最も長い歴史をもつ判例実務誌
電力会社が大阪府に対し、住民提起の新発電所建設禁止等請求事件において火力発電所付近住民の健康調査に基づき大阪府が作成したアンケート調査票、問診表等の文書提出命令を求めることができるか(消極)
河川の氾濫により被災した住民が提起した国家賠償請求事件において、被告県に対し同被告が水害発生以前に行政庁の内部資料として作成した、右水害発生以前の当該河川の流下能力等の調査結果が記載されている河道計画調査報告書等の提出命令を求めることができるか(積極)
職務質問及び交通の危険防止のため自動車の窓から手を差し入れエンジンキーを回転してスイッチを切り運転を制止した警察官の行為が適法とされた事例
建物収去土地明渡請求訴訟で敗訴した被告がその判決に対し建物買取請求権の行使を理由として請求異議訴訟を提起したが、その主張を許されないとして排斥された場合において、別訴により右買取代金を請求することができるか(積極)
売買契約による所有権取得を理由とする建物所有権確認請求と右建物はそれ以前に請負契約に基づく完成及び引渡しによって所有権を取得していたことを理由とする建物所有権確認請求とが請求の基礎に変更がないとされた事例
原抵当債務者に対する転抵当権設定の通知は転抵当権者が転抵当権設定者(原抵当権者)に代位してすることが許されるか(消極)
建物の賃貸借契約を締結する際予め将来の合意更新時に一定額の更新料を支払う約定がなされていたが、賃貸借が法定更新された場合に、右更新料の支払義務が肯定された事例
競落不動産の引渡命令を求める申立てを却下する決定に対しては、民事訴訟法558条の即時抗告の方法により不服を申し立てるべきであって、同法544条の異議を申し立てることはできない
1 借地法8条ノ2第1項の許可申立には同条第2項の許可申立を含む 2 実際に改築する建物が同条1項の許可で予定された建物と異なってもその許可の裁判の趣旨に反しないとされた事例
いわゆる預託金会員組織のゴルフクラブにおいて、クラブ側が会員に対して示した開場予定時から1年半以上経過してもゴルフ場を建設することができず、会員に対する同施設の提供義務を遅滞している場合には、会員は入会契約を解除して、預託金の返還を求めうるとした事例
宗教団体による浄霊と称する心霊療法により死亡したとする不法行為による損害賠償請求が消滅時効完成を理由として排斥された事例
土地の買主から所有権移転登記手続を委任されながらこれを怠り第三者の代理人として右土地を売主から買受け所有権移転登記を経由した場合右第三者について不動産登記法5条の準用の有無(積極)
競落許可決定に対し即時抗告の申立がなされ競売申立債権全額及び執行費用全額の弁済供託書が提出されたときは競落許可決定を取り消すべきか
弁護士が受任事件につき作成したメモの記載に信憑性があること、和解の成立に判示の事情があること等に照らして訴訟上の和解条項に記載されていない口頭による債務免除の合意を認めた事例
約21年間電気熔接作業に従事し紛じんを少しずつ吸入し続けた者が、転職し新会社でさらに1年7ヵ月間同作業を継続し、いわゆるじん肺に罹患した場合につき、新会社に安全保護義務違反による損害賠償責任を認めた事例
1 地代家賃統制令施行規則11条にいう事業用部分の面積の測定と不動産登記法施行令8条の適用の有無(消極) 2 裁判所が地代家賃統制令10条により統制額を超える賃料額を定める場合の基準
工場密集地域にある企業は、企業活動にとって良好な環境を享受し支配する企業環境権を有し、これに基づいて府営住宅建設の差止請求ができるか(消極)
端的に遺言の無効を前提とする現在の権利関係の確認の訴を提起できるときは、遺言無効確認の訴の利益はないとして訴を却下した事例
地番を誤った字図写に、その作成者として司法書士事務所のゴム印と職印の押捺がある当該司法書士は、書類作成上の過失若しくは右ゴム印、職印の管理義務違反の過失を免れない
1 車輌制限令12条の認定は裁量行為か(消極) 2 車輌制限令12条の認定を一時留保した道路管理者の措置についてその違法性が阻却された事例
クラブの経営者とホステスとの間で締結された指名客の飲食代金をホステスの責任において支払う旨の契約が公序良俗に反し無効とされた事例
1 公労法17条1項の適用にあたって、争議行為の影響の有無、程度いかんは合憲性の判断、処分の適否そのものを左右するものではなく、事情により処分権者の裁量権の濫用の有無を判断するための一資料になるにとどまるとされた事例 2 公労法の適用を受ける公共企業体における争議の影響を直ちに物理的に測定できる企業体とそうでない企業体があるところ、後者の企業体にあって、争議関係者に対し処分をせず或いは重くない処分のまま放置することは、その積み重ねがいつしか重大な影響の発生へと発展しかねないとも限らないとされた事例
交通事故による損害賠償額の算定に当り、被害者が支給を受けた自賠責保険金及び労災保険給付金は、損益充当する際には、全損害に対するてん補がなされたものとして取り扱うのが相当である
自動車を他に売却して引渡しを了したが代金がいまだ完済されず登録名義が変更されていなかった場合について登録名義人の運行供用者責任が否定された事例
共同不法行為者の1人が第三者に対する損害賠償債務を弁済したことにより他の共同不法行為者に対して取得する求償債権の消滅時効期間(10年)
従前振出された手形につき書替手形を振出し、又は従前の手形の満期欄を訂正して従前の手形を延期することは、延期後の手形の不渡りによる損害を発生させるものではないとされた事例
自動車のディーラーがサブディーラーに対する留保された所有権に基づきユーザーに対して自動車の引渡しを請求することが権利の濫用にあたるとされた事例
個人企業である不動産業者から他人所有名義の不動産を買受けるに当り不動産業者を売主とする売買契約をその代理人との間で締結したこと及びその本人を確めなかったことが名板貸人を営業主と誤認するについての重大な過失に当らないとされた事例
1 発明の構成の一部をなす機構が、当業者にとって自明なこととして読みとれるような事項に属するときには、明文の記載がなくとも、実質的に明細書に記載されているものといえるから、それが原明細書に記載がないことを理由に分割出願を不適法とすることはできない 2 分割後の特許発明と原特許発明との対比による異同について、審判における審理・判断を経ていない以上、審決取消訴訟でこれを判断する限りではないから、その事由による無効審決維持の主張は許されない