最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 失対労働者の職安に対する団体交渉権の有無 2 退去命令後約3時間庁舎内に滞留した所為につき不退去罪の成立を否定した事例
現行犯逮捕の要件がない状況で令状なしになされた捜索により差押えられた証拠および右証拠に基づき得られた他の証拠の証拠能力を否定した事例
いわゆるイタイイタイ病は患者がカドミウムを経口摂取したことが主因であって、患者らが日常生活に利用している河川に長期間継続してカドミウムを排出していた会社に、カドミウムの排出とイタイイタイ病の間に因果関係があるとして損害賠償義務を認めた事例
1 地主との関係で土地転借権に基づく用益が客観的に表現されていないことを理由に土地転借権の時効取得が否定された事例 2 土地の転借人が民法163条・162条第2項の無過失者にあたらないとして転借権の時効取得が否定された事例
地方自治団体の管理にかかる溝渠に転落溺死した子の両親から、右溝渠の管理に瑕疵があるとして求めた国家賠償請求が、全面的に認容された事例
1 土地の総有が認められた事例 2 町内会の総有土地について、「町内会が土地を処分したときは、被告(登記簿上の所有名義人)は、その処分に即応する登記手続をなすべき義務のあることの確認」を求める請求が是認された事例
自創法に基づく農地の売渡処分が違法無効であることを原因として国に対し損害賠償を求めた請求が、20年の時効消滅を理由に棄却された事例
慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)治療の根治手術を受けたところ、この手術に基因して右眼視力を完全に喪失した(手術前視力1.2)事案につき、当該医師の措置(手術及び失明発見後の治療措置等)に過失がないとされた事例
1 昇給を加味した逸失利益の簡易算出法 2 逸失利益算出と、べースアップ、生存率、停年後の生活費、扶養喪失理論・相続理論、ホフマン式計算の関係
1 「運行供用者であること」についての自白の拘束力(積極) 2 逸失利益の算定に当り退職金から生活費を控除することの当否(積極) 3 被害者の生前の健康状態を逸失利益の算定に反映させる方法
1 運行供用者父の保有する自動車を運転中の父の被用者の過失により死亡した子は自賠法3条により父に対し損害賠償請求権を取得し、母が同法16条1項による被害者請求をすることは許されるか(積極) 2 右の場合母が被害者請求をなし得る範囲は喪失利益のみならず慰謝料も含まれるか(積極) 3 右の損害額のうち母の被害者請求が許されるのは、いわゆる保険金限度額かその相続部分(2分の1)か 4 本件訴訟に要した弁護士費用は事故と相当因果関係にあるか(積極)
収用委員会の収用裁決のうち補償額についてだけ不服のある土地所有者または関係人が起業者に対し右裁決の変更を求める訴えの適否
2才から18才までの子供50名を収容する児童福祉施設の指導員が施設の定めた指導方針に反する方針で児童を教育したことを理由とする解雇が権利濫用でないとされた事例
1 被解雇者からの将来の賃金の給付の訴えが、判決確定の翌日以後の分につき、その必要性なしとして、却下された事例 2 タクシー会社の運転手に対する待時間料金ごまかし等を理由とする解雇が不当労働行為にあたるとされた事例
鉱員のゼッケン着用が、就業時間中の構内での情宣等の組合活動を禁止する労働協約条項に当るとされ、その場合における会社の就労拒否について、会社に民法536条2項の帰責事由が認められなかった事例
1 従業員に対する所持品検査が適法とされた事例 2 右検査拒否が職務上の命令不当反抗にあたるが、いまだ職務の秩序をみだし又はみだそうとしたことに当らないとされた事例
1 刑法126条1項にいう汽車または電車の「破壊」の意義 2 刑法126条1項にいう電車の「破壊」にあたるとされた事例
1 犯罪にあたる事実を摘示して人の名誉を毀損した場合における真実の証明の程度 2 弁護人が訴訟手続以外の場において被告人の利益擁護のため他人の名誉を毀損する行為と違法性の阻却
1 公職選挙法142条1項にいう「選挙運動のために使用する文書」にあたるとされた事例 2 同項の頒布にあたるとされた事例
相互銀行の支店長が個人として保証したのを、あたかも支店長として保証するかの如く思わせた等の事情により、相互銀行に不法行為の使用者責任を認めた事例
弁護士が公証人であった当時作成した遺言公正証書に基づき遺言執行者がその遺言を執行するためにする訴訟事件は当該弁護士にとって弁護士法25条4号の「公務員として職務上取り扱った事件」ではない
執行準備の段階において執行のために必要な費用を支出した債権者は、執行をしないうちに任意弁済を受けたときも、本来の債務名義によって右費用を取り立てることができるか(積極)
学籍登録を終え学生証を交付され学生寮への入寮を許可されたが履修科目登録を拒否した外国人留学生がいまだ大学生の身分を取得しないとされた事例
当初から賃貸借の更新が特約されている更新前の建物の賃貸借契約について作成された公正証書は、更新後の賃貸借契約上の賃料債権について債務名義としての効力を有しないとされた事例
1 預金契約者の認定 2 預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条の「特定の第三者と通じ」の意味 3 同条に違反した預金契約の効力
被用者が肺結核に感染し治療または精密検査を要することを知りながら、その被用者の就業を禁止制限しなかった使用者につき、病勢悪化による損害賠償責任を否定した事例
1 塀が設置された空地に放置された鉄管で遊んでいた子供が下敷となり死亡した事故による損害賠償の請求が認められた事例 2 両親に保護監督上の過失ありとして過失相殺により3分の1を控除した事例
被害者の過失は加害者のそれと比べてはるかに大きいが、既に加害者から被害者に支払われた金員がすべて治療費にあてられていることを斟酌して賠償額を右治療費相当額とし、損害賠償請求の本訴も、過払金の返還を請求した反訴も、ともに棄却した事例
逸失利益算定に関する当事者の主張と弁論主義 逸失利益算定のために設定する将来の稼動期間、収入額生活費等についての当事者の主張は損害の評価のための過程にすぎないからいわゆる狭義の弁論主義に関しないものとして裁判所を拘束しない
1 自賠法3条但書の免責が認められた事例 2 二重衝突事故で、一方加害者が免責になることを知らずして、他方加害者に対してなした人損に基づく損害賠償請求権の放棄の意思表示が錯誤により無効とされた事例
1 「東京ガス駒込サービス店」なる名称を使用することを許されていた会社の従業員が起した事故につき、東京ガスの運行供用者責任が否定された事例 2 芸者の逸失利益算定例
借地法9条ノ2第3項に基づき賃借権とともに優先譲受申立の目的となった建物が土地賃貸人所有地と借地権者所有地とにまたがって存在する一棟の建物である場合の措置
1 株式会社の支店長代理の職にある者が「支店長代理」の肩書で振出した約束手形について、会社の責任が否定された例 2 右の場合に、商法42条、43条の適用が排斥された例
1 過去の不当労働行為と同種もしくは類似の行為を禁止した労働委員会の救済命令に違反したとの理由で過料の制裁を科することが違法でないとされた事例 2 右過料の制裁と憲法31条・32条
「紡績機械の糸を与えて回転する円じゅ体の浄化装置」に関する特許出願について、その擦落片が引例の「紡機における牽伸装置のローラー浄化装置」における摺擦子とは構造および機能において本質的な相違があるとはいい難く、拒絶相当との審決を是認した事例
「閃光電球」に関する特許出願について、拒絶相当として挙げられた引用刊行物に示された閃光電球との相違は、当業者の任意選択の範囲ないし設計変更の域を出ないとして拒絶相当とした事例
染料などを指定商品とする「キミス」という登録商標は、指定商品を同じくする「キスミー」という既登録商標の存在を理由に登録を無効とするのを相当とした事例
1 暴行を共謀した者のうちで、被害者を日本刀で刺した者は被告人両名のうちのいずれかであるが、そのいずれの者か判断できない、とした原判決の事実認定を肯認した事例 2 右の場合における量刑
1 労働基準法36条にもとづく協定が結ばれていない場合における労働組合の休日出勤拒否闘争は「法律的には失うもののない闘争」として特に争議行為の手段方法につき制限をうけるか 2 管理職者による休日操業を阻止するために工場内に入って退去しなかった行為が建造物不退去罪にあたるとされた事例
業務上横領と偽造有価証券行使罪との間に公訴事実の同一性がないとして、更新前の訴因変更許可決定を無効と判断し、本来的訴因(業務上横領)につき無罪の言渡をした事例
他人から借り受けて使用中の普通自動車の施錠のないダッシュボート内から運転免許証を抜き取った行為を窃盗でなく横領であると認めた事例
便槽内に婚外子を生み落した19才の女店員が、その事実に気づきながら救助せず死亡させた事案につき、不作為による殺人を認めた事例
1 過失の認定が経験則の適用を誤ったものとされた事例 2 先行車両が黄色信号で交差点に進入した場合における後続車両の運転者の注意義務
ハンドルを切り返す余裕のなかったこと(26.10メートルの間において)を時速認定(65キロメートル)の一証拠とした事例
離婚の際末成年子の単独親権者となった者が死亡し、後見人が選任られた場合においても、親権者とならなかった他方実親が親権者になることを希望し、かつその者が未成年子の監護養育の適任者と認められる場合においては、後見が親権の補充的制度とされている趣旨等(判事理由参照)よりして、未成年子の親権者を他方実親に変更することができるものと解すべきである
1 進駐軍(駐留軍)軍人の自動車事故により死亡した被害者の遺族等に対し、閣議決定及び閣議了解に基づき支給された死亡見舞金及びその増額分は、法律上の賠償義務を負担しない国が政治的配慮から被害者と特殊な身分関係にある遺族に給付した見舞金であるから、遺族固有の財産として被害者の遺産に属しない 2 「連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律」の規定に基づき前記被害者の遺族に支給される遺族給付金は、同法所定の給付金を受けるべき遺族の範囲が民法所定の相続人と同一でなく、その給付額も一定している点よりして、同法所定の遺族が同法に基づく国の支給決定によってはじめて国に対し取得する権利であり、遺族固有の財産として被害者の遺産に属さない
共同相続の場合における相続回復請求権の短期消滅時効の起算点である相続権侵害の事実を知った時とは、相続人が自己も相続人の一人であることを認識し、しかも自己が相続から除外されていることを認識した時と解すべきである
外国人の養子となった日本人子の名の変更の準拠法は、法例に規定はないが、子の人格権に関する問題として子自身の本国法によるべきである
1 養子縁組後に養子の称すべき氏については、親子間の法律問題として、法例20条により父の本国法を適用すべきである 2 外国法が準拠法となる場合、自国の実体法との相違により、自国の裁判所が右準拠法を適用する手続上の権限を有しないときは、有する権限のうち類似の権限によりその実体法を適用すべきであるとして、米国(ニューヨーク州)法における養子決定の際の氏の変更を子の氏変更許可の権限により許可審判した事例
不在者の相続による不動産(土地)を売却するため、その財産管理人からなされた権限を超える行為の許可申立につき、土地の価額の変動が激しい時においては、右不動産の売却代金の不在者の取得分を銀行預金その他有利な利殖方法で管理するとしても、現金は散逸しやすく、財産保全の方法としては土地のままで管理するのが安全確実であり、他に右土地を直ちに売却しないと不在者のために不利益であると認める特別な事情はないとして、右申立を却下した事例
1 民法795条は、養子縁組成立にのみかかわりを持ち、かつその届出受理の要件にとどまって、その存続ないし消滅についてまで一律に夫婦の共同性を要求しているものと解すべきではなく、共同養子縁組の本来の趣旨に反する結果となるか否かを具体的な事件毎に実質的に吟味して、一方の養親を養子間での縁組意思の欠缺が他方の養親と養子との間の養子縁組をも無効とするか否かを決定すべきである。 2 夫婦共同養子縁組の一方養親(甲)と養子(乙)との間で縁組意思の欠缺ある事案において、養親夫婦が事実上離婚状態にある時期に当該縁組届出がなされ、その後右夫婦間の同棲的共同生活が回復しないまま他方養親(丙)は死亡し、甲は乙が丙の養子とされることについては一貫して黙認してきたことなど判示認定事情のもとでは、甲と乙との間の養子縁組を無効としながら、丙と乙との間の養子縁組を有効としても、夫婦共同縁組の本質にもとるものではない