最も長い歴史をもつ判例実務誌
自動車の有償貸渡業者(いわゆるレンターカー会社)から自動車を借り受けた者の運行による事故につき、右貸渡業者に自賠法3条による運行供用者責任が認められた事例
利息制限法の制限を超過する未収の利息・損害金は法人税法(昭和40年法律第34号による改正判のもの)9条にいう「益金」に該当するか(消極)
公務員の印鑑証明書過誤発行と右印鑑証明書を用いてなされた抵当権設定登記等の無効を理由とする貸金の回収不能による損害との間に因果関係があるとされた事例
仲裁判断で主請求につき判断せず、弁護士費用等を相手方に負担させた場合と、その判断理由に理由不備の違法がないと認められた事例
吊橋のかけ替工事を請負った会社の従業員が、右工事現場で発注資材を受領するに際して、受注会社の従業員にクレーンの使用を許したことに過失があるとして、右クレーン操作に基づく事故について、右請負会社に使用者責任を認めた事例
1 株主名簿に記載のない株主について、株主総会決議取消の訴の当事者適格を認め、且つ、会社は右株主に対し株主総会招集の通知義務があるとした事例 2 株主総会における決議に取消事由がある場合に、その後の株主総会で右決議を有効とする議案が可決されたとしても、右瑕疵は治癒されないとされた事例
1 職場におけるロッカーにスローガン記入の手ぬぐいをつり下げることの妨害禁止等仮処分申請が、その被保全権利たる使用借権占有権なしとして却下された事例 2 団結権にもとづく妨害排除請求権は法律上認め難いとした事例
1 下水道工事に就労中地崩れのため死亡した出かせぎ農民に対し民法717条を適用し逸失利益等約1900万円の賠償を認めた事例 2 農民の出かせぎ期間は50才までと認定した事例
1 佐藤訪米阻止斗争に参加して逮捕勾留され起訴された反戦青年委員会所属の従業員に対してなされた起訴休職処分が無効であるとされた事例 2 就労請求権を否定した事例 3 組合員としての資格において就労時間外の事業場への入構請求権が認められた事例
1 業務上過失傷害被告事件において傷害の結果との関係で訴因変更手続を要するとされた事例 2 右被告事件において過失の内容との関係で訴因変更手続を要するとされた事例 3 道路が左にカーブする頂点附近で対向の大型貨物自動車と離合しようとする小型自動車の運転者の注意義務
制限速度を超す毎時70キロメートルの速度で、信号にしたがい交差点に進入しようとする自動車の運転者に、交差する道路から赤信号を無視して交差点に進入する自転車のありうることまでも予想すべき注意義務がないとされた事例
1 刑法223条1項にいう「行うべき権利を妨害した」場合にあたらないとした事例 2 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条の3にいう常習性を否定した事例
2車線の道路で第二通行帯から、進行左側にある貨物駅構内に入るため左折しようとする自動車運転者の後続車両に対する注意義務を認めた事例
左右の見とおしのきく交通整理の行われていない交差点で優先通行の権利が認められる道路を進行する自動車運転者に徐行など事故防止の措置義務があるとした事例
双方の過失に基因する同一交通事故について一方が同事故による損害賠償を訴求したときに他方が同事故による損害賠償権を自動債権として相殺することは民法509条の法意に反しないとされた事例
1 第三者の行う欺罔行為に基づき成立した契約を民法96条2項の規定により取り消しうるとされた事例 2 右規定により売買契約が取り消された場合、売主・買主の原状回復義務については特別の事情のないかぎり同法533条を類推適用すべきである
競落許可決定のなされた後、競売手続申立の取下をするに必要とされる同意が欠けているとし、その無効を宣言すると同時に当該競売手続の続行を命じた事例
民法所定組合契約に最も類似する契約に基づき事業を行う場合における出資金の返還については、同法の組合に関する規定を類推適用すべきであるとされた事例
執行債務者が執行吏代理に対し債務名義の執行文取消・強制執行不許の決定正本のリコピーを提出したにかかわらず、土地建物明渡の執行が続行された場合につき、債権者の代理人である弁護士および国の損害賠償責任が認められた事例
1 地方自治法232条の3に違反する支出負担行為の効力 2 都市公園実施設計作成委託契約に基づき公園設計を遂げたものに対し委託者が支払うべき報酬の相当額を認定した事例
3者の過失の競合により、第三者に損害を与え、かつ、相互に損害を蒙った共同不法行為者間の求償および各自の損害についての他の当事者への賠償請求は、3者各自の過失の割合に応じた負担部分を基礎として配分すべきものとした事例
1 交通事故加害者の刑事弁護人となった弁護士が、被害者の相続人の訴訟代理人となって右加害者の使用者である会社に対して損害賠償訴訟を提起しても、弁護士法25条1、2号に違反しないとされた事例 2 社員所有にかゝり、時に右社員において職務遂行上使用することがあったものの、主として通勤用に利用していた車について、右社員が部下を好意で自宅に送り届けようとして惹起した事故には、会社に運行供用者・使用者責任はないとした事例
1 積み上げられた枕木のため交差する道路が存在することに気付かず交差点に進入した軽自動車と、そのブラインドとなった右方の道路から事実上引かれた停止線で止まることなく進入して交差点のほぼ中央で軽自動車に側面を衝突された足踏式自転車との過失割合を、前者6割後者4割とした事例 2 技術英語翻訳業の逸失利益算定にあたり翻訳収入の必要経費として35%を控除し、さらに残りの純収入から生活費30%、税金相当分20%を控除した事例
1 事故後に生じた被害者の症状が心因性によるものとして、休業損害の一部、逸失利益、後遺症について事故と相当因果関係がないとされた事例 2 仮示談は本訴請求を排斥せしめる抗弁とはならないとした事例
客を乗せるため、後続車との距離が12~3メートルしかないのに、約2メートル弱歩道から離れて停車し、後続車に追突された個人タクシーの運転者に25%の過失相殺をした事例
事故による鞭打損傷と、その後に起った胃潰瘍との間の因果関係の存否が不明な場合に、前者の後者に対する寄与分を3分の1として割合的に認めても不自然ではないとした事例
労災保険法による給付がなされた故に、業務従事中死亡するに至った従業員について遺族補償を支払う責を労基法84条1項により免れたとする会社の主張が斥けられた事例
高校3年生男子の逸失利益の算定につき、就職先が決定しており、初任給25、000円であることが認められるとしながらも、将来自営の希望があり長期勤務の予定でなかったとして、右給与を逸失利益算定の基礎とせず統計資料をもとにして収入を推認した事例
大型ダンプ車が丁字路において、右折を開始したため、後続直進原付自転車が接触をさけるために右転把して丁字路の角にあった石に衝突して死亡した事案につき、過失割合を前者2、後者8とした事例
会社の野球大会が降雨のため中止になったので、会社役員および、同僚を乗せ、帰社中の従業員の自家用車による事故につき、会社に使用者責任を認めた事例
運転資格のない助手に運転を委ね仮眠中、右助手の過失で受傷した運転手について、会社の職務体制よりして、右助手の運転を会社は黙認していたものとし、会社に対する関係では正規運転手2名が交互に運転すると異るところない故に、受傷運転手は自賠法3条の「他人」に当るとされた事例
企業損害を、受傷者は単なる従業員で企業と経済的同一体関係があるとはいえないうえ、損害額を確定することもできないとして、排斥した事例
割引料として額面金額から利息制限法所定の利率をこえる金額を控除した対価で会社が取締役に約束手形を裏書譲渡した場合に商法265条により取締役会の承認を要するとした事例
1 会社代表取締役が、第三者に会社業務一切をまかせて顧みず、右第三者の不正行為を看過するに至った場合とその職務執行上の悪意又は重過失 2 有限会社法30条の3の法意
株主総会における決議に取消事由がある場合において、その後の株主総会で右決議を確認する旨の決議がなされても、右決議の取消を求める利益が失われるものではないとされた事例
1 行政不服審査法22条3項の弁明書副本送付請求権の範囲 2 審査庁係官の調査メモにつき同法33条2による閲覧請求権が否定された事例
原告製品である吊杆においては被告が権利を有する「吊杆に於ける安定装置」に関する登録実用新案の必須条件である2つの垂杆を有しないとし、権利範囲に属するとした審決を取り消した事例
「精米装置」に関する特許権についてその特許を無効とする審決の理由とする3つの引例によれば、研削式無噴風摩擦式の組合わせは容易に考えられるとして、特許を無効とした審決の結論を是認した事例
「手動利器」を指定商品とする「SUN-CRAFT」という商標登録出願について既登録商標「SUN」を拒絶理由とすることは、「SUN」と「CRAFT」とことさらに分離した点に違法があるとして審決を取り消した事例
「籾摺機」に関する意匠登録出願について、籾摺機の機能上必要な基本的形態として周知なところであっても意匠の要部にならないものではないとし、引用意匠との類似性を認めた審決の結論を是認した事例
「鉛筆の塗装法」に関する特許を無効とする審決につき、無効理由とした引用例のラッカーとは比較すべくもないほどきわめて短時間に塗装を乾燥させる技術手段が用いられており、無効理由についての判断を誤まった違法があるとした事例
「塩化ビニール系樹脂とゴムとの接着剤製造法」という特許を無効とする審決について、引用刊行物記載の接着剤の製造法に不可欠の工程を不要とした点を看過したとして審決取消の結論を是認した事例
原告甲男と訴外乙女夫婦の嫡出子として届出られた被告丙男について、真実は右夫婦間の実子でない場合でも、右届出以来十数年にわたって全く親子にふさわしい円満な共同生活を続け、実質的にみて丙男の実親も縁組代諾の意思を有することが推認できるばかりでなく、丙男がすでに34歳に達しており、代諾の存在を顧慮すべき立場にないなどの判示認定事情のもとにおいては、右出生届は養子縁組届としての要式性をも充足し、甲男と丙男の間に法律上有効な養親子関係が存在するものというべきである
1 婚姻費用の分担額を決定する際に斟酌さるべき収入とは、現実に夫婦の生活費に供しうる額にほかならないのであるから、給与所得者である抗告人の収入額の算定にあたっては、市民税および県民税の額を控除するのが相当である 2 電話料および自動車税は、本来抗告人自身の生活費として支出すべきものであって、婚姻費用の分担額決定に際して斟酌される収入の額の算出にあたって控除さるべきではない
婚外子の氏の父の氏への変更に際しては、その父の婚姻関係者が有する婚外子の氏変更に対する障碍事由を可能なかぎり除去するよう調整活動を尽し、婚外子の父の氏への変更と父の戸籍への入籍という問題が婚姻関係者の社会生活上ないし法律上の利益をできるだけそこなうことの少ないようにすることが必要であるとして、婚外子の父において右調整活動が尽されていると認め婚外子の父の氏への変更を許可した事例
被相続人は、家出放浪中姉の死亡によりその遺産を相続したところ、その後も各地放浪のうえ、相続人なくして死亡したが、被相続人による遺産所有権の取得は、単に名目上のそれにすぎないなど判示事情のもとにおいては、本件相続財産処分の当否を判断する関係では、申立人と被相続人の姉との特別縁故関係の存否によって事を決すべきであるとして、被相続人とは直接の特別縁故関係のない申立人に相続財産を分与した事例
1 遺留分権利者が減殺権を行使するにはその遺留分を保全するに必要な限度を指定すべきであるが、生前贈与等により他に相続財産がぼとんどなく、相続開始時における具体的な遺産の価額が減殺請求者にとって不明であるときは、その指定方法として、遺産の具体的な価額にもとづかない単純な割合で、右限度を指定してもさしつかえないと解する 2 贈与の時期を異にする数個の贈与財産に対して遺留分の減殺請求をする場合、後の贈与から遺留分を保全するに必要な限度で減殺すべきであるとしても、遺留分権利者の遺留分を保全する限度でその効力は発生すると解されるから、慨括的な減殺方法が違法であるということはできない
出生した子の名は、父母が共同親権者である場合には父母が協議のうえ、命名すべきものであり、その一方の意思に反し他の一方の意思のみに基づくものである限り、その届出は有効ではあるが命名は違法であるから、父母の双方が協議のうえ改めて名を定めた場合には、改名にともなう弊害が顕著であるなど特段の事情がないかぎり、その名に改名する正当な事由があるというべきである
韓国人男(亡)と元日本人女の重婚を理由として、その子が生存する母を相手方として申立てた婚姻取消の調停においては、人事訴訟手続法2条2項により、婚姻取消の訴につき当事者適格を有する申立人と相手方との間で、家事審判法23条に定める合意を適法にすることができる