最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 高校教師の生徒に対する懲戒行為が違法とされた事例 2 教師の懲戒行為とこれを苦にして自殺した生徒の死亡との間の因果関係を否定した事例 3 公立学校の教師の懲戒行為と「公権力の行使」 4 国家賠償と公務員の個人責任
1 刑訴法447条2項にいう「同一の理由」にあたらないとされた事例 2 同法435条6号にいう「証拠をあらたに発見したとき」にあたるとされた事例 3 同法435条6号にいう「明らかな証拠」にあたらないとされた事例
配置転換命令の効力停止の仮処分が、労働者の家庭生活上も、労働組合活動上も、これを発するに足りるだけの必要性を欠くと判定された事例
1 国道上への落石による事故につき道路の管理にかしがあると認められた事例 2 国家賠償法2条1項による営造物の設置または管理のかしに基づく損害賠償請求と過失の要否
1 公共企業体等労働関係法17条1項の合憲性 2 公共企業体等労働関係法17条1項違反の争議行為と労働組合法1条2項の適用
1 不動産の所有者が他人名義を使用して不実の登記を経由した場合における民法94条2項の類推適用 2 民法94条2項にいう善意の第三者
主たる納税義務者に対し更生手続開始決定があった場合と地方税法11条の3(昭和34年法律第149号による改正前のもの)に定める第二次納税義務者に対する滞納処分の許否
有限会社法30条ノ3第1項の取締役の第三者に対する責任に関し代表取締役の任務懈怠と第三者の被った損害との間に相当因果関係がないとされた事例
1 労働組合が組合員の組合活動による昇給延伸に対する救済措置として支給した補償金のうち当該組合員が組合員たる資格を喪失した後の補償金相当分の返還請求が明文の規定をまたず認められた事例 2 労働組合は何らの規約をまたず当然に右補償をすべき義務を負わないとされた事例 3 右補賞金交付は公労法違反争議行為の補償ではあるが不法原因給付でないとされた事例
「セラミック製品の改良」に関する特許出願について、引例のタイル片がゴム製であり、その結合用グラウト格子部もゴム層で構成されている点に相違点があっても、他の構成及び作用効果において全く一致し、引例から容易に考えられるものとした事例
1 原因判決後、請求数額を変更すること乏の可否 2 いわゆるべース・アップは死者の逸失利益算定の基準となるか 3 休車損の算定例 4 弔慰金の性質
1 確定判決の理由中の判断に既判力や既判力類似の拘束力があるとの主張を排斥した事例 2 越権代理人が本人の実印を使用して手形保証をした場合において、保証代理権ありと信じたことにつき相手方に過失があったとして、民法20条にいう「正当の理由」がないとされた事例
1 手形債権消滅後に遡求金額を支払って手形を受戻した裏書人の権利 2 手形法40条3項にいう悪意又は重大なる過失の意義 3 期限後裏書による手形譲受人に対する支払の抗弁
公労委規則26条にいう不当労働行為救済申立却下事由は制限的に解すべきであって、同条に規定のある「申立人が申立てを維持する意思を放棄したものと認められるとき」という要件に該当するとして申立てを却下することは違法とされた事例
ユニオン・ショップ協定に基づき解雇された労働者から使用者に対する従業員たる地位保全仮処分訴訟と組合の補助参加(積極)
1 昭和24年岐阜県条例第28号行進又は示威運動に関する条例の許可を要する集団行進にあたるとするために必要な参加人員 2 右条例5条にいう集団行進を「組織し」ということばの意義
1 勾留中に違法な取調があった場合に勾留取消の理由となるか 2 勾留中の違法な取調に対する裁判官の責任 3 起訴後の勾留中に勾留の基礎となった被疑事実と関係ない別の被疑事実について取調べる場合の取調のあり方
1 デモの許可申請に対し公安委員会が許否の決定をしなかった場合、許可されたものとみなされるデモの範囲 2 デモの一般的不許可の事前告知と無届デモ
氏名住居等黙秘の被疑者に対する勾留請求却下の裁判につき、準抗告審において氏名等を調査の上、これが明らかになったとして準抗告を棄却した事例
1 有価証券偽造、同行使、詐欺事件の起訴状の冒頭に犯罪の動機として「某所有の現金80万円を横領し、その弁償金の返済に窮した結果」と記載した場合と刑訴法256条6項(起訴状一本主義) 2 公訴棄却した事件の未決勾留日数中有罪の件と併合審理した後のものを算入した例
1 後遺症補償金は慰藉料をも含むものと認めた事例 2 損害額についての自動車損害賠償責任保険査定事務所の査定は裁判所の認定を俟ってはじめて具体的に確定される
1 一側の腎臓を失った幼児(6才)の逸失利益を18才から15年間、18才全国労働者平均年収額の30%とした事例 2 渋滞車両の間から走り出て事故にあった幼児(右同人)の損害につき、2割の過失相殺をなした事例
1 葬儀費、仏壇購入費等葬儀関係費中30万円の範囲で賠償を認めた事例 2 好意同乗(隣り同士のドライブ)を慰藉料算定の事由とした事例 3 弁護士費用の請求を否定した事例
1 対向車が、不適切な追越をしたため、道路中央線をこえ、自車進路前方に突然入り込んできた場合、急ブレーキも及ばずこれと衝突するに至った車の運転手には過失がないとし、免責を認めた事例 2 民法715条2項の代理監督者というためには、単に会社の代表取締役というだけでは足らず、現実に被用者の選任監督を担当していることを必要とするとし、右要件事実は認められず、また取締役としての職務遂行に重過失は認められないとし、代表取締役の損害賠償責任を否定した事例
罹災都市借地借家臨時処理法15条による借地条件の確定 罹災都市借地借家臨時処理法第2条により取得した借地権について、以来土地所有権が転々移転した後現在の土地所有権者に対する借地条件確定の申立において、借地権設定時における賃料を確定した事例
1 所得税の加算税、追徴税の時効起算日 2 所得税の利子税と延滞加算税の時効起算日 3 利子税の滞納額が金352円に過ぎないのに、金4万2,000円の価格のある電話加入権に対し滞納処分として差し押えることは、不当であり取消しを免れないとした事例
会社と本工組合との間の「臨時工のうち本工採用試験の不合格者は臨時工就業規則によって業務上の都合により解雇する」旨の合意の臨時工に対する効力
1 解雇予告手当及び退職金受領の法的意味 2 右金員を異議なく受け取り、約7年後に訴を提起して雇傭契約上の権利を行使することができないとされた事例
「手動調整多重音声装置を内蔵する人形玩具」に関する特許出願について、すでに二者択一の技術が知られている場合、これを数者択一の技術に推し拡めることに想到することは当業者にとって本質的に重要な技術的困難さがあるといえないとした事例
「消火弾の製造法」という特許発明につき、その特許無効理由として挙げられた使用薬剤の相違に基づく作用効果上の差異なしとする主張が排斥された事例
「消火器の内筒」に関する実用新案登録出願について、拒絶理由である引例とその外周面において面一とすることができる構造を共通にし、拒絶を相当とした事例
「穀粒切断機に於ける穀粒送転輪」の登録実用新案につき右はその登録を無効とする審決に挙げられた三つの引例を寄せ集めたにすぎず格段の作用効果なしとして登録無効を相当とした事例
「渦巻式磁気録音・再生装置における録音版の取付装置」に関する実用新案登録願について、拒絶理由とされた引例と録音体位置規正棒を設ける位置に若干の相違があっても、なお容易推考の域を出ないとした事例
「噴霧器」に関する特許発明について、その要件の一つである「壜に手掛部を設けること」について公知公用のものがあるとの理由で附随的の要件にすぎないと断定できないとした事例
「瓦斯煮焚器」に関する特許出願について拒絶理由とされた引用例から尋常の設計的変更を加えたにすぎず技術的思想の創作としての固有の特徴が明らかにされていないとして、拒絶相当との結論を是認した事例
「製本糸綴機」に関する特許発明について、その構成要素を分解した各要件は相互に矛盾なく総合的に考察して解釈すべきであるとした事例
自転車に乗っていた被害者を追い抜き、その直前を左折進行するにつき過失があると認定した原判決を破棄し、無罪を言渡した事例
前方交差点の横断歩道上に佇立している被害者に過失によって自車を衝突死亡させたという公訴事実に対し、前方交差点の横断歩道上を右から左に横断し終ろうとしていた被害者に自車を衝突死亡させたとの事実を認定した原判決に、審理を尽さず、訴訟手続に法令の違反があり、事実を誤認した疑があるとして、破棄差戻した事例
自動車運転者が原動機付自転車を追い抜くに当りセンターライン寄りを走行中、先行の足踏自転車を追い越そうとして突如右斜めに進路をとった右原動機付自転車に接触した場合に、業務上の過失を認めなかった事例
車両の転回方法が道路交通法25条の2にいう「他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき」と右転回車両に対する後続車の協力義務の有無
1 幅員約10メートルの中央緑地帯により東行・西行両車道に分けられた道路と右緑地帯の切れ目部分を通じてこれと交じわる道路との交差点の範囲につき、右切れ目部分を含め両道路の交差する全域をもって1個の交差点と解した事例 2 道路交通法37条2項にいう 「既に右折している車両」として優先通行権をもつ車両の運転者につき、信頼の原則の適用を否定し、過失を認めた事例
交通事故現場から当該加害車両を約450メートル追跡して、これを停車させた所轄警察署所属のパトロールカーの警察官は、道路交通法72条一項後段にいう「もよりの警察署の警察官」に該当するか(積極)
被告人の車両が駐車中の大型バスによって右方に対する見とおしの悪い交差点を徐行右折中、右方から高速のまま直進してきた他車両と接触したため、同車両が暴走して佇立中の通行人を死傷させた事案において、同車両運転者の過失のみを認め、被告人については信頼の原則を考慮し過失を否定した事例
1 抽象的な同居請求権があり、また具体的な同居請求権を形成することが可能であっても、同居請求権を形成して実効が上がる見込みがない場合には、同居に関する処分の一つの類型として、当分の間別居を続けることを命ずる処分をなすことができる 2 夫の子であることは明白であり、認知を了していないのは妻である申立人の気持ちを傷付けないことを配慮してのことであって、認知をしようとすれば何時でもこれをなしうる場合においては、子の福祉のため、婚姻費用分担額の算定に当り、右未認知子の養育費を考慮すべきである
申立人の父の妻は本件申立に強く反対しているが、その夫婦関係は完全な破綻状態にあり、本件が許可されれば正式に離婚手続をとるつもりでおり、申立人に対する父の認知によって同人の戸籍上婚外子の存在が明らかな以上、嫡出子の就職等に関し、申立人の入籍がそれ程重大な支障をきたすとは考えられず、むしろ長女らとしても両親の離婚はやむを得ないとして納得している等判示事情のもとにおいては、申立を却下すべき理由がない
離婚申立とともになされた財産分与申立は離婚成立を停止条件とする一般調停事件であり、離婚が成立しない限りそれのみを独立した申立として取扱うことは許されず、家事審判法26条により審判に移行しない
1 不動産登記法27条において、相続による登記につき、相続人の単独申請を許しているのは、相続のように被相続人との身分関係によって法定された権利義務の承継については、戸籍その他社会生活上の外部的関係から一応明らかなので、単独申請を認めて登記の真正保持の点からみて、さしたる支障がないからであると解される 2 民法990条により包括受遺者が相続人と同一の権利義務を有する旨規定されているからといって意思表示による物権変動に関する包括受遺者の取得登記について不動産登記法上相続人と同じく単独申請でなしうると解するこすることはできない。 3 遺贈による不動産の取得登記は特定・包括を問わず判決による場合を除いては、受遺者と遺言執行者又は相続人との協同申請によるべきである。 4 全遺産が包括遺贈され、他に法定相続人がいない場合においても、遺贈による不動産の取得登記手続を完遂する必要性があるから遺言
氏の難読・難書又は奇異が戸籍法107条1項に規定するやむを得ない事由に該当するといい得るためには、社会の通常人が一見して難読・難書であると感ずる程度に顕著でなければならず、また、或る氏が奇異であるか否かは、個人の主観を基準としてではなく、社会の通常人が奇異と感ずるか否かを基準として客観的に決せられるべきである
夫と別居後20年間その氏を冠する会社の経営にあたり、離婚後これを継続して、経済的活動を含むあらゆる社会生活において婚姻中の氏を使用している等判示事情のもとにおいては、申立人に離婚復氏した氏の使用を強いることは甚だしい不便不利益を与えることが明らかであり、氏を変更する「やむを得ない事由」があると認めるのが相当である
親子関係の主体の一方がすでに死亡しているときにはその主体間で親子関係存否確認の裁判を得ることができず、しかも出生という報告的戸籍記載は親子関係を確定するものではないから、虚偽の戸籍記載について訂正する必要性と利益のある限り、戸籍法113条によりそれに関する戸籍訂正をなすことができるものと解する
出生届受理後に戸籍吏がその届出記載の名「杏子」の文字が当用漢字にないことを発見し独断で当用漢字にある「否子」と訂正したうえ戸籍簿に記載された場合において、右事実を知ることなく出生以来16年間も当初名の使用を続け、又、戸籍に記載された文字は人名にふさわしくなく極めて珍奇である等判示事情のもとにあっては、かりに戸籍法50条、同法施行規則60条の法意にかかわらず、戸籍の記載を当初名に訂正するのが相当である
1 カナダ国の国際私法の原則によれば、当事者の住所のある国の裁判所が管轄権をもち、その裁判所は実体法と手続法について法廷地法を適用する 2 カナダ国における離婚管轄決定の基準となる住所とは、同国法の母法たる英国法上の住所概念によるべきであり、その概念による住所とはいわゆる選択住所で差支えない 3 子の監護に関する処分は、離婚の効果として離婚の準拠法によるよりはむしろ親子間の法律関係として法例20条を適用すべきである
日本人子から亡韓国人に対し韓国法上の出訴期間経過後(日本法上は出訴期間内)に提起された認知請求事件につき、原告の訴を必要とする利益と出訴期間を定めた趣旨ならびに法例33条の精神に照らし、その訴を不適法とすることはできないとした事例
日本に居所を有する米国人(カリフォルニア州民)が配偶者の子(日本人)を養子とするにつき、養子となるべき者のドミサイルが日本にあるとして反致を認めた上、日本民法が配偶者の直系卑属を養子とする場合に裁判所の許可を要しないとせる規定は、単に許可を不要とするだけで許可を求めている場合に裁判所が許否を決する権限までを否定する趣旨とは解されず、すべて裁判所の養子決定を必要とする申立人の本国法を尊重して、許否を決すべきであるとした事例