最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 労働者の私行に属する犯罪行為(ハガチー事件)が懲戒事由に該当しないとされた事例 2 被解雇者が所属労組から救援資金を受けること、又は所属労組の専従役員であることと、地位保全仮処分の必要性
個人タクシーの免許申請に関し 1 審査基準の関係人への告知の要否 2 審査手続のあり方 3 却下処分が違法とされた事例
債務者が生計費および子女の教育費を借用するための貸主に対し唯一の動産を譲渡担保に供した行為が詐害行為にあたらないとされた事例
被用者が会社に対して労働協約により、交通事故についての賠償責任を負わないときは、その身元保証人もまた責任を負わないとされた事例
起訴状(略式命令請求書)との間に記載内容上軽微とはいえない差異がある略式命令に対し正式裁判の請求がなされ公判が開始された場合における審理の対象
共同代表取締役の一人が他の共同代表取締役の署名印章を冒用して共同代表の形でした会社名義の文書の作成と文書偽造罪の成立
公判期日に出頭した被告人が秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられた場合における刑事訴訟法第326条第2項の適用の可否
土地区画整理法第85条の定める権利申告の手続をしない借地権者から、仮換地上の建物を譲り受けた者は、賃貸人に対し建物買取請求権を行使することができるか
被相続人と同居していた相続人につき共同相続財産となるはずであった家屋の使用貸借上の権利を肯認し、これに対する解約告知を制限的に解した事例
詐害行為たる売買契約当時目的不動産に設定されていた他の債権者の抵当権が抹消されたのち、右売買を詐害行為として取消し所有権移転登記の抹消を求めることができるか
錯誤による本登記の抹消及び仮登記の回復登記手続をなし得ない特別の事情があるときは、右各登記手続をしないでも抹消された仮登記に基づく本登記手続を請求することができるとされた事例
1 交通事故により下腿骨を骨折した者が、治療過程で併発した尿毒症により1年後に死亡した場合に、事故と相当因果関係ありとした事例 2 示談成立の抗弁を否定した事例 3 死者の得べかりし利益の算定につき、年金については生活費を控除すべきでないとした事例
1 濾過機に関する特許発明について、専用実施権Aと権利侵害者Bとが、同一ユーザーに対する売込みが競合し、侵害者Bが低価格で納入に成功した場合において、専用実施権者Aがユーザーに提示した価格とBの納入価格との差額をもって、Aの損害額と認定した事例 2 仮執行宣言付第一審判決で命じられた金額の支払いが、その判決正本に基づいて執行官が執行のために赴いたことに起因するときは、第二審判決において、その支払うべき額が減額された結果、その控訴審判決の主文において、その差額を返還すべき旨を命じた事例
「コンクリート柱構築装置」に関する特許発明について、旧特許法の下における無効審判手続に関し、その請求人の利害関係だけが争点とされた事例
「メリヤス編成機」に関する特許権の共有者全員を相手とする特許無効審判の審決取消訴訟が係属中、共有者の1人が死亡した場合、その訴訟代理人に対する判決の送達によって訴訟手続が中断した事案について、右中断事由は他の共有者にも効力を生じ、判決未確定の状態にあることを理由として、共有者全員を相手とする再審の訴を却下した事例
「防水型竜頭に関する改良」という発明について、当初フランス国特許局に出願したところ、日本国特許庁への出願前、フランス国特許明細書が日本国内に受け入れられて公知となっていた事案について、これを以て出願人の意に反した公開ということはできないとした事例
スライドファスナーに関する意匠につき、登録を出願したものと拒絶理由に挙げられた引用意匠との相違点が吊下取手の部分にあるに止まり、しかも、その部分も出願前すでに普通にみられるありふれた形状のものであるときには、引用意匠をもってその登録を拒絶するのは正当であるとした事例
被告の紙面塗装機における、大小の差異ある3つのロールが、原告の登録実用新案の説明書における、従来の装置の欠陥として指摘している通りであり、これを改良してその大きさをほぼ等しくした点に、登録実用新案の優れた効果を発揮できる所以がある場合には、被告の装置は原告の登録実用新案の技術的範囲には属しないとした事例
既知の物質について除草法という新しい用途を発明し、除草剤組成物として特許された場合、その特許請求の範囲の記載にとくに限定はないが、除草の用に供する場合の有効成分は1アール当り約56.1グラムから約1.122グラムの割合であることをその限界とすると認定し、この下限をはるかに下廻る成分を含むにすぎない除草剤については、その技術的範囲に属しないとした事例
被告が製造販売する「ダンデイクールカット」という交流直流両用の電気かみそりについて、原告の実用新案がジャック部の着脱によって交直の切換を行なうのに対し、被告の製品は、交直切換用スイッチを設け、ジャック部の着脱のほかに手で操作する必要がある点において相違し、原告の実用新案権には触れないとした事例
テレビ映画の日本語吹き替えのための翻訳著作権は、特約がなくても、翻訳者ではなく、翻訳を依頼した者に帰属させるという慣習があるとの主張が否定された事例
「鎖の鑞付方法」の発明に関し、その特許請求の範囲に記載された、最終工程である「加熱直後各環状片を相互に変位する」との技術手段が、単なる補助的工程ではなく、本件特許発明において是非とも存在しなければならない一工程であると認定された事例
1個の裁判によって併合罪の一部分(暴行)について有罪の罰金刑、他の部分(傷害致死)について無罪の裁判が確定した事件につき、刑事補償法3条所定の補償をしないことができる場合にはあたらないとし、刑事補償を定めた事例
1 法人税逋脱金額を確定するために用いられる推定の限度 2 期末除外棚卸高の算定方法が合理的な推定とはいえないとされた事例
1 被告人の行為の一部ないし過失の態様において、訴因と若干異なる事実を認定するのに訴因の変更を要しないとされた事例 2 刑事訴訟法378条3号にいう「事件」の意義 3 信頼の原則の適用を否定した事例
いわゆる乗車拒否をしたタクシー運転手が、あくまで車に乗り込もうとする客を車から離脱させるため、車を発進させて客を転落させ負傷させた場合と傷害罪の成否
物品税証紙譲受罪(物品税法40条、45条7号)を他の懲役刑を相当とする同法違反の罪とともに直接告発した事案につき、右証紙譲受罪は罰金にあたる罪であるから、これについて通告処分を欠く以上、右告発中同罪に関する部分は無効であるとして、これについての公訴を棄却した事例
未成年(15才)の被害者とその法定代理人である父親とが各別に告訴したのち、本人の告訴のあることを知らない右父親が、当該事件についてのいっさいの告訴を取り消す趣旨で父親名義の取下書を提出した場合について、その際の具体的状況を検討して、被害者本人の告訴取消を認めなかった事例
民訴法による仮処分が許されるのは、本案につき訴訟手続により地裁が裁判しうる事件に限られ、家裁が非訟手続により扶養義務の具体的形成につきなす裁判については、地裁において仮処分をなすことは許されない
後妻の単独所有とする原審の分割方法を、後妻に対する使用貸借関係の設定を期待するとして、支払能力のある長男の単独所有債務負担の分割方法に変更した事例
相続人の一人が被相続人に対し立替金債権を有していたことや、被相続人と同居しその扶養にあたっていたこと等の事情による被相続人の債務は、相続開始と同時に当然相続人間に分割承継され、遺産分割に当り考慮させるべきでない
氏の変更を許容すべき「やむを得ない事由」とは、通姓に対する愛着や内縁関係の暴露を嫌うというような主観的事情を意味するのではなく、呼称秩序の不変性確保という国家的・社会的利益を犠牲にするに値する程の高度の客観的必要性を意味すると解すべきである
別居中の夫が妻に対して負担すべき婚姻費用の分担額は、自己の最低生活を下廻るまで負担させらるべきものではないとした上、労研方式を採用してその額を算定した事例
別居の責任が妻にある場合には、妻は自活能力を有する限り、自己の生活費を夫に請求することはできないが、子の生活費については婚姻費用として夫にも分担義務があるとして労研方式によりその額を定めた事例
名望、有識者としてかなりの社会的地位を有する老母の地位体面を維持するには、一般老齢者の生活費以上のものが必要であるとして、経済的に余力のある長男及び二女の負担額を定めた事例
1 国家公務員死亡退職金及び生命保険金は遺産に含まれない 2 自動車損害賠償法第72条による補償金は可分債権であるから、遺産分割をまつまでもなく、当然に相続分に応じて分割されたものというべきであり、すでに相続人1人が受領した後であれば不当利得返還請求として民事上の手続によるべきである
母方亡祖母に後継者がいないので、祖母の遺志および母の希望を汲み、自らも同家祖先の祭祀を行ないたいとの理由からなされた氏変更の申立を却下した事例
韓国人男と日本人女の婚姻無効確認訴訟において、右男が婚姻の届出書の作成および届出を委任し、被委託者によつてその届出がなされるまでの間に、右男が昏睡状態に陥り判断力、指南力を失つたとしても、右届出、受理は婚姻挙行地法たるわが民法第97条2項の適用ないしその法意に鑑み、これと同一の精神に従つて有効と認むべきであるとした事例
米国に住所を有する米国人と日本人未成年者との養子縁組に関し、米国国際私法の原則における養子縁組の準拠法としての「法廷地法」は、裁判権概念と密接な関係を有する概念であって、日本のように裁判権概念と準拠法概念とを直接関連せしめない法制の国が、法廷地であるということをもって、前記米法上の「法廷地法」が日本法であると考えることはできないとして、反致を認めなかった事例
いまだ明らかにされていない同種手口による余罪も相当潜在するおそれもあるので、少年の自白のみで、他に補強証拠もないのに犯行日時を特定し、かつ自白どおりの犯罪事実を認定することは著しく危険であるとして一部事実について非行なしとした事例