最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 会社がその取締役にあてて約束手形を振り出す行為と商法265条にいう取引 2 商法265条に違反して会社が振り出した約束手形を取得した第三者に対する会社の手形責任
1 国電ストが公労法17条に違反するとされた事例 2 右スト参加者に対し国鉄法の定める懲戒を科しうるとした事例 3 右スト参加者に対する懲戒免職処分が裁量権の逸脱として無効とされた事例
遅刻早退欠勤のとき賃金カットをしない旨の労働契約あるにもかかわらず、就業規則をもって賃金カットをする旨定めてもその合理性の有無を問わず反対労働者に効力はおよばないとした事例
1 教職員の1日限りのストライキが地公法37条で禁止された争議行為にあたらないとして参加者に対する懲戒処分が取り消された事例 2 地公法37条は憲法28条に違反しないとされた事例 3 教員のスト一般は地公法37条によっては禁止されないとの主張が排斥された事例 4 教員の争議行為が禁止される範囲を明示した事例
郵政職員をもって組織する労働組合の指令にもとづく争議行為中、労組法7条1号にいう正当性を有するものの参加者は公労法17条違反の有無を問わず、懲戒処分の対象とはならないとした事例
不動産の買主が、未知の売主の実印および印鑑証明書を所持する者の代理権を信じたことにつき、民法110条にいわゆる正当の理由ありとはいいがたいとされた事例
1 境界確定訴訟における境界線の定め方とその当否の判断基準 2 境界線を確定するにつき斟酌されるべき資料の評価の仕方
1 月払建築の勧誘等をなす外務社員が使用者の無権代理人としてなした宅地分譲契約によって第三者に損害を加えた場合につき使用者の賠償責任を肯定した事例 2 被用者の代理権仮装行為による損害に対する使用者の賠償責任と過失相殺
1 寺院が墓地経営のため他人所有の土地を借り受け使用する場合において、「地上権ニ関スル法律」1条により地上権者と推定される者 2 「地上権ニ関スル法律」1条により推定される地上権につき、民法施行後50年を経過した後に存続期間の確定が請求された場合における右存続期間の確定方法
1 民法770条1項1号所定の不貞の主張の追加が離婚請求を理由あらしめるための攻撃方法の追加として取り扱われた事例 2 夫婦共同生活が20数日で破綻した離婚に伴い慰藉料のほか扶養のための財産分与が認められた事例
建物を買受け土地を賃借していたが建物の登記名義を第三者名義にしていた者に対し、その後土地を買受けた者からする建物収去土地明渡の請求が権利の濫用と認められた事例
1 計算書類附属明細書(商法293条ノ5)に要求される記載内容の程度方法 2 固定資産の処分の一部の具体的記載が省略された明細書が適法と認められた事例
後遺症による逸失利益について判決時まではホフマン式により判決時以降はライプニッツ式により中間利息を控除して算定した事例
労災保険金により填補ずみの治療費等につき、加害者に対する被害者の賠償請求の場合は、これを過失相殺の対象としないこととした事例
1 市立高校教師の昇給延伸3ヶ月が20年後まで継続するとして逸失利益を認容した事例 2 市立高校教師の家庭教師による収入月額1万円を休業損害として認容した事例
1 職務上自動車運転に無関係の旅館従業員の無断運転事故について使用者責任を否定し、運行供用者責任を肯定した事例 2 治療費について追加判決をした事例
1 為替手形の所持人が、支払人欄の白地補充を誤記し、引受人に手形金請求訴訟を提起した場合の誤記訂正権限 2 取立委任文句および被裏書人の氏名の抹消と手形裏書の連続
使用者の支配介入行為を誘発したことにつき労働組合側にも不都合な点があるとして陳謝文の交換を命じた救済命令が違法とされた事例
1 就業規則所定の定年制につき有利原則を肯定した事例 2 就業規則よりも高い定年制の特約は、就業規則の改正によっては影響されないとした事例
1 公務遂行中、他人の投げた遊戯用ボールで負傷したことにつき公務上の災害であると認めた事例 2 公務上の傷害に伴う権利を有することの確認訴訟を許容した事例 3 労働協約に定期昇給の定めがあれば、発令行為をまたず、要件充足とともに昇給すると認めた事例
抵当権者、競落人に対抗できる建物の賃借人は建物の競落許可決定により損失をこうむらないとして右賃借人からの右決定に対する即時抗告が却下された事例
営業許可を受けない者が他人の許可名義を借り受けてバー営業をした場合に、その名義の貸借の私法的効力は認められなくても営業名義の貸借に伴う店舗の賃貸借契約とその店舗における営業行為は、当然には公序良俗に反し無効とならないとされた事例
建物の老朽化、賃借人の建物賃借の目的の達成、賃貸人の土地の使用の必要性が賃借人のそれより高いこと、賃借人の不信行為を考慮し、土地建物の賃貸借の更新拒絶につき正当事由があるとされた事例
債権者の和解条項による賃務者が支払うべき示談金割賦金等の振込先銀行口座の指定通知義務の履行がないとして、和解調書に対する裁判所書記官の執行文付与拒絶処分に対する異議申立却下決定に対する即時抗告が棄却された事例
第三者所有の有体動産を競落し占有改定の方法により引渡を受けても競落人は民法192条により所有権を取得するものではないとされた事例
将来の求償権を有するに過ぎない等契約当時において直ちに債権者ということをえない者らが債務者である株式会社の他の債権者を排除しかつ自分らのうちの一人を右会社の代表取締役に選任し受領せしめてした保険金分配契約が無効であるとされた事例
建物の賃貸借契約の合意解除及び明渡猶予の裁判上の和解が成立した場合、和解中又は和解外において合意解除の結果賃借人がこうむる損失を補償するため賃借人をして明渡猶予期間中建物を使用収益せしめて損失の補償にかえることを約しているときには、賃貸人は明渡猶予期間中賃借人に建物を使用収益させる義務があるとされた事例
第1の競売申立後に登記を得た仮差押債権者はその後記録添付の扱いを受けた第2の競売申立事件による配当手続に当然に加入できるか
タクシー営業を目的とする会社を会員とする乗用旅客自動車協会が運転者移動防止に関する業者間協定を制定し会員会社相互の運転者の引抜き禁止及び違約金の定めをすることは会員会社所属運転手の職業選択の自由を奪うことにならないか
被害者の慢性的自律神経失調症に交通事故が加わって右症状が増強した場合には、右傷害による損害のうち事故の寄与した限度で相当因果関係を認め、その3割を賠償額とした事例
1 狭路(3.3メートル)が広路(5メートル)に丁字型に交差する交差点において、狭路から右折しようとして飛び出した足踏式自転車の運転者に6割の過失相殺をした事例 2 高校入学許可を受けた後事故に遭ったために1年間休学した被害者が入学許可時納付した金員を賠償請求したのに対し、復学時支払った学費と教科書・副読本代相当を損害と認定しても、当事者の主張するところと異なるところを認定したことにならないとした事例 3 入・通院終了時にはなお脳波異常が認められたが、稼働開始時までに労働能力は回復するものとして逸失利益の損害を認めなかった事例
1 直進の足踏自転車と左折のダンプカーとの衝突につき、足踏式自転車の運転者に15%の過失相殺をした事例 2 いわゆる償却制度採用によるダンプカーの売主に運行供用者責任を認めた事例 3 股関節運動制限・尿失禁等の後遺症(9級)による労働能力喪失率を18%、喪失期間を40年とした事例
直前を対向右折した足踏式自転車をはねた直進車であるタクシーにつきスピード違反を理由に免責の抗弁を認めず、50%の過失相殺にとどめた事例
ブレーキ・オイルの漏洩によるブレーキ故障を認識しうる状況にありながら運転を続け、フートブレーキの効果を失って追突事故を惹起した運転手の過失肯定例
有限会社(従業員10名)の代表取締役の傷害事故のため、会社が同人の補助者を雇用し支払った給与、交通費等の損害を会社の損害として認めた事例
被害者は自動車を運転して丁字路を右折すべく、方向指示をして丁字路手前の横断歩道直前道路中央部分に停止した後、右折を中止して、その場で同乗者を降ろしたところ、同人が車内に財布を置忘れたのをみて、それを渡すべく同車右側ドアを開けて対向車線上の加害車の前方10.4米先路上にとび出したところを対向してきた加害車にはねとばされた事案で、過失割合を被害者4、加害者6とした事例
後遺症として左下肢に脚長差5.5糎の短少、および筋萎縮ないし膝関節運転制限および外傷性てんかん、左耳難聴、記憶力減退等の頭部外傷性後遺症を残した大物鋳物師(40才)の逸失利益の算定につき、55才まで15年間、労働能力喪失率60%として算定した事例
陸上運送業者の被用者(運転手)の重過失(飲酒のうえ、じぐざぐ運転)による事故につき、使用者から被用者に対する求償の範囲を全損害の7割、被用者の身元保証人の責任範囲を右金額の3割とした事例
横断歩道上手前で東行き自動車が横断者を横断させるべく停止したので、約2米の鎖でつながれた犬に引張られるように小走りで北から南に横断中の5才の女児に西行きの加害車が衝突した事案につき、同女の過失は斟酌するに足りないとして過失相殺をしなかった事例
対面の信号機が青を表示していたとしても、これにより交差点に進入する車は、右信号が、進入寸前あるいは同時に青が黄に変るような時期である場合には、信号が変る時点をも考慮に入れ、場合によっては交差点進入をさし控え、あるいは進入に際し減速するなどして、安全を確保する義務があるとし、その過失割合を30%とした事例
1 妻の妹の無断運転中の事故につき、所有者に運行供用者責任が認められた事例 2 被追突者に、自転車の通行すべき道路左端を進行し、中央部を進行する必要あるときは、周囲の安全を確認して進行すべき義務を怠った過失があるとし、2割の過失相殺を認めた事例
「織糸用糸巻取換え装置」に関する実用新案登録願について、拒絶理由とされた引用例との4つの相違点は、いずれもきわめて容易に考えられるとして、拒絶相当との結論を是認した事例
1 特許権消滅後も無効審判の審決を取消す利益を有する 2 編機における編糸緊張装置に関する特許発明につき、実施不能なりとする無効審判の請求が排斥された事例
「油濾過器」に関する実用新案登録願について、その作用効果に関する主張も出願説明書に記載がないだけでなく、引例との差異も設計上の微差にすぎないとして拒絶相当とした事例
「可変速伝導装置」に関する特許出願について、引用例との相違点はすでに周知の技術によって容易に想到しうるところであるとし、拒絶相当とした審決を維持した事例
1 化粧品などを指定商品とする「エリザベス」という登録商標権者が商品菓子パンにつき防護標章登録出願をしたが、両者間に出所混同を来すおそれありとの主張が排斥された事例 2 「証明書」という文書であっても、その内容が証明を依頼された者の推測の表明にすぎないときは事実証明としての価値を有しない
「冷却調整装置付空冷内燃機関」に関する実用新案登録願につき、拒絶理由とした引例における遮風板をもって本願考案における技術思想を求めることはできないとして審決を取り消した事例
「ポリエチレン成型品の印刷画線を滲透固着せしめる方法」について引例に必須の技術的要件である低分子ポリエチレンに対応するものを欠くとして拒絶相当とした審決を取り消した事例
1 採捕禁止期間中の多数回にわたる「いせえび」の不法採捕の罪数(採捕毎に一罪) 2 不法採捕にかかる「いせえび」の多数回にわたる販売行為の罪数(販売毎に一罪) 3 無許可操業と「いせえび」の不法採捕の罪数関係(併合罪)
開拓農業協同組合が補助金を受けて工事を行なうに際し、補助金内で工事を行なうために費用の水増し請求をして過度の補助金を受けたものと認め、工事費用は請求ないし報告どおりで、ただ組合等の負担分を減免するため工事施行業者から寄附を受けたにすぎないとの弁解を排斥した事例
調停調書において、原告は被告に対し離婚にともなう慰藉料および子の養育費として500万円を分割して裁判所に寄託して支払うこと、内金150万円を一定期限までに支払うことを怠ったときは、原告が占有する被告名義の店舗を明渡す旨の約定がなされている場合において、原告が右の割賦債務の支払いを怠りがちであるうえ、前記150万円も約定期限を10日経過後に寄託したとしても、原告は支払期限の到来した債務残額全額を寄託して支払いに誠意を示していること、前記債務は第一次的には金員による支払いが予定されており店舗明渡は担保的意味を有するにすぎないこと、原告の営業は店舗明渡により死命を制されるに等しいことなど判示の事情があるときは、被告が金員の受領を拒否し、右店舗の明渡を求めることは権利濫用として許されない
婚姻費用の分担額を算定するにあたり、実家の家業を常時手伝いその代償として扶養を受けている妻について、無職無収入とみるよりは家族従事者として相当の収入を得ていると評価するのが相当であるとして、消費単位、世帯人員別標準生計費等の統計により、申立人の収入額を推算し、相手方の分担すべき額を算定した事例
婚外子の父とその妻との間の婚姻関係がすでに破綻しており、婚外子はその母および認知した父と同一世帯にあって社会生活上右父の世帯の一員としての実質を伴っている場合、その子の氏の呼称に関してはその子の社会的幸福がそこなわれず同人の利益に適合する措置がとられるべきであって、父の妻の主観的感情による反対は子の幸福のために顧慮すべきでないとして子の氏の変更を許可した事例
一般的にいって兄弟姉妹の親権者を分離することは、特に止むを得ない事情の存する場合のみ許されることであって、特に幼児期においては兄弟が生活を共にすることによって互いにうる体験は人格形成の上で何ものにもかえがたい価値のあるものであり、親の子に対する情愛の満足のためにそれを奪うべきでないから、事件本人らの親権者をいずれも母に指定するのが相当である
申立人の将来の養育費を定めるにつき、同人の成長による費用の増加が明らかであり、相手方の給与収入も物価上昇や職業的地位の向上に伴い当然毎年増加することが予測されるとして、毎年1月に前年度の月額に一定額を加算した額をその年度の月額とするものとした事例
同一世帯内に字画は異なるが名の呼称が同一の者がおり、日常生活において呼称上混乱を生じ多大の支障を生じている場合は、同姓同名の者があって改名が許可されなければ社会生活上多大の支障をきたす場合に匹敵する事情があるとして、名の変更を許可すべき正当な事由があると認めた事例
戸籍法113条の許可は、訂正の対象事項が戸籍の記載自体で一見明白である場合または戸籍の記載自体で明白でなくてもその事項が軽微で訂正が重大な身分法上の影響をもたない場合に限って認められるべきものであり、訂正事項が戸籍の記載自体で明らかでなくしかも訂正の結果身分法上重大な影響を生ずる場合は、すべて身分関係に関する確定判決または審判に基づき戸籍法116条所定の手続によるべきである
子の認知者が死亡したのち、子以外の利益関係人が子を相手方として申立てた認知無効の調停においては、人事訴訟手続法2条2項の類推適用により、認知無効の訴につき当事者適格を有する申立人と相手方の間で、家事審判法23条に定める合意を適法にすることができる
日本に居住する中国人について、中国に帰国する意思もなく、中華民国・中華人民共和国のいずれの政府をも支持する考えもなく、日本への帰化を希望するなどの事情がある場合には、無国籍に準じて処理するのが相当である
韓国民法932条による法定後見人の規定は、親権者が死亡しかつ遺言による指定後見人のない場合の規定であり、韓国人未成年者の親権者が現実に親権を行使できない状態にある場合は同条の適用はないとして、法例23条2項により日本法により後見人を選任した事例
渉外母子関係確認の準拠法については、法例に直接の規定はないが、認知に関する法例18条1項の趣旨を類推して定めるのが相当である
アメリカ合衆国国際私法上、養子縁組について準拠法の連結素とされている住所は、法定住所であることを要しないが、当事者が軍の命令に基づき暫定的に我国に居住し、除隊後は本国に帰国する関係にあって日本に定住の意思のない場合は、右にいう住所が我国にあるとはいい難いとして、反致を認めなかった事例