窃盗被告事件の公訴提起につき、被告人が盗品である自動車を所持したというような判示の如き情況証拠から、犯人と目し有罪判決を得る見込みがあると判断した検察官に合理的な根拠があったとして、国家賠償が認められなかった事例
清貧の誓願をした神父に対する会の貸金債権は、神父が教会から除名され、財産の管理及び使用・収益に関する制約が解かれたときに履行期が到来したものとみるのが相当であるとされた事例
貸金業者は、貸付に当り、借受申込人と借受申込名義人との同一性確認につき、単に、借受申込人との面接、印鑑証明書と担保物件の保証書の存在及び借受紹介者の言を信頼したのみで、それ以外に直接同一性確認の手段を講じなかったことは、貸付に過失がある
家主が住宅金融公庫からの貸付金を繰上償還したことにより家賃の額について公の規制を受けなくなったことについて右家主に責に帰すべき事由がないとされた事例
廃棄物処理法14条に基づく許可処分が遷延したことを違法としながらも、損害の発生が認められないとして請求を棄却した事例
個人タクシー協同組合の総会の席上で専務理事が他の理事を誹謗中傷した事案につき70万円(請求300万円)の慰藉料支払を命じた事例
借地契約の締結に当り地主が借主から更地価格の7割を基準とする金額を徴しているなどの事情があるときは、契約当初予見できなかった特段の事情がない限り期間は更新されるものとするのが当事者の意思と解されることその他を理由として更新拒絶の正当事由を認めなかった事例
高齢で健康のすぐれない賃貸人が日用雑貨商に転業し、かつ子供夫婦と同居する必要があることその他を理由としてした解約申入れにつき正当事由が認められないとした事例
1 飼い犬(闘犬)を他人が無断で散歩に連れ出して咬傷事故を起こした場合に、飼い主について民法718条1項の責任が肯定された事例 2 飼い犬(闘犬)による咬傷事故についての、飼い主の内縁の妻について民法718条1項の責任が否定された事例 3 飼い犬(闘犬)による咬傷事故について、公権力の行使に当たる警察の作為義務違反が否定された事例
土地改良区の管理する農業用水路が、付近の都市化により、都市下水路としての機能が8割、農業用水路としての機能が2割になった場合と国家賠償法3条1項の費用負担者
1 幼児が道路から農業用、消防用の溜池に転落、溺死した事故につき、道路管理者および溜池の管理者に対し、その管理に瑕疵があったとして国家賠償法2条1項による損害賠償責任を認めた事例 2 右事故につき幼児の母親に監護上の過失を認め、3割の過失相殺をした事例
1 小学3年生の男児が校舎3階廊下窓際の下足箱の上にあがり窓を横切って設けられている鉄棒に後向きに腰を掛けて遊んでいたとき体のバランスを崩して窓外に転落して死亡した事故につき公の営造物の設置及び管理上の瑕疵があるとされた事例 2 日本学校安全会から支給される死亡見舞金は損害填補の性質を有するか(積極)
1 バトミントンセットのラケットが構造自体柄が握り手から抜け易い欠陥があり、しかもその欠陥は容易に発見することができたとして、ラケットの構造的欠陥と事故との間に因果関係を認めた事例 2 売主は買主の生命、身体、財産上の法益を侵害しないように配慮すべき義務を負っているか(積極) 3 関税法84条の公売処分の中での税関長の貨物の買受人に対する関係
小学校6年生の体育の授業としてのサッカー競技中に生徒がボールにより負傷した事故につき、教諭に指導上の過失がないとされた事例
1 港湾は国賠法2条1項にいう「公の営造物」に該当するか(積極) 2 港湾内の砂浜に近接した海底を浚渫により水深5メートル余の断崖状の深みとし、児童を水死に至らせた事故につき、公の営造物の管理の瑕疵が認められた事例
婚姻を条件に書面によらない不動産の贈与契約がなされ、婚姻が成立した場合には、負担付贈与の負担が履行されたものとして以後右贈与の取消ができないものとされた事例
1 民間血液銀行の平均審査期間(376日)をはるかに超え、申請後814日を経て許可された場合は、そのような長期間を必要とする特段の事情がなければならないとされた事例 2 買血から献血への血液行政の転換期において、行政指導に前後を通じていくらかの変動が生じ、また行政指導に直接の法的根拠がないとしても技術上行政上の観点から行政指導に委ねられているとみられる場合は、違法ではないとされた事例
1年8月の業務停止の懲戒処分の告知後確定前にさらに弁護士業務を行なった弁護士に対して新たに2年の業務停止の懲戒処分が認められた事例
公有水面埋立工事が完了して住宅地域となりつつある埋立地を原状の海面に回復することは社会通念に照らし法律上不可能であるとして公有水面埋立免許処分の取消しを求める法律上の利益が否定された事例
胸腔に充填された合成樹脂球を摘出等する手術後に体幹両下肢対麻痺を来した場合につき、右手術を施行した医師らの過失が否定された事例
被相続人の死後において、祭祀をめぐって縁故を持つに至った者は、寺院等特段の関係にある者は別として、民法958条の3の規定にいう「被相続人と特別縁故があった者」に当らないとされた事例
推定相続人が被相続人の居住する土地・建物を第三者に売渡して立退かせたり、被相続人に対し仮処分を申請し訴を提起したことなどが、「著しい非行」、「虐待」、「重大な侮辱」にあたらないとした認定に審理不尽の違法があるとされた事例
代表取締役が他の代表取締役に経理面の業務執行を任せきりにしたとして商法266条の3による損害賠償責任が認められた事例
共同代表取締役の1人が他の共同代表取締役の職務上の不正行為の防止を怠ったことを認定したうえ商法第266条の3の責任を否定した事例
1 被控訴人(被告)の使用している「Mac」または「マック」を主要部とする標章が、控訴人(原告)側の製造・販売にかかるハンバーガーの商品表示として周知性を備えた「マクドナルド」「マツク」などの標章と、称呼・観念において類似しており、販売方式が違っていても混同を生ずる恐れがあるとして、いわゆる商品主体混同行為が認められた事例 2 登録商標の専用権の範囲を越えた類似範囲にある標章の使用は、不正競争防止法6条の商標法による権利行使とはいえない
発泡スチロール製容器入り即席食品の製造における、合成樹脂のフイルムで密封包装する技術(実用新案権)を、無効とした特許庁の審決が維持された事例
特許法44条1項(昭和45年法律第91号による改正前のもの)で規定されている分割出願は、もとの出願の特許請求の範囲に記載されている発明についてだけ許されるのではなく、明細書の発明の詳細な説明または図面に記載されている発明についても許されるのであって、このことは出願公告決定の前後を通じて変らないとされた事例
商標登録出願についての指定商品の一部放棄は、出願によって生じた権利の放棄であって、権利存続を前提とする補正とは性質を異にするから、設定登録まではいつでもできる。そしてその放棄は出願人の一方的な意思表示であるから、その放棄書の不受理処分があったとしても、特許庁に到達することにより効力を生ずる(これによって引用商標との指定商品の同一類似関係が解消されたとして登録拒絶の審決を取消した事例)
1 テープ無断増製等の行為が、演奏者の有する楽器演奏の録音権を侵害するものとしたが、その態様、双方の社会的知名度の比較などから、人格権侵害は否定した事例 2 録音権侵害による損害額を、過去における演奏の録音許諾料を参照して認定し、さらに弁護士費用の全部を損害とした事例