最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 公職選挙法違反(公務員等の地位利用及び事前運動罪)被告事件において、量刑の事情を判示した事例 2 公務員等の地位利用罪と事前運動罪の罪数関係
賃貸借契約が解除されていない場合において賃貸人は賃借権の無断譲受人たる占有者に対し損害賠償の請求をすることができるか
外国船舶乗組員に対するいわゆるコミッション又はオーバービル名義の支払行為と外国為替及び外国貿易管理法第27条第1項第2号前段違反の罪の成否
1 建物保護法により賃借権を以て対抗し得る土地の範囲 2 控訴審における請求原因の変更により変更後の請求原因に基く新請求をするものと認められた事例
1 株式会社の代表取締役が取引銀行に預金の二重払をさせたことについて商法266条の3第1項、民法709条の責任ありとされ例 2 破産宣告の公告後の弁済の効力 3 損害の発生が専ら加害者の欺罔手段によるものであるとして過失相殺が排斥された例
1 期限の利益喪失約款は相殺により対抗が許される場合に限って差押債権者に対し効力が認められるとされた例 2 右約款の対抗力の有無は被差押債権の第一次の差押債権者に対する関係だけではなく、反対債権の弁済期前に被差押債権を差し押えた第二次、第三次の差押債権者に対する関係においても同一と認められた例
1 いわゆるノウ・八ウ(技術上の秘訣)が権利と認められないとされた例 2 ノウ・ハウによっては、これを使用して製作する第三者に対し、その差止を求める権利がないとして仮処分申請が理由なしとされた事例
支払停止中の会社から委託を受けた第三者が同会社の集金取立をした金員の交付を受け、これを会社の債権者に債務弁済のため支払った場合、第三者の右交付を受けた行為は否認権の対象となるか
1 手形の支払委託を受けた銀行が手形の支払をなすについての注意義務 2 右銀行が振出日白地の手形の支払をなした場合の責任
1 外国為替及び外国貿易管理法27条1項1号と私法上の請求権行使との関係 2 外貨による金員請求の強制執行不能を前提とする邦貨による金員請求の適否
建物完成後直ちに建築主はこれを敷地所有者に贈与し、敷地所有者は右建物を建築主に賃貸する旨の契約書が作成された場合に、建物の所有者は依然として建築主であり、契約書の文言は建築主の借地契約上の債務につき建物を担保に供する趣旨であると認めた事例
選挙に関する報道及び評論を掲載した法定外選挙文書である社会党機関紙を、その販売を業とする者以外の通常人が頒布した場合と公職選挙法142条、243条3号違反罪の成否
1 強制わいせつの被害者である6年5月の児童の供述を内容とする母親の証言の証拠能力 2 証言等による犯人特定の事例 3 捜査官に対する自白の任意性が肯定された事例
夫の両親と融合できず別居中の妻からなされた夫婦同居申立事件において、夫は両親と別居して妻と同居すべしとした原審判を相当とした事例
共同相続人間に感情的な対立があって、共有を欲しないにも拘らず当該相続人間の共有による分割方法を定めることは、たとえ共有者が欲するならば何時でも分割請求の訴を起し得るとしても、いたずらに将来に紛争の禍根を残すこととなり遺産分割を家庭裁判所に行なわしめることとした法の精神に反する。
被相続人が自己所有の財物をすべて自らが設立した株式会社に遺贈したとしても、その趣旨が相続による企業の解体を防ぎ、実質上被相続人一族の企業として永続させようとするにあったことがうかがわれる以上、被相続人が有していた右株式会社の株式その他企業に無関係な日常生活に関する財物までも遺贈に含まれると解すべきかどうか問題があるとして原審判を取消し差戻した事例
1 被相続人が主として妻の持参金により家屋を建築所有するに至った場合に、当該家屋を妻の特有財産と認めなかった事例 2 遺産たる動産について相続開始時の数量に争いがあり、かつ各相続人の持去った品目及び数量が明確を欠くとして分割の対象から除外した事例 3 相続債務は各相続人がその相続分に応じ負担すべきものであり、仮に相続人の1人が他の相続人のため相続債務又は相続財産の管理費用を立替え支払ったとしても、その償還請求権は遺産分割とは別途に行使すべきである。
婚姻の意思をもって夫婦生活を続ける関係にある者の一方が、たまたま中国に抑留され音信不通の間に他方が代書によりなした婚姻届を有効と認めた事例
1 生父の本国法たる中華民国法上では認知されたものとみなされる場合においても、子の本国法たる日本法上父子関係の成立が認められない以上なお認知請求ができる。 2 中華民国法上すでに父子関係の存在が認められる以上、右認知請求につき同法第1067条所定の出訴期間の制限はうけない。
夫婦互に協力して生計を営んできたといっても、両者とも単に夫の父の家業を手伝っていたにすぎず、その間に分与すべき何等の財産がない以上財産分与の請求は失当である。
相続人たる長男が永年無報酬で家業を手伝い遺産たる家屋の購入さらに維持増加に寄与した度合の大なる事情を考慮し、長男が右家屋の上に寄与分相当の潜在的持分を有するものと認め民法第250条の趣旨を参酌して持分を2分の1とした事例
1 代償請求権の存在が明白な場合には、これを遺産に準ずべきものとして積極的に分割の対象とするのが至当である。 2 被相続人に対し借金を負う相続人に交付した金員につき、これが扶養義務の履行に外ならず、右債務の弁済にあたらないとした事例
5年後に300万円の贈与を受ける契約のもとになされた遺留分放棄の許可申立を、将来右契約が履行されない虞れ等申立人に生ずるかもしれない損害を考慮して却下した事例
決定原本に基づかないで少年院送致決定を言い渡し、また右言い渡し期日の審判調書に罪となるべき事実およびその事実に適用すべき法令を示していなくても違法ではない。
少年が在宅保護の経験を有せず、更生意欲が認められることなどの事情を考慮し、中等少年院送致の原決定を取り消し、差し戻した事例
本件トルコ嬢の業務は、労働基準法第62条、第63条の規定に違反しているので、その雇用関係は児童福祉法第34条第1項第9号にいういわゆる正当な雇用関係に基づくということはできないと判示した事例