最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 いわゆる町名変更の処分は抗告訴訟の対象となるか 2 町名変更の実施において「住居表示に関する法律」3条4項に反しないとされた事例 3 町名変更と地方自治の裁量権
1 「当面する再建途上においても人員整理は行なわない」旨の合意が不確定期間付労働協約と認められた事例 2 労働協約に事情変更の原則を適用するための要件 3 事情変更の原則が適用されなかった事例
1 再下請負人の不法行為につき元請負人に使用者責任を認めた事例 2 主婦の家事労働につき、家政婦の賃金を基準として逸失利益を認めた事例
釧路市工場誘致条例訴訟第一審判決 (行政訴訟) 1 条例の公布行為は抗告訴訟の対象となるか 2 釧路市工場誘致条例による奨励金交付申請に対する却下処分は抗告訴訟の対象となるか 3 奨励金公布請求権の発生時点 4 改正条例附則3項の「初年度として奨励金の交付の対象となるもの」の意義 (民事訴訟) 1 奨励金交付請求訴訟における訴の利益の有無 2 釧路市工場誘致条例に基づく奨励金交付請求権の発生時点 3 改正条例と法規不遡及の原則 4 改正条例附則3項の「昭和40年を初年度として奨励金の対象となるもの
1 裁判官が債務名義によらず単に身元保証金の先般特権に基づいて債権差押転付命令を発したことと国家賠償の成否 2 裁判官の職務活動に違法があったか否かを判断する基準
1 主婦の家事労働による逸失利益は、主婦自体に帰属する 2 抽象的労働能力自体の喪失だけでは逸失利益は認められない 3 被害者の稼働期間経過後の生活費は損益相殺すべきでない
1 「日本国とアメリカ合衆国との安全保障条約第3条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法」5条により内閣総理大臣のする土地等の収用または使用の認定は抗告訴訟の対象となるか 2 駐留軍用の飛行場拡張のための土地の収用及び使用が同法3条の「適正且つ合理的」な場合に当たるとされた事例
1 使用者が労働委員会の原職復帰命令後、一旦解雇を取消し、再解雇したとき、右命令の履行ありとはいえない事例 2 労組法32条の過料につき、刑法総則の準用があるか 3 救済命令不履行の違法性及び責任性阻却事由
1 国鉄従業員の職場外での公務執行妨害の犯罪行為が懲戒事由にあたるとした事例 2 過去の懲戒歴を、懲戒規定所定の免職、停職、減給、戒告等の処分選択の裁量の資料としうるか
1 下請業者がおこした交通事故につき、元請業者に使用者責任ならびに運行供用者責任が否定された事例 2 子の傷害につき両親に固有の慰謝料が認められた事例
商品仲買人に対し商品の売買取引を委託した者が委託契約及び商品取引所準則に基づく委託証拠金の追加預託を拒んだのに対し、右仲買人が右契約及び準則に定められた猶予期間の経過を待たずに強制手仕舞処分をした場合において、仲買人が委託を受けた取引による損金の支払を委託者に対して請求しえないとした事例
盗難手形を取得するにつき盗難手形であることを知らなくても、社会通念上必要とする注意を怠ったものとして重過失の抗弁を認容した事例
1 電力会社の寄附に基づいて設立された財団法人電力中央研究所と地方税法にいう学術の研究を目的とする公益法人 2 非課税特典の将来にわたる放棄の効力(消極)
1 公衆電気通信法5条1項にいわゆる通信の秘密を侵す一事例 2 電々公社職員がその取り扱う通信に関して知り得た他人の秘密を漏らしたと認められた事例 3 電々公社職員に対する懲戒免職処分が裁量権の濫用に当らないとされた事例
就業規則労働契約等に懲戒に関する定めがないときでも、使用者は退職金受給資格停止の効果を伴なわない懲戒解雇をなしうると判断した事例
タクシー運賃値上に伴いタクシー運転手の歩合給算出方法を改正したことが、賃金を労働者の不利益に改めたが故に無効と判定された事例
化粧用クリームなどについて「サンリョウパック」という登録商標に関し、その登録許否の最終審査の時点において、すでにこれに類似する周知標章が存在することを認定し、この周知標章の存在を無効理由とすべきものとした事例
商標登録出願に関し、審査および審判の手続において拒絶の理由として挙げられた引用商標が、さきの審判の審決取消訴訟係属中、その登録を無効とする審決が確定したため、拒絶相当として審決は違法であるとした事例
「ホーンにおける音響変成装置」について実用新案登録の出願をした技術内容が、これを構成する各別の技術はすでに公知に属し、これらの組合わせの点にも格別の作用効果も見られないとして登録を拒絶するのを相当とした事例
「アマンド」という商号について、東京都およびその周辺地区で周知となっていることを理由とし、不正競争防止法に基づく差止請求を認容した事例
1 「給油所」に関する実用新案権について、被告の給油所が原告の登録実用新案の技術的範囲に属することが争いのないことを前提とし、直ちに、差止請求を認容した事例 2 被告の給油所に用いられている装置の一部であっても、その物の性質効用から、侵害物件にのみ使用される物件ではないとして、いわゆる「間接侵害」の成立を否定した事例 3 右権利の出願時における被告の給油所が、その構成は原告の登録実用新案と同じではないとして、先使用権の主張が排斥された事例
「拡口曳網」に関する特許発明の技術的範囲を認定するに当たり、公知技術のほか、出願の審査手続中における訂正書の提出などの経緯その他の資料を参考とし、「特許請求の範囲」に明記されていない事項を、特許発明における必須要件とした事例
ネスカフェ・インスタント・コーヒーのラベルに類似するラベルを同じインスタント・コーヒーに使用する者がいた場合において消費者が誤認混同をする内容について判示した事例
「書庫における抽出」に関する実用新案権について、従来の両側壁に代え、底板の中央に仕切板を設けるに止めたことに関連し、書類等の脱落防止のため中央部を低くした谷状の傾斜を設ける旨の記載部分は、その作用効果も認められ、単なる付加的構造でないとし、他の脱落防止手段を用いた抽出は、その権利範囲に含まれないとした事例
「箒」に関する実用新案権について、被告の製造販売をする箒には、登録実用新案の企図した脱落防止のための構造を欠いているとし、その権利に牴触しないとした事例
被告人の犯行時の精神状態につき鑑定書中には著明な追想障害が認められるため病的酩酊と診断する旨の記載部分があるにかかわらず、他の関係証拠と照合して心神喪失ではなく心神耗弱であると認定した事例
公判手続更新前の公判廷における証人Aの供述を録取した公判調書を採証するにあたり、証拠の標目として「証人Aの当公判廷における供述」と掲記した瑕疵は、判決に影響を及ぼすか
警察署に勾留中の被告人に対する起訴状謄本の送達につき、被告人の自分は同謄本の交付を受けた覚えがないという主張を採用せず同謄本の送達が被告人に対し有効に行われたと認定された事例
共犯者による殺害行為が終った直後に現場にかけつけた者について、未必的殺意が認められないとして、傷害致死をもって処断した事例
電動送風機について旧商標法施行規則(大正10年12月17日農商務省令36号、同11年1月11日施行)第15条第17類の機械器具に該当すると認定した事例
強盗の共謀に参加し、その実現に指導的役割を果したが、犯行現場に赴いていない被告人に、強盗致死罪の共諜共同正犯の成立を認めた一事例
いわゆる「見せ金」により払込を仮装して株式会社を設立した場合に、設立登記全部についてではなく、その登記事項中の「発行株式ノ総数」についてのみ公正証書原本不実記載罪が成立するとされた事例
いわゆる酩酊運転の被告事件につき、司法巡査作成の検知管試験結果報告書および鑑識カードの各記載が、一般の経験則に照らし措信できないとして無罪を言い渡した事例
自動車の運転者の、(1)酒に酔い正常な運転ができないおそれがある状態で自動車を運転した罪と、(2)右酒酔いのため注意力が散漫になり、前方注視が困難な状態になったのに、かかる状態のもとにおける運転を中止して事故の発生を未然に防止すべき 業務上の注意義務に違背して、この状態のままで自動車の運転を継続したため、歩行者を負傷させた罪との関係
道路交通法42条違反事件の現場が、同条にいう「交通整理の行なわれていない交差点で左右の見とおしのきかないもの」であり、その速度も同条の「徐行」に当らないものと認められた事例
一時停止の指定のある道路と交差する左右の見透しのきかない交差点に進入する自動車運転者の徐行義務と右指定を無視して同交差点に進入する自動二輪車に対する注意義務の関係
被相続人の入院看護の費用および相続開始後の遺産についての公担公課、法要等の費用は遺産分割の際に考慮すべきでなく、別に定めるべきである 2 民法第906条の規定は、相続分に応じて遺産の帰属をいかに定めるべきかにつき考慮すべき事項を定めたもので、法定相続分の変更を許した規定ではない
別居につき有責な夫に対する妻の婚姻費用分担請求事件において、不誠実な夫に対し、調停中事実上の勧告・審判前の仮の処分等必要な措置を講じた上、妻の希望額通りの生活費分担審判をした事例
事実上他家の養子として幸福に育てられている未成年者の親権者を、その子の引渡しを求める現在の親権者たる父から、右縁組手続を正式に遂げてやりたいとの意向をもつ母に変更した事例
樺太で婚姻した夫婦間の未成年者につき、実母が帰国していない事実において、実父をその就籍手続をとるための後見人に選任した事例
1 相続人の1人が、遺産をほしいままに処分した場合、その代償請求権は遺産分割の対象となる 2 遺産の価格算定が不能な場合の代償請求権は、遺産分割の対象から除外せざるを得ない
さきに成立した遺産分割調停には遺産の一部に脱落があるとしてなされた追加分割の申立を、一切の事情を参酌の上脱落したものではないとして却下した事例
中華人民共和国において中国人と婚姻した元日本人女の戸籍につき、その身分事項欄中婚姻の日につき、婚姻の方式の準拠法である挙行地の法律は中華民国法であると認定して、正当な婚姻の日は夫婦同居生活を始めたときでなく挙式の日であるとしてその戸籍訂正を許可した事例
当該事件の取扱いが、準拠法たる本国法(米国ミズリ州法)と日本の法制とで異なる場合でも、性質上それが日本の法制に受け容れ難いものでない限り、本国法に基づく内容の審判をなすのが当然であるとして、親(米国人)と子(米国人)の利益相互行為につき未成年者に対した後見人を選任し、その後見行為を認可した事例
日本に遺産を残して死亡したイラン人の相続につき、相続人の存否を確定するには法例25条によりイラン国民法によるべきであるが、相続人、不分明の場合の相続財産の管理清算については法例10条によるのが相当であるとして、日本民法952条により相続財産管理人を選任した事例
強盗致傷を犯した外因性の精神薄弱兼外因性てんかん患者である少年に対して、本件非行はてんかんの発作としてなされたもので心神喪失中の行為であるから罪にならないとして、事件を審判不開始決定した事例
偽造通貨知情行使とする司法警察員の送致事実に対し、一般人をして真正な紙幣と誤認させる程度の外観を有していない裏なし紙幣は、偽造または変造紙幣でないとして、詐欺罪の成立を認めた事例