最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 芸術的思想的価値のある文書と猥褻性 2 文書の部分についての猥褻性と文書全体との関係 3 憲法21条・23条と公共の福祉 4 法律判断で無罪を言い渡した第一審判決を事実の取調をすることなく破棄し控訴裁判所がみずから有罪の言渡をすることと刑訴法400条但書
1 代物弁済の予約につき請求権保全の仮登記が経由されている不動産の所有権が第三者に移転したときと予約完結権行使の相手方 2 同一債権担保のため不動産に代物弁済の予約とともに設定されている抵当権が転抵当に供されている場合と予約完結権行使の許否
1 対人賠償責任保険(任意保険)約款には、いわゆるノーアクションクローズの趣旨が含まれるか(積極) 2 加害者が保険会社に対して有する任意保険金請求権に関し、被害者が提起した債権者代位訴訟は適法か(条件附積極)
会社の代表者が不動産を買い受けた場合において右売買契約が代表者個人のためにされたものとした認定が経験則に反し違法であるとされた事例
1 会社更生法234条1項4号による更生担保権者のための権利保護条項の要件 2 右(一)の要件を欠き、認可決定が違法であるとされた事例
1 当事者の意思を探究して労働契約の効力(解雇)の準拠法を定めた事例 2 解雇の効力の準拠法を定めるに当り法例30条の公序原則を適用しなかった例
1 株式会社の解散決議は労働組合を排除する旨の動機にもとづくが故に無効となるものではないとされた例 2 会社が清算に入った後組合員を解雇したことが、清算上の必要にもとづくものというよりも組合排除の手段であるとして無効とされた例 3 解雇された労働者が生産管理により収入を得ていることを理由に仮処分の必要性を否定した例
1 応訴に要する弁護士費用を相手方に賠償請求できるか(消極) 2 自動車の衝突により双方に損害賠償債権が生じた場合の相殺の許否(積極)
1 交差点における直進車間の衝突事故の過失割合 2 示談が要素の錯誤により無効とされた事例 3 後遺症による損害賠償請求権の消滅時効の起算点
1 車の所有名義の貸主の運行供用者責任を否定した事例 2 元請・下請の双方に運行供用者責任を肯定した事例 3 交通の稀な道路上に1才9月の幼児を放置した父母につき、1割の過失相殺を認めた事例
1 出入国管理令39条の収容令書による収容とその必要性の判断の要否 2 収容令書に基づく収容の執行停止が認容された事例
一定期間の公認会計士業務の停止を命ずる懲戒処分につき、業務停止期間が経過した場合と右懲戒処分の取消しを求める訴えの利益
市公安条例に基づく集団示威運動の許可に付された進路の変更の条件に対する執行停止が、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある」とされた事例
予告手当を得る目的で不良な勤務を遂げ解雇された者の解雇予告手当請求が、労基法20条1項但書にいう労働者の責に帰すべき事由ありとして棄却された事例
1 当事者の意思を探究して労働契約の効力(解雇)の準拠法を定めた事例 2 労働契約の効力の準拠法を定めるに当り法例30条の公序原則を適用しなかった例 3 解雇権濫用理論の不適用が法例30条の公序原則に反しないとされた例
1 裁判所のした提出命令は刑訴法420条2項にいう押収に関する決定にあたるか 2 いわゆる付審判請求事件についてなされた提出命令に対する不服申立の方法
1 暴力行為等処罰に関する法律1条の3所定の罪と累犯加重 2 ある前科の存在をもって常習的暴行等の罪(暴力行為等処罰に関する法律1条の3)の要件たる常習性を認定する一資料としたうえその前科と右常習的暴行等の罪とが刑法上の累犯の関係にあることを理由に右常習的暴行等の罪につき累犯加重をすることと憲法39条後段
1 十字路と三差路との接合している場所がいわゆる複合交差点として1個の交差点とみなすべきものとされた事例 2 右交差点を夜間自動車を運転して通過する場合における注意義務の内容
借地人たる建物所有者が一旦地主に対して借地法10条に基づく建物の買取請求権を行使した後、地主との間で右建物買取請求権の行使を撤回し、これを放棄する趣旨を含む和解を成立せしめた場合、建物の賃借人は、地主に対して右買取請求権行使の効果を主張しうるか(積極)
1 一時使用の為の土地賃貸借と認められた一事例 2 「都市区画整理事業の実施されるまで」との期限が付されていた従前の土地上の賃貸借における期限到来の意義
執行官が点検執行の際債務者に対してなした、仮処分命令に違反する工作物を撤去すべき旨の勧告は、執行方法異議の対象となるか
雑誌及び新聞記事の掲載による名誉毀損に対し慰謝料(会社については無形の損害に対する賠償)と謝罪広告文の掲載を命じた事例
約束手形の振出人が金融機関に対し預託金を交付して不渡届に対する異議申立の手続を依頼した場合の法律関係と右預託金返還請求権の弁済期
追突車の運転者につき過失の証明がなく、また無過失の証明もないとして民法709条・715条1項の請求を棄却し、自賠法3条の請求を認容した事例
1 着衣損傷による損害は自賠法3条により賠償請求できる 2 入院雑費の請求につき、入院1日につき250円の範囲で相当因果関係を認めた事例
1 増改築許可に伴う付随処分として建付地価格の6%にあたる金銭の給付を命じた事例 2 右財産上の給付額算出の根拠を、増改築をなし得る権利を付与されたことによる借地権価格の変動として把握した事例
1 借地契約の残存期間は1年4カ月に過ぎないが、更新の可能性が大であるとして増改築許可申立を認容した事例 2 右許可に伴う付随処分として、更地価格の4%にあたる金銭の給付を命じた事例 3 右財産上の給付額算出の根拠を増改築をなしうる権利を付与されたことによる借地権価格の変動として把握した事例
地上権・賃借権の各借地契約を、堅固な建物の所有を目的とするものに変更し、賃借人に対し土地所有者にのみ金銭の支払を命じた事例
借地条件変更申立と借地権譲渡許可申立の併合を許容し、かつ、両申立を棄却しても、賃貸人からの建物および借地権の譲受申立は認容できる
薬剤等を指定商品とする「パスドン」という商標の登録出願について、「パストーン万有」という既登録商標に類似するものとして登録拒絶を相当とした事例
保健剤などの指定商品について出願した商標、「Germex」はドイツ語的読み方によって「ゲルメックス」の称呼を生じ、既登録商標「ゲルミックス」と類似するとの判断が是認された事例
「不溶性硫黄の製造法」に関する発明について、引用例が実験室内のものであっても慣用手段によって工業的に実施可能であるとして特許拒絶相当とした事例
「調味料の製造法」の発明に関し、拒絶理由として同一発明として挙げた先願発明は、本件出願後に提出された訂正明細書によっても、調味料としての5’―グアニル酸の製造法に関する完成された発明思想を包含するものとはいえないとして発明の同一性を否定した事例
「脱穀機における唐箕の自動風力調節装置」の発明に関し、拒絶理由とされた引例と風力調節の具体的手段が異なっていても特段の作用効果なしとして拒絶相当とした審決を是認した事例
「示温性粘着テープ」に関する特許発明につき、示温性顔料が周知であることおよび顔料による標識を有する粘着テープが文献によって公知であることから容易に考えられるとして特許を無効とするのを相当とした事例
組立式透明ケースに関する実用新案権につきその要部は底板の構造にあるとし、この点の構造を異にする対象物件は権利侵害にならないとした事例
1 カーテンに関する実用新案権について、登録実用新案における可撓性縁片の附設と対象物件における糸の編組とは法的均等性を有するとされた事例 2 実施許諾契約において限定された販売先以外の第三者への実施品の販売は契約違反であるとしてその損害賠償が命じられた事例
「味噌漉機に施す火入装置」に関する特許権に基づく差止請求において、被告の装置は、味噌漉機と火入装置との連絡的作動を予定しておらず別体のものであるとし、特許発明の技術的範囲に属しないとした事例
「水枕」に関する実用新案権の権利範囲に関する解釈につき、「帯部に夜光塗料を塗装する」との要件を付加的なものとした権利者の主張が排斥された事例
恐喝罪において、脅迫され、かつ金員を提供した者がその金員に対する事実上の所持のみを有し処分権限を有しない場合における恐喝既遂罪の成否(積極)
1 タクシー会社の従業員によって結成された組合の争議行為として会社所有の自動車のエンジンキイ、検査証等を取り上げる行為が威力業務妨害の罪にあたらないとされた事例 2 右争議に際し会社側のとった実力行使に対して組合員の行なった暴行および傷害の行為が正当防衛にあたるとされた事例 3 右組合の争議行為として会社の建物の窓ガラスのほとんど全面に会社側をひぼうする文言を墨書したビラをはりつけた行為が器物損壊の罪にあたりかつ争議行為として正当性の範囲を越えるものであるとされた事例
1 痔疾の勾留被疑者の捜査官に対する供述調書について、その任意性を否定した事例 2 捜査官が被疑者の弁護人選任権を制限したとの理由で、捜査官に対する供述調書の証拠能力を否定した事例
強盗(事後強盗)致傷の起訴に対し暴行が相手方の逮捕力を抑圧すべき程度に達していたものと認められないとして、窃盗未遂と傷害を認定した事例
強盗致傷の訴因につき、被告人の司法警察員および検察官に対する自白にいずれも信憑性がないとしてこれを排斥し、強盗の犯意が認められないとして傷害のみを認定した事例
被害者の児童が、被告人の自動車の死角内に入った時点における被告人の過失(本件の場合それが認め難い)のみを審理し、それ以前の段階において、被告人が前方注視を怠った疑があるのにその点を審理していないのは審理不尽であるとして原判決を破棄し差戻した事例
交差点直近に設けられた停止線から交差点内部へ9米入った左側路端に一時停止の道路標識が設置されている場合でも、交差点に進入しようとする車両の運転者が右標識の存在を容易に認識しうるのにその規制に従わなかったときは、一時停止違反の罪が成立するとされた事例
幅員が明らかに広い道路を通行する車両が交通整理の行われていない交差点に入る際に、左方の狭い道路から同時に交差点に進入しようとする車両が自車を待避するものと期待信頼して進行を続けた場合その運転者に過失がないと認めた事例
自動車運転者において、前方注視を怠らなかったならば、横断禁止区域で、激しい風雨の中を、走行する自動車の僅かな間隙をぬって横断せんとする被害者を、事故防止に充分な時間的余裕をもって早期発見しえたに違いないとの心証を形成することができないとして無罪を言渡した事例
1 一度調停等により婚姻費用の分担方法が定立された場合でも、その後事情の変更が生じた場合には、契約一般に適用される事情の変更ないし民法880条の類推によりその変更審判をすることができる 2 事情の変更により新たに定める婚姻費用の分担方法は、それが審判という一方的な形でなされる場合には、前定立時の事情と現在の事情とを比較し、その変化の程度に応じて前に定めた分担方法を修正するに止めるべきである
婚姻費用分担額算定について、相手方が相当高額の債務を負っていることを斟酌して、労研方式を採用せず、厚生省生活保護基準表により申立人家族につき生活保護費相当額を算出し、それに子の通学その他の必要経費の概算額を加算して相手方の分担額とした事例
1 婚外子の父の氏への変更は、婚外子の福祉を重視して決定するのが原則であり、父の妻の感情等は必ずしも顧慮する必要はないものと解する 2 右婚外子は、親権者も父と定められており、かつ、父が引取り現に養育していることが認められるので、当該子らの氏を父の氏に変更することは、その福祉にそうものというべきであるとして申立却下の原決定を取り消した事例
事件本人に特記するに足る資産が無く、無能力者制度による本人保護の要請の有無についても疑念をさしはさむ余地があり、本人を準禁治産者とすることが申立人の不安解消に役立つ側面がおもな意味を持つことがうかがわれる等判示事情の下においては、それによって犠牲とされるおそれのある一般社会人の利益を保護するために当該申立を却下するのか相当である
老齢の親に対する成熟子たる子の具体的扶養義務は、子である扶養義務者が従来の社会的地位に応じた文化的生活をしたうえで、なお、経済的な余裕がある場合に負担すべきものと解する
未成年者の扶養義務者である父母の間でその一方が他方に対し、養育費を請求しない旨の念書を差し入れたとしても、それが子の親権者として子を代理し、父に対して生ずる将来の扶養料請求権の放棄であれば民法881条によりその効力がないことは明らかであり、また、仮に前記母が負担する養育費を父に求償しないことを定めたにすぎないものであれば、右協議は両扶養義務者間でいわば債権的効力を持つにすぎないから、扶養権利者がその具体的必要に基づいて扶養料の請求をすることは何ら妨げられない
遣産分割の方法として家審規109条により具体的な権利・義務として形成された以上、その権利義務はは、当該審判のうえで関連づけられない限り、形成過程における相互の関連性は払拭され、たがいに独立したものになると解する
1 てんかん兼精神薄弱により入院中の被相続人のため、身辺にある唯一の身寄りとして財産上一切の世話にあたった者は、特別縁故者に該当する 2 被相続人が相当の遺産を遺すことができたのは、申立人らの維持管理によるところもあるが、同時に認定のような医療扶助が得られた結果であるから、右扶助額の半額に相当する金額は国庫に帰属させて社会に還元するのが相当であり、申立人が右金額を負担して支払うことを条件として相続財産全部を申立人に分与するのを相当とする
離婚について当事者間に合意があり、且つその届出をする意思を有していた事実が明らかである場合は、届書の署名が第三者によって代行され、且つ偽造された印鑑を押捺して提出された届書であっても戸籍事務管掌者によって受理された以上右離婚は有効である
申立人および利害関係人に異議がない場合には、戸籍法114条による許可審判によって婚姻二重届出による複本籍の状態を訂正することができる
韓国人夫婦間の嫡出子についての母子関係不存在確認を求める申立は、嫡出親子関係および非嫡出親子関係のともにないことを明らかにするものであるから、嫡出関係については法例17条により母の夫の本国法を、非嫡出関係については法例上規定はないが、子の出生当時の父または母の本国法を適用すべきである