最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 地下鉄工事による騒音の違法性判断の基準限度と「騒音防止に関する都条例」との関係 2 地下鉄工事による騒音につき、原審の判断を維持し、同工事の注文者である東京都に民法716条但書所定の過失ありとした事例
1 競売期日の公告にすでに消滅している賃貸借が記載されていたことは、競落許可決定に対する抗告理由となるか 2 右の場合、競売場に出頭した者一同に対し公告の誤りが告げられ賃貸借がないものとして競売が実施されたときには公告の瑕疵は治癒されるか
1 従業員の私生活上の非行と使用者の懲戒権との関係 2 「不名誉な行為をして会社の体面を著しく汚したとき」なる就業規則の解釈 3 製鉄会社の従業員が米大統領秘書ハガチーを監禁したことを理由とする懲戒解雇が有効とされた事例 4 仮処分で立保証を命じた新形式
1 対向車が中央線を越えてきて衝突した事故につき自賠法3条但書の免責を認めた事例 2 好意同乗者に対し保有者の運行供用者責任が否定された事例
1 べトナム出張中無断一時帰国したことを理由とする懲戒解雇が苛酷であって無効とされた事例 2 解雇後の中間収入を控除すると平均賃金の6割以下になる場合、6割の限度で賃金の支払を命じた事例
1 公職選挙法142条1項にいう選挙運動のために使用する文書の意義 2 公職選挙法142条1項にいう選挙運動のために使用する文書にあたるとされた事例 3 公職選挙法142条1項の選挙運動用文書頒布禁止の趣旨 4 選挙の公示または告示後におけるいわゆる候補者推薦依頼行為と選挙運動との関係
1 道路交通法施行規則29条3項の定める新免許証の交付は運転免許証の有効期間の更新の効力発生要件か 2 運転免許証の有効期間経過後更新免許証の交付予定日にその交付を受けないで自動車を運転した場合の罪責
1 いわゆる学園紛争の過程において生じた監禁等被疑事件の被疑者についての勾留請求却下の裁判に対する準抗告の申立が認容された事例 2 勾留理由としての罪証隠滅のおそれは認められるが、接見禁止等の理由としての罪証隠滅のおそれは認められないとされた事例 3 接見禁止等の請求が二重請求などのため不適法な請求になるとして却下された事例
1 分担額の審判を経ない過去の婚姻費用の請求は訴訟事項ではないとした例 2 離婚後再婚禁止期間における生活費の負担は離婚による損害でないとした例 3 衣類の盗難に基づく損害賠償請求と離婚請求との併合の可否
旧ホフマン法による逸失利益の請求を新ホフマン法による請求に改めた場合の差額分について消滅時効が完成しないとされた事例
1 自賠法3条但書の免責の認められた事例 2 労災等級7級該当の後遺症を残す鞭打ち損傷を蒙った被害者の逸失利益の算定事例
1 黙示的、予備的主張があるとして、原告の時価相当額の主張に拘束されず修理費を認容した事例 2 被害車両の保管費用を認容した事例
平素の勤務において会社の自動車運転業務に全く関与したことのない従業員が、昼休み中に会社の原動機付自転車を無断運転して起した事故につき会社に使用者責任が認められた事例
増改築許可に伴う付随処分として、周囲の住宅に対する防音・防臭についての施策をとること、および借地権価格の約10%に相当する金銭の支払を命じた事例
借地条件変更申立を認容した事例 借地条件変更に伴ない賃借人が賃貸人に対して給付すべき金額の算出にあたり、延長される期間に応ずる更新料に土地効用増加率による割増を加える計算方法をとった事例
「田植用ゴム靴」の実用新案登録出願に関し、本願実用新案と拒絶理由に挙げられた二つの引用例とを対比し、拒絶相当とする審決の結論を是認した事例
「空気濾過材に」関する発明の特許出願について、願書の記載から開示されていると明確に認められない点を発明の内容として主張することはできないとされた事例
「ハロゲン化カーバニライド類の製造法」に関する特許発明を甲乙両発明に分割する許可の審判は、乙発明が反応剤の点において甲発明の特許請求の範囲を実質上拡張することになるとしてその請求を許さなかった審決を是認した事例
「製紙用ストックポンプ」という発明の特許出願につき、「特許請求の範囲」を「発明の詳細なる説明」の項に実施例として記載されているところに限定して解釈すべき旨の出願人の主張が排斥された事例
被服などの商品について、「クィーンアロー」の英文筆記体の文字と女王の胸像に矢を配した図形からなる商標が「アロー」の英文字を主体とする既登録商標に類似しないとした審決を是認した事例
「可燃性物質の連続自給無焔酸化法」についての特許出願に関し、拒絶理由として挙げた引用例と相違する点が周知の技術手段であって、両者の結合の点も特段の技術的意義なしとして拒絶相当とした審決の結論を是認した事例
1 「羊羹容器」に関する意匠の登録出願につき、引用例に類似するとした審決を取り消した事例 2 旧法適用事件につき、拒絶理由として現行法の条文を挙げ、これを更正したことの適法性について疑問ありとされた事例
「接着用薄膜の製造法」に関する特許発明について、引用例(米国特許明細書)とは二物質を接着させるについてその接着力を生起する条件を異にし、その目的とする商品を異にするとして無効審判請求が理由ないとした審決を是認した事例
「仕切摺動弁特に熱風摺動弁」という発明の特許出願につき、従来公知の別体構造のものを一体化したにすぎず、そこに技術的困難なしとして拒絶相当とした審決を是認した事例
「管及びその製造に関する改良」という発明の特許出願について、拒絶相当とした審決が示した判断の過程を辿って、その結論を是認した事例
身体障害が回復の見込みがなく、かつ、妻子を扶養する経済能力のない夫と同居することは、妻の生活を困難に陥し入れることが十分予想されるとして夫からの同居申立を却下した事例
1 家庭裁判所は乙類事件の調停手続中においても審判前の仮の処分をすることができる 2 審判前の仮の処分および右処分に対する不服申立の途を認めない家事審判規則の規定は憲法77条1項・32条に違反しない
妻(申立人)がすでに完済した別居中の夫の残した借金について、本件の婚姻費用分担額を定める上では斟酌すべき事項とはならないとして、分担額算出の資料から除外した事例
病弱のため就職できない別居中の妻からの婚姻費用分担請求において、夫の実収入から妻の療養費を控除した残額に双方の生活保護基準額の妻の比率分を乗じ、これに右療養費の額を加算した金額を夫に分担させた事例
別居後40日たらずで離婚しかつ別居後に相手方の独断で短期間に財産の減少行為がなされている事案につき、別居時に存した財産を基準として財産分与額を算定した事例
子の氏変更の許可審判においては、反対者側の感情上ならびに社会生活上の利害をも十分考慮して比較考量のうえ許否を決すべきであるとして、父の正当婚姻家族の反対ある場合の父の氏への変更申立を却下した原審判を正当とした事例
改氏を必要とする事情が、主として主観的理由にかかる事案において、現在の氏を称するに至った経過が、自己の意思や身分行為に関係のない旧民法家族制度の仕組によるものであったことを考慮し、家事審判法1条の趣旨にしたがって申立を認容した事例
事件本人の所有財産の管理をめぐり、申立人と右財産の事実上の管理者との間に争いがあるので、準禁治産宣告事件の審判が確定するに至るまで、抗争の渦中にない親族にその財産の管理を命じた事例
相続放棄の申述は家裁の受理によって効力を生ずるものであって、申述書提出後受理前に提出者が死亡したときは当該審判手続は当然終了するとした事例
包括受遺者と兄弟姉妹の代襲相続人との間で遺言の効力につき争いのある場合に、包括受遺者からなされた民法918条、895条、936条の各条項による相続財産管理人選任の申立を却下した事例
1 特別縁故者に対する相続財産分与手続における申立人の地位ないし身分は、恩恵的に贈与をうける特殊なものであって、それは一身専属性が強く承継譲渡には親しまない 2 申立人が右の申立をしたことによって、その分与の請求はなんら具体的な権利に転化するものではない
国籍朝鮮として外国人登録がなされているが、本人についての出生届は未了であり、かつ、韓国においても身分登録がなされていない申立人につき、父母はともに死亡し他に出生届出義務者も存在しないとして、知れている母の戸籍に就籍することを許可した事例
親権者変更調停事件において、未成年者の保護の適正を図るため、調停前の措置によって未成年者の監護についての処分を命じた事例
隔地者間の離婚調停事件において、24条審判により離婚および親権者の指定にあわせて、慰藉料ならびに財産分与と養育費の支払いを命じ、かつ、慰藉料、財産分与の支払いについては懈怠約款を付した事例
日本に居所を有する米国人(カリフォルニア州)夫、日本人妻が、日本人未成年者を養子とするにつき、米国カリフォルニア州法上の養子決定は、わが家庭裁判所の許可によって代えうるとした事例
少年保護事件には刑訴法319条2項の適用または準用はなく、自白のみによって少年の非行事実を認定しても憲法38条3項に違反しない
少年院を退院させた後における保護観察の必要性の存する限り、その期間を含めて収容継続の期間を定めることが当然許されるとした事例
保護処分の決定における罪となるべき事実の摘示には、刑事事件の判決書におけるほどの厳格性は要求されていないにしても、犯罪を構成する具体的事実をある程度特定すべきであって、犯罪の日時場所を欠くのみでなく、犯罪を構成する具体的事実の表示に欠けている原決定は、少年審判規則36条に違反する
[別冊 特報(1)]
1 釧路市工場誘致条例による奨励金交付申請に対する却下処分は抗告訴訟の対象となるか 2 右条例所定の要件に適合する工場の増設を完了し奨励金交付申請をした者の法的地位 3 右奨励金交付申請後の条例改正(工場増設奨励金の廃止)および改正条例にもとづく申請却下処分と信義則
[別冊 特報(3)]
1 国費外国人留学生の身分打切り行為の性質 2 国費外国人留学生の身分打切りの事由 3 マレーシヤ連邦(シンガポール)からの国費留学生が日本において反マレーシヤ活動をしたため、マレーシヤ政府から要請があつてその身分を打切つた文部大臣の処分が違法とされた事例
[別冊 特報(4)]
1 公職選挙法129条・138条・142条の各規定と憲法21条 2(イ、ロ) 公職選挙法138条1項と憲法21条 3 公職選挙法138条1項・142条1項の各規定と憲法21条
[別冊 特報(5)]
国家公務員法102条1項・110条1項19号、人事院規則14-7第5項1号と憲法21条・31条
[別冊 特報(6)]
いわゆる失対労働者の公共職業安定所に対する団体交渉権を認め、不退去罪の成立を否定した事例
[別冊 特報(7)]
1 漁業法65条1項および水産資源保護法4条1項に基づく北海道海面漁業調整規則の場所的適用範囲 2 わが国の統治権はクナシリ島の領海に及ぶか(消極)