最も長い歴史をもつ判例実務誌
郵政職員の労働関係は基本的には対等当事者間の契約関係であるが、配置換の要件の不存在、裁量権の逸脱を理由とする不服は実定法の規定上抗告訴訟によるべく、配置換が不当労働行為に該当することを理由とする不服は当事者訴訟ないし仮処分によるべきである、と判定した事例
1 訓告処分無効確認の訴えが適法と認められた事例 2 国鉄労働組合員が闘争の手段としてその要求事項を記載してリボンを着用することが職務専念義務または服装規定に違反しないとされた事例 3 右リボン着用を理由としてなされた訓告処分および右リボン撤去要求行為が不法行為であるとして慰藉料請求が認められた事例
1 夫の運転する自動車に同乗中負傷した妻が自賠法3条にいう他人にあたるとされた事例 2 夫婦の一方が運転する自動車に同乗中負傷した他方の配偶者の自賠法16条1項による被害者請求権の有無
買主が自己の使用に供するために買い受けた不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けている場合と右義務の履行不能による損害賠償額の算定の基準時
債権担保契約の性質を有する停止条件付代物弁済契約を原因とする仮登記権利者が後順位債権者に対し仮登記に基づく本登記手続の承諾を求めるため支払うべき清算金の算定と、民法374条の準用の有無
ワルソー条約25条(航空運送人の有限責任制限規定)の要件に該当する事実があるとして、同条約22条所定の限度をこえる金額の賠償を航空運送人に命じた事例
1 ゴルフコースの管理者につき、民法717条の帰責原因があるとされた事例 2 ゴルフ競技中、キャディに傷害を与えたプレーヤーの責任が否定された事例
1 書籍取次業者と小売業者間におけるいわゆる委託品と買切品の所有権の帰属について判示した事例 2 書籍小売業者の取次業者に対する代金債務の不履行があったときは、取次業者は小売業者に提供した商品を自ら搬出して引取ることができる旨の特約の効力
1 有料高速道路の利用関係の法的性質 2 高速道路に放置されていた障害物(タイヤの釣止金具)に乗り上げ、ハンドルを取られてガードロープに接触した事故につき、管理者である日本道路公団の責任を否定した事例
被害者の潜在的頚椎骨軟骨症と交通事故との双方が競合して脊髄損傷が発生した事案につき、全損害額の7割をもって本件事故と相当因果関係にある損害とした事例
1 町長が町のため土地を買い受けるに当たり、当初の契約価額を増額して買い受けたことが違法ではないとされた事例 2 地方公共団体が予算外義務負担として一時借入金または地方債によらず金員を借り入れることの適否 3 先行投資としての土地買受けのため法令によらずに金員を借入れたことを違法として支払利息相当額につき町長、助役、収入役にあった者に損害賠償を命じた事例
1 公金の支出と監査請求期間の起算日 2 支出命令権限の内部委任と違法支出の損害賠償責任 3 地方公共団体が中央官庁職員に対してする接待費支出の適否
国家公務員共済組合法36条、13条に定める国家公務員共済組合連合会に使用され、その事務に従事する者にあたるとされた事例
1 刑訴法20条6号にいう「裁判官が事件について検察官の職務を行ったとき」の意義 2 さきに最高検察庁次長検事の職にあった最高裁判所の裁判官につき刑訴法20条6号の除斥原因がないとされた事例
1 刑訴法20条6号にいう「裁判官が事件について検察官の職務を行ったとき」の意義 2 さきに最高検察庁次長検事の職にあった最高裁判所の裁判官につき刑訴法20条6号の除斥原因がないとされた事例 3 最高裁判所の裁判官がさきに最高検察庁次長検事の職にあったことと刑訴法21条1項の「不公平な裁判をする虞」
1 刑訴法20条6号にいう「裁判官が事件について検察官の職務を行ったとき」の意義 2 最高裁判所の裁判官がその就任前に憲法および法律の解釈上同種の論点を含む他の事件につき高等検察庁検事長として上告趣意書を提出したことと刑訴法20条6号の除斥原因 3 最高裁判所の裁判官がその就任前に憲法および法律の解釈上同種の論点を含む他の事件につき高等検察庁検事長として提出した上告趣意書においてその論点に関する法律上の見解を明らかにしたことと刑訴21条1項の「不公平な裁判をする虞」 4 さきに最高検察庁次長検事の職あった最高裁判所の裁判官につき刑訴法20条6号の除斥原因がないとされた事例 5 最高裁判所の裁判官がさきに最高検察庁次長検事の職にあったことと刑訴法21条1項の「不公平な裁判をする虞」
1 犯行時少年の身代金目的略取、同要求、殺人、死体遺棄等被告事件について死刑を言渡した事例 2 第一審で2回精神鑑定が行なわれた事例
1 大阪市公安条例1条、5条にいう集団示威行進に当たるための要件 2 無許可の集団行進が道路交通法77条1項4号に当たるための要件
デモ規制中の警察官に加えられた暴行につき、目撃証言を詳細に吟味した結果その信用性に疑いありとして公務執行妨害罪の成立を否定した事例(2件)
仮差押が執行されている土地につき仮差押債務者がなした右土地の借地権譲渡に対する地主の承諾は、仮差押債権者に対抗できるか
借家法改正(昭和41年法律93号による改正)前の賃料増額請求につき、当事者間に協議が調わぬ間に同法が改正され、その後再度の増額請求がなされた場合に借家人の提供すべき賃料額
競売期日の公告に不動産の表示をするにあたり、競売の目的たる個々の土地につき隣接地との境界もしくはその境界が不明であることの記載の要否
1 受領遅滞にある土地の賃貸人が有効な催告をするための前提たる受領遅滞解消の措置を講じたとはいえないとされた事例 2 債務の一部の弁済供託があっても小額であるため有効な弁済供託がなされたものとは認められなかった事例
所有権留保約款の付されている建設機械の引渡を受けた者が、所有者からの返還要求を拒否し、その所在を明らかにしないで隠匿しているときは、所有者の右機械に対する所有権が失われたとして、損害賠償請求を認めた事例
1 親子会社につき法人格否認の法理の適用が争われた事例(消極) 2 子会社に対する出向社員につき親会社の使用者責任が否定された事例
都市計画事業の対象土地上に存する建物の売買契約につき、売主が右建物の収去は9年先であると言明したが、真実は2年先であったとしても、買主において自己の見込みにもとづいて右契約を締結したときは、同契約に瑕疵がないと認めた事例
フェンスで囲まれた団地附属の遊び場で小学校4年生(当時10才)2人がキャッチボール中、誤ってフェンス外の道路歩行者にボールを当てた場合と両親の監督義務
特別事情による仮処分取消申立事件についてなされた仮処分取消判決が確定した場合、右申立と競合していた仮処分異議申立事件の帰趨如何
不動産の二重譲渡の第二次譲受人Yが第一次譲受人Xの登記欠缺を主張することは民法1条に違反して許されず、XはYに対し登記なくして当該不動産の所有権を主張できるとされた事例
片べりタイヤのため路面のわずかな、盛り上りにハンドルをとられて安定を失い、右斜前方に加速走行してきた単車と衝突した同一方向に進行中の普通車の運転者に対し、常時左斜後方を確認して走行する注意義務はないとして、その過失を認めず、保有者に自賠法3条但書の免責を認めた事例
1 直進中の自動二輪車(305cc)が、Uターン中の普通貨物車に衝突し、二輪車の運転者が頭部等を負傷した事故につき、ヘルメットを着用していなかったことを過失相殺の対象とした事例 2 既払いの労災保険給付金については、過失相殺しなかった事例 3 同一事故に基づく損害賠償請求権を自働債権とする加害車保有者の、被害者に対する相殺は、相被告である加害車運転者との関係でも絶対効を有すると判断した事例
1 道路の左端によらず、道路の中央より左折しようと徐行直進中の普通乗用車の左後部に接触した単車の運転者に8割の過失相殺をした事例 2 自賠法施行令2条別表等級10級に相当する後遺障害を右足に残した者の労働能力の喪失の割合を症状固定の時より2年間については27%とし、その余の就労可能年数27年間については15%とした事例
1 渋滞中のため中央線付近から転回して脇道に切返し転向中の加害車を直進するものと誤認し、進行した被害車が加害車と衝突した事故につき、被害者に2割の過失相殺を認めた事例 2 右事故後に生じた変形性脊椎症につき、右症状は事故前客観的に存在したものが、第二次的に被害者の心因的な原因によって生じたものであって、右事故と相当因果関係がないものとされた事例
事故による傷害(左大腿骨大転子骨折)に基因する全身衰弱により、死亡した被害者の損害額算定にあたり、持病(気管支喘息等)の死亡に対する寄与度を2割とし、これを減額した事例
1 農業(果樹園経営)従事者の逸失利益算定例 2 信号機のある交差点における直進車と右折車との衝突につき、単なる直進車右折車との関係でとらえるのは相当でない、として、時速50キロメートルで交差点を突切ろうとした直進車に、7割の賠償を命じた事例
1 後遺症(鞭打損傷)がある被害者の労働能力喪失率を判断するにつき、外科的療法終了後の被害者の社会復帰への意欲、社会生活への馴化、前回の事故の後遺症継続期間等より、事故後1年間は55パーセント、その後外科的療法終了時までは35パーセント、症状固定後3年間は10パーセントに軽減するとし、その余の能力低下は事故と相当因果関係なしとした事例 2 マッサージ費を事故との相当因果関係なしとした事例 3 逸失利益算定につきライプニッツ複式月別法を採用した事例
1 追突されたタクシーの乗客に対し、タクシー会社が、裁判上の和解で賠償金を支払っても、免責事故である以上、保険会社は填補義務なしとした事例 2 裁判上の和解でも、保険会社は、単に口頭で通知しただけでは、第三者的効力を有しない。
1 新車購入後20日目の車の全損事故につき、強制保険料、自動車税を除く車の買い替えに要した費用と破損車売却代金との差額が、その損害であるとした事例 2 個人会社代表者と従業員の受傷のため休業中に、会社が右両名に支払った給与支払分につき個人会社は第三者弁済に準じて被害者の賠償請求権を取得するとして、従業員に対する支給分と会社代表者に対する月15万円の割による支給分のうち労務対価分に相当する月10万円について加害者に対する賠償請求権を認めた事例
一時停止標識に従い一時停止をしたが充分に左右の安全確認をせずに交差点に進入した車と、相手車が停止して自車の進行を待ってくれるものと思い徐行もせずに交差点に進行した車との衝突事故につき、過失割合を前者4、後者6とした事例
1 事故と死亡との間に相当因果関係を認めなかった事例 2 自賠責保険金300万円につき、死亡による損害を認容していないことから損害の填補と認めなかった事例 3 横断中の歩行者と車の衝突事故につき、過失割合を前者2、後者8とした事例
1 損害賠償債権の一部の催告により、全損害賠償債権につき、時効の中断を認めた事例 2 「何時でも示談に応ずる」旨の意思表示は時効中断の承認にあたるとした事例
幅員7米の道路上において、センターラインを越えて進行してくる対向追越車との衝突を避けるために急制動の措置をとったところ滑走し、対向車線上に進入して停止した車に対向追越車が衝突した事故につき、過失割合を前者8、後者2とした事例
1 父所有名義の車を息子が専属的に使用していた事案につき、父の運行供用者責任を否定した事例 2 直進車と対向右折車との衝突事故につき、過失割合を前者1、後者9とした事例
株式会社名目の家内企業会社の構成員である夫婦の受傷のために会社が倒産した事案につき、家内一同の給料を差し引けば企業利益は残らないとした事例
道路工事標識、バリケード等を充分に設置せずにショベルカーを停止させ、バスケットに土砂を入れる作業中、同車に加害車が追突し同車運転手および作業中の土工2人が受傷した事案につき、同車運転手および土工2人にも過失があるとして3人の過失を被害者側の過失として1割過失相殺した事例
「空気タイヤの改良」に関する特許出願について、引例には通常の荷重下におけるタイヤの肩部リブが路面に接触していない図示があるが、そのことの故に偶角運転特性の改良を目的とするものとはいえないとして、拒絶相当とした審決を取り消した事例
「翼車推進機」に関する実用新案登録出願について、「制御盤が双腕槓杆によってだけ担持されている」点の構造を看過したとして拒絶相当の審決を取り消した事例
「靴類の製造方法」に関する特許出願について引用例とは中底を用いない点で異なっている点を看過したとして、拒絶相当とする審決を取り消した事例
「電気的接続部成形方法」に関する特許出願について、その口輪部分の成形の仕方において、引用例のものと異なるとして、拒絶相当とした審決を取り消した事例
「パーム油牛脂又はラードよりカカオ代用脂の製造法」に関する特許出願について、拒絶理由とした引用例が仮説に基づく計算上の結果を示しているにすぎないとの出願人の主張が排斥された事例
「乾燥貨物船」に関する特許出願について、下部デッキに柱、垂直支持等によって支えられていない点は船体の強度設計上の必要性に基づく選択の範囲に属するものとはいえないとして、拒絶相当との審決を取り消した事例
「自動車の盗難防止装置」の実用新案権に基づく差止および損害賠償請求において考案の詳細な説明の項に記された実施例に限定されるべきものとの被告の主張が排斥された事例
フイゴ履のメーカーが「履物台」に関する実用新案権の侵害にならないことを理由として、侵害になる旨の陳述流布を禁ずる命令を求め、認容された事例
「燧道管押抜工法」に関する特許権に基づく差止仮処分申請において、すでに出願前米国特許によって公知とされている技術を、その特許請求の範囲からとり出してこれを権利として主張することは許されないとした事例
1 設計図による受注活動であっても、「蒸留方法」に関する特許権の専用実施権に基づく差止請求権不存在確認を求める法律上の利益があるとした事例 2 旧法時における出願公告後の訂正命令に基づく訂正が、出願当初の要旨を変更するものとして、訂正以前の発明について権利侵害が成立しないと判断した事例
1 「船舶用巾木」に関する意匠権に基づく差止等の請求において、先願の実用新案権の実施なりとする被告の主張が排斥された事例 2 右請求において、共同被告の一員が対象物件の製造の注文主である場合に「製造」をしているとの原告の主張が排斥された事例
電気メッキ業を営む会社の代表取締役に対し、工場廃水の廃棄に関し毒物及び劇薬取締法15条の2、24条5号違反の罪の成立を認め、当該会社をも処罰した事例
自動車運転の速度違反事件(法定最高速度は60粁毎時)で違反速度が毎時80粁であるのを同100粁と認定したときは判決に影響を及ぼす事実誤認となるか
民法752条の夫婦間の同居義務は、円満な婚姻共同生活を営むことが目的であるから、夫婦の一方が具体的に同居を求めるには、右目的が達成されうる状況にあることが前提となると解されるところ、申立人と相手方との性格の相違は顕著であり、生活の処し方にも調和点が見出しがたいなどの事情から、夫婦として円満な共同生活を営むことは期待しがたいから同居を命ずることは相当でない
事件本人のうち、長男はすでに申立人である母が監護養育しており、二男は親権者である相手方父の祖父とその婚外関係にある女性が面倒を見ているが、ときおり祖父と別居中の祖母においても面倒を見るなど、変則的で不安定な生活環境におかれており、又相手方には後妻との間に乳児があり、相手方が近い将来事件本人ら二児の監護を自から行なうことは実現の可能性に乏しく、二児がその年齢からみても兄弟としてともに肉親の母の監護を要する大切な時期にあるなど判示事情のもとにおいては、申立人が母として有する監護能力および意欲、近親者の二児に寄せる経済的・精神的援助その他本件に現れた諸般の事情を考慮すると、事件本人らをともに同一の生活環境のもとで、母である申立人に親権者を変更し、その監護に委ねることが事件本人らの福祉の向上に資するものである
被相続人に対する侮辱が廃除事由に該当するというためには、「重大な」もの、すなわち相続的協同関係を危殆ならしめるものと認められるものでなければならない。そして、右重大なものであるかどうかの評価は、相続人の行為のよってきたる原因にまで遡り、その原因について被相続人に責任があるか、またそれが一時的なものにすぎないかなどの事情を考究し、これを斟酌考量したうえでなさるべきものである
相続人中相手方甲および乙は審判前の処分によって遺産である農地の一部をそれぞれ耕作することを認められており、その他の相続人は相手方丙を除き、右甲又は乙のいずれかを支持して自己の取得分をその者に与えたいと望んでいる事案において、相手方甲および乙に遺産を分割取得させ相続分超過分については他の相続人に対し債務負担を命ずる方法は相手方甲および乙の支払能力に疑問があり、さりとて甲および乙を中心とするグループごとに遺産を共有取得させる方法も紛争の抜本的解決とはならないので、各相続人に相続分に見合う財産を取得させ、各自がその取得分を譲渡する意思があれば自己の欲する者に状とするなどの方法により解決するのが相当であるとし、相手方甲および乙が後にこれを支持する者から遺産の譲渡を受けた場合の耕作の便宜をも考慮して、遺産の分割をした事例
申立人は、その両親とともに被相続人所有の家に同居していたが、申立人の兵役中被相続人は死亡し、その後復員して両親の許に戻り、両親死亡後も同所に居住して被相続人の遺産を占有管理し、納税義務者ともなり、両親死亡後被相続人の祭祀を主宰しているなど判示事情のもとにおいては、民法958条の3の「その他被相続人と特別の縁故があった者」に該当するのが相当である
判示事情のもとにおいては、申立人が被相続人の特別縁故者というを妨げないものと解されるが、被相続人の晩年には縁故関係がかなり稀薄であったこと、被相続人が生前、町や近隣の者の世話になったことなどの事情を考慮すれば、申立人には相続財産の一部を分与し、その余の財産は国庫に帰属せしめ、公共の財産として地域社会のために活用するのが相当である。
「その他被相続人と特別の縁故があった者」とは、民法958条の3に例示する生計を同じくしていた者、療養看護に努めた者に該当する者に準ずる程度に被相続人との間に具体的且つ現実的な精神的・物質的に密接な交渉のあった者で、相続財産をその者に分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度に特別の関係にあった者をいうものと解され、亡妻の実父の後妻である被相続人が、抗告人方に家事手伝いや同人の子の世話に行った際抗告人において夕食を供し、抗告人が被相続人の財産の管理について相談をうけ、あるいは被相続人の入院の世話をしたり、死後の分骨の委託をうけたりした事実があっても、これらは親類縁者として通例のことであって特別縁故者に該当しない。
本件相続財産処分の審判申立は民法958条の3所定の期間経過後になされたものであるところ、右は前件審判後新たに発見された相続財産につき前件申立に対象物件を追加補充する旨の申立であることが認められ、さきになされた申立と一体をなすものというべきであるから、法定期間内になされたものとして処理するのが相当である。
変更後の名の文字が戸籍法50条に規定する常用平易な文字に該当しない場合でも、その名を16年間の長きに亘り常用し、学校関係その他一般世間においても右文字の名で通用しているという特段の事情がある場合には、その名への変更も例外的に認められて然るべきものと解する。
申立人と妻ある事実上の夫との間の子が別件として申し立てた子の父の氏への変更について、父の妻および嫡出子の意向を無視して許可するのが妥当を欠くと認められる場合において、申立人が13年余にわたる右事実上の夫との同棲生活を通じ、社会生活において通姓として事実上の夫の氏を使用しているなど判示事情のもとでは、氏変更のやむを得ない事由がある。
西ドイツ人と離婚したアメリカ人妻の離婚後に称すべき氏について、離婚後約1年近くを経過している場合において、一般の氏の変更と解し人格権の問題として申立人の本国法を適用するのが相当である