最も長い歴史をもつ判例実務誌
1個の債権のため数個の不動産につき停止条件付代物弁済契約がされている場合にその一不動産に対する代物弁済がされたとして本登記がされたときの他の不動産の帰すう
1 朝鮮民主主義人民共和国の国籍を有すると主張する者に大韓民国人であるとして韓国法が適用された事例 2 大韓民国人について昭和31年当時生じた相続の相続人
抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記につき各権利移転の附記登記が経由された場合と右各主登記の抹消登記義務者
1 内容を検査することが不適当な受寄物についてはいわゆる品物違いの責任を負わない旨の倉庫証券約款の効力および免責の要件 2 密封された木函入り緑茶が右約款所定の内容を検査することが不適当な物にあたるとされた事例
1 危険の防止および安全な作動が装置の発明完成の要件とされた事例 2 明細書の記述不備によって発明を技術的に未完成と認めることの当否 3 発明の完成の有無を判断する資料の範囲
1 代物弁済の予約が完結された場合にすでに支払を受けていた遅延損害金の返還義務の有無 2 代物弁済予約の目的物を譲り受けるとともに残債務の免責的引受をした者は、代物弁済予約の完結による一部弁済金の返還請求権を取得するか 3 代物弁済予約の完結による目的物の引渡義務と一部弁済金の返還義務とは同時履行の関係にあるか
国際海上物品運送法7条1項3号にいう「外部から認められる運送品の状態」の意義 (A) 国際海上物品運送法7条1項3号にいう「外部から認められる運送品の状態」の意義 (B)1 国際海上物品運送法12条1項本文の要件を充たす損傷の通知を発したものと認められた事例 2 国際海上物品運送法7条1項3号にいう「外部から認められる運送品の状態」の意義 3 船荷証券上の「運送品を外観上良好な状態において船積した」旨の記載の意義
1 自動車交通における信頼の原則の適用を否定した事例 2 逸失利益の算定にあたって所得税を控除することの可否(消極)
会社本店課長の職にある者が職務上の非行を理由に1年6カ月の猶予期間をおいて解雇されたことが解雇権の濫用に該当しないとされた事例
いわゆるレッド・パージにおいて連合国最高司令官の書簡上重要産業から排除さるべき者は、「共産主義者又はその同調者」であるだけでは足りず、さらに「秩序をみだり又はみだるおそれ」あることを必要とすると判断した事例
「医師が職業病と診断の上業務上の疾病として手続中の者に対しては直ちに業務外の疾病としての不利な取扱をしない。」との労働協約に違反したとして解雇が無効とされた事例
病気による不出廷であり、その旨の正式の診断書が提出されていても、その病気が社会通念からいって公判審理引延しの目的から被告人がみずからその原因を与えたもではないかとの疑が極めて濃厚であると認めて刑訴法96条1項1号に該当するとした事例
道路交通法36条2項にいう車両等の通行している道路の幅員よりも、これと交差する道路の幅員が明らかに広いものの意義と車両等の優先通行権
三叉路に於て車両交通の原則的ルールを無視して横断右折しようとする車との接触を避けるために万全の措置をする業務上の注意義務はないとした事例
1 道路交通法117条の2第1号にいわゆる酒酔い運転の罪の犯意 2 道路交通法117条の2第1号にいわゆる酒酔い運転が業務上過失致死罪における唯一の過失内容となっている場合における罪数関係
1 いわゆる京大入試阻止斗争中に生じた兇器準備集合被告事件の被告人につき勾留取消請求は却下すべきであるが職権によって保釈を許可すべきであるとした事例 2 刑訴法87条2項の法意 保釈中の被告人についてなされた勾留取消請求の適否(適法)
いわゆる京大大学院入試阻止をめぐる建造物侵入威力業務妨害等被告事件の被告人につき職権によって保釈を許可し、その保釈保証金の全額につき保証書をもって代えることを許可した事例
会社側に近代的労使関係違反の行為があった場合、組合員等が会社側代替運転手による強行運転直前の車両の下にもぐりこんだ行為も威力業務妨害とならないとした事例
1 いわゆる弱き譲渡担保を設定した場合に該り、債務者は期限を徒過してもなお被担保債務を弁済すれば、目的物件を取戻し得るとされた事例 2 弱き譲渡担保を設定した場合において、債務者が代物弁済により目的物件を取得したと主張するとき、債務の弁済を条件とする将来の給付の訴を提起し得るか
登記ある建物の敷地に隣接し、該建物(居宅)の庭として利用されている土地の賃借権につき、建物保護に関する法律1条の適用を否定した事例
1 手形不渡の場合の異議申立予託権の弁済期 2 異議申立予託金返還請求権の取立権者は手形支払義務者に代って異議申立手続の委託を解約しうるか
建物所有者に対し、量水器を貸与して給水している者、および、メーター・屋外引込線を貸与して電力を供給している者と、右建物敷地占有の有無
夫と約2年間にわたって肉体関係を結んでいた女性(被告)に対する、妻(原告)の不法行為による損害賠償請求が認められなかった事例
排水溝、土管等設置の瑕疵により横浜市管理の東海道路上に凍結を生じ、これにより交通事故が惹起されたものとして道路管理者たる横浜市の損害賠償責任を認めた事例
1 事故の態様についての自白には拘束力がないとして撤回を許した事例 2 加害者から被害者に対する治療費の支払いは、損害賠償債務全部についての承認になるとして、時効の中断を認めた事例
1 建物利用に不可欠な通路としての目的をもつ借地権は借地法の適用がある 2 申立人所有地およびその土地上の建物譲渡に際し、右借地権の目的土地についてなされた借地権譲渡許可の申立を無条件で認容した事例 3 右譲渡すべき建物が、申立人の所有地上にある場合、相手方の優先譲受申立は認められない
1 買収農地につき何人かの取得時効が完成した場合に買収計画、買収処分の取消の訴の利益は消滅する 2 取得時効の基礎たる占有につき途中で承継があった場合、承継人の善意無過失を要しない
1 不動産の一部に加工して別個の不動産が生成された場合に、民法242条の類推適用があるとされた事例 2 旧所得税法9条1項8号の資産の取得価額
織物編物などの布地について使用する「グラム」という商標は特別顕著性なしということはできないとしてその登録出願を拒絶相当とした審決を取り消した事例
1 「電気化学的に塩類溶液の複分解反応を行なわしめる方法の改良」という発明の特許出願につき審決が、出願時隔膜式電解における常套手段としているところについて、その周知性の立証なしとして審決を取り消した事例 2 特許出願後に公告された先行特許公報は公知文献に当らない
「写真植字機における表示装置」に関する特許発明について、その無効原因として引用された文献から当業者が容易になしうる設計変更にすぎないとの主張が排斥された事例
ロックドリルに関する特許権に基づく差止請求権が、その対象物件が特許発明の必須要件の一つである負荷弁に相当するものを備えていないため、その物件には請求権は及ばないとされた事例
1 「編物機における単面式誘導カム構造」に関する特許出願について、構造・作用効果において引用例とほとんど一致し、カム片の集合体を単一のカムにした相違があるにすぎないことは設計上の微差であって特許性ある発明を構成しない 2 拒絶理由とされた引用例が実施不能の技術であるとの主張が排斥された事例 3 周知技術であることを例示するための引用例については出願人に意見陳述の機会を与える必要はない 4 追加特許出願は、その出願日を原特許出願の日まで遡らせるものではない
1 株式会社フシマンバルブという商号はフシマン株式会社という商号に類似する 2 旧会社倒産後分離した一部工場を中心に縁故者が設立した会社の商号であっても、当印の商号を変更して旧会社の商号に近似させた場合には、不正競争防止法にいう先使用権は認められない
1 準強姦未遂の被害者である少女について精神薄弱により刑法178条にいう心神喪失の状態にあったと認めた事例 2 情況証拠により被告人において右被害者が心神喪失の状態にあることについて認識していたものと認定した事例
窃盗の共同正犯者が逮捕を免れ、罪跡を湮滅するため、時間的場所的に極めて密接して、それぞれ暴行を行なった場合に、なお意思の連絡が認められないとして事後窃盗の共同正犯の成立を否定した事例
相手方の反抗を著しく困難にさせる程度の暴行・脅迫が認められず、また被告人の意思も被害者をくどきおとして肉体関係を結ぼうという程度にすぎなかったとして強姦罪の成立を否定した事例
いわゆるひき逃げの犯人において追跡者に対し車両の急激な発進により創傷を与えた行為が傷害罪にあたる場合と右傷害の被害者に関する道路交通法72条1項所定の義務の存否
交通事故を起した車両の運転者が被害者を救護し、交通秩序回復の措置を講じたため、結局それ以上警察官において、なんらの措置もとる必要がなかった場合と、道路交通法72条1項後段の報告義務の有無
直進を続け青色信号で交差点に進入する自動車運転者において右側から赤色信号を無視してその進路上に進出してくる足踏自転車の存在までを予見する義務がないとされた事例
夫婦間の協力扶助事件において、別居中の妻子の生活費につき、審判前の仮の処分をした上、当事者双方の生活費を詳細に検討して夫に支払いを命じた事例
労研方式により算定した婚姻費用分担額の支払を命ずる審判とあわせて、右審判確定に至るまで右分担月額と同額の支払を命ずる仮の処分をなし、右処分に執行力がある旨付言した事例
1(1) 配偶者の親権に服する子を養子とした場合養親は配偶者とともにその子の共同親権者となる。 (2) 右の場合親権者でない実親への親権変更の申立をすることはできない。 2 親権者・監護者でなくなった実親であっても、未成年の子に対するいわゆる面接交渉権を有しているが、子の福祉の観点からして、その行使が全面的に制約される場合が生じ得るとした事例
母から申立てた親権者変更事件において子の年令、受入れ環境等諸般の事情を考慮して親権者を父から母に変更したうえ、子の引渡しを命じた事例
相続財産を組成する個々の不動産を評価するにあたり、鑑定等をせず、現実の時価と一致しないのが通例である固定資産税の課税標準価額としての評価額によることは、相続分に相応する分割に欠ける違法があるとして原審判を取消し差戻した事例
相続財産の分与をうくべき特別縁故者に該当する者が申立をしなかった事案について、申立をした他の特別縁故者に対し相続財産を分与したうえ、審判の理由において被相続人の遺志その他諸般の事情を考慮して分与財産中の一部を前記特別縁故該当者に無償譲渡すべきであると判示しその譲渡部分を明示した事例
外国人男と夫の氏を称して婚姻した日本人女については、夫の氏を称するものとして同女につき新戸籍を編製すべきであるが、戸籍事務がかかる処理を認めていない以上、その救済として戸籍法107条による氏の変更手続によることを認めるのもやむを得ないとして、ポルトガル人男と夫の氏を称して婚姻した日本人女につき夫の氏に変更することを認めた事例
調停手続において家裁調査官によるマリッジ・カウンセリングを行なっても調整不可能の状態にある夫婦について、法24条により、離婚と親権者の指定をし、あわせて子の養育費の支払を命じた事例
家審法24条により、精神分裂病で、入院中の夫との離婚ならびに当事者間の子の親権者の指定とあわせて、参加人たる夫の父に対して金員の支払を命じた事例
韓国新民法施行前の朝鮮人男と日本人女との重婚につき、婚姻届出当時の朝鮮の慣習によれば重婚は当然無効であるとして戸籍法114条により日本人女の戸籍中の婚姻事項の記載消除を許可した事例
英国法上嫡出の推定は夫の妻に対する不接近の証明により覆えすことができ、それには特別の手続を要しないから、法廷地法たるわが国の手続法上は親子関係不存在確認の手続で嫡出の推定を覆えしうるとした事例