最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 職務質問に附随して行う所持品検査の許容限度 2 職務質問に附随して行う所持品検査において許容される限度をこえた行為と認められた事例 3 押収等の手続に違法のある証拠物とその証拠能力 4 押収手続に違法のある証拠物について証拠能力が認められた事例
1 騒擾罪の成立に必要な共同意思の要件 2 騒擾罪の成立に必要な共同意思が認められるとされた事例 3 騒擾の率先助勢の成立要件 4 騒擾の率先助勢が成立するとされた事例 5 憲法37条1項の迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態が生じていないものとされた事例((イ)、(ロ))
政治的団体に対する地方公共団体の補助金の支出が地方自治法232条の2にいう「公益上の必要」に基づくものであるとされた事例
公共企業体労働関係法(昭和27年法律第288号による改正前の昭和23年法律第257号)16条にいう「公共企業体の予算上不可能な資金の支出」の意義
仮差押の本執行移行後に強制執行手続が民訴法656条2項により取消されたが、仮差押登記が抹消されていない場合に、仮差押債権者は、仮差押後第三者に譲渡された不動産を仮差押債務者の物として再び執行の申立をすることができるか(消極)
倒産に瀕している会社の債務を会社と共に支払うことを約したことが連帯債務を負担したのではなく重畳的債務引受をしたものであると認定された事例
1 借地上に存在する一部の建物のみが競落された場合において競落人の取得する借地権の範囲 2 借地権者は直接借地権に基づき妨害排除を請求しうるか(積極)
宗教法人の規則に「責任役員は、自己と特別の利害関係にある事項について議決権を行使できない」旨の規定がある場合において、責任役員は自己を代表役員に選任する決議に参加することが許されるか(積極)
小切手の取立委任を受けた銀行が職員の過誤により当該小切手の不渡にもかかわらず預金の払戻請求に応じた結果、取立委任者が小切手の原因債務の保証人に対し債権証書等を返却してしまった場合における銀行の損害賠償責任の成否
滌除権者たる第三取得者に対する抵当権実行通知の到達後1か月を経過しないうちになされた競売手続につき、第三取得者が競売手続の無効を主張するには、先ず滌除の意思表示をなすを要するか(積極)
厚板角材を臂力で運搬し輪場に立てかける作業の遂行中に生じた事故につき、作業に当っていた従業員の過失を否定する一方、安全措置を講ずべき義務の違反があったとして事業主の損害賠償責任を肯定した事例
勧奨退職の対象年令が「60才以下の者」と定められている場合において、明治45年4月1日生れの者が満60才に達するのは昭和47年3月31日であるとして、昭和48年3月31日の依願退職に際し勧奨退職の優遇措置が講じられなかったことを適法とした事例
賃貸借の目的家屋の焼失を理由として右家屋の時価相当額の損害の填補を受けた賃貸人から賃借人に対して賃料相当損害金の賠償を求めることの当否(消極)
消費貸借の締結にあたった代理人が本人の了解を得て借受金を直接受領して費消した場合において、右契約が無効とされたときの貸主に対する不当利得返還義務者
1 不動産のあっせんの受任者が仲介手数料以上の利益を図るため売主の売値に自己の利益分を上乗せした価格で売買を成立させた場合における債務不履行の成否(積極) 2 民訴法198条2項に基づく損害賠償請求権が別訴により行使された場合にこれを受働債権としてなされた相殺の適否(積極)
甲が乙に対して負担する債務の支払を丙に対してなすことを乙から委託され、右委託の趣旨が丙の乙に対する債権担保であることを知りつつこれに応じ一部丙にその支払をした甲は、その後乙が委託を取消したため残金を乙に支払ったことを理由に、丙に対する支払義務を免れることができるか(消極)
知事の許可を条件としてなされた売買契約は、その後農業振興地域の整備に関する法律6条・8条3項による知事の指定がなされたとしても、条件の不成就により失効するものではないとされた事例
宗教法人の責任役員会議の決議の無効確認を求める訴は、株主総会の決議無効確認の訴に関する商法252条の規定の類推適用により許される
最高価競買人らと執行官が合意して、事実に反し、最高価競買人及びそれ以外のものを共同の最高価競買人として取扱うことは、それ自体競売手続の公正を害する行為であって、右の取扱いを受けたものは、全て最高価競買人たる資格を有しない
1 給与取得者の逸失利益の算定にあたっては、不法行為のときから口頭弁論終結のときまでの所得については、その間の確実視される昇給は、それが実質的昇給か名目的昇給かを問わず、これをそのまま加味するが、口頭弁論終結以降の所得については、実質的昇給のみを加味するのが相当である 2 逸失利益の算定にあたっての中間利息控除をホフマン式で行うかライプニッツ式で行うかは、裁判所が、当該得べかりし利益の得べかりし時期、期間、その算定基礎の確実性ないし算定方法等を考慮して、その裁量によってこれを決しうるものである
1 抵当権設定者が抵当地上に建物を再築した場合につき法定地上権の成立を認めた事例 2 建物再築による法定地上権の存続期間は、旧建物の存続を仮定してその利用に必要な期間に限るべきものとし、その存続期間と地代の額を定めた事例
1 登記の推定力に関する反証に詳細な検討を加えたうえ、これを排斥した事例 2 遺産を通常の共有にするという方法で分割する旨の暗黙の遺産分割協議が成立したと認定された事例
信用保証協会が金融機関経由の保証申込につき当該金融機関から送付された調査書等を机上調査した結果主債務者たるべき者が保証条件に合致すると誤信するにいたった事案につき、要素の錯誤の抗弁を容れ、重過失の再抗弁を排斥した事例
地主に存する土地の必要性は営業の合理的遂行によって解消される態のものであり、借地人に存する土地の必要性を考慮すれば、立退料1000万円及び2年間の明渡猶予の呈示をもってしても正当事由は補完されないとして借地法6条2項の異議の正当事由を否定した事例
土地賃貸人の居住土地の一部が道路用地として収用される予定である場合に、それに対する損失補償がなされるべきことを考慮して、借地期間満了後の土地使用継続に対する異議に正当事由がないとした事例
建材店に存する木材並びに製材品その他一切の商品についての譲渡担保契約が目的物件の特定性を欠くことなく有効とされた事例
境界を越えて、隣接する他人の土地まで掘削した事件につき、掘削工事請負人の不法行為責任を肯定し、注文主の責任を否定した事例
継続的商品取引契約に基づく債務の連帯保証(根保証)契約につき身元保証法5条の類推適用を肯定したが、同条所定の責任制限を認めなかった事例
1 投石を避けるため両手で頭を抱えていた者を警察官に対する投石者と誤認し、公務執行妨害罪により現行犯逮捕したことを違法とした事例 2 被疑者が警察官に投石した旨の目撃警察官の供述を信用してなされた勾留請求および公訴の提起を違法とはいえないとした事例
地主がした土地明渡請求の必要性は、現有建物の増改築によって賄えるものであり、借主側の事情を考慮すれば明渡料1000万円の呈示によっても正当事由が補完されないとして借地法6条2項所定の異議の正当事由を否定した事例
隣接した建物建築による生活利益の侵害(工事中の騒音震動による生活妨害、日照・採光・通風の阻害・圧迫感)による損害の賠償請求を否定した事例
賃貸借期間を3年5か月に限定した理由が明渡猶予期間の趣旨でもなく、また一時使用として期間を限定すべき必要性も理由も認められないとして、一時使用の賃貸借を認めなかった例
値上げした家屋賃料額の確認を求める訴訟において、賃貸人の主張する賃料債権を受働債権とし、賃借人が支出した必要費償還請求権を自動債権とする相殺の抗弁を提出することができるか(消極)
マンション敷地の一部につき独断で門扉を拡幅するなどして駐車場とした居住者がマンションの分譲契約および管理規約に基づき原状回復を命ぜられた事例
建物の区分所有に関する法律17条2項に基き職務を行うに適しない事情ありとしてなされた管理者の解任請求が認められた事例
印刷・製本会社の「ナラシ機」の補助者として本の取り出し作業に従事していたアルバイト大学生が「ナラシ機」の圧縮板に右手示指をはさまれ欠損するという事故につき、会社に安全保護義務違反があるとして損害賠償責任を認めた事例(過失相殺20%)
仮処分申請につき申請人が故意に虚偽の疎明方法を提出したため、弁護士に事務処理の委任を余儀なくされたとして、これに要した費用の賠償を求めた事案につき、疎明方法が虚偽と認められないとして請求を棄却した事例
中古品の洗瓶機を購入した場合同機に水漏れという瑕疵が存していても右瑕疵により直ちにその売買契約がその目的を達することができないとはいえないとされた事例
舞台装置の設計図を無断複製して業務上に使用したことにより著作権を侵害したことによる損害額を、設計料相当額として、制作物全体の価格の5パーセントとした事例
根抵当権設定登記申請書には、債権極度額の記載があったのにかかわらず、登記官が登記の記入に際し、極度額の記入を遺漏した場合であっても、極度額が更生されない以上、根抵当権者は、根抵当権を第三者に対抗しえないとされた事例
1 妻が夫の事業の収益金から架空名義で銀行に預け入れた定期預金を後に夫に無断で解約し、これを妻の通称名義の定期預金に振替えた場合、右預金債権は妻に帰属するか(消極) 2 夫婦一方の名義による預金債権について夫婦共有の推定を銀行に対し主張することができるか(消極)
児童が農業用溜池に転落、溺死した事故につき、溜池を所有管理する者に設置、保存上の瑕疵はないとして、損害賠償責任が否定された事例
複数の債権者が1人の債務者に対して有する別個の債権を担保する目的で債務者所有の不動産について売買予約を締結した場合、債務者に対する売買予約の意思表示及びこれに伴う売買予約目的物権の明渡、移転を求める訴の提起は複数債権者全員によって共同行使されるべきものであるから、かかる訴は必要的共同訴訟であると解すべきだとされた事例
県道の改良工事のため土地の一部を任意売却した場合は、残地につき道路面と1.5メートルの段差を生じたとしても、収容手続に準じて損失補償を請求できないとされた事例
刑務所長が受刑者にその釈放の前日まで使用を許可していた雑記帳を検査するため受刑者の釈放後も雑記帳を留置したことが違法であるとして国家賠償責任が肯定された事例
ビルの建設工事のため下請人に雇傭されていた作業員の転落死亡事故につき、元請人も下請人とともに作業員に対し雇傭契約上の附随義務としての安全配慮義務を怠ったとして損害賠償請求が認められた事例
深さ0.5ないし0.9メートルの公園修景池に、転落防止用の柵が設けられていなかったことが、営造物の設置または管理の瑕疵に当たらないとされた事例
借地416.52平方メートルのうち物置、犬小屋および樹木の存在する122.52平方メートルにつき、借地期間満了後の土地使用継続に対する貸地人の異議に正当事由があると認めた事例
不動産強制競売申立事件において執行裁判所が公課証明書等に基づき対象不動産を執行債務者の所有に属すると判断し、競落許可決定を言渡したことに過失はないとした事例
2103名の組合員を擁した労働組合より233名の組合員が離脱して新組合を結成した場合において、新組合より旧組合に対する旧組合財産の分割請求が認められなかった事例
弁護士法23条の2に基づく報告請求に対する拒絶処分の取消し及び右拒絶処分に対する監督権の発動を日弁連が拒否したことの取消を求めた訴訟につき、出訴を許容する明文を欠き不適法であるとして訴を却下した事例
抵当権付貸金債権につき差押・転付命令が第三債務者に送達されるより前に右債権が確定日付によらずに他に譲渡され、右命令が第三債務者に送達された後に抵当権移転につき付記登記が経由された場合の対抗関係
学校法人が土地所有権を取得した際に同土地の賃借人に対し賃料の改訂をしない旨の約束をしていた場合において、公租公課等の上昇による増額賃料をいわゆるスライド方式によって算出した事例
融雪水により放牧・採草地内に深さ約1メートルの水溜りが出現した場合において転落防止用の柵を設ける義務がないとされた事例
児童の投げたスレート片が遊び仲間である友達(双方共小学一年生)の眼に当たり視力を殆んど喪失させる障害を与えた事案につき、加害者の親権者に250万円の賠償を命じた事例
1 電気料の値上げを定めた電気供給規定によらず、旧料金で支払う旨の意思表示が信義誠実の原則により無効とされた事例 2 電気料金の支払いを求める給付訴訟において通商産業大臣の電気料金改訂についての認可の無効を被告が主張することの可否(消極)
河川改修工事のための占用許可取消に伴う文化的価値を伴う物件(輪中堤)の損失につき、占用する個人の経済的利益ないし価値が算定することができないとして、補償が認められなかった事例
ビルの敷地であるが公道に接し一般人も通行の用に供している土地が、地方税法348条2項5号の「公共の用に供する道路」に該当するとされた事例
1 仲裁判断に基づく登記申請には執行判決を必要とするか(積極) 2 仲裁判断に執行判決を必要とする民訴法802条は憲法14条に反するか(消極)
市立中学校の教諭による教職員用男女別便所等の設置・改善を求める措置要求に対してした人事委員会の判定に裁量権逸脱の違法がないとした事例
市議会議員選挙において、開票管理者の誤認により1年2か月の間議員の地位を取得できず報酬等を受け得なかった損害の賠償として、金150万円を支払う旨の訴訟上の和解が違法でないとして、代位による市長に対する損害金補填請求が棄却された事例
名古屋市人事委員会規則「不利益処分についての不服申立てに関する規則」に定める再審の請求に対する判定は、行政事件訴訟法14条4項にいう審査請求に対する裁決に該当しないとした事例
通勤用車両を会社構内に乗り入れようとする者は一定数以上の保険金額任意対人賠償保険に加入するを要する旨の通勤用車両取扱規程は合理性を欠くものではなく有効であるとして、この規程違反者に対するけん責処分の効力を認めた事例
いわゆる中学校学力テストに反対して勤務時間中に、テスト実施命令撤回のための校長交渉、校長の生徒に対するテスト実施伝達妨害、職場大会参加等に及んだ教諭に対する懲戒免職処分が処分権の濫用であり、停職処分が濫用でないとされた事例
1 公労法17条を専売公社に適用することは違憲であるとした第一審判決に対し、名古屋中郵事件最高裁判決の立場に立って右適用は合憲であると判断した事例 2 専売公社山形工場包装課の職員が3時間のストライキを実施したことにつき、参加者に戒告処分をもって臨んだことが懲戒権の濫用にあたらないとされた事例
従業員に対する賞与が賞与支給対象期間内において提供された労務の対価であるとして右期間の中途で解雇された従業員に対する賞与の支払を命じた事例
被用者である医師に対し、同医師が妊婦(入院患者)に対する陣痛誘発のためのアトニン点滴を指示しながら尓後の患者管理義務を怠ったことを理由としてなされた諭旨解雇処分が有効とされた事例
1 会社経営者が会社と労組間の賃金等に関する労働協約につきなした連帯保証契約は、当時の労組員及び将来労組に加入する者に対する労働契約上の会社債務中右協約の直律的効力により契約内容となったもののためにする連帯保証も含むと解釈された事例 2 連帯保証責任の及ぶ範囲が信義則により制限された事例
地方公務員中単純労務に従事する者に準用される地方公営企業労働関係法13条所定の苦情処理共同調整会議の設置は、当該地方公共団体に右単純労務者を主体として組織された労働組合が存在する場合には義務的であり、かような組合のない場合は任意的であるとした事例
同僚の失踪原因について使用者に事情を申告した者が、申告に一部偽りがあることを追求され、他に秘匿していることがあれば退職する旨の詫び書を提出したところ、後日ともに民青活動に従事していたことが露見したことを動機として詫び書に従い退職願を提出した事案につき、退職の意思表示に動機の錯誤があり無効とした事例
バス会社の運転手が交通事故により被った損害(逸失利益)の算定にあたり、健康保険組合から支給を受けた傷病手当を控除することの可否(積極)
1 翌朝の運転の便に備えて路上に駐車することは自賠法2条2項にいう「運行」に当たるとした事例 2 夜間照明のない路上に尾灯を点灯しないまま車両を駐車した運転者は、後部反射器の機能を十分に発揮させ追突事故の発生を未然に防止する措置を講じておくべきであるのにこれを怠ったとして、自賠法3条但書の免責を認めなかった事例
1 交通事故により死亡した地方公務員(49才の女子職員)の逸失利益の算定について、67才まで稼動可能としながら、勧しょう退職年金(60才)を考慮し、それ以降は地方公務員としての収入の60%程度を認めた事例 2 交通事故により死亡した被害者の兄姉のうち、姉のみに固有の慰藉料300万円を認めた事例
1 61才の男子宿直員の死亡による逸失利益の算定例 2 農林漁業団体職員共済組合法に基づく退職年金受給利益の相続性(積極) 3 受領済の健康保険ないし日雇労働者健康保険は過失相殺の対象となる損害から控除すべきか(積極)
接触した他車に押し上げられ高速道路の中央分離帯を乗り越え対向車線に進入することによって発生した事故において、高速道路の中央分離帯は右のような異常な事態まで予想し、このような場合でもこれを乗り越えて対向車線へ進入することが物理的に不能な構造を備えることまで要求されるものではないとして、国に道路の設置管理上の瑕疵を否定した事例
腰椎麻酔による虫垂切除手術後のショック死が、患者の胸腺リンパ体質素因によるものとして、診療に関する医師の責任が否定された事例
1 信用金庫取引約定書における期限の利益喪失約款の第三者に対する効力(積極) 2 交叉してなされた順相殺と逆相殺の優方の判定基準と相殺適状の先後
会社の経営逼迫時に取締役が会社のためにした借金が会社の経営状態及び一般的経済情勢等に照らし明らかに不合理とは認め難いとして取締役の商法266条の3の責任を否定した事例
商法12条にいう「正当事由」とは、交通杜絶、登記簿滅失等の客観的障害のある場合にのみ限定されず、同条の登記に優越するような外観ないし特別事情の存する場合をも含むと解するのが相当であるが、判示事実のもとでは「正当事由」ありとはいえないとされた事例
1 継続的な廉価処分につき受取手形の不渡事故発生の後についてのみ取締役の任務懈怠を認めた事例 2 取締役の第三者に対する責任に基づく損害賠償債務の遅延損害金には商事法定利率の適用があるか(消極)
商品代金前払のため約束手形を振出し又は融通手形の交換に当り相手方の経営実態又は見返り手形の信用度等必要な調査を欠いたことが重過失に当るとされた事例
いわゆる頼母子講が営業的商行為に該当するとして、講の継続不能を理由とする掛金返還請求権につき商事時効の完成を認めた事例
1 発起人に見せ金による株式の払込み、不当な財産引受等を是正しなかった任務懈怠があり、監査役に見せ金による株式の払込み、社長個人に対する多額の貸付を是正しなかった任務懈怠があったとしても、会社倒産の原因が過剰な設備投資にあった以上、会社債権者の損害との間に相当因果関係がないとして、損害賠償責任を否定した事例 2 会社経営の実権を持たない発起人・株主に対し、法人格否認の法理を適用して会社債務の弁済を請求し得ないとされた事例
特許無効の審判請求は、特許請求の範囲に記載された二つ以上の発明については発明毎にでき、また特許権消滅後もできるものであるから、三つの発明をふくむ特許についての無効審判係属中にその一部の発明について特許権の放棄があっても、審理の対象から外れることがないので、特許権放棄のあった発明に対する審理・判断を欠いたのは違法であるとして、その発明に関する審決の部分を取消した事例
無効審判請求時に誤って前権利者を被請求人とした表示を現権利者の表示に補正することは請求書の要旨の変更に当らず許されるとして無効審決が維持された事例
選択発明を主張する場合には、その作用効果が先行発明の異った種類のものであるか、同種のものでも際立って優れたものでなければならないとして、進歩性が否定された事例
映画化当時の映画界の実情や対価をも考慮に入れて、被告映画会社が原告らに脚本を依頼した際のその映画化権は債権的な範囲のものに過ぎなかったとして、脚本製作者らの映画化権の確認請求を認容した事例
設定登録をする旨の特約がない限り、特許権の通常実施権者は、その実施権の設定登録手続を請求することはできないとして、通常実施権者である被告の仮登録の抹消を命じた事例
特許発明の重要な新規部分を共通にする被告装置につき、装置全体の結合がもたらす技術思想および作用効果が異なることを理由に均等の主張を排斥した事例
他人の商号・商標に類似するものとしての商号・商標の使用許諾を受けているときは、営業主体・商品主体の識別保持の機能上の性質からくる、使用態様上の制約が存するが、被告の「ユーハイムコンフェクト」の使用態様が原告の商号・商標の「ユーハイム」との関係において、なお許諾の範囲内にあるものとして、使用差止の請求が棄却された事例
土地を賃借しその上に事務所を建設・使用して適法に土地の占有をしていた者が、土地所有者の承諾を明確に得ないまま、他に居宅、倉庫水道施設等の建設施工をした行為につき、不動産侵奪に当たらないとした事例
金員喝取の意思で、その支払い約束のため相手方の署名押印のある契約書を交付させたときは、契約書についての恐喝既遂罪が成立する
併合罪の一部に法令の適用の誤りがある場合に、併合罪としての処断刑に変わりがなくても判決に影響を及ぼすことが明らかであるとされた事例
1 相手方の攻撃がいったん終了した後数分を経ないうちに再び攻撃の気勢が示されたのに対し、これを予期して用意していた包丁で相手方を突き刺した行為が防衛行為に当たるとされた事例 2 過剰防衛行為として刑が免除された事例
第一審が懲役8月及び罰金30万円の刑を言渡したのを、控訴審が懲役1年、3年間執行猶予、罰金30万円の刑に変更しても、第一審判決を被告人に不利益に変更したことにはならないとされた事例
交差点を右折しようとする自動車運転者は、対向直進車が制限速度を毎時約30キロメートル超える毎時80キロメートルの速度のまま交差点に進入して来ることのあることを予測してその動静を注視すべき注意義務があるとされた事例
昭和42年法律第11号による改正前の関税法118条2項の適用を、いわゆる超法規的刑罰阻却事由を理由として排除することは許されない
けんか闘争がおさまった後、相手方から予期しない暴行を受けたのに対し、攻撃的意思をも併せもって、切出ナイフで同人を突き刺し、失血死させた事案につき、侵害の急迫性及び防衛の意思が認められ、過剰防衛が成立するとされた事例