最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 国家公務員法98条により禁止された争議行為およびこれを「あおり、そそのかす」行為に該当するとされた事例 2 右に該当すれば争議行為の違法性の強弱・あおりの随伴性の有無を問わず懲戒の対象となるとされた事例 3 右に該当するものとして、国民生活全体の利益を害するもののほか私企業労働者の争議行為として許されないものも含むとした事例 4 右争議行為を理由とする懲戒免職処分が苛酷にすぎ、懲戒権の濫用であるとされた事例
大学紛争に伴う構内立入禁止措置のため、大学職員組合が構内事務所を使用できなくなったことによる国家賠償請求が認容された事例
地方公共団体における行旅死亡人の身元調査方法に過失があったため、遺体が学術用解剖に付されたことを原因として、その遺族から右地方公共団体に対する慰藉料請求が認められた事例
国立公園内の岩壁の周回路にかけられている橋からの転落事故につき、国、県、市に国家賠償法2条による損害賠償責任を認めた事例
1 弁護側総論立証先行を内容とする代表者法廷案は採用しうるか(否定) 2 被告人らの言動が原因となって国選弁護人が不出廷の場合、必要的弁護事件でない事件の実質審理を進めることは憲法37条3項に違反するか(否定)
1 民事訴訟法312条第3号後段の文書の意義 2 近隣住民の提起した原子炉撤去請求訴訟において、被告が内閣総理大臣に提出した「臨界実験装置設置許可申請書」及びその附属資料の写の提出命令を発した事例 3 企業秘密と文書提出命令
1 共有者全員が提起した共有権確認訴訟と固有必要的共同訴訟 2 共有者全員が提起した共有権に基づく所有権移転登記手続請求訴訟と固有必要的共同訴訟
親権者を定める協議が成立していないにもかかわらず、成立したもののごとく離婚届書に記載されそのまま受理された協議離婚の効力
1 第二次更正処分によって第一次更正処分を取り消しさらに第三次更正処分をした場合における第二次更正処分および第三次更正処分の性質 2 右の場合における第三次更正処分の適法性
所得税の申告に対し第一次ないし第三次の更正がなされた後に、第一次更正の取消しの訴えが提起され、これが第三次更正の取消しの訴えに変更された場合、後者の訴えの出訴期間遵守の有無
1 原職復帰の緊急命令の履行として、旅費の支給・復帰の職場・日時・復帰方法・賃金の明示を必要であると解した事例 2 緊急命令違反の過料を100万円から50万円に減額した事例
1 乙車から降り左右確認することなく道路を横断した運転手Xと、乙車を追越そうとしたY車の衝突事故につき、XとYの過失割合8対2とした事例 2 損害賠償の請求は過失相殺を考慮すると、既に充当済であり、理由はないが、訴訟提起の必要性はこれを認めて弁護士費用の賠償を認めた事例
1 3年8ヵ月の幼児の逸失利益を初任給額で算定した事例 2 幼児死亡事故で養育費を非控除とした事例 3 ホフマン式維持例 4 3年8ヵ月の幼児の事理弁識能力否定例
1 橋上での車対人の事故において、橋の管理者である町にも管理に瑕疵があったものとして、賠償責任が肯定された事例 2 幼児の死亡事故につきライプニッツ式が採用された事例 3 過失相殺を車の運行供用者の賠償額については斟酌せず、橋の管理者についてのみ斟酌するとした事例 4 幼児の母が行方不明であるから、父親が事務管理として、右母の取得分を訴求するとした請求を、事務管理は他人の権利行使の基礎とすることのできないものであるとの理由で排斥した事例 5 幼児死亡事故で祖母に慰藉料が認容された事例
1 受取人「武田信一(武田工業)」と裏書人「左官工事請負武田宗久」との間の裏書の連続 2 手形上の記載に現われていない事実と裏書の連続の判断資料
1 更正処分後に再更正処分がされた場合において更正処分の取消しを求める訴えの適否 2 更正処分について所定の不服申立てをしていた場合において再更正処分について所定の不服申立てをしないで提起された再更正処分の取消しを求める訴えの適否 3 税務署係官の税務相談における指導にもとづいてされた納税申告に対する税務署長の更正処分について信義則の適用が否定された事例
1 下水道法3条の趣旨 2 同法20条の意義 3 分流式公共下水道のすべての経費を使用料という形で利用者に負担せしめる条例が適法とされた事例
弁護人よりの勾留執行停止申請書に裁判所が職権を発動しない旨を記載したに過ぎない場合これに対し抗告をすることができるか
1 父親が実子(生後48日)を遺棄した事案に対し、遺棄当時生死不明であったという理由で主たる訴因である死体遺棄、予備的訴因である要保護遺棄につき共に無罪を言渡した事例
超大型油槽汽船の一等航海士が、原油桟橋で原油を陸揚げする際に発生した火災および人身傷害事故に対する過失責任を認めた事例
1 弁護人による再審請求の適否 2 原審において証拠調請求がなされた証拠につき、刑訴法435条6号の新規性が認められるための要件
ダンプカーの運転手が幅員8メートルの道路で左側端寄りに車線を変更した際、その左後方から進行してきた普通貨物自動車と接触し、同車を歩道上に乗りあげさせて、歩行者を死傷した事故につき、ダンプカーの運転者の過失責任を肯定し、貨物自動車の運転手の過失責任を否定した事例
大型貨物自動車の運転手が、同一方向に先行進行する原動機付自転車の右側を追越して衝突した事故につき、その過失責任を否定された事例
裁判上の和解で当事者の一方が訴訟物の一部たる土地を占有している訴外人が使用借権以上の占有権原を有しないことを約したとき、右訴外人が賃借権を有することが判明した場合、右和解は要素の錯誤として無効となるか
1 住宅地における高圧電線に被覆のないことが土地工作物の設置保存の瑕疵にあたらないとされた事例 2 事実上被害者を養育してきた非親族に対し慰藉料請求を認めた事例
飼犬の咬傷事故につき、飼主に相当の注意による保管がなかったとしながらも、右事故は被害者の自招行為によるものとして損害賠償請求が否定された事例
独身者と信じて肉体関係を結び妻のあることを知ったのちも20年間これを継続した者から、右関係を一方的に解消した他方に対する慰藉料請求が認められなかった事例
前訴において適法に弁済供託されていることを理由に賃料請求を棄却した確定判決がある場合、右請求期間の賃料の増額請求を後訴においてすることは不適法として許されないとした事例
農地の売買において、買主が目的売地を非農地にしてしまい、売主には非農地にするについて責に帰すべき事情がない場合の売買契約の効力
代物弁済により取得した物に瑕疵があり、当初合意の金額より廉価でしか転売できなかった場合において、右代物弁済契約が否認されたとき債権者が返還すべき金額
支払命令に対する異議申立が不適法な場合において、その請求が地方裁判所の管轄に属するための訴訟記録が地方裁判所に送付されたときの当該事件の処理方法(地方裁判所は、判決をもって異議申立を却下すべきである)
1 動産の譲渡担保権者と第三者異議の訴 2 右被担保債権の発生原因および数額について主張立証がないとして第三者異議の訴を優先弁済権確認の限度でも認容する余地がないとした事例
1 自働債権受働債権が双方の過失により惹起された同一事故にもとづく物損の損害賠償債権である場合には民法509条の適用はないとされた事例 2 損害のうち代車の購入代金につき、被害者が現実に金員を支出したとき損害が発生し、同時に加害者は損害賠償債務について遅滞に陥るものとされた事例
ホステスの顔面醜状による逸失利益につき、差額説によらず、一般的な労働能力喪失率により、その期間を30歳までとした事例
自動車(新車)購入日に事故にあった場合、車輌評価額として新車代金の9割5分を認め、なお、自動車取得税、登録手数料、下取手数料を損害として認容した事例
事故後3年を経て後遺症が、自賠法施行令別表12級と診断されたが、事故後ほぼ1年経過時に症状が固定していたとして自賠・労災の保険金の填補済部分以外の逸失利益を否定し、慰藉料を減額した事例
公道上で自転車競技を行なう場合、主催者において選手の安全確保のための措置を一応講じていても左側走行の指示に反して道路の右側に進入走行する選手は自己の責任において前方に対する注意を払わなければならないとして対向路線バスと衝突死亡した選手に対し約7割の過失相殺をした事例
1 無免許の運送業者の逸失利益は事故当時の収益額によるべきでなく、統計上の運輸通信業平均賃金額によるべきであるとした事例 2 被害者は、本件事故の約2週間前にも追突事故にあい、いずれも頚椎捻挫の傷害を受けた場合に、本件追突事故の被害者の現症に及ぼした影響の割合を7割と判定した事例
労働組合役員に選出されたが、事故受傷のため辞退せざるをえなくなったことによる組合からの給付喪失相当分の賠償請求が認容された事例
かつて被告会社が加害車購入の際販売を担当した者が、販売会社を退職し、被告会社の専属下請の運送業を始めることになった時、加害車を右販売担当者に譲渡はしたが、名義は被告会社にとどめ、会社工場内に車を、キーは事務所に保管し、被告会社の業務関係のみに車を使用させていた場合、被告会社も運行供用者責任を負うとされた事例
加害車の所有名義は訴外の有限会社にあるが、右会社は実質は被告の個人企業である故、被告は加害車の保有者となるとされた事例
自動車販売会社が商品として所有し、中古車展示場に展示中の車を会社従業員が無断運転中の事故につき、会社に運行供用者責任が肯定された事例
ブルドーザ(自賠保険適用除外車であるとしても)による砕石積載中の事故につき、自賠法3条が適用されるのは当然であるとした事例
定型示談書用紙の「よって今後本件に関しては如何なる事情が生じても、双方決して異議申立訴訟等一切しないことを確約致します」との不動文字の部分は、いわゆる例文であり当事者を拘束するものと認められないとした事例
農業専業者である妻と共に、農協に勤務する傍ら農業を兼業していた者の耕作損算定につき、算定不能であるとして慰藉料(200万円)算定のうえで考慮した事例
1 治療費の認定につき、事故と相当因果関係にある治療費は全治療費の4割程度であるとした事例 2 健康保険給付は受傷者(原告)の自己負担と同視すべきであるとした事例
1 8才の男子の逸失利益算定例 2 南北道路の幅員6.6米、東西道路の幅員3.9米が交わる交通整理のおこなわれていない見透しの悪い交差点内において、徐行せず時速30粁で西進してきた加害車が、前後して南進してきた2台の自転車に衝突した事案につき、前者の過失を8、後者の過失を2とした事例
1 共済年金・公務扶助料喪失による逸失利益および退職金の減少による逸失利益を認めた事例 2 共済年金・公務扶助料に対しても生活費として2分の1を控除した事例 3 横断歩道の設置されていない道路(17.6米)を孫2人(3才と1才)を連れて横断中の人に、脇見運転および制限速度違反の加害車が衝突した事案につき、前者の過失を1割とした事例
横断歩行禁止の交差点を西行車線の停滞車輌の間を南から北に向って乳母車を押して通りぬけ、東行車線内に出たところを東行加害車が接触した事案につき前者の過失割合を4割とした事例
原告の過失割合を2割とし、その過失割合部分に相当する範囲内の健康保険給付による治療費は原告の自己負担と同視して取扱うべく、健康保険法67条による求償の範囲外たるものであるから、被告において求償に応じ、その負担を原告に転稼することはできないとした事例
1 22才の未婚女性の右頬に幅21耗、唇の下に幅4耗、長さ22耗、下顎部に幅3耗、長さ74耗、左頬に幅7耗、長さ18耗等の各瘢痕の後遺症を残した事案につき慰藉料を160万円とした事例 2 道路左端に駐車していたマイクロバスを避けるためにセンターラインを40糎オーバーして進行して車と対向車が正面衝突した事案につき、両者の過失割合を前者9、後者1とした事例
1 建築工事請負業者の受傷のために大工・人夫等を指示稼動させえなかったのに、事故当日と翌日の2日間、既に雇ってあった大工人夫等に58、000円の賃金を支払わざるを得なかったものを同人の損害と認めた事例 2 東西の直線道路と丁字型に交わる南側道路より東へ右折するべく西行車輌のみに気をとられ、東行直進車等左側の安全を確認せず発車した加害者の左前部が、西行被害車の右後部に接触した事案につき被害車側の過失は加害者側の過失に比べ軽微であるとして過失相殺しなかった事例
1 東西に通ずる直線道路を東進し、右道路南側にある材料置場に入るべく、右折したフォークリフト車と西行車との衝突事故につき、過失割合を前者8.5後者1.5とした事例 2 付添費用を1日1515円とした事例
1 競馬見物に行くため自己の番頭に他人保有の車を運転させて、保有者と共に同乗していた者に、使用者責任を認めた事例 2 同程度の幅員の道路が交わる見透しの悪い交差点において、北進車の右側面に西進車の前部が衝突した事案につき、過失割合を前者4、後者6とした事例
1 生活保護法に基づく医療扶助を受けて支弁した治療費は受傷者の賠償を求めうる損害であるとした事例 2 左後頭に2耗の陥没骨折が生じた事案につき、この程度では通常は、てんかん、神経症状を残すことはないとして将来の労働能力に支障をきたす程度の後遺症は残っていないとした事例 3 住宅と中学校等が両側に立ち並ぶ北東と西南に通ずる幅員91米の見透しの良い直線道路を西南に向って進行していた加害車が3才と7才の子供が小走りに西北より東南に向って横断しているのを5.5米先の地点にいたるまで気づかず、子供両名に接触、転倒させた事案につき過失割合を加害者側9、7才の子供側1、とした事例
加害者の、被害者に対する事故による損害の賠償はさせてもらう旨の申述が、債務の承認として、消滅時効の中断事由となるとされた事例
自動車運転手は、自転車の近くを追い抜いて進行するに当っては、自転車操縦者はやゝもすると動揺して操縦を誤り、あるいは路上に転倒することも十分予見しうるのであるから、減速・警笛吹鳴等の措置をとって事故発生を防止すべき注意義務があるのに、加害車運転手は、これを怠り、折柄加害車の右前方進行車が左寄りとなったため、さらに自転車寄りとなる左転把をした後、直進して、従前の時速約35粁のまゝ自転車の追い抜きを続けたため、自転車操縦者は、加害車の風圧によるかまたは加害車の接近に狼狽して、安定を失い転倒したものと認められるとして、刑事無罪判決が存するにもかゝわらず、加害者の運行と自転車の転倒には相当因果関係があるとされた事例
事故のため破損した車の修理乃至賠償を加害者に請求中、右車を相当の期間放置し続けたため、著るしい減価を招いた場合は、被害者の間接義務に違反したものとして、その不利益は被害者がうけるべきであるとした事例
被害者には、労災等級8級の後遺症が存することが認められるが、事故時の地位・職務内容よりして、職務遂行に格別の支障なく、給与面にも不利益はないことが認められる故、現職の間はもとより、定年後の再就職にも、不利益はなく、逸失利益損害は認められないとした事例
被害者が事故による傷害治療のため、3箇所の病院で、脳波その他の検査をうけた場合に、3回目の検査料は、診療全体と対比すると、重複した不必要なものとみざるをえないとして、右検査料は事故と相当因果関係はないと判示した事例
外傷性神経症によっては、労働能力の喪失を来すことはないとし、右症状のため不就労であったための損害は、事故と相当因果関係はないものとされた事例
1 白バイに追越された直後、自転車にまたがったまゝ倒れ受傷するに至った事故につき、白バイの自転車・被害者への接触の事実は認められないが、白バイは自転車発見後若干減速したものの、ハンドル操作によって追越をなそうとし、かなりの高速で自転車の側方を進行したことが、被害者に生理的・心理的影響を与え、転倒を惹起したものといえるとして、白バイの走行と被害者の転倒との間には、相当因果関係があると認め、さらに運転手の過失は明確に認め難いが、無過失とも断定しえないから、運行供用者である県は賠償責任を負わなくてはならないと判示した事例 2 被害者は高令で、既往の傷害を有していたことを理由に逸失利益を否定した事例
事故後数年に亘り休業中の被害者につき、事故後1年を経過してからは、被害者の性格にもとづく神経症と化したものとし、休業損害は右1ヵ年分のみを認容した事例
治療については過大病名による過剰診療がされており、被害者に50%を下らない過失割合がある故、被害者の損害は填補済であるとされた事例
事故により頚椎捻挫症となった被害者に、事故前より変形性脊椎症があり、また被害者の性格が競合して、事故後の症状を悪化長期化しているとし、相当の損害のうち、本件事故の際の受傷は、70%寄与していると認定した事例
甲を受取人として乙、丙が連名で約束手形を振出した後、甲(の代理人丁)と乙のみの合意で受取人を丁に訂正したときは、丙は丁からの請求に応ずる義務はない
1 商法266条1項所定の場合を別として、取締役が業務執行行為により会社に与えた損害の賠償義務を負うのは、与えられた裁量権限を逸脱したときに限る 2 右裁量権限を逸脱したと認められた事例