最も長い歴史をもつ判例実務誌
起訴休職処分が職員の地位、職務内容、公訴事実の内容及び態様につき個別的具体的な考慮を払わずになされたため裁量権の逸脱と判定された事例
1 音楽著作物使用許諾契約において違約金として使用料のほかその2倍の金額の定めの有効性 2 キャバレーにおけるバンドの生演奏における音楽著作物の利用主体 3 音楽著作権侵害の損害額算定基準
1 詐欺罪の成立と財産的処分行為の要否 2 被欺罔者と財産上の被害者が同一人でない場合の詐欺罪の成立事件 3 いわゆる訴訟詐欺の事案につき詐欺罪が成立しないとされた事例
連帯保証債務に関する公正証書の作成につき債権者が連帯保証人の白紙委任状に基づきその代理人を選任してなされた場合に公正証書が有効とされた事例
1 普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において期間を10年と定めた場合の賃貸借の存続期間 2 右賃貸借において期間の定めがなかったとの主張と民訴法186条
将来発生することあるべき債務の担保のために振り出された約束手形の受取人が右債務の不発生が確定した後に振出人のための手形保証人に対してする手形金請求と権利の濫用
1 債権調査期日に異議を述べなかった破産債権者と破産債権確定訴訟における補助参加申立の許否 2 債権調査期日に異議を述べなかった破産者と破産債権確定訴訟における補助参加申立の許否
1 労働組合活動に支配介入行為をした者が労組法2条1号にいう利益代表者である以上、その者の代理権限の有無を問わず使用者は支配介入の責を負うとされた事例 2 使用者が支配介入行為を禁止していても右利益代表者の支配介入による使用者の帰責を否定できないとした事例3、支配介入行為者に謝罪文を出させるよう使用者に命じた救済命令が適法とされた事例
1 ローマ字1字と、数字1字とからなる標章と「きわめて簡単なありふれた標章」 2 商標登録の要件としての「使用による特別顕著性の取得」と需要者
1 訴訟上の和解が要素の錯誤によって無効とされた事例 2 主婦の労働能力低下による逸失利益の算定基準 3 左下肢を膝関節以上で失った主婦の労働能力喪失率
1 中央線からはみ出して来る対向車を認めた運転者の注意義務 2 対向車が中央線を越えて来て接触した事故につき過失割合を9対1と認めた事例
1 交通事故のため予定していた台湾旅行を中止した場合、右旅行のための航空券等解約費用は、通常生ずべき損害となるとした事例 2 受働債権が、不法行為にもとづく損害賠償請求権である場合でも、相殺が許されるとした事例
1 条例の無効確認を求める訴えの適否 2 水道料金について用途別料金体系を採用し、飲食店等の水道料金を家庭生活用水等のそれより割高に規定することは平等原則に反するか
1 土地改良区の役員選挙における選挙管理者の法的性格 2 右役員選挙における立侯補者の他立侯補者についての当選決定に対する異議申立権の存否
1 取締役工場長の解雇事件についてその労働者性を肯定した例 2 懲戒処分の量定の当否につき人格的信頼関係の喪失を重視した例
1 八半近くの間に十数人の建設業者に雇われた事実を秘匿したことが経歴詐称とされた事例 2 十数回転職した事実を解雇権濫用の消極的評価の一資料とした事例
1 いわゆる在籍専従等による欠勤に関し、組合の届出義務を規定する労働協約と従業員個人の届出義務を規定する就業規則との関係 2 8ケ月以上に亘る欠勤について、労働協約所定の「無断欠勤」に該当しないとして、これを理由とする懲戒解雇を無効とした事例
1 商品市場における売買取引の委託について顧客から商品仲買人に委託証拠金の代用として有価証券を預託する行為の法律上の性質 2 転質と横領罪の成否 3 商品仲買人がいわゆる委託証拠金充用証券を担保に差し入れる行為が業務上横領罪にあたるとされた事例
1 麻薬取締法2条11号にいう「調剤」の意義 2 麻薬施用者の資格を有する医師がいわゆる「予製」として燐酸コデインの10倍散を調製する行為が麻薬取締法22条に違反しないとさた事例
土地所有者から土地転借人に対する地上建物収去土地明渡の判決確定後であっても、転借人は、土地賃貸人に対し借地法10条の建物買取請求権を行使することができるか
詐欺による意思表示により乙が甲から不動産を買い受け善意の丙に売り渡した場合でも、丙が所有権取得登記を具備していないときには、甲は、詐欺による売買の取消を丙に対抗できるか
訴を不適法として却下した一審判決に訴訟手続上の法令違反があり取消すべき場合に控訴裁判所で調査の結果やはり訴は不適法と認められるときの措置
1 犬の咬傷による損害賠償の請求が認められた事例 2 弁護士費用について被害者側の態度を考慮して通常相当とされる額の2分の1の額のみを認めた事例
対向車に衝突され死亡した歩行者の過失割合を50パーセントとみたうえ、右事放による原告らの損害は自賠責任保険金と被告の弁済金で、すべてつぐなわれていると認定した事例
1 出合頭の衝突事故につき一方に免責を認めた事例 2 事故と肺結核罹患との因果関係を否定した事例 3 示談書作成の経緯からその効力を否定した事例
日米安全保障条約に基づく義務の履行として国が在日米軍に使用させるため提供した固定資産に対する固定資産税及び都市計画税の課税の適否
出生国不明であるが、平和条約発効前の朝鮮戸籍令の適用を受け朝鮮戸籍に登録されていて日本国内に居住している者の国籍 外国人登録法の関係において朝鮮人と認めた事例
被告人の被害者に対する右眼瞼部殴打等の暴行と被害者の急性脳腫脹による死亡との間に因果関係の存在を確認できないとした事例
兇器準備集合罪と、その成立後、その継続中に行われた公務執行妨害罪、暴力行為等処罰に関する法律1条の罪、道路交通法115条の罪とは併合罪の関係にあるとした一事例
自動車の保管場所の確保等に関する法律第8条第2項第2号(第5条第2項第2号違反)の法意に照して同号の罪の犯意が認められるとされた事例
1 民法760条の婚姻費用の分担義務と752条の扶養義務とは観念的には区別して考えられるが、ここに婚姻から生じる費用とは夫婦間における共同生活保持のための必要な費用をいうのであって、現実にこれを負担することが扶助義務の履行になるのであるから、両者の内容は終局において同一である。 2 夫婦間における扶助の内容は、原則として夫婦が互いに自己の生活を保持するのと同等程度において相手方の生活を保持することにあるが、この扶助義務は、夫婦間の協力義務と表裏一体の関係に立つものであるから、相手方において右の協力義務の履行に欠けるところがあるとすれば、その扶助としてなされる婚姻費用分担額の決定につきそれが参酌されるのは巳むを得ない。
1 親が生活困難な場合には、自己、配偶者及び未成熟子につき自己の地位・職業にほぼ相応した生活程度を維持し得る限度で、親の生活の扶助としてその扶養をなすべきことを原則とする 2 子の扶養を受けている配偶者に対する婚姻費用分担申立及び多額の負債の弁済に追われている子に対する扶養料支払申立は、判示事情のもとにおいては相当でない
もっぱら家名承継を目的とし、しかも戸籍上だけの縁組であって申立人とは同居せず、事実上は実父母において監護養育される縁組は、家の制度を廃止した現行民法の定める養子縁組制度の趣旨に反し許可すべきでない。
遺産である農地の自作は、他に小作させたり荒廃させたりしないという意味において農地として価格を保存する行為にもあたるのであるから、他の相続人中にも遺産を自作の形で耕作しているものがあり、右自作による利益がいくばくであるか確定するに足りる明確な証拠がないこと等の事情の下においては、右自作による利益を遺産分割にあたり、特に斟酌する必要は認められない
約21年の婚姻生活とその間聾学校の教員として勤務し、特殊学校の関係上卒業生とのつながりが深く就職、補導、生活上の問題等の相談を受けるなど交渉が多く、教員の立場上離婚の事実を生徒に知られたくないこと、又、養育監護している子等も生来の氏を変更することを望まず、親子が一緒に生活しながら氏の異なることは何かと不都合であり、右子等も母が婚姻中の氏を称し得ることを願っている等判示事情のもとにおいては、戸籍法107条1項の「やむを得ない事由」があると認められる
歴代の住職が同一の氏を称し、その氏が寺格その他信仰上有利であるとしても、40有余年の間現在の氏を称して何ら不便不都合なく過して来たことなど判示事情のもとにおいては、戸籍法107条1項にいわゆる「やむを得ない事由」にあたらない
過去350年の永きに亘る父祖伝来の家業について、歴代の当主が本件申立にかかる名を襲名しており、得意先に対する営業広告にもその氏名の者が経営を統括することを明記しそれによって会社の信用の維持、拡大を計っており、また、取引先と認められる25の商店、会社等がいずれもその伝統と特色を持ち続けることを望み、その上に取引の信用が成立っている等判示事情のもとにおいては名を変更する正当な事由がある
重婚において前婚が離婚によつて解消した場合は、日本法律上後婚は取消すことができないと解されるが、韓国法上は同国民法附則2条但書により同法施行前重婚は同法施行後も依然として無効と解されるところ、当事者双方の本国法の規定する婚姻の効力が異なる場合には厳格な規定を適用すべきであるから結局本件後婚は無効である
韓国民法附則18条は2条に対する特別規定であるから、同法施行前になされた重婚の効力に関しては同法18条が一般規定たる2条に優先適用され、同法施行後は取消しうるものと解すべきである