最も長い歴史をもつ判例実務誌
スクラムを組んで急行列車の発車を阻止した国鉄職員の争議行為が、労組法1条2項により正当性ありとした原判決を破棄し、法秩序全体の見地からこの争議行為につき違法性ありと判断した事例
1 譴責処分の無効確認につき利益ありとされた事例 2 苦情処理制度が民訴法上の仲裁にあたらないとされた事例 3 譴責処分の効力を判定するに当り苦情処理委員会の全員一致の結論は事実誤認、手続の不公正等のない限り尊重すべきものとした事例
1 採用内定通知の発送により労働契約が成立したものと判断した事例 2 在日朝鮮人が臨時工の応募にあたり韓国籍、住所、氏名、職歴を偽ったことを理由とする留保解約権の行使ないし懲戒解雇は無効であるとした事例 3 在日朝鮮人であることを理由とする解雇は不法行為であるとして慰藉料50万円の支払いを命じた事例
電気手術器(いわゆる電気メス)の操作ミスに基づく熱傷事故について、右手術器のセット等を担当した看護婦にケーブル交互誤接続の過失ありとしながら、右手術の執刀医には右接続の点検等の注意義務違反が認められないとした事例
1 女子の事故死と妻としての家事に専念する期間における財産上の損害 2 妻として家事に専念する期間における逸失利益の算定基準
1 42年間の逸失利益の現価を算定するのにホフマン方式を採用しても不当でない 2 被害者(調理士)の20才から59才までの5年毎の収入額が賃金センサスの対応年令者の平均月収額を基礎にして算定した額を下廻らないものとして、逸失利益を算定した原判決を相当とした事例
映画フィルムの賃貸借中における賃借人以外の者の無断使用収益と、賃貸人の収益者に対する不当利得返還請求権ないし不法行為に基づく損害賠償請求権の成否
1 実況見分調書の記載の誤りが警察官の過失によるものとされた事例 2 捜査官による捜査中の刑事事件の内容等の報道機関に対する発表と名誉毀損の成否 3 都道府県警察官の不法行為によって生じた損害とその賠償義務の負担者
深夜自宅で就寝中の者を警察官職務執行法3条1項1号所定のでい酔者として警察署へ連行した警察官の措置が違法とされた事例
事業の継続に著しい支障を来たすことなくして、そして弁済期における債務を弁済することができない状態にあるとの理由でなされた会社更生手続開始の申立が認容された事例
約束手形の振出人から手形金支払義務不存在確認訴訟を提起された手形所持人が同訴訟係属中に振出人に対し手形訴訟を提起できるか
1 法人税法上の減価償却資産としての営業権の意義 2 法人税法上、操延資産として取扱われるノウ・ハウの意義 3 営業権譲渡契約の対価として支出された金員が寄付金と認定された事例
使用者と労働組合間に締結された賃金協定の内容は、労働契約の内容に転化しているものとみるべきであるから、労働者の同意を得ることなく一方的にその内容を変更することは、たとえその変更が労働者にとって有利であっても、また合理的な理由があっても原則として許されない、とされた事例
重電機メーカーの工場検定課試験係から、資本および組織を異にする販売代理店に技術サービス員として「巡遣駐在」を命ずる業務命令が、いわゆる出向命令にあたらず、単に配置転換の一形態であるにすぎないとされた事例
1 元請負人が下請負人の雇傭する労務者を指揮監督して作業をなさしめた場合、元請負人下請負人間には当該労務者のため安全保証をなす旨の第三者のためにする契約が存するか、又は元請負人が右雇傭契約上の下請負人の安全保証義務を重畳的に引受けたとみられるとした事例 2 高所作業中の塗装工の墜落死による労働災害につき使用者に安全保証債務不履行ないし工作物の瑕疵、事故防止義務違反による不法行為の責なしとした事例
1 「分離自在のファスナー」に関する特許侵害成否の判断 2 事業の廃止と特許侵害のおそれ 3 特許侵害品の生産にのみ使用する物の製造行為
実用新案権が登録料不納により消滅したにもかかわらずこれに気付かず右実用新案権に基づく仮処分申請を維持する行為と不法行為の成否(積極)
土地の売渡しの仲介をした宅地建物取引業者が土地所有者との契約により当該売渡しにかかる土地の再評価税を自己の負担において代納付した場合と経費の計上時期
他方の道路の交差点入口に一時停止の道路標識および停止線の表示のある左右の見とおしがきかない交差点に進入しようとする自動車運転者に交通法規に違反して交差点に進入する車両を予定した安全確認をすべき業務上の注意義務がないとされた事例
被告人と犯人の同一性を証明する物証を欠く強姦致死、殺人、放火等の重罪事件において、自白の信用性が低く、情況証拠においても右自白の真実性を保障するに足りるものが見当らない等の理由から無罪の言渡をした事例