最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 輸出許可の効力の及ぶ貨物の範囲 2 輸出申告書に記載した貨物名と全く別異の貨物を輸出する所為と無許可輸出罪の成否 3 昭和42年法律第11号による改正前の関税法118条2項により追徴を科せられる犯人の範囲 4 昭和42年法律第11号による改正前の関税法118条2項と憲法31条、29条
1 長さ1メートル前後の角棒は刑法208条の2にいう「兇器」にあたるか 2 刑法208条の2にいう「集合」の意義 3 刑法208条の2にいう「集合」にあたる状態の継続と兇器準備集合罪の継続
労組員が抗議行動のため30分間事務室から退去しなかったことが情況上不退去罪にあたらず、且つ会社側の者が労組員を撮影したフイルムの引渡を求め拒絶せられたため写真機を取り上げる際生じた軽微な傷について誤想防衛であるから暴行の故意がないとした事例
所得税法242条8号のいわゆる不答弁罪および検査拒否罪について構成要件不該当を理由に無罪を言渡した原審判決を破棄して有罪の認定をした事例
警察官の学生に対する実力による排除は違法であり、被告人の暴行の故意の証明がないとして公務執行妨害罪の成立を否定した事例
1 市立小中学校教職員の修学旅行および遠足の引率・付添の勤務に対する時間外勤務手当支払請求権が認められた事例 2 小中学校の児童・生徒の修学旅行ないし遠足における引率・付添の勤務は労働基準法41条3号所定の「監視又は断続的労働」にあたるか(消極) 3 使用者が労働者に対し労働基準法41条3号所定の行政官庁の許可を受けないで監視又は断続的労働に従事させた場合と時間外勤務手当支払の要否(積極)
1 いわゆる採用内定者につき労働契約の成立時期如何を判断した事例 2 使用者からする採用内定取消通知が労働契約成立後のため解雇の意思表示とみなされ、権利濫用として無効とされた事例
(1 出入国管理令第10条第7項の上陸条件不適合認定処分の性質 2 観光客の観光外の行動と出入国管理令第4条第1項第4号の在留資格
確定判決の証拠となった証言について偽証罪の起訴猶予処分があったことを主張して再審の訴を提起した場合と右起訴猶予処分の判断の再審裁判所に対する拘束性
賃貸人が賃貸建物を賃借人に使用収益させる義務の履行につき民法492条を適用し、賃貸人は債務不履行の責を負わないとされた事例
有限会社の代表取締役が代表者印等の保管につき善管義務を尽さないにもかかわらず有限会社法30条ノ3による損害賠償義務を負うベきでない場合
市選挙管理委員会職員の過失により公職選挙法173条所定の候補者の党派別掲示に誤記があったため選挙が無効になった場合と、再選挙において候補者の支出した選挙運動費用等に対する国の損害賠償責任
借地権の設定に際して授受される権利金と昭和34年法律第79号による改正前の旧所得税法(昭和22年法律第27号)9条1項8号にいう譲渡所得
公立学校教員につき給与過払による不当利得返還請求権を自働債権としその後に支払われる給与の支払請求権を受働債権としてした相殺が労働基準法24条1項本文の規定に反し許されないとされた事例
売買および起訴前の和解が当事者として関与した弁護士の行為に弁護士法56条1項にいう非行に該当する事由があるため公序良俗違反として無効と判断された事例
1 自動車事故被害者の任意保険会社に対する代位訴訟 2 給与所得者の死亡による逸失利益を算定するにあたり口頭弁論終結時までのベースアップを考慮することの可否 3 得べかりし退職慰労年金の喪失による損害の算定と生活費控除の要否
6才の児童が横断歩道でない箇所で横断しようとして自動車と衝突した事故につきその自動車の運転者に過失があっていわゆる信頼の原則は適用されないものとされた事例
1 いわゆるキスマークが、強姦致傷罪における傷害にあたるとされた事例 2 強姦行為完了後、被害者がその場を逃れるために階段をかけ降りた際、自から右階段に打ちつけるなどして受傷した傷害は、強姦致傷罪における傷害にあたらないとした事例
タクシー運転手が乗車拒否をしたうえ、助手席横の窓ガラス等に手をかけてぶら下っている客を引きずり疾走した事案について未必の故意による殺人未遂罪の成立を認めた事例
1 京都市公安条例を最高裁大法延判決に従って合憲とした事例 2 デモの指導行為に可罰的違法性がないとの主張を排斥した事例
1 刑訴法210条1項にいう「直ちに」の意義 2 午後7時30分頃緊急逮捕した司法巡査が同10時頃裁判所宿直員に逮捕状請求手続をなす旨連絡したが、裁判官の指示により約12時間半経過後になした請求に基づく逮捕状発付手続を違法と認めながら勾留請求を却下するほどの瑕疵はないとした事例
被害者が血友病にかかっており、且つ受傷後の処置が適切でなかった為、革靴で蹴られた下腹部及び拳で突かれた頚部の各皮下筋肉内血管の破綻により出血死したのに対し、死亡については因果閑係を否定し傷害罪のみを認めた事例
1 威力業務妨害罪における業務の意義 2 米軍用弾薬を輸送する貨物自動車の直前にすわり込むなどして運行を阻止した事案につき、威力業務妨害罪の成立を認めた事例 3 右事案につき罰金刑を科した事例
1 尊属殺人罪の規定が憲法14条に違反しないとされた事例 2 尊属殺につき正当防衛、過剰防衛または緊急避難等にあたらないとされた事例
河川区域内における河川法上河川管理者の許可を要しない土石の採取のため土地の掘さくと河川法27条にいう「土地の掘さく」
甲が見せ金による払込の方法を用いてする増資登記手続を乙に依頼したところ、乙は架空債権債務の方法によりその手続をした場合と甲の罪責
市職員組合と市当局との時間外勤務に関する紛争の過程において生じた暴行事犯につき実質的違法性を欠くとしてその罪責が否定された事例
下請業者所属の工員の死亡事故につき、元請業者の現場担当技師、職長および班長に右工員に対する安全管理の義務があるとして、業務上過失致死罪が成立するものとされた事例
1 商法265条にいう取締役が自己又は第三者のために会社と取引をした場合に当るとされた事例 2 取締役会の承認を受けないでした行為と特別背任罪の成否
被告人が勾留の基礎となった事実について起訴された後、別の事実について別件勾留中として追起訴され、両者が併合審理された結果、前者の事実が無罪とされた場合において、併合決定までの未決勾留日数を追起訴事実の罪の本刑に算入することの適否
冒頭手続における被告人の陳述を制限禁止したことなどを理由とする忌避の申立が訴訟手続を遅延させる目的のみでなされたものにあたるとして即時抗告を棄却した事例
1 客と同伴外出して遊興する婦女をガイド名義で雇用した事案につき、支配介入関係が存在しないとして、いわゆる管理売春の罪が成立しないとされた事例 2 予備的訴因の追加を促すことなく、無罪を言い渡したことにつき、訴訟手続の法令違反があるものとされた事例
被告人がその運転する自動車に甘言をもって乗車させて監禁した被害者(59才の女性)を脅迫して金品を奪取した事案につき強盗罪を否定し恐喝罪の成立を認めた事例
1 左右両端いずれかをたてに切除した寸ずまりの千円札の強制通用力を否定した事例 2 前示の寸ずまりの干円札を作成する行為は、変造にあたるとした事例
大正町が日本国有鉄道建設公団から鉄道建設のため同町内の土地所有者との買収交渉することを委任されている場合、町長が右委任にかかる事務を処理するのは町長の職務に関する行為である
放送局における労働争議において、騒音を発して生放送を妨害した行為につき、威力業務妨害罪の構成要件には該当するが、正当な争議行為として違法性を阻却するとした事例
本件交通事故は不可抗力によるものとして無罪を言い渡した原判決を破棄し、被告人の前方を注視し進路の安全を確認すべき注意義務の履行が不完全であったことに基因するとして有罪の言い渡しをした事例
貨物自動車を運転して道路左側端を横に並んで同一方向に向って歩行している3名の右側方を通過する際、自車左前部を右端の歩行者に衝突死亡させた事案につき、自動車運転者の過失を否定した事例
数名の幼児が遊戯する付近の道路上で車庫入れのため自動車を後退運転する自動車運転者について被害者幼児の位置・動作等からその行動が全く予測外であったとして業務上過失の成立を否定した事例
大型バスの運転者が交差点において市内電車と衝突した事故について、信頼の原則を適用して、右バスの運転者の過失を否定した事例
左折後、一時停止の標識が出口に設けられている道路に進入した被告車両が、前方注視を欠いたまま時速約30キロメートルで道路中心線のやや右寄りを進行して来た原動機付自転車と衝突した事案について、被告人の過失を否定した事例 左折の際の法規違反は本件事故と関係なく、被害者の異常な行動に気づくのがおくれ、結果回避措置をとれなかったことを非難できない場合であるとされたもの
道交法72条1項後段所定の報告を要する事項を現場にいる警察官が十分知悉し得たと認められる場合にも同条項所定の報告は必要か(消極)
普通免許を有し、大型特殊免許取得の意思をも有していた被告人が大型特殊自動車を運転してひき起した事故につき、その「業務性」を否定した事例
当事者の一方が相手方不知の間に婚姻届をした場合でも、その当時当事者間に夫婦としての実質的生活関係を継続している等の事情があるときは、右届出が無効であっても相手方においてこれを追認したものというべきであり、右追認によって婚姻はその届出の当初に遡って効力を生ずる
相手方(夫)所有の不動産を使用収益し、申立人妻および夫の母等が共同して農業及び海苔製造業を営んでいたところ、相手方が出奔し行方不明の状態となった等判示事情のもとにおいては、申立人等が、単に右不動産の使用収益を継続しうることのみでは相手方の婚姻費用分担および扶養義務の履行としてはじゅう分ではないとして、申立人等が使用している相手方所有の宅地・建物・田畑・海苔製造用の工場建物およびその敷地の共有持分権を申立人等に移転することを命じ、その共有持分割合を平等とした事例
正常な婚姻共同生活関係にある純粋の日本人から歴然たる黒人との混血が生れ、夫の子でないことが遺伝学上客観的に明白であって、その異常性が社会に公開された状況にある場合においては、その子は父母の嫡出子としての推定を受けないものと解され、訴ないし審判により親子関係不存在確認をすることができる
養子縁組の合意が成立し、その意思にもとづいて他人に縁組の届書の提出を委託していたときは、届書の受理された当時意識を失っていたとしても、その受理前に翻意したなどの事由のないかぎり、右届書の受理により縁組は有効に成立する
1 相続放棄の申述の受理に関する審判は、相続放棄の有効無効を確定する裁判ではなく、単に相続放棄の意思表示を受領し、これが相続人の真意に基づくものであることを公証する機能を有するにとどまるものである 2 相続放棄が仮に無効なものであったとしても、その申述が申述人の真意にしたがったものである以上これを受理せざるを得ない
1 民法958条の3は、特別縁故者の範囲を例示的に掲記したに止まり、その間の順位に優劣はなく、家庭裁判所は、被相続人の意思を忖度尊重し、被相続人との自然的血縁関係の有無、生前における交際の程度、被相続人が精神的物質的に庇護恩恵を受けた程度、死後における実質的供養の程度その他諸般の事情を斟酌して分与の許否およびその程度を決すべきであり、自然的血縁関係が認められる場合はそのこと自体切り離すことのできない因縁であって縁故関係は相当に濃いものと認めるのが相当である 2 総額4,400万円の遺産につき、諸般の事情を斟酌のうえ、認知を受けていない子、被相続人の父から承認を受けていない異母妹、被相続人を永年看護した女中、内縁の妻等にそれぞれ特別縁故者として財産分与をした事例
精神衛生法20条2項により先順位保護義務者とされている配偶者が事実上の離婚状態にあり、保護義務の履行ができないか若しくは困難な場合は、同条2項但書に定める精神障害者の保護のため特に必要性があると認める場合にあたるとして、その順位を変更のうえ扶養義務者の1人である子を保護義務者に選任した事例
1 外国人からの名の変更申立については、その許可の裁判が本国で承認され、かつ、本国法によっても名の変更が許されその登録がなされるような場合で、しかも申立人が日本に住居をもつかぎり、日本に国際裁判管轄権を認めるのが相当である 2 氏名変更の問題は、これが公簿に登録されることによって、その者の公的な種々の法律関係が形成されるもので、その国の公的な政策と密接な関連をもつことになるから、条理上当事者の本国法によって規律されるべきであると解したうえ、米国人につき、反致を認めて日本法を適用した事例