最も長い歴史をもつ判例実務誌
農業共済組合の農作物共済掛金、賦課金およびきよ出金の徴収については、農業災害補償法第87条の2所定の手続によるべきであつて、民事訴訟法による強制執行は許されず、その履行を裁判所に訴求することもできない。 農業災害補償法87条の2、農業共済基金法46条、民事訴訟法226条 1 いわゆる公共組合が...
1 同一所有者に属する土地およびその地上の建物のうち建物のみが任意譲渡される場合と建物敷地の使用関係 2 前項の場合に設定された敷地使用権が使用借権と解された事例
1 家事審判法9条1項乙類10号の遺産分割に関する処分の審判と憲法32条・82条 2 遺産の分割に関する処分の審判の前提となる権利関係の存否を右審判中で審理・判断することの許否
1 手形をあらためて呈示交付することなくして手形金の支払請求が認められた事例 2 手形振出人に対する手形金相当額の損害贈償を求める旨の裁判上の請求と手形金債権の消滅時効の中断
1 代物弁済予約にもとづく仮登記の権利者が甲であるのにAと登記された場合の更正登記の許否 2 一の場合、Aが甲より代物弁済予約上の権利を譲受け予約完結をしたとき、Aの仮登記の本登記手続請求の許否
1 道路交通法77条1項4号、東京都道路交通規則14条8号の「交通のひんぱんな道路において物を交付すること」にあたらないとした事例 2 右法条の意味
1 期待可能性を欠くとはいえない事例 2 「非居住者のためにする居住者に対する支払」として支払われた金員をさらにその非居住者のために他の居住者に対し支払う行為と外国為替及び外国貿易管理法第27条第1項第3号
自動車の後車輪の整備不完全に起因し進行中に後車輪が車体から離脱しガソリン給油管が壊れガソリンタンクのガソリンが地上に流出し発火し附近の建物に燃え移ってこれを焼失させた事故に関し自動車運転手につき業務上失火罪の成立を認めた事例
1 所有権に基づく不法原因給付の返還請求またはその所有権侵害を理由とする損害賠償請求の許否 2 不法原因給付の受益者から使用を許された第三者に対する不法占有を理由とする明渡または損害賠償請求の許否
譲渡担保の目的物が担保権設定者の滞納により公売処分に付せられた場合、担保権者は旧国税徴収法第14条に基く取戻請求をなす義務があるか。
1 遺言執行者が指定されている場合、相続人にたいしてなされた被相続人名義の銀行預金の支払と民法478条の適用 2 右の場合預金者の相続人にたいしなされた支払いにつき民法第478条を適用した事例
1 不法行為に基く損害賠償請求権行使のための弁護士費用は当該不法行為に基く損害額に算入されるか 2 正規の取引業者に仲介を依頼した場合の不動産買主の注意義務の程度
1 輸出保険法による輸出手形保険契約において保険事故の発生が荷為替手形振出人の責に帰すべき事由によると認定した事例 2 外国為替公認銀行から右手形の遡求権行使を受けた振出人の国に対する求償権の有無
地方公共団体を債務者とする仮差押申請が保全の必要性を欠くことにもかかわらず重大な過失によってなされたとして仮差押債権者の損害賠償責任を認めた事例
交通整理の行なわれていない交差点に先入した甲自動車に対し、左方の道路を進行して来た乙自動車と追従の車両が停止して道路を譲った場合に、甲自動車の運転者は、どのような注意義務を負うか
1 被用運転者が、同乗中の無免許の第三者に自動車の運転を委ねた際の事故につき、右運転者の不法行為責任と使用者の運転共用者責任を肯定した事例 2 労働組合の役員が受傷のために受け得なかった組合手当と損害賠償
1 未決拘禁者の文書の発信につき「信書の内容が施設の管理運営上発信を適当としないものについては、その長の意見により、被告人の意思の如何に拘らずその部分を抹消することができる。」「未決拘禁者が新聞雑誌等に掲載するため、原稿の記述並びに発送を申し出た場合には、特に必要があると認める者にかぎり、これを許すこと。」と定めた通達(昭和26年矯保甲第1292号、昭和29年矯正甲第1263号)と憲法第21条 2 拘置所保安課長が、未決拘禁者の新聞社宛投書の発信を禁止した処分と憲法第21条及び監獄法第47条第1項 3 刑法第193条の公務員職権濫用罪が成立するためには、職権を濫用する認識、意図の存在を必要とするか。
1 遺贈が無効であるとして、遺産の分割の申立がなされた場合には、当該申立に遺留分減殺請求の意思表示は合まれる余地がない。 2 右事案において、減殺請求の意思表示ありと認めてした審判は不当であるが、受贈者がこの点について不服申立をしない限り結局右審判は有効である。
子たる扶養義務者7人が全部老母の引取扶養を嫌う事案において、関係人の特別事情を考慮して、一部のものに引取扶養を他のものに金銭扶養を命じた事例
前審判で老母の引取りを命ぜられた二男が後になってそれを拒否したため、止むをえず、右審判でなされた老母に対する扶養関係を変更し、三男に引取り扶養を、長男と二男に生活費の負担を命じた事例
1 現存遺産が相続開始時より減少し、かつ、それが一部の相続人の所為によるときに、他の相続人に対し具体的相続分に満たない現存遺産全部を与えた事例 2 右不足分は、民事訴訟において請求するのを相当とする。
民法第958条の3にいわゆる被相続人の特別縁故者には地方公共団体も含まれるが、相続財産分与の制度は元来その性質が無償譲渡であり、法律に譲渡禁止の規定がある以上その適用を受けるべきであるから、相続財産たる引揚者国庫債券を地方公共団体に分与することはできない。
家事審判法第24条による審判も裁判であるから、離婚の審判をするときは、家庭裁判所は民法第819条第2項に基づき必らず同時に親権者の指定をすべきである。
1 離婚に関するフランス国際私法規定の解釈と反致の成立 2 在日フランス人夫が日本人妻に対して提起した離婚訴訟において、日本民法を適用して、婚姻生活を破綻させた主たる原因は原告の不貞にありと認定し、反訴による被告の離婚請求を認めた事例
別居に際し、当事者間で約定した婚姻費用分担額の不履行分を請求するには、契約不履行として一般家事調停の申立をするか、または民事訴訟手続による外ないとして、別居後本件申立時までの右不履行分の請求を却下した上、本件申立時以後の分担額を右約定額に拘束されることなしに定めた事例
夫はまずもって妻子に対し、その収入と見合かつ自身の生活程度と同程度の生活を保障すべきであるから、夫が現に同棲中の他女のために支出している生活費は夫の生活費として算入すべきでないとして、別居中の妻子に対し、双方の資産収入、生活費および子の養育費を算出の上分担額を定めた事例
未成年の子に対する親の扶養義務はいわゆる生活保持義務であり、その負担する扶養料の割合は、離婚後における親権の帰属とは別個に両親の資力その他一切の具体的事情を考慮して定むべきものである。
被相続人を殺害して相続欠格者となった長男の子2名(代襲相続人)のほか相続人としては長女、二女がいる場合に、欠格者たる長男が遺産たる山林農地につき被相続人存命中長年に亘り寄与貢献しているなどの事情を考慮して、その、代襲相続人両名に右不動産全部を与え、他の相続人に対する債務負担を10年間の年賦払いとした事例
1 遺産たる土地家屋を従前よ砂被相続人とともに居住使用していた相続人の一部(妻)に、その居住を継続すべき正当性を認め得る場合は、他の共同相続人において、これを侵すことは許されず、かつその利益は遺産の評価にあたり当然考慮さるべきである 2 右利益の価額は、当該土地家屋より生ずる純収益額を資本還元した収益額と右土地家屋の純客観的評価額との差額と解すべきである
自己の信念その他精神的理由により子を生むことを一方的に拒否することは、たとえそれが真摯な動機にもとづくものであっても、他方配偶者に対してドイツ婚姻法第32条第1項にいう婚姻取消事件に該当する。
無謀な無免許運転による重過失傷害を犯した少年に対し、少年の生育ならびに非行歴を参酌して、原審のなした初等少年院送致を維持した事例
児童福止法第34条第1項第6号の淫行とは、男女間の性交に限らず、同性愛などの異常性欲を満足させる行為を含み、ひろく道徳的に非難されるような性行為を指称するものとした事例
原決定書記載の非行事実の一部については、少年の自白のみしか証拠がないので、これを認定したのは失当であるが、右瑕疵があるからといって、直ちに決定に影響を及ぼすものとは断じ難いとして、初等少年院送致の原決定を維持した事例
新潟県青少年保護育成条例第9条の「みだらな性行為」とは、広く社会通念に照らして倫理的な非難を受けるべき性交、または性交類似の行為をすべて指称すると解すべきで、性行為の相手方である少年の意思いかんは、本条の罪の成立に影響を及ぼさないとした事例
児童相談所長からの強制措置許可申請事件について、実母等の決意および少年の反省などからすると在宅のままで補導を加えてゆくのが適当であるとし、強制措置をとることを許可しなかった事例