最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 社内における政治活動を禁止する特約(就業規則)は公序良俗に反するか 2 就業規則中政治活動禁止条項に違反して政治活動をしたことを理由とする解雇が無効とされた事例
信用金庫の職員の偽造した定期預金証書を真正なものと信じて金銭を貸与した第三者が損害をこうむった場合において当該信用金庫に民法715条の責任が認められた事例
1 鉱業法61条による鉱区表示の変更は抗告訴訟の対象となるか 2 鉱業権の消滅後、係争地域に採掘出願中の場合と鉱区表示変更処分の取消請求の訴の適否 3 鉱業法61条による鉱区表示変更処分とこれに対する訴願裁決の両者が取消された事例
1 子会社所有の車について親会社に運行供用者責任が認められた事例(抗弁説による) 2 過失相殺について、運転者の過失を同乗の被害者の過失と同視して考慮した事例 3 自賠法の保険金の充当のしかた 4 慰藉料として認められない部分を逸失利益の損害として、予備的に請求していると解してこれを認容した事例
罰金のみにあたる罪を犯した少年の事件について家庭裁判所を経由することなく公訴が提起され略式命令が確定したときと非常上告
1 文部省が学力テストを実施することは教育基本法10条に違反するか 2 地教行法54条2項を右学力テスト実施の根拠規定と解することができるか 3 公務執行妨害罪における職務の適法性
1 地方公営企業労働関係法11条1項違反の争議行為と労働組合法1条2項の適用 2 市電乗務員に対するいわゆるピケッティングが正当な争議行為であるとして威力業務妨害罪の成立を否定した事例
鑑定留置の裁判に対する準抗告につき、その後の事情をも考慮した結果、決定当時には留置の必要性は消滅したとして、原裁判を取消し、鑑定留置の請求を却下した事例
共同代表の定めある会社において、代表取締役の1名が他の代表取締役より特定事項について個別に委任を受けて単独で代表行為を行なうことの可否
1 債権譲渡の通知と民法108条 2 約束手形と満期前の遡求 3 手形債権を自動債権とする相殺と手形呈示の要否 4 自動債権につき債権譲渡の通知後になされた相殺の効力
前訴の口頭弁論終結前における和議不履行を理由にその終結後になされた和議譲歩の取消は、前訴確定判決の既判力に拘束されるか
1 白地手形補充権の有無についての主張立証責任 2 振出人が破産した場合、手形所持人が裏書人に対し満期前に遡及権を行使するときと手形呈示の要否
船舶衝突の原因についてのみ裁決し、受審人たる水先案内人の懲戒の裁判のない高等海難審判庁の裁決に対し右受審人からする裁決取消の訴の適否
1 事業停止の処分に付された期間経過後になお右処分の効力を争う訴の利益ありとされた事例 2 裁決を経ない出訴に正当な理由ありとされた事例
1 土地収用法による損失補償の裁決の変更を求めることなく、補償額を超える金額の直接支払いを求める訴の適否 2 都市計画のための建築制限による損失について補償を求めることができるか
鯨軟骨の粕漬に付した「美鶴松浦」又は「美鶴松浦漬」なる商標は、同種製品につき登録された「松浦漬」なる商標に類似するか
1 タクシー会社の親睦会会長たる従業員が同会会計事務処理上背任的行為があっても会社において解雇できないとされた事例 2 タクシー運転手の解雇されなければ得べかりし賃金額算定の一例
1 一旦離婚の合意が成立し適式な届出書が作成されても、その提出前に当事者の一方が離婚意思の撤回を表示(不受理願)した場合などは、離婚意思の合致を欠くことになり、協議離婚としての効力がない。 2 婚姻を継続し難い破綻状態にいまだ該当しないと認定した事例
被害者が道路わきのホルモン店から小走りに出てきた事案において、あらゆる角度から検討して、大型乗合自動車の運転者に過失がないとされた事例
業務上過失致死罪において、過失によって自動車を被害者に接触させて同人を路上に転倒させた後、同人を死亡させるに至った状況について、訴因の変更を要するとされた事例
一部起訴後の勾留期間中に余罪についての取調が行われ、5ケ月後に追起訴がなされたばあいでも、その間になされた自白が不当に長い拘禁後の自白であるとはいえないとされた事例
1 競馬法32条の2前段に定める「その競争に関して賄ろ」を収受等するということの意味 いわゆる八百長競争の対価である必要はないが、単に勝馬の予想をしたり、情報を提供したりすることの対価として金品の収受等がなされた場合は、これにあたらない 2 自白の任意性について詳細な判断の示された一事例
検察官は、わずか数日後に成年に達する少年の被疑事件の送致を受けた場合、直ちにこれを家庭裁判所に送致することなく、そのまま捜査を続け、当該少年が成人に達したのち、直接に公訴を提起することができるか
利息の天引は、その貸付元金が弁済されなかった場合でも、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律5条1項にいわゆる利息の「受領」にあたるか
1 ロックアウトを違法無効とした事例 2 会社側にロックアウト以外に組合員の会社建物内への立入りを拒む正当な理由がなく、かつ、右ロックアウトが違法無効であることを理由として、従業員たる組合員の会社建物内への立入り行為につき、住居侵入罪の成立を否定した事例
1 会社建物の壁、窓ガラス等に対するビラ貼り行為につき、建造物損壊罪および器物損壊罪の構成要件該当性を否定した事例 2 会社建物の窓ガラスに対するビラ貼り行為につき、正当争議行為として、犯罪の成立を否定した事例 3 右1 二のビラ貼りを目的としてした労働組合員の会社建物内への立入り行為につき、建造物侵入罪の構成要件該当性を否定した事例
1 領得した薬剤が、その量少く製造原価、購買価格も極めて僅かであるが、その製法の独自性ひいてはその機密性との関係において極めて大なる価値を有する場合には、その薬剤は刑法253条にいう「物」にあたる。 2 会社の職員が職務上作成した資料、文献は、その職員個人の所有物ではなく、会社の所有に属する。
1 妻が婚姻中に懐胎した子であっても民法772条の推定を受けない場合には、夫以外の利害関係人も右夫と子との間の親子関係不存在確認の審判申立をすることができる 2 右事案において生理上の父が自己の妻との間の摘出子として届出た場合には、右届出は認知の効力を有する
1 共同相続人の1人が遺産分割審判手続に関与していない疑いが存するままなした原審判を法律違背とした事例 2 遺産分割審判においては可能な限り現実の分割を達成すべきであり、分割が事実上または法律上不可能な場合は別として、単に共同相続人間の共有のままに放置するような審判をするのは審判遺脱に類するものである
身体障害者からその実親に対してなされた扶養請求事件において、実父母が幾分扶養可能の状態にあるとしても、子に全然勤労意欲がなく、また本件を申立てる必要を生じた原因につき、その一半の責がある場合は、民法上の親族間の一般私的扶養としては認容されないとして右申立を却下した事例
被相続人自身とは長い間音信不通の状態にあったが、素行不良の被相続人に代って唯一の遺産たる不動産を事実上管理してきた従姉に対し、右の事情を考慮して相続財産を分与した事例
被相続人のために代金を支出して家屋を購入し、かつ10年以上にわたり被相続人一家の生計を援助してきた者(被相続人の株式会社代表取締役)に唯一の遺産たる右家屋を分与した事例
特別縁故者は被相続人の生前において被相続人と縁故関係があったものをさして、その資格は一身専属的で相続の対象とならない
生来日本人である者が南樺太において、ソ連国籍を取得している場合に、それが自己の志望による外国国籍の取得ではないとして、就籍を許可した事例
離婚について合意はあるが、親権者指定、財産分与および慰謝料の点で協議が調わない場合に、離婚のみ調停を成立させ、親権者指定、財産分与につき別に審判をした事例
朝鮮民主主義人民共和国人間の父子関係不存在の確定につき、同国法が親子関係の発生に関しいかなる規定を設けているか明らかでないが、夫婦間に肉体関係の発生し得る客観的可能性のない事件においては、妻が他男と通じて分娩した「姦生子」と右夫との間に父子関係の発生を認めることは条理上あり得ないとして、当事者間に嫡出関係は成立しなかったと認定した事例
1 戸籍上日本人夫と米国人妻との間の子として記載されている子と、表見上母との間の母子関係不存在確認につき、法例17条および18条1項を類推適用した事例 2 親子関係の存否確定に関し、手続上米国法における個別的証明主義をわが国法の包括一元主義に修正した事例
中国人父が自己の債務の担保のために母と子の共有不動産に抵当権を設定するための特別代理人選任申立につき、中華民国民法には特別代理人の選任を認める規定はなく判例の存在も知りえないことから、当該行為についても父母に適法な代理権があると考えるのが相当であるとして申立を却下した事例
原決定書の理由欄には、収容保護の必要についての説示がなく、理由を付さない違法があるのと附添人の主張に対し、特定の保護処分を選択する理由を表示することは法の要求するところではないとしてこれを排斥した事例
退院後における社会適応性具備のため、現在少年院において少年に施している乙種危険物主任者の資格取得のため約20日間の収容継続申請を許容した事例
労働基準法63条2項違反の罪には、児童福祉法60条3項のごとき規定がないから、右罪の成立には、年齢についての認識もしくは未必の認識を要し、年齢の認識に過失のある場合はこれを処罰し得ないものと解する